2015年3月
13件の記事があります。
2015年03月31日野生下のトキの今期最初の抱卵確認・野生下で誕生したトキ同士の営巣確認
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
佐渡では、3月15日の今期最初の野生下のトキの営巣確認に続き、3月22日には野生下のトキの抱卵が確認されました。その後も、続々と佐渡の各地でトキたちの営巣・抱卵が確認されています。
【抱卵するトキ1羽】
3月27日には、放鳥されたトキではなく、2012年以降に野生下で誕生したトキ同士の営巣も確認されました。野生下で誕生したトキ同士の営巣は1979年以来、実に36年ぶりのことです。引き続き、このペアの観察を続け、次のステップとなる抱卵のニュースをお届けできればと思います。
【おまけ】
こちらは、2015年1月から3月にかけて、37年ぶりに佐渡で確認されたオオノスリです。
2015年03月27日金峰山巡視
秩父多摩甲斐国立公園 野崎 拓
3月20日に金峰山へ行ってきました。
当日は気温も高く春の陽気でしたが、山にはまだまだ雪がたくさんありました。
登山道の積雪は少ないところで20~30cm、多いところで80cm程度。雪が柔らかく歩くのが大変でした。
上の写真のような状態の雪を腐ってると言うそうです。スノーシューを履いていても股の辺りまで沈んでしまう場面が何度もあったので、春山の雪上を歩くときは万全な装備だけではなく根気が必要なのだと思いました。
金峰山小屋
小屋や山頂の辺りは風で雪が飛ばされてしまうためか、思っていたほど積雪はありませんでした。雪の状態によりアイゼンやスノーシューがあれば歩きやすいです。
山頂付近にある五丈岩
積雪の多い時期に2000m以上の山に登るのは初めてのことだったため不安もありましたが、夏場では見られない山の一面を知ることができました。
2015年03月25日ダイヤモンド富士
富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子
少しずつ暖かくなり、遠くまではっきり見えていた景色が霞む季節になりました。
沼津事務所から見える富士山や箱根の山々も、以前よりぼんやりとして見える日が多くなりました。
この時期になると、少し気になり始めるのが『ダイヤモンド富士』です。
富士山の西麓にある田貫湖では、年に2回(4月20日前後と8月20日前後)、富士山頂中心から太陽が昇るタイミングがあります。
もちろん毎日自分が湖畔を移動すれば、中心から昇るタイミングは何度か得られますが、お天気が悪くて見られなかったり、すでに多くの人がいてベストポイントにたどり着けなかったりしてなかなか難しいものです。
それでも、毎年多くの人が見に訪れる田貫湖からのダイヤモンド富士。
昨年撮影に行った際には、中心から少し右にずれてしまっていました。
(2014年4月25日撮影)
多くの方が写真に収めるダイヤモンド富士ですが、中には写真を撮らずに見ている方もいらっしゃいます。
私もカメラを手にするとついついシャッターを押すことに一生懸命になってしまうので、時にはただじっと「見る」ことに集中することがあってもいいなと思います。
この時期は、たくさんの方が訪れることから、良い撮影場所を確保するための行動が見られますが、マナーを守ってお互いに迷惑とならない行動を心がけていただけますようお願いいたします。
2015年03月23日みんなで守る青木ヶ原樹海(2)
富士箱根伊豆国立公園 富士五湖 小西 美緒
前回に引き続き、「富士山青木ヶ原樹海等エコツアーガイドライン推進協議会」についての話題です。
(前回の日記はこちら)
10年経ったことでの課題もあります。
この10年で新しい事業者が増えていますし、富士五湖地域を拠点としない外部からの
ツアーも増えています。
協議会に参加している事業者だけでなく、この素晴らしい自然を次世代に残していくために
利用する全員が国立公園のルールやガイドラインを遵守してもらえるよう
周知徹底が必要だと感じています。
青木ヶ原樹海内でのエコツアーの様子
今回の会議でも
「青木ヶ原樹海を利用する人が多く立ち寄る道の駅なるさわの
トイレに利用のルールを掲示しては?」
「山梨県ホームページ内で利用者が見そうなページに
ガイドラインのページのリンクを貼っては?」
「事業者向けに研修会を開催しては?」
など様々な意見が出ました。
また少しずつ外国の方の利用も増えてきていますので、
日本語がわからない方々への情報提供も力をいれていく必要があります。
皆さんも青木ヶ原樹海にお越しの際は、是非事前にガイドラインに
目を通していただければと思います!!
