2018年10月
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2018年10月11日シラネアオイを守る会
日光国立公園 藤本 優太
こんにちは!
日光国立公園管理事務所の藤本です。先日、日光白根山でシラネアオイを守る会の活動に参加させていただきました。
△シラネアオイの種子(果実)を探し中
シラネアオイを守る会発足のきっかけ並びに歴史・・・日光白根山の斜面に群生していたシラネアオイは、長年多くの人を魅了してきました。しかし昭和50年代の後半に盗掘による減少が確認され、昭和63年頃からはシカの食害が目立ち、急速に減少していきました。そこで平成5年からシラネアオイの育苗が始まり、弥陀ヶ池の斜面で移植と播種が行われるようになりました。平成7年には生育地に電気柵が設置され、シカの食圧を防いでいます。これらの対策が功を奏し、柵の中はシラネアオイの群生が見られるようになりました。
平成12年にシラネアオイを守る会が発足され、現在では地域住民、尾瀬高等学校、片品村、群馬県などの多くの関係者が協力して、毎年種子採取、圃場での播種育苗、移植作業を行いシラネアオイの復元を目指しています。
△シラネアオイの種子(果実)発見!
圃場でのシラネアオイの種子(果実)は意外と見付けづらいんです。なので開花調査時にシラネアオイをプロットしており、大まかな場所は分かるのでその周辺を中心に探すと見付ける事ができました。
△シラネアオイの種子(果実)
今回はシラネアオイの群生地で種子採取を行ってきました。
果実は方形の袋状になっており、1つの果実に30から40の種子がはいっています。
採取された種子は尾瀬高等学校自然環境科の学生たちが中心となって播種育苗を行います。
育てられた苗は守る会の活動として、来年現地に植栽されます。
なお、日光白根山は日光国立公園特別保護地区となっていますので、花や種子の採取は禁止されています。守る会の活動では、毎年環境省の許可を得て行われています。
△日光白根山の山頂の展望
活動に参加後、日光白根山山頂に巡視にいって参りましたが、この日の展望は濃霧でした。
しかし百名山ということもあって、天候があまり良くなかったですが多くの登山者で賑わっていました。
△ロープウェー駅の近くの足湯
標高2,000mの丸沼高原のロープウェイ駅には天空の足湯があり、上州の山並みと日光白根山を眺めながら、足もとと身体を温めることもできちゃいます。また季節の高山植物を楽しめるロックガーデン、カフェなどもありますので登山と一緒に楽しむ事ができますよ。
ぜひ皆さま、関東以北最高峰である日光白根山に!!
2018年10月10日トキからのおくりもの
佐渡 原奈緒子
みなさんこんにちは、佐渡自然保護官事務所の原です。
佐渡では稲刈りが終盤をむかえて、刈田が目立つようになりました。秋ならではの茶色い風景ばかりかと思えば、畑には橙色に色づいてきたおけさ柿が収穫の季節真っ盛りです。
▲柿畑で採餌するトキ(2018/9/28撮影)
佐渡にいればどの季節でもトキを見ることはできますが、一年の内で最も美しい「とき色」を見るなら今がベストです。なぜなら、「とき色」の成分であるカロテノイドは紫外線によって分解されてしまうため、夏から秋にかけて行う換羽が終わったばかりの今が最も鮮やかな色をしているからです。冬になり、繁殖期に入ると2歳以上の個体は首から分泌される物質をこすりつける世界でもトキしか行わない方法で羽色変化を行い繁殖モードにはいります。つまり真っさらなとき色を見ることができる期間は9月末から12月中頃までの3ヶ月程度ということになります。
▲繁殖羽のトキ(2017/02/08 撮影)
▲換羽後のトキ(2017/11/01撮影)
トキといえばどちらの方がイメージしやすいでしょうか。
私は繁殖期の方がより長い時間観察をしていることもあってか、繁殖羽のトキがしっくりきます。繁殖羽は営巣する林の中でカモフラージュの役目もあるようで、刈田にいても背景と同化して見逃しそうになることがあります。一方で今年生まれの幼鳥は冬になっても繁殖羽にはならず、とき色が成鳥に比べると薄いため群れで飛翔していても見分けることができます。
さて、前置きが長くなりましたが、今回はトキからのおくりものについてです。
それはこちら
▲トキの羽
運がよければ田んぼのあぜや道路際に落ちている事があります。休日に神社の参道で羽毛が落ちているのを見つけたこともありました。羽毛はほとんど白色をしていますが、よく見ると羽軸がとき色になっています。トキの羽をみつけたら持ち帰ることは構いません。水道水などで洗って、日陰で乾かして保管しましょう。ただし、トキは希少野生動植物種として「種の保存法」で守られているため他の人に売ることや、タダでもあげる事は法律で禁止されています。おくりものは大切に持っていましょう。
◇環境省ホームページ「希少な野生動植物種の保全について」
https://www.env.go.jp/nature/kisho/index.html
◇放鳥トキ情報 野生下のトキに関する最新情報を毎週更新中!
