ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年4月

14件の記事があります。

2021年04月16日檜枝岐村の春

尾瀬国立公園 檜枝岐 前川公彦

みなさん、こんにちは。

檜枝岐自然保護官事務所の前川です。

標高が千メートル近い寒冷地の檜枝岐ですが、近頃は路傍の雪もすっかり消え、陽の当たらない建物の陰や、村を取り囲む山のくぼみに僅かに残るのみとなりました。ストーブの火も入れたり入れなかったりで、気温の上昇が膚で感じられる季節です。今回は檜枝岐村の春をご紹介します。

先日、道を歩いていると「福寿草開花中」の黄色のノボリが何本か立っているのに気付きました。道路に面した山側斜面の小道を登っていくと、脇の畦にいくつかの小さな黄色の花やツボミの群落がありました。ほとんどの花はまだツボミで、開花にはもう少しかかりそうでした。その後、1週間ほどして再び福寿草苑(と名付けた場所)を通りかかると、かなりの数の花が開花していました。その開花後の姿がなんともユーモラスな、車輪や風車を思い起こさせるような形でした。私は植物のことを余り良く知らないのですが、ノボリには福寿草のある特徴が書かれていました。さて、この可憐な福寿草の意外な秘密とは何でしょうか?(答えはこのAR日記の最後に書きました。)

福寿草の花(左)とツボミ(右)

福寿草の花(左)とツボミ(右)

福寿草と違って地味な姿ですが、春の植物といえばツクシです。道路を歩いていると、やはり道路際の日当たりの良い場所にはニョキニョキ生えていました。ツクシのことも余り良く知らないので、調べてみると和名はスギナでした。地下茎で繁茂し、栄養茎をスギナ、胞子茎をツクシと呼ぶそうです。シダの仲間なので胞子で増え、日本では食用ばかりではなく、飲用や生薬としても利用されてきたようです。木賊(トクサ)という字を見たことがありますか?檜枝岐村のすぐ近くに温泉で有名な木賊という地区(南会津町)があり、先年の台風被害等により、残念ながら現在、川沿いの露天風呂である岩風呂は入浴できませんが、そのうち復旧したら温泉に行ってみたいと考えています。スギナはトクサ科の植物です。

陽当たりの良い地面から顔を出したツクシ

日当たりの良い地面から顔を出したツクシ

この時期、溶けた雪の下から出てくるのは灰褐色の地面や枯れた植物の葉や茎が多いのですが、その中で一輪、とても目を引く青い花を見つけました。この場所、時期には余り似つかわしくない色、形なので、おそらく以前に誰かが植えたか、どこからか種が飛んできた栽培植物ではないかと思います。ひときわ目立つ存在なので、思わず写真を撮ってしまいました。

ひときわ目を引く青い花

ひときわ目を引く青い花

檜枝岐では、4月1日から渓流釣りが解禁になりました。事務所のすぐ裏を流れる檜枝岐川でルアーを投げてみました。するとすぐに当たりがあり、結構大型のイワナがかかりました。檜枝岐川は渓流というには少し川幅が広く、開けている感じなので、餌釣りよりもルアーやフライの方が適しているように思います。川に沿って歩いて行くと、大きな淵がいくつもあり、きっと大物が潜んでいるに違いないと感じます。

檜枝岐川のイワナ

檜枝岐川のイワナ

先日、帰宅途中に大物に出会いました。カモシカです。村の人からはカモシカが自宅の庭に来て、なかなか逃げなかったような話は聞きますが、こんな近くで会ったのは初めてです。話に聞いているように、それほど人を怖がる様子もなく、ゆっくり道路を横断して不思議そうな目でしばらくこちらを見ていました。そのおかげでこちらもスマホを取り出して、撮影することができました。さすがはウシの仲間だと大いに納得しました。

こちらを見つめるカモシカ

こちらを見つめるカモシカ

(福寿草の秘密の答え:全体が有毒な草とのことです。)

次回は尾瀬の春をお伝えしたいと思います。

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2021年04月15日【小笠原】希少種を守る一歩

小笠原国立公園 小笠原 鈴木尚之

こんにちは、小笠原の鈴木です。

島に来てそろそろ一年が経ちますが、とうとう長袖を着て事務所へ出勤することは一度もありませんでした。寒いと朝起きるのが辛いので、個人的には助かっています。

さて、3月中旬に兄島(無人島)でヘリコプターによる殺鼠剤の空中散布を行いました。

目的は希少な固有マイマイ(カタツムリ)を食べてしまう外来種、クマネズミの駆除。

固有のマイマイが今も多く生息する兄島では、島内の特にマイマイが多くいるエリアを中心に殺鼠剤による対策を行っていましたが、ネズミの生息数はじわじわと増加していました。そこで、ネズミによるマイマイへの被害が致命的なものとなる前に、2011年以来3度目となる、ヘリコプターを使った殺鼠剤の空中散布を行うこととなりました。

▲殺鼠剤を散布するヘリコプター(ぶら下げている機材から殺鼠剤が撒かれます)

