ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年9月

15件の記事があります。

2021年09月30日伊豆半島で出会える秋の昆虫たち -トンボ科編 ①-

富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。足早に進んでいく季節の移ろいに消化器系がまったく追いつかない齋田です。

急激な気温の低下による体調不良というわけではなく、目まぐるしく変化する旬の食べものを最も美味しいタイミングでお腹いっぱい味わっておかないと、といった具合なので至って元気です。

さて、前回の日記に引き続き、晩夏に見られる生き物をご紹介しようと考えていたのですが、撮影日和を待つうちに伊豆半島の長い夏は終わりを迎えたようで、夕暮れ時には秋の声が静かに響き始めました。

今回からは、不要不急の外出を自粛している生き物好きのみなさんのために、巡視(国立公園を構成する施設の点検や利用状況の把握等を行う業務)の際に見かけた"秋の"昆虫たちをタイムリーにご紹介します。

まずはこちら、げじげじ眉毛やちょび髭のように見える黒班が特徴的な「マユタテアカネ」です。

【マユタテアカネ】

そのビジュアルに親近感を覚えざるを得ないマユタテアカネ。撮影時にはアキアカネやミヤマアカネが周囲を飛び回っていましたが、吸い寄せられるようにマユタテアカネだけにカメラを向けていました。

下田管理官事務所が管轄する伊豆半島地域でこそ普通種ですが、他のアカネ属と同様に湿地環境の悪化に極端に弱く、富士箱根伊豆国立公園の箱根地域(神奈川県)ではレッドリストの指定を受けるほど個体密度が低下しています。

そのため、最近ではマユタテアカネやアキアカネ等の止水性種の生息環境を保全するための試みが全国的に広がりを見せており、一部の地域ではそれらの個体数がやや回復傾向にあるようです。

ちなみに、「富士山がある風景100選」に選定された伊豆半島地域の「石部棚田」も例に漏れず、水田を利用する生物の保全に力を入れています。とても興味深い取り組みですが、それらの事例についてはまた別の機会にゆっくりとご説明できればと思います。

伊豆半島では、水田や湿地、池沼等を中心に11月下旬頃まで観察することができます。

続いて、なんだか白いごはんが食べたくなる名前の「シオカラトンボ」です。

【シオカラトンボ】

雄は成熟すると腹部に厚く白粉を吹くことからその名が付いたシオカラトンボ。トンボといえば真っ先に本種が連想されるほど、みなさんにとって馴染みの深いトンボではないでしょうか。

さて、「夏によく見るけれど、秋の昆虫として紹介するの?」と疑問を感じた方も多いと思います。しかし、名前の由来となった青白く成熟した個体が最も多く観察できるのはこの季節なのです。意外に思われるかもしれませんが、未成熟の雄の体色は雌と同じく黄褐色です(希に成熟した雄のような体色をもつ雄型雌も見られます。そのような個体では副性器の有無や尾部付属器の形態等による雌雄の判別が可能です)

ちなみに、よく似た種類にコフキトンボやオオシオカラトンボ、シオヤトンボ等がいます。私は静止した状態でないと同定(生き物の種類を特定すること)ができませんが、陸上昆虫類等の調査に従事されているトンボ屋さんの多くは、周囲の環境や飛び方、草木へのとまりかた等の特徴から遠目でもある程度の判断が付くとのことです。

伊豆半島では、河川のワンドや池沼等の止水域を中心に12月中旬頃まで観察することができます。

今回は、秋の季節に富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域にて観察できるトンボ科の昆虫のうち、最も普通に見られる「マユタテアカネ」と「シオカラトンボ」についてご紹介しました。

この日記を通じて伊豆半島の秋や生き物たちの魅力を感じて頂ければうれしく思います。

次回も伊豆半島で出会った昆虫たちを紹介します!塩辛にはごはん派の方も日本酒派の方もお楽しみに!

