2015年5月
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2015年05月15日まぼろしの滝
富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子
5月14日、雪解けの時期(5月初旬から6月初旬)に現れる、富士山須走口の「まぼろしの滝」を確認してきました。
前日までは台風(静岡県を通過する時は温帯低気圧に変わりましたが)の影響で、須走口五合目付近でも強風が吹いていたそうですが、この日は至って穏やかな良い天気で、まぼろしの滝の見学者が後から後からやってくるような状況でした。
まぼろしの滝は「不浄沢」に現れる滝で、駐車場から西側へ歩いて20分ほどかかります。
道のりは、駐車場からすぐの森林帯の中で少々登りますが、あとはほぼ横移動です。
歩道脇に張ってあるロープに沿って歩いて行けば迷うことはないでしょう。
さて、これまでもまぼろしの滝への歩道状態等を確認するため、毎年巡視を実施してきましたが、いつもタイミングが合わず、滝を見ることができませんでした。
しかし今年は沢筋にまだ雪が残っていましたが、水の流れを見ることができました。
(歩道突き当たりから見える滝の様子。赤丸が滝です)
滝を左手に見ながら岩場を登っていくと、まさに流れ始めたばかりという部分に出会いました。
流れ始めたばかりの水を上から見てみると、素晴らしい景色が広がっていました。
昨年よりも残雪が少ないように見られる富士山ですが、写真からもわかるように沢筋など残雪が深い部分や思わぬ所に雪が残っていることもあります。
また、岩場は足元が不安定ですし、水が流れる部分は岩が削られて滑りやすくなっています。
「五合目周辺なら大丈夫」と思わずに、登山靴の着用など最低限の準備をしてお出かけ下さい。
また、今回の巡視で拾ったゴミは、タバコの吸い殻6本と飴の袋2つと、とても少ないものでした。
日頃からゴミ拾いを行って下さる地元の方がいらっしゃることもあると思いますが、これからもゴミの持ち帰りのご協力について、よろしくお願い致します。
2015年05月13日平成27年度 国立公園・野生生物フォトコレクション開催のお知らせ
小笠原国立公園 沼田伸一
今年度も「国立公園・野生生物フォトコレクション-アクティブ・レンジャー写真展-」を開催します。
1年をかけて関東地方環境事務所の管内を巡って行きます。
まずは小笠原からスタートです。
日時:平成27年5月14日(木)-6月4日(木)
場所:小笠原ビジターセンター
※小笠原ビジターセンターはおがさわら丸が父島に入港している間だけ開館(8:30-17:00)し
ています。
2015年05月12日新緑・やまぶき祭
南アルプス国立公園 大石佳織
こんにちは。
5月10日(日)に「第5回南アルプス市芦安 新緑・やまぶき祭」が開催されました。
とっても美味しい手打ちそばや、地元の味「しょうゆの実」などを味わえるお店だけ
でなく、芦安が発祥の地と言われる甲斐犬とのふれあいスペースやクライミング体験
をさせてもらえるブース、砂防について模型を使って遊びながら学べる展示など、楽
しいコーナーも充実していました!
【会場の様子】
南アルプス自然保護官事務所も出店し、南アルプス国立公園の高山帯に現れるニホンジカ
対策や今年度から始まるライチョウの保護増殖事業等を紹介する展示を行いました。
そして目玉は「キタダケソウ」や「ライチョウ」の絵柄の焼印を押して作るコースター(木
を輪切りにしたもの)の配布!
仁田自然保護官と私の二人で、焼印を押してプレゼントしました!
【真剣に焼きをいれる仁田自然保護官】
この作業ですが、スタンプのようにぺったんできるかというとそうでもなく、なかなか難しいんです。
コースターに反りがあると絵柄が欠けることも...。
うまく焼印できなかったものもありましたが、みなさん、笑顔で持ち帰ってくださいました。
来てくださったみなさん、ありがとうございました!