富士山青木ヶ原等樹海等エコツアーガイドライン 他(富士の国やまなしHP)
約1200年前の溶岩の跡も見られます(青木ヶ原樹海内)
この美しい森をいつまでも残していきたいものです。
2015年03月19日野生下のトキの今期最初の営巣確認
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
佐渡でも晴れて暖かな日が増え、フキノトウがあちこちから顔を出し、
ようやく春の訪れを感じられるようになりました。
トキの繁殖行動も活発になり、
3月15日には今期最初の営巣(巣作り)が確認されました。
(巣を挟むようにとまるトキのペア)
現在佐渡では、このペア以外にも、約40組あまりのペアが形成されようとしており、
各地でトキが巣材となる枝を運ぶ様子が観察されています。
佐渡の方々のトキに対するあたたかなご支援・ご協力により、トキの数が順調に増え、
モニタリングチームはトキのペア追跡に苦労しながら、嬉しい悲鳴をあげています。
今期は、野生下生まれの個体同士のペアからの雛誕生に期待がかかりますが、
良いご報告ができることを願いつつ、日々のモニタリング業務に励んでまいります。
(愛情表現の「枝渡し」をするペア)
2015年03月17日南アルプスの地味な(!?)生き物 その2「コケ植物」
南アルプス国立公園 大石佳織
こんにちは。
南アルプスの山々はまだまだ深い雪にとざされていますが、
事務所の周辺ではスモモの花が咲き、すっかり春らしく
なってきました。
さて、『南アルプスの地味な(!?)生き物 その2 』
ということで、夏の活動中に出会った生き物を紹介したいと
思います。本日、紹介するのは「コケ植物」です!
みなさんは「コケ」と聞くと、どんないきものを想像しますか?
あゆが食べるもの?お風呂にはえてくるもの?
いろいろないきものを想像しますよね。
今日、紹介する「コケ植物」は植物のなかまです。
アユが食べる「藻類」や、お風呂にはえてくる「カビ(菌類)」
とは違うグループのいきものなんです。
南アルプスでは、登山口から山頂まで、さまざまな環境に
さまざまな姿形のコケ植物がたくさん生育しています。
沢の水がかかる場所ではみずみずしいコケ植物が見られます。
亜高山帯の岩の陰には、変な形のコケ植物、『エビゴケ』が...。
北岳の3,000mを超える稜線の岩の上には、厳しい環境を
たくましく生きるコケ植物が!
南アルプスでは、登山口から3,000mを超える稜線まで
あちこちでコケ植物に出会えます。
小さくて目立たないけれど、可愛くてたくましいコケ植物に
注目して歩いてみると新たな発見があります。
◆南アルプスの生き物を知ろう!まめまめ知識【コケ植物】
植物のなかまなので、光合成をして、自分で栄養をつくります。
このため、木の幹にくっついていても、木から養分を吸い取ったり
しません。
学校で習うゼニゴケやスギゴケなどのほかにもたくさんの種類がいて
日本には、なんと約1,800種類ものコケ植物が生育しています!
水辺はもちろん、木の幹や、南アルプスの稜線の太陽が照りつける
岩の上まで、さまざまな環境に適応した種類がいます。
いろんな環境で生きるコケ植物を探しながら歩くのも楽しいですよ。
2015年03月13日毎年恒例の訪問客
尾瀬国立公園 長峯 彩
10日から降り続いた雪で、すっかり冬に戻ってしまった檜枝岐村です。
とはいえ、不思議なもので、また雪が降ると何だか落ち着いたりもして・・・。
雪国の人達は昔からこんな気分で毎年春を迎えてきたのかもしれないと思うと、何だか感慨深いです。
さて、この時期に事務所の対岸に毎年訪れるお客様がいます。
天然記念物のカモシカです。
降雪が落ち着いて少し春らしくなってきた頃に、山から下りてきた姿を見ることができます。
この日は美味しそうに新芽をモグモグ。
そしてお腹いっぱいになったのか寝そべっていました。
こうしてのんびりと4時間ほど滞在して立ち去っていきました。
カモシカは好奇心が旺盛らしく、人間を見に来ることもあるそうです。
このカモシカも、食事のついでに、せわしなく働いている人間を観察しに来たのかもしれません。
カモシカは『シカ』とついていますが、分類上は『ウシ』の仲間です。
言われてみれば、このゆったりとした姿は、シカよりも放牧されている牛に近いような・・・気もします。
そんなカモシカですが、ニホンジカと食性が被ることもあり、ニホンジカの急激な増加によって生息域が追いやられていると聞きます。
あと1~2ヶ月もすれば、越冬の為に移動していたニホンジカの群れが檜枝岐にも帰ってくるでしょう。
