ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

2021年5月

15件の記事があります。

2021年05月31日箱根で見つける春の花

富士箱根伊豆国立公園 箱根 高木俊哉

AR日記をご覧の皆さま、こんにちは。

箱根事務所の高木です。

最近は地域によって早い梅雨が始まっているようですが、箱根も雨が降りながらも暖かい日が続いています。

外に出てみると、実を付けていたり花が咲いていたり、植物の様々な「色」を目にすることが出来ます。

今回は巡視で見つけたそんな春の花たちをご紹介します。

サクラスミレ

▲和名:サクラスミレ (学名:Viola hirtipes

スミレ科スミレ属 花期4~6月 花径25~30mm

見つけられる場所:日の当たる山地帯の草原

花が大きく美しいので「スミレの女王」の異名があるそうです(王はいるのでしょうか?)。

確かに他のスミレとは違い、スミレ初心者の私でも「これは大きい」と感じるほど存在感がありました。

シャガ

▲和名:シャガ (学名:Iris japonica

アヤメ科アヤメ属 花期4~5月 花径30~60mm

見つけられる場所:スギ林周辺などのやや湿っている木陰

箱根ジオパークのジオサイトの一つである堂ヶ島(島と言っても、海に浮かぶ島ではなく箱根の地名です)付近で観察しました。

こちらも大きな花が印象的です。

(※由来については諸説あり、帰化植物として扱われる場合もあります。)

サンショウバラ

▲和名:サンショウバラ (学名:Rosa hirtula

バラ科バラ属 花期6月 花径60mm

見つけられる場所:林縁や草原(富士山に近い富士箱根地域のみ)

日本固有種かつ、富士山や箱根地域のみに分布する希少な植物です。

名前の由来は、独特の香りを持つサンショウに葉が似ていることから。

こちらはビジターセンターの近くで観察しました。

開花は夏とされていますが、今年は暖かいからでしょうか、6月に入る一週間前でも開花しているようでした。

今回は春に観察した植物を3種、ご紹介しました。

木本と草本どちらもありましたが、自然の中を歩くと上から下まで、よく見てみると様々な色を持つ花があることに気付かされました。

今後もよく見て、じっくり理解を深めていきたいと思います。

ページ先頭へ↑

2021年05月28日ミズバショウの尾瀬

尾瀬国立公園 檜枝岐 前川公彦

みなさん、こんにちは。

檜枝岐自然保護官事務所の前川です。

檜枝岐村の桜もほとんどは散ってしまいましたが、尾瀬ではミズバショウの花が咲き始めました。なんと言っても尾瀬のシンボルはミズバショウですので、シンボル化されたミズバショウは村内のいたる所で一年中目にすることができます。ちなみに事務所に飾られている尾瀬国立公園の旗はミズバショウですし、環境省の尾瀬のパンフレットにも同じシンボルマークが使われています。そういえば旧檜枝岐村役場の正面に掲げられているのもミズバショウですので、尾瀬にとってミズバショウはとても大切な存在です。

檜枝岐村入口に立つ尾瀬のシンボル 事務所に飾られている尾瀬国立公園の旗

檜枝岐村入口に立つ尾瀬のシンボル     事務所に飾られている尾瀬国立公園の旗

先週、尾瀬の中央にある尾瀬沼地区に行く機会があり、歩いている途中で咲き始めのミズバショウを見ることができました。雪の残る沼山峠から大江湿原に降りた頃には雪はほとんどなくなり、川や水たまりにたくさんのミズバショウが出てきていました。木道に沿ってミズバショウが生えているのは歩く人を歓迎してくれているように思え、何ともうれしい気持ちにさせられます。ここでは時期がまだ早いのか、小ぶりの花が多いと思いました。

木道の脇に咲くミズバショウ 樹木の下の水たまりに顔を出したミズバショウ

木道の脇に咲くミズバショウ        樹木の水たまりに顔を出したミズバショウ

また、御池から燧ヶ岳の裏側を通って見晴地区(尾瀬ヶ原)に行った際にも、途中の温泉地区を過ぎてからはたくさんのミズバショウに出会いました。尾瀬沼と比べて、見晴地区では開花が早いのか、こちらの花の方が大きく咲いていました。草原が広がる尾瀬ヶ原では、あたり一面に広がるミズバショウを楽しむことができました。特に見晴地区から至仏山に向かって歩くと、木道の周りのミズバショウに極楽浄土への道へと誘われているような気分になり、「至仏山の名前の由来はこういうことだったのか」と勝手に納得していました。