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2021年09月30日【小笠原】妹島の巡視(前半・上陸と島の植物編)

小笠原国立公園 伊藤竜啓

皆様こんにちは。

小笠原自然保護官事務所 母島支所の伊藤です。

突然ですが皆様は「妹島」についてご存知でしょうか。

急に妹島について知りたくなり、ネットで調べてみてもほとんど情報が出てこず、満たされぬ好奇心を抱えて眠れぬ夜を過ごしたことはありますでしょうか。

妹島は観光客や一般の方が簡単に訪れることができないため、その情報も簡単には手に入りません。

今回はそんな皆様のために、妹島にて動植物の巡視を行った際の記録を前編と後編に分けてお伝えしたいと思います。

妹島は、母島から南へ10キロほどに位置する無人島です。

海況の良い日に船で向かいます。

△母島の港を出てすぐの海。白い灯台の辺りは釣りスポットです。余談ですね。

妹島の上陸ポイントは岩礁が多く船を着けられないので、カヤックに乗り換えます。

それでも危険なので、気を引き締めていきましょう。

△妹島の岩礁地帯です。落ちたら痛そうですね。

妹島にまともな上陸ポイントはないため、波風が強くカヤックでも磯に近付けないとなれば、荷物を背負って泳いで上陸することもあります。

無事に上陸ができたなら、炎天下の崖を登って巡視開始です。

父島や母島では少なくなってしまった植物も、妹島ではたくさん見ることができます。

例えばこちら...

△花と綿毛をつけたツルワダンです。素敵ですね。

ツルワダンという名前の由来は「つる性のワダン(→海辺で見られるキク科の植物)」ということだそうです。わかりやすいですね。

小笠原の固有種では他にも、木本化したキク科のワダンノキという植物もあります。わかりやすいですね。

それからこちら...

△まだ小さいシマカコソウです。元気いっぱいですね。

シマカコソウは「島夏枯草」と書き、夏になると花穂が茶色くなり枯れたように見えることが名前の由来だそうです。

そんな希少なシマカコソウですが、実は父島の「小笠原世界遺産センター」の入口前でブロックの隙間から生えているのを見ることができます。(記事はこちら→http://kanto.env.go.jp/blog/2020/05/post-869.html)

たくましいですね。

前編では妹島への上陸と島の植物についてお伝えいたしました。

後編ではオガサワラカワラヒワという希少な鳥の捜索と、思いがけず出会えたある生き物の親子の様子をお伝えします。

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2021年09月29日★ 南アルプス国立公園写真展開催のお知らせ(10月)

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

◆ ◇ 南アルプス国立公園写真展開催のお知らせ ◇ ◆

10月5日~31日まで、早川町奈良田「古民家 山城屋」にて写真展を開催します!


早川町奈良田地区は、広河原へのバスによるアクセスの起点となっているほか、白峰三山の1つ「農鳥岳」、白峰南嶺の玄関口として利用されています。登山の拠点として利用されるとともに、温泉旅館が立ち並び、疲れた体を癒すことができます。

今回は¨秋¨をテーマに、南アルプス国立公園の紅葉景色を多く展示しています。

今回も南アルプス国立公園や南アルプスユネスコエコパークに関するパンフレットの配布も行っています。アンケートにご協力いただいた方には、南アルプス国立公園シンボルマークの缶バッチをプレゼントします。数に限りがございますので、お早めにお越しください。

△開催会場「古民家 山城屋」

かやぶき屋根に木の床。ライトに照らされている写真がなんだか、いつもよりきれいに見えるような・・?古民家ならではの落ち着きや味わい深さを感じながら、南アルプスを感じてみてはいかがでしょうか。

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2021年09月28日白根山のシラネアオイ

日光国立公園 日光 池田理恵

こんにちは。

日光国立公園管理事務所の池田です。

先週、シラネアオイを守る会が開催しているシラネアオイ種子採取に参加してきました。

皆様はシラネアオイという植物をご存じでしょうか。

日光国立公園では白根山周辺に自生しており、薄紫色の花が美しい高山植物です。名前の「シラネ」は白根山から名付けられています。しかし現在では、美しさ故の盗掘やシカの食害により激減してしまいました。

△シラネアオイ

そんなシラネアオイを回復させるため、地元有志が保護活動を始め、平成7年にはシカ食害から守るために電気柵が設置され、その後平成12年に「シラネアオイを守る会」が発足しました。

現在では多くの関係者が苗の移植や種子採取に参加し、群馬県立尾瀬高等学校が種子を発芽させ、育苗を行っています。

参加者は登山道に落ちているゴミを拾いながら、目的地へと向かいます。

保護地点に到着すると、尾瀬高等生徒が中心となり、電気柵内のシラネアオイの種子を探します。

△種子採取の様子

私も種子探しに参加させていただき、1房見つけることができました!