ニホンジカに負けずに、来年もこの場所に姿を見せに来て欲しいですね。
2015年03月13日平成26年度尾瀬国立公園協議会
尾瀬国立公園 服部 恵子
3月10日'火)に尾瀬国立公園協議会が開催されました。
事務局を含めて、出席者は総勢31名です。
国や都道府県、市町村、土地所有者さん、山小屋さん、ガイドさん、自然保護団体、学者さん、
尾瀬国立公園には非常に多くの方が携わっていることを実感しました。
協議会の中では、
尾瀬沼ビジターセンターの再整備計画についてや
東京電力さんと尾瀬保護財団さんのホームページの改定について、
入山口の利用分散化を図るための事業の実施状況および計画などが話し合われました。
関係者が多い分、色々な人の思いや考えが交錯して複雑な部分は難点ですが、
まさに『みんなの尾瀬を みんなで守り、みんなで楽しむ』
という尾瀬のスローガンに即した集まりのように思います。
登山者の皆様もご協力をお願いいたします。
写真は、3月5日(木)の鳩待峠へと続く戸倉ゲートの状況です。
今年は雪が多く、山小屋さん達は除雪に大忙しです。
2015年03月10日みんなで守る青木ヶ原樹海(1)
富士箱根伊豆国立公園 小西 美緒
まだまだ寒い日が続いたり、雪が降ったりしていますが、
そんな中にも春を感じるようになってきた富士五湖です。
3月2日に「富士山青木ヶ原樹海等エコツアーガイドライン推進協議会」の
会議に出席してきました。
会議の様子(2015年3月2日撮影)
富士山の北西麓に広がる青木ヶ原樹海は、修学旅行をはじめとした環境教育の場として、
また一般の方々を対象としたエコツアーの盛んな場所であると当時に、
国立公園で一番厳重に保護されるべき「特別保護地区」に指定されている区域もある
貴重な場所です。
溶岩による起伏や、その溶岩の上のほんの少ししかない土壌の上に一生懸命に
生えている植物や苔たちが素敵な私のお気に入りの場所のひとつです。
まるで「もののけの森」のよう。この緑に癒されます・・・・
この青木ヶ原樹海の貴重な自然を適正に利用し、
大切に残していこうということで実際に樹海をツアーで利用している
主なエコツアー事業者の方々と関係する行政機関・学識者により平成16年に
「富士山青木ヶ原樹海等エコツアーガイドライン推進協議会」
が設置されました。今年で10年になります。
この協議会では平成16年よりエコツアーガイドラインを定めています。
具体的には
●利用可能なルートの設定
→希少な植生や溶岩地形など大人数の利用によって影響があると考えられる場所は
ツアーの対象外にする等し、利用可能なルートを設定
●1グループあたりの参加人数、ガイドの数の設定
→環境への負荷やツアーの質の向上を考え、1グループあたり20~25名、
ガイドは約10名につき1名を配置
●ガイドの禁止行為
→ツアーを行うにあたり、マーキング・植物の採取・たき火などを行わない旨を徹底
●野外排泄
→ガイド・参加者ともにトイレ以外での野外排泄を行わないよう徹底。
●入山許可手続き
→入山許可が必要な箇所に関しては、事前に申請を行う
などなどです。
詳細はこちらをご覧ください。富士山青木ヶ原樹海等エコツアーガイドライン.pdf
ガイドラインを歩道の入口にも掲示して周知しています。
次回は今後の課題について書きたいと思います。
3月18日に仙石原湿原・ススキ草原の山焼きが地元の消防団を中心に実施されました。
この山焼きは毎年3月頃に行われることから、春を告げる風物詩として知られています。
10時40分にススキ草原(18ヘクタール)の山麓側から着火。パチパチと音を立てながら徐々に燃え広がっていき、吹き下ろしの風が吹くたびに轟音を立てて火は大きくなっていきました。火が近くまで来ると音・熱・煙が凄く、大迫力でした。
続いて、湿原側(4.7ヘクタール)にも火を入れ、無事に山焼きを終えることが出来ました。
ススキで紺色だった景観が、山焼きをしたことで黒色に変化しました。
これから植物たちが競うように新たな芽を出し始め、辺り一面、緑色に変えてくれます。
さらに春から夏にかけてノハナショウブなど綺麗な花々が咲き誇り、様々な色を見せてくれます。
春夏秋冬で様々な色を見せてくれるこの仙石原湿原・ススキ草原を大切にしたいものですね。
追伸
私事で恐縮ですが、平成26年度を持ちまして箱根自然環境事務所のアクティブレンジャーを退職いたします。
今まで、私のアクティブレンジャー日記をお読みになってくださり、ありがとうございました。
そして、今後も他のアクティブレンジャーがお届けするアクティブレンジャー日記を何卒よろしくお願いします。