至仏山に至る木道周辺に咲くミズバショウ

至仏山に至る木道周辺に咲くミズバショウ

一面に咲くミズバショウの群落

一面に咲くミズバショウの群落

今回は動物に食べられたミズバショウを見ることはなかったのですが、調べてみると冬眠明けのツキノワグマは根茎を食べることがあるそうです。ただ、アルカロイド(毒性があり、服用すると吐き気、脈拍の低下、呼吸困難、心臓麻痺などを起こす)が含まれているので、食料というより、体内にたまった老廃物を排出するための嘔吐剤や下剤として利用しているようです。サトイモ科とはいえ、食用にはならないようです。

檜枝岐村を尾瀬方面に向かう途中に中土合公園があり、以前訪れた際には尾瀬沼よりも一足早くミズバショウが咲いていました。久しぶりに訪れてみると花はすっかり落ち、巨大なバナナのような葉が生い茂っていました。その迫力にミズバショウの生命力を感じました。

花が落ちたミズバショウの葉が茂る中土合公園の池

花が落ちたミズバショウの葉が茂る中土合公園の池

次回はシーズンを迎えた尾瀬の様子をお伝えしたいと思います。

ページ先頭へ↑

2021年05月28日スミレを探して2021 (箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 箱根 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

令和3年度の箱根地域親しむ運動「スミレを探して春の仙石原を歩く」は、神奈川県の蔓延防止対策等措置の実施を受けて中止となりましたが、次年度に向けて対象地区外在住の少数精鋭のパークボランティアのみで研修を実施し、ARも同行しました。

当日のコース「仙石原探勝歩道」は、約8㎞の道のりを歩く長めのハイキングです。

【 仙石原自然探勝歩道 コースマップ 】

箱根ビジターセンターを出発し、箱根湿生花園まで昼休憩をはさんで、ゆっくりと約6時間を歩きます。高低差は少なめですので歩きやすいコースですが、体力はやや必要です。

今回はガイドマイク計5台を使用し、パークボランティアの皆さんに、解説時の使い心地を試してもらいました。もちろん、ソーシャルディスタンスを維持できることが最大のメリットですが、過去にお客様から「良い解説だが、声が聞き取りにくかった」という感想を頂いたことがあり、今回ガイドマイクを使用することによりそれが改善できることを実感しました。お客様とパークボランティアさん、それぞれの安全と安心の為にも、今後ガイドマイクは自然解説時の必須アイテムとなっていくでしょう。

【 ガイド中のパークボランティアさん 】

今回メインの観察対象「スミレ」は、なんと13種類を観察しました。1つの探勝歩道で見られるスミレの種類が、そんなにあることに驚きです。一人で歩いていたら、見分けがつきません。パークボランティアさんたちの解説の価値を強く感じました。観察できる植物はスミレ以外にもたくさんあり、それぞれに楽しい解説を聞くことが出来ました。

【ほんの一部のスミレたちです】

【スミレ以外の植物はもちろん、金時山と早川の美しい景観も臨めます】

また、仙石原探勝歩道には、今年ならではの話題の場所がありました。「耕牧舎」跡です。

【 耕牧舎跡の石碑 】

NHK大河ドラマで取り上げられている「渋沢栄一」は、箱根にも関わりが深い人物です。この「渋沢栄一」が箱根の人たちと共に、明治12年箱根仙石原に創設して沼津の御用邸に乳製品を納めていた牧場が「耕牧舎」です。この日は耕牧舎跡でランチ休憩を取りました。静かな木陰で、箱根の歴史を感じながら、ゆっくりと気持ちの良い時間が過ごせます。これからドラマに、箱根や耕牧舎の名が登場する日が楽しみになりました。

終日を通して、見どころ満載の仙石原探勝歩道でした。本当に良いコースです。次年度には、パークボランティアの皆さんと一緒に、お客様を案内できることを心待ちにしたいと心から感じる研修同行でした。そのためにも、コロナ禍が早く過ぎ去ることを祈るばかりです。

ページ先頭へ↑

2021年05月28日5月の尾瀬は・・・

尾瀬国立公園 尾池こず江

こんにちは。片品自然保護官事務所の尾池です。

新緑が眩しい季節を迎え、尾瀬では雪解けも進み、生き物たちが活発に動きだしています。今週の尾瀬ヶ原巡視では、たくさんの動植物が見られましたので一部ご紹介します。

 尾瀬と言えば「ミズバショウ」ですが、この時期を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。今年は例年に比べ全体的に少し早く咲いているようです。