写真でしか見たことがなかったので、初めて実物を見たときは少し感動しました。

まるでお尻のようです。

左右の膨らみの中にそれぞれ20枚ほどの平らな種子が入っています。

△シラネアオイの種子

今回は合計5房の種子を採取することができました。

これらの種子は今後、尾瀬高校生により育てられ、5年後に保護地点に移植されます。

一度数が減ってしまった生き物の生息数を回復させるには長い時間がかかります。今後もシラネアオイを守る会の活動に参加し、シラネアオイが元気に増えてくれるようお手伝いしたいと思います。

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2021年09月22日伊豆山稜線歩道『戸田峠~伽藍山』で見つけた生きもの

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

9月に入り急に涼しくなりました。まだまだ暑い日もありますが、朝晩は過ごしやすいです。ウォーキングやサイクリングが気持ちいい季節ですね。

9月前半は不安定な天気が続きましたが、晴れた日を狙って伊豆山稜線歩道の戸田峠から伽藍山へ巡視に行って来ました。巡視で見つけた生き物を紹介したいと思います。

伊豆山稜線歩道は修善寺自然公園から天城峠までを結ぶ約42kmの自然歩道です。歩道は整備されていて、比較的なだらかです。途中登り応えがある場所もあるので、健脚な方も満足できるコースがあると思います。明るく開けた歩道が多く日よけが少ないので、夏の暑い時よりこれからの季節が歩きやすいと思います。コースの途中に富士山や南アルプスなどが望めるポイントがあり絶景です。

歩道を歩いていると、足下からピヨーンと跳ねる虫がいました。追いかけるとカラフルな体色のハンミョウでした。素早く何メートルも飛ぶので写真に撮るのは諦めようと思いましたが、何枚か撮影出来ました。事務所に戻り写真を確認してみると、なんとピントが合っているのはこの1枚だけでした。素早く動くので難しいです。次回は前方から鋭い牙をカメラに収めたいです。

【 ハンミョウ 】

次はアサギマダラです。アザミの蜜を吸っていました。この時期歩道上に花が少なく、ふとアザミの花に目を向けるとアサギマダラが止まっていました。アサギマダラは非常に長い距離を移動することで有名な旅する蝶と呼ばれていますが、この後はどこに行くのでしょうか?春頃から伊豆半島で何度も見かけていますが、毎回ヒラリと飛んで行ってしまい、今回やっと撮影することが出来ました。

【 アサギマダラ 】

最後はニホンカナヘビです。山以外でもよく見かけますが、気持ちよさそうに石の上で日光浴中でした。ザラザラとした体の表面と顔つきが小さな恐竜にしか見えません。カメラを構えて数枚撮影しましたが、撮影を終えて通り過ぎて振り返ってもこのポーズのままでした。おもちゃだったのかな?と疑うほど動きませんでした。

【 ニホンカナヘビ 】

おまけ

以前、天城山でも似たようなポーズのニホンカナヘビの子供を撮影しました。日光浴はこのポーズでするのが定番なのでしょうか?