http://blog.goo.ne.jp/tokimaster
◇公式ツイッター 「佐渡の車窓から」好評連載中!
2018年10月09日南アルプス北部で秋を感じてみませんか?
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
先日南アルプス南部の紅葉のようすをお伝えしましたが、北部でも紅葉が始まっています。
△広河原から見た北岳
広河原から見た北岳のようすです。写真では分かりづらいですが、北岳上部は紅葉がかなり進んでいます。広河原の紅葉真っ盛りまではもう少しのようです。まだ北岳は冠雪していませんが、運がいいと広河原の紅葉とともに北岳の冠雪を見ることができます!
広河原を散歩していると秋のお花見つけました!
△ノコンギク
秋頃に花をつけるこのお花は【ノコンギク】です。高標高域に咲くのではなく、広河原や林道など比較的低標高域に咲きます。この可愛らしい紫色の花を見つけると秋を感じます。広河原では、あちらこちらで咲いているので探してみてください。
広河原よりも標高が500mほど高い北沢峠では木々の色づきがかなり進んでいます。
△木々が紅葉・黄葉している北沢峠
北沢峠はシラビソやトウヒなど紅葉しない樹木が多いですが、ところどころで赤や黄色に樹木が染まっており、絵の具で塗ったような見事な色付きでした!空を見上げると太陽の日差しでより綺麗に見ることができますよ♪この日は1日中太陽が出ていましたが、標高2,000mほどの北沢峠ではフリースを着ていても少し肌寒く感じました。お越しの際は暖かい格好で来てくださいね。
△北沢峠に現れた沼 △普段の光景
(撮影場所は若干異なります。)
北沢峠の長野県側、こもれび山荘の前に大きなくぼみがあるのをみなさん、ご存じでしょうか?夏はコバイケイソウなどがこのくぼみいっぱいに咲きます。このくぼみに先日の台風24号の影響によってなんと、大きな沼ができてしまったようです!!台風後は毎回北沢峠休憩所の現地確認に訪れます。その際、川の増水はよく見かけますが、北沢峠前のくぼみに沼ができているなんて事はありませんでした。継続的に大雨が降っていたものと考えられます。水位が高いので、水が完全に引くまで時間がかかりそうです。今なら水面に反射した紅葉した木々を見ることができますよ!
今回の台風24号は南アルプスに大きな爪痕を残しました。道路や登山道が通行止めになっている場所もあります。また、南アルプス南部では営業を終了した小屋が多くなり、南アルプス北部でも今週末で営業終了という小屋もあります。下調べを十分に行い、楽しく安全な登山を心がけてくださいね!
2018年10月05日【小笠原世界遺産センター】 ハンミョウイベント開催
小笠原国立公園 玉井徹
こんにちは
小笠原諸島・父島の玉井です。
まずはこちらの昆虫をご覧ください。
ご存じでしょうか、オガサワラハンミョウです。
絶滅危惧種ⅠA類
国内希少野生動植物種指定
現在、兄島でのみ確認。体長は10~15mm程度で、肉食性。
世界で兄島にしか生息していません!
とても希少で限られた場所にしか生息していないため、
なかなか住民や観光客の皆さんはみることがでません。
そこで!
10.6(土)10:00~16:00
オガサワラハンミョウの希少価値や、魅力、取り組みをもっとたくさんの人に知ってもらうため
小笠原世界遺産センターでハンミョウイベントを開催しました!
