ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2017年8月

14件の記事があります。

2017年08月10日奥鬼怒湿原

日光国立公園 太田祐司

みなさん、こんにちは!

ここ数回、奥日光の自然情報をお伝えしましたが、今度は、奥鬼怒方面に巡視で出かけてきましたので、

報告させていただきます。

鬼怒川の最奥には、奥鬼怒温泉郷と言われる4箇所の温泉がありますが、そこに行くには一般車両は乗り

入れができず、宿の送迎バスか徒歩でたどり着くしか無いという秘湯です。

その秘湯のある谷間から急斜面を登った山の上には別天地が存在します。奥鬼怒湿原です。

【湿原のワタスゲ】

8月4日に訪れた時には、まだワタスゲの白い綿帽子がたくさん見られました。

奥鬼怒湿原は広さでは、尾瀬ヶ原などには遙かに及びませんが、周囲は山に囲まれていない平坦地に

発達した湿原で、山上の別天地感がすごくあります。

【池塘と鬼怒沼山】

この地も、シカの食害の影響はあり、日光沢温泉のご主人の話では、ヒオウギアヤメなどがかなり少なくなっているようです。今回も通常は食べないと言われているコバイケイソウが食べられているのを確認し、シカの足跡も多く見ました。

【シカに食害された?コバイケイソウ】

今回お花はそれほど観察できませんでしたが、サワランやキンコウカなどを見ることができました。

【湿原の池塘】

帰りには、カモシカが見送りに来てくれました!

【日光沢温泉の近くで会ったカモシカ】

奥鬼怒湿原は、一般車両の終点の女夫淵から歩き始めると、日帰りでは大変ですので、奥鬼怒温泉に泊まって、ゆっくりと歩かれることをおすすめします。紅葉の時期の奥鬼怒も素晴らしいところです。ぜひお出でください。

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2017年08月09日伊豆大島:夏休み親子噴火実験教室

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 椋本 真里奈

8/4()、伊豆大島火山博物館において「夏休み親子噴火実験教室」が開催され、スタッフとして参加してきました。

伊豆大島は火山島であり、地球の活動の歴史を感じられる場所として2010年に日本ジオパーク認定を受けました。

この実験教室は、自分たちの住む島がどのようにできたものか楽しく学び、いずれまた起こる噴火に備えるねらいで、3年前から始まったものです。(主催:伊豆大島ジオパーク推進委員会 教育文化部会、環境防災部会)

今年の参加者は、島の小学1-5年生の児童21名とその保護者。

中には、前年または前々年からのリピーターも!

当日最初のプログラムは、火山講義です。

いざ噴火したとき一体何が起こるのか、31年前に大島の三原山が噴火したときのニュース映像を交えて解説してくれました。この噴火は、約1ヶ月の全島避難を伴う大規模なものでした。

自分たちの島で実際に起きた、自分たちの知らない時代の大災害に、子供達は興味深そうに聞き入っていました。

講義の後は、噴火に伴う諸現象を再現する実験を行いました。

こちらは、伊豆大島の模型を使った火山灰・噴石の噴出実験の様子。

中央の三原山火口からいろいろなサイズの麩を一気に噴出させ、噴出物の大きさや風向によって堆積する場所が違うことを勉強しました。本物の溶岩や火山灰などにも触れて、重さや質感も体験しました。

小麦粉と水を混ぜて作った溶岩での噴出実験です。

粘り気の違う2種類の溶岩をボードの穴から噴出させ、噴火後の流れ方の違いを確認しました。

大島の溶岩は比較的サラサラで流れやすく、三原山は平らな形に拡がっています。島の子供たちは、白い溶岩山(写真右側)が三原山だとすぐに気が付きました。さすがです。

伊豆大島の地形を精密に再現した模型を使っての溶岩流実験です。

大島の溶岩粘度に合わせたシャンプーを火口に流し入れ、あふれた溶岩が流れる方向を確かめました。溶岩が流れやすい野増(のまし)地区には、民家を守るための溶岩導流が作られており、模型上に粘土を置くことでその働きを学びました。

