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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

塩見岳で高山植物保護作業を行いました

2017年11月07日
南アルプス国立公園

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

事務所がある芦安は晴れていても気温が低く、ストーブが必需品になっています。夜にはシカの鳴き声が聞こえてきて、秋の深まりを感じます。

南アルプスのそこここで見られるニホンジカへの対策は、先日ご紹介した防鹿柵(ぼうろくさく)や個体数調整(捕獲)だけではありません。シカが食べ尽くしたために植生が失われ(裸地化)、土壌浸食が起きた場所では植物の生育が難しく、防鹿柵だけでは効果があまり期待できません。そういった場所では、伏工(カバーによる斜面の保護)といった方法がとられます。

10月7日から109日にかけ、環境省事業として、塩見岳で南アルプス高山植物保護ボランティアネットワークの方々と伏工を行いました。

かつて塩見岳東側斜面には、シナノキンバイやハクサンイチゲなど数多くの高山植物が咲くお花畑がありました。ですが、ニホンジカの採食圧や踏圧により徐々に植生の変化が進み、やがてシカの好まない植物すら減って山肌が露出するありさまとなっています。

塩見岳東側斜面の植生の変化(1979年から2009年)

(塩見岳東側斜面 左:増澤武弘氏撮影 右:鵜飼一博氏撮影)

植生が消失して裸地化が進み、土壌浸食が起きてしまうと、植生の自然回復は困難になります。植生を回復させるためには、まず土壌浸食を食い止め、植物が生育する基盤をつくらなければなりません。この場所では、植生回復及び土壌浸食防止を目的として、2009年(平成21年)から毎年、ヤシマットの敷設が行われています。

塩見小屋をベースに、午前・午後の2回、切り分けたマットを運搬。運んだマットをお花畑内の裸地部分に敷き、四隅や途中部分に張りピンを木槌で打ち、シュロ縄で固定をします。この作業を2回繰り返し、マットを二重に敷きます。マットを二重に設置するのは、霜の防止のためです。最後に押さえの石を置いて完成です。

1回目の作業の様子

(1回目の作業の様子)

施工箇所

(施工箇所)

マットで覆うことによって土が流れにくくなるだけでなく、霜や厳しい風を防ぐことで、飛んできた種が芽を出し育ちやすくなるようにしています。一般的な伏工では牧草や肥料を配合した化学繊維資材が使われることも多いのですが、この作業では、高山の自然環境に配慮して、外来種の混入防止のため高温処理した生分解性のヤシマットを使用しています。時間はかかりますが、いつかはこの場所にも緑と、そしてお花が戻ってきてほしいですね。