▲研究見本園のミズバショウ(5.24撮影)

 そんなミズバショウですが、尾瀬ではシカによる被害が確認されています。

土壌を掘り起こして泥浴びをしたり、踏み荒らしてしまうことで湿原が露出してしまったり、採食被害もあります。尾瀬では、そういった被害に対し様々な対策を進めています。ここ数年では、植生保護や景観維持のため、柵を設置していますが、今年度は、環境省と連携協定を結んでいる地元の尾瀬高等学校の理科部の皆さんと一緒に植生保護柵を設置してきました。専門業者の方々のご協力をいただきながら無事に設置でき、高校生も体験することで色々感じていただけたものと思います。

▲植生保護柵を設置する様子(5.14撮影)

▲ミズバショウで有名な下ノ大堀川周辺(5.14撮影)

いつまでも綺麗なミズバショウが見られますように。

尾瀬入山にあたって

【新型コロナウイルス感染拡大防止についてのお願い】

1.緊急事態宣言区域やまん延防止等重点措置区域にお住まいの皆様は、お住まいの自治体からの外出自粛要請等をご確認いただくとともに訪問先自治体の状況も併せてご確認ください。

2.その他の区域にお住まいの皆様におかれましても、お住まいの自治体及び訪問先自治体からの要請等に協力をお願いいたします。

その他尾瀬の情報はこちら

【尾瀬保護財団HP】

<https://www.oze-fnd.or.jp/>

ページ先頭へ↑

2021年05月27日南アルプスを上から見ると・・・?④

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

長らくお休みしておりました、「南アルプスを上から見ると・・・?」シリーズ、前回の聖岳に続き、今回は赤石岳です。


赤石岳は長野県、静岡県にまたがり、国内で最高地点の一等三角点(*)が設置されている山です。日本で1番高い山は富士山ですが、1番高い場所にある一等三角点は南アルプスの赤石岳ということに誇らしさを感じます。標高は3,121メートル、日本で7番目に高い山です。山の南側にある沢から赤色のチャート(堆積物)があることから、「赤石沢」と呼ばれ、山の由来の1つになっています。

(*)一等三角点について

https://www.gsi.go.jp/MUSEUM/TOKUBE/KIKA5-smain.htm

赤石岳へ登る主なルートの起点は椹島(静岡県静岡市)です。椹島の標高が約1,100メートルに対して、赤石岳の標高は約3,100メートル。なんと、2,000メートルも標高差があるのです!2,000メートルの標高差と聞いてクラっとしてしまうそうですが、この2,000メートルの長い長いルートでは、植生の変化が一目瞭然!

登山口である椹島周辺ではブナやヒノキ、標高をあげるとツガ・モミ、ダケカンバ・シラビソ、そして、高山植物群落やハイマツ群落に変わっていきます。植生の変化は長いルートや天候が悪いときでも楽しむことができます♪

わたしが赤石岳の魅力としてお伝えしたいことは、『どの角度から見てもステキ!』ということです。

◇ 荒川岳・中岳下から

こちらから見ると、V字谷がよく見えます。南アルプスは降雨が多く、地形が流水によって削られやすく、その結果出来る特徴的な地形が、このV字谷です。雑誌などでは花の時期が取り上げられていますが、紅葉の時期は山そのものがより大きく見えるので、個人的に大好きな構図です。

◇ 百間平から

百間平は聖岳から赤石岳へ向かう途中の真っ平らで歩きやすい場所です。後ろを向くと聖岳、前を見ると赤石岳、名峰に囲まれながら歩くことができます。中岳下から見る赤石岳と違って、なだらかでなんだか、やさしさを感じるような・・。写真は夜明け前に撮影し、逆光になっていて斜面の様子がはっきり見えないので、よりいっそう感じます。ただ、実際のところは大きな岩や石がゴロゴロしている斜面を歩き、その後、ザレ場を歩いて、山頂に辿り着きます。見た目に反したギャップがまたいいです!

