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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年6月30日

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2020年06月30日【小笠原】向島

小笠原国立公園 玉井徹

最近、オガサワラカワラヒワに関する発表がありました。

この研究で本種は、小笠原の固有種である可能性がある事が提唱され

日本固有の鳥類が1種増え、11種となるかもしれないという事で話題ですね。

〈オガサワラカワラヒワ:母島〉

母島沖港の向かいに、向島という無人島があります。

ここは、オガサワラカワラヒワの数少ない生息地のひとつです。

しかし、近年は外来ネズミ類などの捕食により数が激減しています。

その保全対策として、外来ネズミ類の駆除作業を行うため今回上陸しました。

〈上陸時〉

この日はカワラヒワの確認はなく作業を終え、少ししょんぼりした気持ちでした。

話は変わりますが、

向島には過去に未だ数回しか確認されていないある生き物が生息しています。

どうしても見つけたかった自分は、

道中キョロキョロと辺りを探していましたがなかなか見つかりません・・・

半ば諦めかけていた頃、母島レンジャーのWさんがあっさり発見しました!!(悔しい・・

アニジマイナゴです。(しょんぼりした気持ちが晴れました)

ムコウジマなのにアニジマイナゴ・・・?

これまでアニジマイナゴは、2011年に新属新種として新種記載され

兄島にのみ生息すると思われていました。

しかし、その後弟島でも確認され

どうやら向島にも生息しているらしいという事がわかってきました。

さらに、アニジマイナゴはイナゴなのにシマイスノキを食樹としていますが

向島産はオガサワラビロウを食樹としている可能性があり

形態的な特徴も異なることから、もはや別種なのではないか!

という注目要素満載です。

アニジマイナゴは列島間で種分化している可能性があると考えられ

世界遺産の潜在的価値を有しているかもしれません。

おもしろいですね~、「生き物の進化」

オガサワラカワラヒワにアニジマイナゴ。

小笠原の進化の世界のポテンシャルを改めて実感しました。

玉井

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