【焼印コースター】
2015年05月11日日光パークボランティア研修会「日光の両生類」
日光国立公園 中野純
ゴールデンウィーク期間中の日光は、暖かい日が続いたこともあってか、外国人を含む多くの観光客で賑わっていました。
東 照宮などのある日光山内でも見渡す限り人だらけ。改めて国際的観光地日光に住んでいるんだなぁと実感しました。
そんなゴールデンウィーク明けの5月9日(土)、奥日光湯元及び光徳沼周辺で、日光パークボランティアの研修会を行いました。
今回の研修会のテーマは「日光の両生類」。
日光地区に生息するカエル類やサンショウウオ類の歴史的背景や生理生態的特性、分布状況などについて学びました。
講師は、栃木県立博物館で主に両生類を専門分野とする林先生。
林先生のおもしろおかしく且つ高度な専門的知見をわかりやすく表現した巧みな解説にボランティア一同惹きつけられました。
午前中は湯元ビジターセンターで聴講し、午後は、光徳沼および御沢橋高架下付近の水たまりで観察。オタマジャクシを発見しじっくり観察しました。
水たまりで泳ぐオタマジャクシを観察
オタマジャクシの群れ
真っ黒いオタマジャクシの群れとしか認識していませんでしたが、林先生から2種類のオタマジャクシが混在していることを教えていただき、改めて観察すると、体の大きさや色が異なる個体がいることに気がつきました。
左がヤマアカガエル、右がアズマヒキガエルのオタマジャクシ
専門家にはパッと見で分かるようです。(笑)
奥日光地域では、ごく普通に見かけるカエルですが、今まで意識して観察したことはなく、"見えてはいるけれど、本質的に見ていない"自分に気づきました。
また、観察していて不思議と感じたのは、大勢の人間に囲まれ、がやがやと騒々しくてもオタマジャクシは優雅に泳いでおり、特段の変化が見られなかったことです。成体のカエルならきっと慌てて動き回ったことでしょう。
そんなオタマジャクシですが、サンショウウオなどの捕食者に追われる時は必死で逃げるそうです。本能で"命の危機"を察知するのでしょう。
これから先、日光では、様々な動植物の活動が活発になってゆきますが、今回の経験を活かし、しっかりと見ることを意識したいと思います。
2015年05月11日野生下のトキの今期最初のヒナ誕生・ヒナへの足環装着
佐渡 近藤陽子
皆様、こんにちは。
4月24日(金)、ついに野生下のトキの今期最初のヒナが誕生しました!!その後、続々とヒナがふ化し、5月8日(金)現在、12羽のヒナが確認されています。
<No.86とヒナ2羽>
5月8日(金)からは、ヒナへの足環装着も始まりました。
一羽ごとに異なる番号や色の足環を付けそれを識別することによって、野生トキ全体の個体数把握、雌雄や年齢の把握、個体の行動追跡などが可能となるため、足環装着は大変重要な作業となります。5月は、ふ化から20日程度の適齢になったヒナから順次、足環を装着していきます。ヒナの巣立ちまでは、まだまだ時間がかかりますが、今後、この新しく足環を装着された野生下生まれの個体を識別できる日がとても楽しみです。何事もなく、無事にヒナが巣立つことを願うばかりです。
おまけ
モニタリング業務中に出会う渡り鳥たち
<紋付きを着ているようなジョウビタキ(4月8日撮影)>
<水田にたたずむマナヅル(4月16日撮影)>
<ピンク色の長い脚がチャームポイント、セイタカシギ(4月23日撮影)>
2015年05月07日夜叉神峠で遭遇したもの
南アルプス国立公園 大石佳織
こんにちは。
みなさんゴールデンウィークはどのように過ごされましたか。
山や海で楽しんだ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私は4月29日(祝)に夜叉神峠から杖立峠方面へ巡視に行ってきました。
【夜叉神峠登山口】
夜叉神峠は鳳凰三山の南に位置する標高1770mの峠です。この季節
足元にはスミレなどの春の花々が咲き、のんびりとハイキングを楽しむ
ことができます。
【登山道沿いに咲くスミレやニリンソウ】
夜叉神峠登山口から約1時間で着く夜叉神峠からは、雪を残した白峰三山(北岳、
間ノ岳、農鳥岳)が、どーんとそびえ、すばらしい眺望を満喫できます。
【夜叉神峠からの白峰三山】
さて、登山道を歩いているとき、なんだか甘い匂いがするなぁと思っていたら
たくさんのチョコレート菓子が散乱している現場に遭遇しました!
