ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2015年10月26日

2件の記事があります。

2015年10月26日赤薙山奥社跡巡視

日光国立公園 櫨木 めぐみ

 先週、日光連山の東端に位置する赤薙山(赤薙山神社)と、その奥にある奥社跡まで巡視しました。赤薙山は標高2010m、奥社跡は2203m。登り口である霧降高原レストハウスは標高約1350mなので、標高差853mの登山です。


 まず待ち構えているのは、レストハウスから小丸山までの天空回廊。高低差240m、ほぼ直線の1445段の階段が天に伸びるように続きます。この階段がとにかく長いです(※写真の森へ右上に伸びるところも階段)。

この階段を登りきると一山越えた達成感があります。しかし、ここからが本番。

 小丸山から先に土の登山道が現れるのですが、赤薙山の林内に入るまでの道が厄介です。迷うほどの複数の踏み跡、えぐれ、滑りやすい粘土質の道になります。連日晴れていたので影響はあまりありませんでしたが、雨天時や前日雨天の場合、この道は一苦労しそうです。ただし、この間の展望はとてもよく、なだらかな笹原の斜面が眼下に広がり、丸山や霧降高原、日光の街並みなど、その眺望に励まされます。

 やがてコメツガ林に入り、今度は一部ロープが備え付けてある急斜面が待っています。そこを抜けた山頂には赤薙山神社があります。展望は木々の間からのぞき見る感じです。

 続いて、赤薙山頂から奥社跡を目指します。この間起伏が多く、急傾斜に挟まれた細尾根、岩尾根などもありました。岩場が好きな私にとって苦ではなく、むしろ楽しい道のりでした。

 復路では丸山を経由しました。丸山に登る直前、青空と丸山、山頂で賑わう登山客の姿が見えていたので何も疑うこともなく、登りはじめること10分...靄が少しずつ辺りを覆ってきました。あと少しだから保つかと思いながら山頂到着。視界はというと...見事に真っ白!その後、回復する兆しもなくずっと真っ白でした。山の天気は変わりやすい。ましてや霧降と呼ばれる地、納得です。

 丸山から八平ヶ原(やっぺいがはら)を経由してレストハウスまでは霧の道中でした。笹刈り跡や道案内のパウチがありましたが、笹刈りがまだされていないところもあり、霧の状況によっては案内パウチも見落とすかもしれないので注意が必要です。

 ちなみに、紅葉状況はというとレストハウスまでの霧降高原道路が見頃を迎えているようでした。紅葉狩りや登山をしに秋の日光の山へ足を運ばれる方もいることでしょう。季節を問わずではありますが、今回の登山でもわかるように山の天候は変わりやすいこと、標高差による気温変化(今回の登山行程の場合、仮に無風としても登山口と山頂では約5℃の気温差があります)や風による体感温度の変化があること、秋は日が短いことなどを意識した備えや登山計画をたててお出かけ下さい。

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2015年10月26日湯川カワマス産卵観察会

日光国立公園 中野純

世間一般では秋冷の心地よい季節の中とのことですが、標高1、500m近くの湯元ビジターセンターでは昼間からペレットストーブが稼働しており、早くも冬の到来を感じさせます。

湯元に限らず奥日光にお越しになる際は暖かい上着の用意をオススメします。

湯元周辺の紅葉シーズンはほぼ終了となっていますが、いろは坂周辺の山々ではパレット模様で彩る美しい紅葉となっており、今月末前後までは見頃かなぁと思います(ピークは過ぎたと思います)。

さて、今回の日記はカワマス。

先週末(研)水産総合研究センター増養殖研究所と全国内水面漁業協同組合連合会日光支所主催の「湯川カワマス産卵観察会」に参加し、スタッフの方からカワマスの生理生態や奥日光の釣りの歴史などを解説していただき、その後、解説いただきながら湯川でカワマスを観察しました。

小滝での観察の様子湯川にてオスのカワマス2匹











湯川のカワマス2匹                    小滝で観察


カワマス(別名ブラウントラウト)は、北米大陸を原産地とするサケ科イワナ属の魚です。

名前に「マス」とついていますが、分類学上はイワナの仲間なのがちょっとややこしいです。

1902年(明治35年)、貿易商であり長崎のグラバー園で有名なトーマス・グラバー氏が英国大使館員であったハロルド・パーレット氏らの協力を得て奥日光の湯川に初めて放流され、現在、湯川は全国的に希少なカワマスの生息地となっています。

現在は放流は行わず、自然産卵で資源を維持する「キャッチアンドリリース」が実践されており、近年ではカワマスの繁殖行動や産卵シーンを目にする機会が増えたとのことです。

小滝下流の橋から眺めると、1匹のメスをめぐり2~3匹のオス同士が執拗に奮闘している様子が見受けられました。そういえば動物のオスはメスをめぐりオス同士が争い、時に致命傷のような深傷を負って息絶えることもあるそうです。オスにはそうしてでも自分の遺伝子系統を存続させたいという強い気持ちがあるのでしょうか。

ん~わからんでもないです。

日光地域のアクティブレンジャー3年目ですが、魚類や釣りについての知識がほぼ無かったので、今回の催しで日光の新たな一面を認識し、理解する良い機会となりました。

奥日光の歴史や文化、自然を語るうえで欠かせないカワマスと釣りの関係性。

そして、それが奥日光の魅力を形作る1つだということを再認識した1日でした。

湯川でのカワマスの繁殖行動は11月にかけても観察ができるとのこと。

残されたチャンスはあとわずか。是非カワマスの観察においでください。

菖蒲ヶ浜にある「さなかなと森の観察園」で、"おさかなの理解を深める晩秋"は如何でしょうか。

https://www.fra.affrc.go.jp/nikko/index.html

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