【 ニホンカナヘビ(20217月天城山で撮影) 】

今回は歩道で見かけた生き物を紹介しました。夏の植物の見頃が過ぎ寂しい気もしますが、秋の紅葉が近づいてきているのを感じました。また日記で紹介したいと思います。

*現在、静岡県内は緊急事態宣言が発令中です。歩道の利用の自粛をお願いしています。

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2021年09月21日箱根の2つの滝(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

盛夏はあっという間に過ぎ、今年は涼しくなるのが急でした。日暮れも早くなり、秋がすぐそこまで来ています。現在は全国的に緊急事態宣言の最中にありますので、外出もなかなか出来ない状況ですが、こんな時こそ、美しい国立公園の景観に癒やされて欲しいと考えます。今回のAR日記では、ご自宅で箱根の名瀑2つを楽しんで頂ければ幸いです。箱根は芦ノ湖のイメージが強く、周囲の国立公園地域に比べて滝があるイメージが少ないかもしれませんが、見応えのある滝が存在します。

1つ目は、癒やし系の「千条(ちすじ)の滝」です。

【千条の滝】

実はこの滝、2020年6月にもAR日記でご紹介しています。

⇒AR日記「石仏群と千条の滝」http://kanto.env.go.jp/blog/2020/06/post-875.html

今回は前回と異なる角度からの写真です。

大きな滝ではありませんが、滝の幅が広く、細く幾すじもの水が流れ落ちています。苔の緑色や岩の黒色が、白い滝筋をより美しく引き立てます。これからの季節は、滝の上に育ったイタヤカエデの紅葉が加われば、秋ならではの素敵な景観になること間違いないでしょう。小涌谷駅から徒歩10分程度でたどり着けますので、箱根観光時の自然散策におすすめです。

この場所の詳細はこちら⇒箱根ジオパークHP「H21 千条の滝(ちすじのたき)」

https://www.hakone-geopark.jp/area-guide/hakone2/021tisujinotaki.html

2つ目の滝も、2020年3月にAR日記で一部だけ紹介していますが、実はこのときは、台風被害で滝の足元に近づくことが出来ませんでした。

⇒AR日記「柱状節理の岩壁」http://kanto.env.go.jp/blog/2020/03/post-835.html

この滝に近づけるようにルートが整備され、手すりが出来ていましたので、様子を見に行ってきました。

これが力強い「飛龍(ひりゅう)の滝」の姿です。

【飛龍の滝】

このときは水量も多く、迫力ある景観を眺めることが出来ました。実は神奈川県下最大規模の滝(落差が上段15m、下段25mで落ちる2段の滝)です。

【滝手前の目印となる橋】

この橋の向こうに進むと、飛龍の滝足元まで近づけます。

【注意看板】

ただし、このような看板があるとおり、水量の多いときには、この橋の上で滝を眺めて下さい。

【↑このような場所を歩きます。】

滝の足元に近づくときには、水が流れる場所もあるので、濡れる覚悟で進みましょう。鎖はしっかりと設置してありますが、滑らないように十分注意して、ゆっくり慎重に歩く必要があります。無理はしないで下さい。

飛龍の滝は起伏が激しい「湯坂路~畑宿」を歩く、飛龍の滝探勝歩道ハイキングコース上に位置します。この景観を眺めに行く場合には、足元は登山用靴がおすすめで、ストックなども持つと良いでしょう。

この場所の詳細はこちら⇒箱根ジオパークHP 「H15 飛龍の滝と柱状節理(ひりゅうのたきとちゅうじょうせつり)」https://www.hakone-geopark.jp/area-guide/hakone3/015hiryuunotaki.html

コロナ禍でまだ県境をまたぐ外出は自粛となっていますので、緊急事態宣言やまん延防止措置対策が解除されるまで、ご自宅で引き続きAR日記をお楽しみ下さい。そして、早くコロナ禍が落ち着くことを祈りましょう。

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2021年09月21日【那須】 「アサギマダラの楽しみ方」

日光国立公園 善養寺聡彦

みなさま、こんにちは。 日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。

今回は、「アサギマダラ」

アサギマダラは那須地域では夏に見られます。

9月中旬でも那須連山の稜線や那須平成の森などにも見られます。

アサギマダラは、タテハチョウ科アサギマダラ属の蝶。

アゲハチョウレベルの大きさがありますので、目立ちます。

色や模様は、ド派手ではありませんが、栗色をベースに、

薄青色(浅葱色:あさぎいろ)の透かし部分をあしらった、シックな蝶です。

(注:個人の感想です)

ヨツバヒヨドリで吸蜜するアサギマダラ

アサギマダラは、以前は、「夏の高原でたまに見かける珍しい蝶」という見方が一般的でした。

(注:個人の判断です)