当日、住民・観光客合わせて70人弱もの人たちが参加してくれました。
実際の飼育スタッフによる、バックヤードツアー。
当センターでは、オガサワラハンミョウの保護増殖を行い、
飼育した個体を兄島の野生下へ再導入しています。
「ほほう」、「なんと!」、子どもから大人までオガサワラハンミョウの生態について楽しく学べます。
ハンミョウ教室では、お面作り・カルタ・ゲームなどを通してハンミョウを解説。
たくさんの子どもたちが参加してくれました!
イベント時以外でも、オガサワラハンミョウの実物はみることができます! ※成虫は8~11月
小笠原に来た際は、ぜひ一度、世界遺産センターに足を運んでみてください。
お待ちしております。
玉井
2018年10月04日南伊豆 子浦日和山遊歩道を歩く
富士箱根伊豆国立公園 下田 吉川貴光
【子浦日和山遊歩道 日和山】
伊豆半島の南伊豆町にある子浦日和山遊歩道は、1時間ほどで歩くことのできるハイキングコースです。伊豆半島の変化に富んだ地形と青い海を一望できます。
【妻良漁港】
昔、漁をするために天候や風向き、潮の流れを見る眺望の良い山であったことから日和山と名付けられました。伊豆の中でも特に南伊豆は岩礁地帯が多く、風も強く、航海者にとって最大の難所だったそうです。
【子浦日和山遊歩道 地層】
遊歩道を進むと、地層を近くで見ることのできる巨大な岩壁が現れます。海底に降り積もった火山灰や軽石などが作り出す縞模様の地層からは、昔、伊豆半島が海底火山だったことを彷彿させます。
【ころばし地蔵】
その先にあるのが、ころばし地蔵です。この地蔵を転がすと罰が当たり、海が荒れることから、風待ちで訪れた船客を引きとめるために転がしたとか。転がしすぎて割れてしまったのかは不明です。
【三十三観音石仏】
備長炭の原料で知られるウバメガシに囲まれた歩道を進むと、三十三観音石仏があります。今にも覆い被さってきそうな岩壁の中に三十三体の石仏が並ぶ光景は、少し怖いような、不思議な感じです。
南伊豆の素晴らしい景色をぜひ見に来てください。
(行き方:伊豆急下田駅~子浦→車・バス約50分)
2018年10月03日「アクティブ・レンジャー写真展」in箱根ビジターセンター(箱根地域)
富士箱根伊豆国立公園 三瓶雄士郎
こんにちは!富士箱根伊豆国立公園管理事務所の三瓶です。
本日より関東地方の国立公園 / 国指定鳥獣保護区で活動するARによる写真展
「アクティブ・レンジャー写真展-国立公園・野生生物フォトコレクション-」を箱根ビジターセンターで開始しました!
会場:箱根ビジターセンター内 多目的ホール
期間:10月3日(水)~31日(水)9:00~17:00(最終入場時刻 16:30)
写真は平成29年度に国立公園内で撮影した写真が対象のため、私の写真は展示されていませんが、箱根からは前任のAR2名(後藤、宍戸)の写真が展示されています。この他にも、ダイヤモンド富士、小笠原諸島の様子、日本最小のトンボなど、バラエティ豊かな写真ばかりです!お近くに来られた際は是非お立ち寄りください!
「クマに見える山」(前任:後藤AR撮影)
「風そよぐ秋の原」(前任:宍戸AR撮影)
↑展示の様子
↑富士箱根伊豆国立公園ブース
↑パンフレットコーナーには各国立公園のパンフレットやイベントチラシなどを配布しておりますので、宜しかったらお取りください。
また、今後のAR写真展の展示向上のため、ご覧になられた方にアンケートのご記入をお願いしております。
ご協力の程よろしくお願いします。
2018年10月03日アクティブ・レンジャー写真展【南伊豆町役場 湯けむりホール前】
富士箱根伊豆国立公園 下田 吉川貴光
アクティブ・レンジャー写真展が【南伊豆町役場 湯けむりホール前】で開催中です!!!