赤石岳を堪能するおすすめルートは赤石岳+荒川岳、赤石岳+聖岳の縦走コースです。時間と相応の体力を要するため、なかなかハードなコースですが、その先で待っている感動はきっと素晴らしいものだと思います。昨年度に引き続き、南アルプス南部の山小屋は休業しているため、食事提供等が無く、ハードルが上がっています。計画をされる方はエスケープルートなども考えるようにしてください。

次回は荒川岳について、お伝えします。

ページ先頭へ↑

2021年05月25日サドガエル

佐渡 近藤陽子

皆様、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の近藤です。

先日、トキのモニタリングボランティアさんの水田にお邪魔して、「サドガエル」を見せてもらいました。

あぜの草刈りをすると、驚いて草むらから水田に飛び出してきます。

<草刈りするボランティアさんの後ろについて、飛び出すサドガエルを見つけます>



この佐渡の名前を冠する「サドガエル」、いったいどんなカエルなのでしょうか?



<サドガエル 横から>


<サドガエル 前から>


<サドガエル 上から>

サドガエルはツチガエルの仲間で(ツチガエル属)、環境省レッドリストで絶滅危惧IB類※に選定されている新潟県佐渡島の固有種です。アマガエルの喉のように鳴くときに膨らむ鳴嚢(めいのう)を持たず、小さくジージーと機械のような音で鳴きます。サドガエルの学名、Glandirana susurraの「susurra」は、ラテン語で「ささやく」を意味します。ツチガエルに似ていますが、おなか側が濃い黄色をしているのが特徴です。水田やため池などの流れのない水辺に生息し、5月中旬から8月上旬に繁殖します。オタマジャクシのまま冬を越し、翌年に成体になります。近代的農法による水管理や圃場整備、管理放棄による植生遷移の進行などは、サドガエルの生息に大きな影響を与えると考えられています。また、ウシガエルなどの外来種がいるところでサドガエルの確認はなく、ウシガエルが住まない水深の浅い湿地環境が主な生息地となっています。

絶滅危惧IB類:IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの

参考:環境省レッドリスト2018 補遺資料 p22



この日、ボランティアさんの水田では7匹のサドガエルを確認することができました。


うち1匹を捕獲して短時間観察しました。


<サドガエルの特徴、黄色の腹部>

<水田にリリースしたサドガエル>



サドガエルが生息するボランティアさんの水田には、トキもよく飛来します。

<ボランティアさんが農作業するすぐ横で餌を探すトキたち>

佐渡では、一度絶滅したトキを再び佐渡の自然に帰すため、農薬や化学肥料を使わない、または、使う量を減らすなど生きものに配慮した農法が進められ、水田にはサドガエルを含むトキの餌となる多くの生きものが育まれてきました。

参考:佐渡市認証米「朱鷺と暮らす郷」



人の生活を支える自然が守られることで、私たちは自然の恵みを継続していただくことができます。

トキやサドガエルの存在は、生きものと人がともに生きる豊かな里山環境の象徴と言えるのではないでしょうか。

これからも、こうした生きものが生き生きと暮らす佐渡であってほしいと願います。

ページ先頭へ↑

2021年05月24日海と鳥と魚のおはなし 大島~新島(伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 小野可蓮

お久し振りです!鳥と花が好きな小野可蓮です。

先日は新島で蛇が大好きになってしまいました(その話はまた今度にしましょうか!)。

さて、内地から伊豆諸島に来るときは、多くの場合東京竹芝桟橋からの大型船や高速船を利用することになると思います。

高速船の方が時間短縮に思えるかもしれませんが、大型船でしか出来ないことがあるんです。

それは!デッキに出て!海鳥ウォッチングをすること!

せっかく海の上に出るんだから、外に出られないなんてもったいなさ過ぎる!ということに後から気付きました。

やはり海の近くに住んでいないと、中々海鳥に興味を持つ機会もないですが、私も大型船と伊豆諸島のお陰で海鳥が好きになってきました。

今回は巡視のため新島に行く途中、大島~神津島航路で「オオミズナギドリ(Calonectris leucomelas)」(ICUNレッドリスト準絶滅危惧種)の大群が見られました。

▲オオミズナギドリの大群

普段は海上でイワシなどを食べながら生活していますが、繁殖期になると地上で横穴を掘り子育てをします(その間は夫婦交代で海に出て餌を確保するそうです)。

その集団繁殖地のうちの一つは、伊豆諸島の御蔵島にあります。

この日合計1万羽以上は見たと思うのですが、それ以上は数えきれませんでした。

▲オオミズナギドリ

飛翔中、背中側は黒く見え、腹側は白く見えます。

しかしあれほどの数の海鳥が海上を飛んでいるということは、それだけ餌の魚がいるということに加え、それを食べに来ている大型肉食魚もいるということになりますよね!?!

想像すると見えている以上の壮大な光景を目前にしていることが分かります。

海鳥だけではなく、他にも「とぶ」生き物が見られます。