ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2014年9月10日

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2014年09月10日将来へ引き継ぐ

南アルプス国立公園 南アルプス 大石佳織

こんにちは。
今日は、若い世代へ南アルプスの自然をひきつぐために、
行政やボランティアなどが協力して行っている取り組み
のひとつをご紹介します。


先日、静岡市主催の「南アルプス高山植物保護セミナー」
がありました。このセミナーは将来を担う高校生に南ア
ルプスの自然の変化や生態系について考えてもらおうと
企画された2泊3日のセミナーです。

高校生たちは、南アルプスの自然や生態系などについて学
んだ後、千枚小屋へ登って、ニホンジカによる食害から高
山植物を守るための防鹿柵の設置を体験しました。

千枚小屋は南アルプス南部の千枚岳(標高2880m)から南
東に下ったところにあり、周囲には貴重な高山植物が生育
するお花畑が広がっています。しかし、ここでもニホンジカ
による食害が深刻化しています。


(以前はミヤマシシウドの白い花が多いお花畑だったそう
ですが、今はマルバダケブキの黄色い花が目立ちます。)



(ミヤマシシウド:花(左)と 食害を受けた個体(右))


高校生たちは、一緒に参加した高山植物保護ボランティア
ネットワークの方などから設置方法について指導してもら
いながら作業を進めました。

(シカはネットをくぐってしまうことがあるので、
杭でネットの裾を固定します。)


ニホンジカ対策には今のところ特効薬はなく、時間をかけ
て取り組んでいかなければなりません。設置した柵の内側
の植生や南アルプスの自然が今後どう変化していくのか、
末永く見守り、関わってくれる生徒さんが増えてほしいなぁ
と思いながら一緒に作業をさせてもらいました。

南アルプスの自然を将来世代に引き継ぐことはもちろんです
が、「南アルプスを取り巻く問題にどのように向き合い、豊
かな自然をどう将来に残していくのか」を、将来を担う世代
とともに考えていくことも大切ですね。

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