ところが、しだいに全国の情報が集まると、

地域によって見られる季節が異なり

また必ずしも高原の蝶ではなかったのです。

(※今ではアサギマダラが集まる島として有名な姫島(大分県)では、

海岸にアサギマダラが密集するのですが、

このことを島の人が蝶の専門家に報告しても、

長らく信じてもらえなかったそうです。)

姫島では海岸のスナビキソウにアサギマダラが集結する

【渡り】

高原では、アサギマダラは夏に見られます。

しかし低地に多くのアサギマダラが見られる地域もあります。

また、姫島のように海岸に群れる地域もあります。

実はアサギマダラは、春は北上し、秋は南下する、

つまり '渡り' をしているのです。

成虫はおおよそ奄美諸島以南で越冬しますが、春に北上します。

関東以南の地域では幼虫が越冬しますが、これが羽化した成虫も北上に加わると思われます。

越冬虫のアサギマダラ幼虫(南房総市)

北上は温暖化の影響もあるのか、北海道を越え、樺太に達しているものもあるようです。

北上によってアサギマダラは日本各地で数を増やしていると考えられます。

夏は高原などの涼しい地域で過ごします。

お盆を過ぎる頃、南下します。

暑さを嫌う蝶なので、最初は高原を移動しますが、

秋の深まりとともに平地でも見られるようになります。

南は、沖縄諸島、先島諸島、さらに台湾に達することが、

マーキング調査によって確認されています。

【マーキング調査】

蝶の長距離移動というと、北米のオオカバマダラが有名です。

北はカナダまで分布しますが、秋には北米全域の蝶が南下し、

メキシコの山中のごく限られた地域の樹木に集まって

集団越冬することが知られています。

(※蝶の集合場所は他にもあることが知られています。)

大木の枝が折れるほどに密集する光景は、色々な番組等で紹介されています。

この移動の様子は、蝶に特殊なシールを貼ってマークし、

マークされた個体が再捕獲されることで明らかにされました。

これと似た方法で、アサギマダラの移動の様子が明らかにされてきています。

アサギマダラの場合は、特殊なシールがなくても、

サインペンさえあれば、このマーキングによる移動ルートの研究に参加できます。

アサギマダラには翅(はね)に透けた部分(この部分の鱗粉が極めて小さい)があり、

ここにサインペンで文字が書けます。

蝶を捕獲した人(標識者)は蝶を捕獲した地点の名称、日付、標識者、番号などを記入します。

MARU:丸沼(群馬県片品村)-記号は任意です-

8/27:標識日(8月27日)

ZEN:標識者固有記号(勝手に決めます)

02:通し番号(標識者の都合により決めます)

蝶が移動した場所で誰かがこの蝶を再捕獲すると、

蝶が長距離を移動したことが証明されます。

この調査に参加する人は年々増え、データも膨大なものになってきています。

自分が標識して放蝶した個体が、遙か遠方で見知らぬ人に再捕獲されて連絡が入る。

そしてそれは科学的に重要なデータとなる。

なんとロマンに満ちたことでしょう。

(私が日光湯元で標識した蝶が、与那国島で再捕獲されました。)

今、アサギマダラは全国で南下中!!

出会ったらよく観察してみてください。

そして翅に注目!!!

マークが付いていたら捕獲して記録(写真を撮るなど)。

インターネットで「アサギマダラ、マーキング」で検索すると、

連絡先が見つかります。

マークがなくても捕獲してマーキング!

再捕獲に期待!

アサギマダラの存在が、グググっと近くなります。

【タオルキャッチ】

アサギマダラの捕獲と言っても、捕虫網が必要です。

もし捕虫網がなかったら、白いタオルを振るように回してみましょう。

「なにそれ?」

そうです。変な話です。

でもやってみましょう!!

なぜか? なぜか? なぜか?

アサギマダラはあなたに向かってやってきます。

マーキング調査を行っている人は、

この方法で、空高く飛翔している蝶を呼び込んで捕獲します。

これを、「タオルキャッチ」といいます。

この行動は、移動期の蝶に強く見られるようです。

なぜこのような行動があるのか?

