2016年11月18日
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2016年11月18日北アメリカから湯ノ湖にやって来たコカナダモ
日光国立公園 中野純
<水草コカナダモを刈り取る>
11月16日に奥日光清流清湖保全協議会主催の「湯ノ湖水草コカナダモ除去及び湖畔清掃」が行われました。
作業内容は、湯ノ湖の湖上を手こぎボートで移動し、錨(いかり)によりコカナダモを刈り取る作業と、湖畔を歩いてのゴミ拾いです。
コカナダモを刈り取る作業は、平成10年から継続して実施されており、毎年大量のコカナダモが刈り取られ、域外に搬出されています。
今年は強風の影響で手こぎボートは使用出来ませんでした。そのため、湖畔から錨を投げての刈り取り作業となりました。
コカナダモを刈り取る作業
<コカナダモとは>
沈水植物コカナダモは、北アメリカを原産とする外来種で、昭和48年に湯ノ湖でその存在が確認されて以来、湯川そして中禅寺湖の一部まで生育範囲を広げています。
コカナダモ(日光市提供)
<コカナダモの自然浄化機能を活用>
コカナダモは、春から夏の成長段階で富栄養化の原因となる栄養塩類(窒素やりん等)を吸収するため、水環境改善の働きをします。ところが冬になり枯れて湖底に沈むと、吸収した栄養塩類を放出することになるため、水環境を悪化させてしまいます。
つまり、栄養塩類を吸収したコカナダモを湖外へ搬出することが下流域の湯川や中禅寺湖等を含め奥日光水域における水環境の保全につながるわけです。
近年、コカナダモの刈り取りによる効果もあってか、絶滅危惧種に指定されている在来種の水草数種類(ヒメフラスコモ、センニンモ等)の生育範囲が増加したとの報告もあります。
<最後に>
環境省・農林水産省では、コカナダモを「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」(通称:生態系被害防止外来種リスト)における「総合対策外来種」となっています。
総合対策外来種とは、「国内に定着が確認されているもの。生態系等への被害を及ぼしている又はそのおそれがあるため、国、地方公共団体、国民など各主体がそれぞれの役割において、防除(野外での取り除き、分布拡大の防止等)、遺棄・導入・逸出防止等のための普及啓発など総合的に対策が必要な外来種」と規定されています。
詳細はこちらを参照 ↓
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/iaslist.html
農林水産業を中心とする産業分野では、家畜用、栽培用、園芸用、緑化用、天敵用、受粉用、食用、飼料用等として多くの外来種が利用されており、これらは我々の社会や生活を支えています。しかし、その中には管理下から逸出することで問題が発生するものもあることから、社会的な便益を引き続き享受できるようにするとともに、生態系等へのリスクを低減するという観点から、我々の社会と外来種との適切な関わり方を考えていく必要があります。
外来種問題の対策は、外来種の導入に伴う生態系、社会、経済等への効果・影響を多くの人が理解し、一人一人の心がけと行動が大切となります。
今や外来種は我々の身近な存在となっています。
身のまわりに、どんな外来種が生息・生育しているのか、観察してみてはいかがでしょうか。
驚きの事実が判明するかも!?
参考:外来種被害予防三原則 ↓
http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/sangensoku.html
<参考文献>
第3期 奥日光清流清湖保全計画(奥日光清流清湖保全協議会)
みなさんこんにちは。
11月に入り奥秩父でも積雪が確認されましたが、標高の低い場所ではまだ紅葉シーズンが続いています!
そんな中、山梨県甲府市の御岳昇仙峡に行ってきました。
(11/16撮影:左の岩が覚円峰、右の岩が天狗岩)
昇仙峡は同じ国立公園内の国師ヶ岳や金峰山を源流とする荒川の浸食によりつくられました。渓谷では上の写真のように奇妙な形に削れた岩が多く見られ、歩きながら岩を眺めるのも楽しみの一つです。
(11/16撮影:仙娥滝)
昇仙峡は国の特別名勝にも指定されており、全国でも人気の高い景勝地です。
今回紅葉の時期に訪れたのはたまたまでしたが、人気なのが納得の渓谷美でした。
(11/16撮影:昇仙峡を流れる荒川)
写真を撮影した16日は平日でしたが市営の駐車場は満車でした。土日等の休日は更に混雑が予想されますので、自家用車でお越しになる場合は注意が必要です。