ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2017年7月21日

2件の記事があります。

2017年07月21日佐渡の珍鳥5選

佐渡 近藤陽子

 皆様、こんにちは。

 佐渡でも、日中30℃を超える真夏日が観測されるようになりました。水田の稲はどんどん成長し、青々とした稲の絨毯が佐渡の平野一面に広がっています。


<水田で採餌する2017年生まれのトキの幼鳥たち 2017.7.6撮影>

 こうした佐渡の水田、実はトキの他にも、様々な珍しい野鳥を見ることができる貴重な場所でもあるのです。
今回は佐渡の水田で確認された珍鳥5種を取り上げたいと思います。

1.【オオノスリ】 2015.3.18撮影

  学名:Buteo hemilasius

  英名:Upland Buzzard 


 2015年1月、佐渡では37年ぶりに飛来が確認されたオオノスリ。中央アジアで繁殖し、東アジアで越冬する、ノスリの仲間では最大の本種。飛来した個体は幼鳥で、水田で小動物を食べる様子が確認されていました。このオオノスリは5月上旬まで佐渡に滞在し、長期にわたりバードウォッチャーを楽しませてくれました。

2.【マナヅル】 2015.4.16撮影

  学名:Grus vipio

  英名:White-naped Crane

 夕暮れ時、水田にたたずむ1羽のマナヅル。冬鳥として鹿児島県出水市に飛来することで有名なツル科の仲間で、絶滅危惧II類に指定されています。佐渡では、少ないながら飛来記録があり、2004年~2007年には長期にわたり成鳥1羽が滞在したこともありました。この個体は4/15~16の2日間だけ、佐渡で羽を休めていたようです。

3.【コシャクシギ】 2015.4.21撮影

  学名:Numenius minutus

  英名:Little Curlew

 2015年春、極めて希な旅鳥で、絶滅危惧IB類にも指定されている、コシャクシギが確認されました。シベリアで繁殖し、南半球のオーストラリアなどへ渡り、越冬する"スーパー渡り鳥"(近藤造語)です。地味な色合いをしていますが、よくよく見てみると何とも可愛らしい顔をしています。長く湾曲したくちばしの感覚を使って土中の昆虫等を捕食していました。

4.【オジロワシ】 2016.1.7撮影

  学名:Haliaeetus albicilla

  英名:White-tailed Eagle


 冬に北海道でよく見られる大型の海ワシ類で、国の天然記念物、絶滅危惧II類に指定されています。キタキツネとエサの争奪戦をする印象が強い鳥ですが、佐渡で見たオジロワシは、農道におりてじっとしていました。最初は、農道にある黒い大きな物体がオジロワシだとは気が付かず、「なんであんなところに黒い消火栓があるんだろう...?」と、見慣れない大きさに、鳥だとさえ思わなかった記憶があります。佐渡では毎年冬になると、成鳥が1~2羽飛来します。

5.【クロツラヘラサギ】 2017.6.9撮影

  学名:Platalea minor

  英名:Black-faced Spoonbill

 国際的な希少種で、日本では絶滅危惧IB類に指定されているクロツラヘラサギ。トキと同じトキ科に属するだけあって、大きさや形がトキによく似ています。トキとの決定的な違いは、何と言ってもこのくちばし。先端がへら状になっていて、このくちばしを左右に振りながら水中や泥中のエサ生物を捕食します。佐渡では、ともに国際的希少種であるクロツラヘラサギとトキが一緒に水田で採餌するという、なんとも珍しい構図を見ることができました。

 このように佐渡の水田は、多種多様な渡り鳥が飛来し休息する、貴重なサンクチュアリーでもあります。日本海に浮かぶ島だからこそ、渡り途中に羽を休めている珍しい鳥を観察することができます。佐渡にお越しの際は、トキだけでなく、是非、こうした他の野鳥にも目を向けてみてください。今まで見たことのない鳥に出会えるかもしれません。

おまけ

特別出演【オウチュウ】 2015.5.17撮影

  学名:Dicrurus macrocercus

  英名:Black Drongo

 佐渡ではまだ2回しか記録が出ていないオウチュウ。そのうちの1回に巡り合うことができました。水田の間を流れる国府川の堤防沿いを、ふわっふわっと波打つように飛翔する姿が印象的でした。

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2017年07月21日外来アリ対策最前線in小笠原!

小笠原国立公園 古田貴士

こんにちは!小笠原の古田です!

最近、ヒアリが話題になっていますが、実は小笠原諸島にもヒアリではありませんが外来種のアリが侵入しています。

名前はツヤオオズアリ(Pheidole megacephala)です。

このアリの何が問題かというと・・・小笠原在来のアリの生息地に侵略的に増えていき、小笠原固有の微小な陸産貝類(大きさ数ミリのカタツムリ)を食べ絶滅に追いやってしまうことが、最近の研究で分かってきました。

そのため、現在環境省・林野庁・東京都・小笠原村などでツヤオオズアリの駆除を行っています。こちらは対策を行っている場所の1つ、父島の宮之浜です。

この浜は、兄島など周辺無人島へのカヤックツアーや、作業員の渡船の発着場となるので、浜に侵入しているツヤオオズアリを拡散させないために、駆除が必要となっています。

実際にはベイト剤(毒入りエサ)を設置し、ツヤオオズアリを駆除していきます(この辺りはヒアリと対策が似ています)。できるだけ他の生き物が食べないように、金属網でエサを包みます。以下は作業の様子です。

作業の様子(ベイト剤の交換をしています)

ベイト剤

設置トラップ

以下はツヤオオズアリ(働きアリ、体長は約2mm)です。

和名の通り、体にツヤ(光沢)があります。オオズ(大頭)アリですが、写真のものは働きアリなので頭部が大きくないです。兵隊アリは頭が大きいです。

ツヤオオズアリは多女王制(1つの巣に女王アリ(繁殖個体)が複数個体存在)なので繁殖力も強く、駆除には継続した努力が必要です。

貴重な陸産貝類を守るためにも、今後もツヤオオズアリ対策を継続していく予定です。

小笠原に来られる際には、外来生物を持ち込まない、拡げないようご協力をお願いします!

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