どんなメカニズムなのか?

よく分かっていません。

実は私はこの行動の研究をしていますが、かなり難問です。

タオルを使ったモデルにアタックするアサギマダラ

マーキングをしなくても、その優雅な羽ばたき、

群飛する光景、海を渡りきる強さ、大海原で方向を定める驚異の能力に魅せられて

写真を撮る人たちも集まります。

マーキングをする人、写真を撮る人は、

この渡りをする蝶を追って、今日も移動しています。

(私もその一人のようです。)

今度アサギマダラに逢ったら、「がんばれよ!」

と応援してやってください。

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2021年09月15日【小笠原】 『アクティブ・レンジャー写真展』開催中 in母島

小笠原国立公園 小笠原 鈴木尚之

こんにちは、船酔いしてでも海鳥を写真に収めたい小笠原の鈴木です。

最近はトビウオを狙うカツオドリを狙っています。

△トビウオvsカツオドリ(海がとても凪いでいました)

さて、9月11日(土)より母島の船客待合所でアクティブ・レンジャー写真展を開催中です。

母島での開催は2017年以来、4年ぶり!心待ちにしていた方、大変長らくお待たせしました。

久しぶりの開催という事と母島のARが初めての写真展だった為、お手伝いに行ってきました。

△設置中。写真の間隔などセンスが問われます。

△設置完了!パンフレットも充実しています。

スペースの都合上、期間の前半と後半で写真を入れ替えます。

前半と後半で展示されている写真が変わるので、是非どちらも足を運んでみてください。

前半:9月11日(土)から9月17日(金)

後半:9月18日(土)から9月26日(日)

小笠原のARが撮影した写真は期間後半に展示します!

ちなみに、来月は父島に会場を移して開催予定です。

父島では小笠原で働く環境省職員によるオガ・レンジャー写真展を同時開催する他、

新しく世界自然遺産に登録された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の"勝手に紹介ブース"も開設します。

小笠原 鈴木

アクティブ・レンジャー写真展の詳細についてはこちら

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2021年09月13日大島の初秋 (伊豆諸島地域)

富士箱根伊豆国立公園 伊豆諸島 小野可蓮

こんにちは。鳥と花が好きな小野可蓮です。
でも最近は、鳥より魚のことを考えている気もします!
伊豆大島で、海に入り、魚と触れ合い、釣りをし、海の恵みをいただき、
そうしている内に、初めて本当の意味で、心の底から「海を守りたい」と思えるようになりました。
体験することが全てなんだなと、改めて思わされました。


さて、これくらい過ごしやすい日々が続くとハイキングに行きたくなりませんか?
わたしは行きたくなります!
コロナの影響でなかなか外出はできませんが、季節も変わり出し、いよいよ秋っぽくなってきたところなので、先日行った大島での巡視の様子をお伝えしたいと思います。

三原山までのハイキングコースは5つほどあります。
そのうちの一つが「テキサスコース」です。
大島一周道路沿いに入口があり、三原山の麓まで2時間ほどと、丁度良い距離です。

テキサスコースに入ると、しばらくは暗めの林が続いており、準絶滅危惧種であるカラスバトの鳴き声なども聞くことができます。
途中からは開けて明るくなり、植生が一気に変わるため、植物の遷移(移り変わり)の様子も見ることができます。

 
▲テキサスコースの林の中の様子

途中途中に「三原山まで☆km」と看板が設置してあります。
歩いていてなんだか少し安心ですよね。
ちょっとした休憩場所もあります。

    
▲(左)テーブルとベンチ (右)看板
木製のものが設置され、周りの景観への影響が最小限にされている


開けた場所では初秋の花々が迎えてくれました!


まずはセンニンソウ。
つる植物のため、他の植物に絡み付きながら生えます。


▲ センニンソウ 

こんなに可愛い姿ですが全体的に有毒な植物です!