散布にあたっては住民向けの説明会やチラシの全戸配布をし、散布の目的やなぜ今実施する必要があるのかなど、島民の方々に向けた説明を行いました。

また、洋上では船やカヤックで、陸上では徒歩で河川に落ちた殺鼠剤の回収を行い、できる限り環境へ影響が無いように努めながら、予定していた範囲への散布を終わらせる事ができました。

▲洋上に流出した殺鼠剤の回収作業

後日、作業のため兄島に渡った時には弱ったクマネズミを見かけ、殺鼠剤空中散布の効果を確認することが出来ました。

このまま長期間にわたってネズミの低密度化が維持され、マイマイが増加することに期待したいと思います。

しかし、希少種や固有種を守るためとはいえ外来種を駆除している身としては、これ以上駆除される生き物を増やさないよう普段から環境配慮や普及啓発をしっかりと行う必要性があると再認識させられました。

話は大きく変わりますが、今年度は小笠原諸島が世界自然遺産に登録されて10年のメモリアルイヤー。

AR日記を通して、様々な情報を発信していければと思います。

小笠原 鈴木

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2021年04月12日南アルプス国立公園写真展始まりました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。今年度もどうぞ、よろしくお願いいたします。

事務所がある芦安は葉桜に変わりはじめ、ヤマブキの黄色が目立つようになりました。

ヤマブキは花そのものがとても大きいため、よく目立ちます。山々の樹木も徐々に葉を付け始めました。もう少しで、新緑鮮やかな芦安になりそうです♪

南アルプス自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーになって5年目。今年度、頑張りたいことの1つが普及啓発です。

南アルプス国立公園は日本高峰第2位・北岳、第3位・間ノ岳をはじめとする、3,000メートルの高峰を10座以上有する山岳公園です。国立公園として指定されている部分は標高の高いところであり、体力と日数を要するほか、登山口までも気軽に行ける場所が少ないです。当然、国立公園の利用者は登山者。登山に親しみがない方にはほぼ無縁の国立公園なのです。

南アルプス国立公園には南アルプス山域でしか見られない希少な動植物や、氷河地形など、南アルプス国立公園ならではの魅力がたくさんあります。また、その素晴らしい自然を後世に残すため、環境省が関係者と協力して自然保護活動を行っています。

登山をされない方や南アルプスの山々へ登ることが難しい方などに南アルプス国立公園の魅力や自然の素晴らしさや自然保護の活動を伝えるにはどのようにすればいいだろうか、考えたところ、¨写真展¨という形で取り組むことにしました。

毎年行っている「アクティブ・レンジャー写真展」と異なり、南アルプス国立公園に特化し

た内容になっていて、南アルプス国立公園を構成する10市町村やその周辺施設を1年間かけて巡回します。

記念すべき第1回目は山梨県南アルプス市の南アルプス市櫛形生涯学習センターです!

南アルプス市櫛形生涯学習センターホームページ

https://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/sisetsu/shisetsu/syogaigakusyu-kushigata/



アクティブ・レンジャー(自然保護官補佐)が日々の業務で撮影した写真の展示や、ニホンジカによる食害問題とその対策のほか、南アルプス自然保護官で働く職員の紹介やわたしの南アルプス国立公園おすすめスポットの紹介もあります。

南アルプス国立公園から南アルプスユネスコエコパークまで、さまざまな種類のパンフレットを設置しておりますので、気になるものがありましたらお手にとってみてください。また、アンケートも実施しており、ご協力いただいた方にはオリジナルノベルティをプレゼントしています。数に限りがありますが、多くの方にご協力いただけますと幸いです。

4月から9月の開催会場および時間のスケジュールはこちらです。

4~9月「南アルプス国立公園写真展」開催スケジュール.pdf

各会場で展示される写真や配布ノベルティを変えるなど、毎回お楽しみいただけるように工夫していこうと思っています。お近くへ来られた際には、ぜひお立ち寄りください!

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2021年04月05日尾瀬インフォメーションマップが新しくなりました

尾瀬国立公園 片品 尾池こず江

こんにちは。片品自然保護官事務所の尾池です。

事務所がある片品村では、厳しかった寒い時期が終わり徐々に暖かい春を感じる日が多くなってきました。桜の見頃はまだ先のようですが、今年は少し早く開花しそうな予感です。

さて、今年度最初のお知らせは、尾瀬のインフォメーションマップの改訂ついてお知らせです。

写真は、季節ごとの魅力をお伝えできるようにし、地図は、公園区域やコースのグレードなどを色分けしてとても使いやすいパンフレットになっています。

ぜひ、ご覧いただき尾瀬に興味を持っていただけたら嬉しいです。

★新しいパンフレットはこちらよりご覧いただけます。

【環境省 尾瀬国立公園HP】 https://www.env.go.jp/park/oze/data/index.html

★その他尾瀬の情報はこちら

【尾瀬保護財団HP】 https://www.oze-fnd.or.jp/

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