(場所:静岡県賀茂郡南伊豆町下賀茂315-1)
アクティブ・レンジャー写真展は、関東地方環境事務所管内の国立公園・国指定鳥獣保護区で活躍するアクティブ・レンジャーたちが現場で撮影した渾身の作品が展示されております。
【南伊豆町役場内湯けむりホール前 展示スペース1】
【南伊豆町役場内湯けむりホール前 展示スペース2】
壁一面に展示された写真は見応え十分です。展示物をご覧いただき、少しでも国立公園・国指定鳥獣保護区や我々の活動などに関心を持っていただければ幸いです。
【ミニ図書コーナー】
写真展示スペースの前に自然についての本を置いていただきました。
自然のことや動植物のことに興味がわいたらぜひ本も読んでみてください。
2018年10月02日南アルプスにも秋がやってきました
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
9月28日から29日にかけて荒川岳へ行ってきました。南アルプスでも紅葉が始まっています!
△富士山と白峰南嶺と紅葉
千枚小屋(標高2,600m付近)周辺でも徐々に色付き始めています。赤や黄色の色づきが空の青さに映えますね!千枚小屋周辺からは富士山や笊ヶ岳や笹山(黒河内岳)などを含む白峰南嶺を望むことができます。ガイドさんによると静岡県側から見る富士山は山頂の両サイドに猫の耳のような突起を見ることができるそうです。登られた方はぜひ、注目して見てみてください。
△千枚岳直下から見る荒川岳斜面の紅葉
千枚岳(標高2,880m)付近では荒川岳斜面の紅葉を楽しむことができます。黄色や赤く色付いた木々が綺麗です。これからさらに色付くことでしょう。楽しみですね!
△タカネマツムシソウ
千枚岳からのルートは高山植物がたくさん咲いています。今年は花期が2週間ほど早まっているせいか、昨年の同時期に見ることができた高山植物はほとんど枯れていました。唯一、綺麗に見ることができたのはこのタカネマツムシソウです。花の周りにある丸い葱坊主のようなものは花が落ちたタカネマツムシソウです。綺麗な花の容姿からは想像できない形です。
△悪沢岳
悪沢岳も秋へ姿を変えていました。夏は鮮やかな緑に包まれていましたが、秋はオレンジや黄色に変身!同じ山でも季節を変えて登ってみると異なった顔を見せてくれるので、何度登っても楽しむことができますよね♪
高標高域では冷え込みがかなり激しくなっています。日が差していても立ち止まったり、風が吹くと急激に寒くなってしまいます。寒さに対応できる服装を準備するようにしてください。また、南アルプス南部の山小屋は夏季に有人だった山小屋が無人の冬季小屋となっているところも多くなっていますので、最新の情報を収集して安全に秋山を楽しんでください。
皆さんこんにちは!
箱根ではすっかり秋めいてきてハイキングシーズン真っ盛りになりました。
気温が15度以下になることも珍しくなく、山登りなどには最適なシーズンですね!
箱根で山と言えば、有名なのは金時山ですが、山頂には環境省が設置したトイレがあります。
今回は年に一度の一斉清掃を行うべく山頂に行ってきました。
【金時山山頂からの富士山の展望】
曇り空の中でも富士山だけはくっきり見ることが出来ました!
清掃活動の開始です。
金時山山頂トイレは、山小屋の協力を得て関係者が連携して維持管理を行っています。
今回は、神奈川県、南足柄市、御殿場市、箱根町、小山町と共同でトイレの現状確認とあわせての一斉清掃です。
いつも綺麗に利用して頂いている登山者の皆様、日頃からの清掃して頂いている山小屋関係の皆様のおかげで、あまり大がかりな清掃にならず一時間ばかりで終えることができました。
【トイレ内部の清掃】
【機械室の清掃】
【トイレ周辺の清掃】
金時山山頂トイレは、バイオトイレ(おがくず処理)となっています。
トイレの裏側には機械室があり、その中にある発酵槽内で微生物の活動によりし尿を蒸発・分解してその場で処理されます。
バイオトイレは複雑な機械でつくられているので、通常のトイレよりデリケートな扱いが必要です。
以前はトイレの便槽内に糞尿以外の異物が入り、機械の一部(スクリューなど)が破損してしまったこともありました。
トイレを利用される際は、落とし物などをされないよう注意をお願いします。
さて、これからさらに色づく季節になり、涼しくもなり箱根温泉もより楽しめます。
今秋はぜひ箱根に訪れてみてはいかがでしょうか!