野生動物に食べられないように進化したのでしょうね。


▲ センニンソウ 奥に見えるのが三原山


丸く生えた木を覆ってこんもりとしている姿がかわいかったです。

近くを通ると良い香りがするのですぐにわかりますよ。


ハチジョウイタドリも開花中です。
雌雄異株で、雄は薄黄色の花を咲かせ、雌はそれに加えて紅色の果実を付けます。

この日はツマグロヒョウモンという蝶の雌が、蜜を吸いに訪花しているところに遭遇できました。


▲ ハチジョウイタドリの蜜を吸うツマグロヒョウモン

▲ ハチジョウイタドリは雌雄異株 雌は紅色の果実を付けるので見分けが付く


ハチジョウススキも穂を付けていました。

 
▲ ハチジョウススキ 奥に見えるのが三原山

手にとって拡大して見てみると、一つ一つの種の様子が観察できます。
この毛は種の表面積を増やすためにあるものです。
これなら上手く風に乗って種を飛ばせそうですね。


▲ ハチジョウススキ 種子の拡大図 一つ一つに「毛」が付いており風に乗る役割を果たす


伊豆諸島で有名なアシタバも開花していました。
蕾の部分がぷっくり膨らんだ後、小さい花が沢山咲きます。

 
▲ 蕾の様子

▲ 開花中

三原山や裏砂漠周辺は、国立公園の特別保護地区に指定されていますので、アシタバなどを含め植物は、採取したりせずに、見て楽しんで行ってくださいね。
明日葉の天麩羅は絶品なので、伊豆諸島に遊びに来たらぜひ、一度はお店で堪能して行ってください!

前の記事で紹介したサクユリも立派に結実していますよ!



▲ サクユリ結実中 

▲ 果実は5cm前後まで成長しました

濃い緑と特徴的な形に惹かれます。
実物の種を見るのも今年の秋の楽しみのうちの一つであります!

初秋の「テキサスコース」の様子は楽しんでいただけましたでしょうか?
秋は気持ちの良い天気の日も多く、三原山を回るにはもってこいです。
整備されているとは言え、滑りやすくなっている箇所や草が生い茂っている箇所もあるので、

ハイキングブーツなど装備して来られた方が楽しく歩けるでしょう。


もうすぐ色々な植物の実も熟し、また違った表情を見られるようになります。
身近な場所にこそ、今まで気付かなかった素敵な発見が待っているかもしれません。
自然観察を楽しみながら、良い秋をお過ごしください。

【ご注意ください】

伊豆諸島では、自治体ごとに来島のガイドラインを掲げ、島内での感染拡大防止への協力を求めています(2021914日現在)。伊豆諸島へ旅行を計画されている方は、自治体や観光協会のホームページで来島のガイドラインをよく読み、最新の情報を必ず確認してください。

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2021年09月07日【小笠原】夏の妖精!?

小笠原国立公園 小笠原 坂田彩

皆さんこんにちは。小笠原の坂田です。

9月に入りましたが、まだまだ日差しが強く夏が感じられる小笠原です。

この時期に見られるのがこちら!!

大きな帽子に両手を広げて楽しそうですね~実に可愛らしい夏の妖精♪

・・・に私は見えますが、妖精ではなく・・・。

こちらはアサヒエビネの花の部分を近くで見た姿です。

ちょっと離れるとこんな感じです♪なんとも言えない美しさです。

【アサヒエビネ】小笠原諸島固有種

保全状況:絶滅危惧Ⅱ類(環境省第4次レッドリスト) 分類:ラン科 生息地:父島・兄島 

美しい姿のアサヒエビネは盗掘等により数が減少。自然に実を付けることが少なくなったことも増えにくい理由の一つ。国内希少野生動植物種にも指定され、保護増殖事業として、人工授粉の実施や、植物園での増殖技術の開発、系統保存を実施しています。

さて、今回見た目ではわからないですが・・・希少な遺伝子を持つアサヒエビネの一つが花を咲かせたので、人工授粉を実施してきました!!

【△人工授粉実施中】

年間通して授粉できるのは花が咲いた後の2~3週間ほどの限られた時期だけです。

今回の人工授粉が成功していることを願いつつ、今自分たちができる保護増殖に力を入れていきたいところです。

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