しかし、実際は火口以外のどこからも噴火する可能性があります。子供たちは「どこから溶岩が流れ出すと自分たちの家や学校が飲み込まれてしまうのか」熱心に検証していました。

他にも、炭酸水を使った水蒸気噴火など計6つの噴火実験を行いました。

最後の質問タイムには次々と手が挙がり、島の子供たちの好奇心や防災意識がうかがえました。

三原山は神聖なものだとして、地元では御神火様(ごじんかさま)とも呼ばれ崇められてきました。

自然災害のリスクだけでなく、さまざまな恵みを与えてくれる活火山と未来も共存していくために、保全や防災に繋がる環境教育はとても大事なことなのですね。

魅力あふれる地域資源を活かし地域の活性化を図るため、国立公園は今後もジオパークと連携していきます。

伊豆大島ジオパークについてもっと詳しく(公式サイト):http://www.izu-oshima.or.jp/geopark/

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2017年08月09日奥日光のクマ!!

日光国立公園 高橋祐子

 みなさん、こんにちは

 日光国立公園管理事務所の高橋です。

 日光国立公園ではクマの目撃例が現在もまだ増えています。

 私たちが重点的に見回りを行っている奥日光エリアも例外ではなく、7月17日に発見された木道脇のクマはぎをきっかけに、クマ除けのための鐘を設置することになりました。

 ただし、一つ忘れてはいけないのは、この辺りは本来クマの生息域だということです。今年はたまたま人間の活動域と重なってしまい目撃例が多発していますが、もともと私たちがクマの生息域に入っていっています。

 『もしクマに出会ったら...』とういう注意書きを見かけますが、まずは出会わないように気を付けることも大切です。クマはとても臆病な生き物なので、人間の気配を感じたら本来自ら遠ざかってくれるはずです。静かな場所を歩く際には、人間が通ることをクマに気付いてもらえるようにしてみてください。代表的なのはクマ鈴やラジオなどです。私はたまにヤッホーしてみたり、手をたたいたりもしています。

 また、『クマは人を襲って食べる』というイメージがあるかもしれませんが、これは勘違いです。どちらかといえば、クマは腐った肉が好きです。襲ったばかりの肉は食べません。人を襲う時は、食べるためではなく、身を守るためです。今年も事故なく、クマとうまくすれ違うことがきればと思っています。

 8月1日に行った巡視の際には、頑張って樹脂を出し、怪我の修復を行っている様子が見られました。

 でも、幹を一周剥がされてしまったので回復は難しいでしょうね。色々な形で、多様性が繰り広げられています。

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2017年08月08日6年ぶりの復活 河津七滝最大の滝 「大滝」

富士箱根伊豆国立公園 下田 吉川貴光

今回は河津町の河津七滝についてご紹介いたします。 

 

2011年の台風で歩道が損壊し、通行止めになっていた大滝遊歩道が修復を終え、8月3日に開通いたしました。

一般観光客は、6年ぶりに河津七滝すべてを見られるようになりました。 

 

(2017/08/04 大滝) 

 

大滝は、落差30メートル、幅7メートルあり、河津七滝で最大です。

ダイナミックに流れ落ちる姿は、迫力満点です。

  

(2017/08/04 蛇滝) 

それぞれ特徴が異なる七滝ですが、その名前も特徴的です。 

蛇滝は、岩の模様が蛇の鱗のようであることからその名がつけられました。 

  

(2017/08/04 吊り橋) 

歩道にはいくつか吊り橋が設置されており、川や滝を上から見られるポイントもあります。

なぜか揺れる吊り橋を渡るとテンションが上がります。子供たちも大興奮で渡っていました。 

  

(2017/08/04 釜滝と柱状節理) 

 

釜滝近くの柱状の岩は、マグマが冷え固まる時、縮むことでできた柱状節理という岩です。

滝だけでなく周りの自然や火山の作り出した地形も見所の一つです。

海もいいですが、涼しい川と滝、暑い夏にぴったりのスポットです。

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