食パン(?)が落ちている場所も...。
落としてしまった食べ物は、食べられませんが、野生動物が人間の食べ物の
味を覚えてしまわないようにするためにも、拾って持ち帰るようお願いします。
この他にも、お菓子の袋や空き缶、折れたペグ(テントを地面に固定する留め
具)も拾いました。ゴミはもちろん、使えなくなった道具も忘れずに持ち帰る
ようにしたいものですね。
山に持ち込んだものは持ち帰る。きれいな山と景色をみんなで楽しむためにゴミ袋を
持って登山しませんか?
2015年05月01日春のスミレを見るために♪
富士箱根伊豆国立公園 後藤香奈
4月29日(水・祝)に、「箱根地域自然に親しむ運動」の今年度最初の
自然観察会が環境省の主催で行われました。
例年行われており、人気が高い「スミレを探して春の仙石原を歩く」です。
特に今年度は定員が100名のところ、234名もの方が応募してくださいました!
今回惜しくも落選された方は次回の自然観察会でお待ちしておりますね。
当日は天候にも恵まれた中、朝9時30分から開会式を行い、出発しました。
仙石原の約8kmを箱根地区パークボランティアの方の
解説(箱根地域や植物、野鳥等)のもと、ゆっくりと歩いていきます。
タチツボスミレやマルバスミレなどスミレ以外にも、
カキドオシ、ムラサキケマン、クサボケ、ゴマギなどの植物も発見しました。
タチツボスミレはいろんな所で見ることが出来ました。
綺麗な色ですね。
シートを広げ昼食を食べ、再度出発!
最後のほうにはサクラスミレが一輪咲いているのを見つけました。
大きい花びらの開花状態が見ることが出来て本当に良かったです!
少人数班で箱根のおすすめコースを、
案内人が[箱根の自然][箱根の歴史]などを紹介しながら歩く
平成27年度「自然に親しむ運動」は全9回開催されます。
また、箱根地区パークボランティアが主催とする自然観察会も4回開催されます。
お子さまが参加出来るものから、バリアフリーのもの、英語対応のものまで
いろんなプログラムがありますので、是非
箱根ビジターセンターホームページの「お知らせ」
http://www.mmjp.or.jp/HakoneVisitorCenter/
をチェックし、参加申込をしてください!
お待ちしています!
ここ最近、台風がきたり気温が夏日を記録したり、5月だというのに夏のようなお天気ですね。二十四節気や七十二候では立夏の時期なのですが、助走期間なく盛夏に入ってしまったかのようで、つい先月まで桜が咲いていたというのが嘘だったかのように感じるのは私だけでしょうか。
さて、奥日光でも着々と季節が進んでおります。カラマツの緑も、新緑時に比べて濃くなってきています。心なしか、やはり奥日光の自然たちの移ろいも足早のように感じます。湯元では、例年より早めにアズマシャクナゲが既に開花し、そして戦場ヶ原ではズミの蕾を確認しています(一部開花しているものもあるようです)。他の花々と同様に、例年より早咲きの気配を感じます。
そんな夏を先取りしている植物もいれば、湿原内はスゲやカヤなどはまだ茶褐色です。その湿原内や林縁の歩道を歩くと、たくさんの春の野鳥たちの声に包まれ、またその声の先を見ると野鳥の姿を確認できたりします。野鳥のことは詳しく知らない素人の私ですが、さえずりに耳を傾け、姿を確認できるとより楽しさが増し、さらに撮影できたりすると大変嬉しいものです。湿原内のカラマツの先端によくとまっているノビタキ、採餌に夢中になっているコゲラやアカハラ、そして「ホーホケキョ...」とよく耳にするけれど、なかなか姿が見られないウグイスまでも今回は激写できました。
このように植物や野鳥を観察したり撮影したりすることは、自然散策の醍醐味の一つであり、皆さんにも足をとめて五感で自然を満喫してもらえたらとても嬉しいです。
ただ、その時に気をつけていただきたいのが、足をとめる場所です。そこが歩道の場合ですと、歩行者がいる場合には通行の妨げになりかねません。歩道は"歩行に利用するための道"ですから、歩行者の通行が優先となりますのでマナー(戦場ヶ原マナー8箇条.pdf)を守ったご利用をお願いいたします。マナーを守りながら、奥日光の自然を楽しく気持ちよく満喫しましょう!