ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年10月

19件の記事があります。

2021年10月15日【富士山がある風景100選】富士山を見ながら休憩しませんか?(伊豆半島地域)

富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子

みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。

伊豆半島では秋の風が吹いています。日中の気温が高い日でも風は冷たく気持ちがいいです。過ごしやすい季節になり車で伊豆半島へ行く計画をしている方や、どこかに行きたいなと思っている方におすすめの、伊豆スカイライン沿いで富士山を眺めながら休憩&プチハイキングが出来るスポットをいくつか紹介したいと思います。

熱海峠から天城高原へと伊豆半島の東側を進む伊豆スカイライン沿いには、駐車場や眺望デッキが整備されている場所が多く、ドライブの休憩に最適です。また、富士箱根伊豆国立公園指定80周年を記念して国立公園内および周辺地域の代表的な眺望地を選定した「富士山がある風景100選」に選ばれた富士山の景勝地がいくつかあります。晴れた日は伊豆諸島から房総半島まで眺められる場所もあります。寄り道して休憩して行きませんか?

<滝知山園地・伊豆スカイライン滝知山展望台> 富士山がある風景100選 NO.099

滝知山園地は駐車スペースも広く、ベンチやテーブルがありゆっくり富士山を眺めながら休憩が出来ます。富士山も美しいですが相模灘と駿河湾を同じ場所から両方眺めることが出ます。そして、この場所から西側の海岸線を見るとキレイな曲線を描いています。地図と実際の地形を見比べてみるのも面白いです。夜は夜景もおすすめです。気に入った景色の見えるベンチでゆっくり休憩して下さい。

【 滝知山園地からの富士山 】

【 滝知山園地から西側の眺望 】

【 沼津方面の市街地と海岸線 】

<玄岳> 富士山がある風景100選 NO.100

玄岳(くろたけ)周辺にはいくつか駐車スペースがあります。記念写真を撮ったり、案内看板を見ながら眺望を楽しんで下さい。玄岳に登るにはその中の西丹那駐車場から道路を渡ると登山口の看板があり山頂まで行くことが出来ます。(横断歩道がないので気をつけて渡って下さい)山頂まで15分程ですが、山道を歩ける靴や服装が安心です。山頂付近からは沼津アルプスや伊豆三山などの山々がよく見えます。


【 西丹那駐車場 】

【 玄岳山頂 】

<巣雲山園地>

巣雲山園地もベンチがあり、富士山を正面に見ながら座って休憩が出来るようになっています。駐車場から道路を渡ると、巣雲山の頂上へ向かう登山道の入口とトイレがあります。(横断歩道がないので気をつけて渡って下さい)山頂までは木製階段を15分程登ると行く事が出来るので、体力とお時間に余裕があれば登ってみて下さい。山頂には展望台があり、富士山や箱根、天城の山々など360度大パノラマが広がっています。虫の声とススキが風に揺れる様子に癒やされますよ。


【 巣雲山園地様子 】

【 巣雲山山頂様子 】

伊豆半島の紅葉はこれからです。紹介した富士山を眺められるおすすめスポットも旅の目的地に加えてもらえると嬉しいです。ぜひ参考にして下さい。

++++++"富士山がある風景100選"とは +++++++++++++++++++++++++++++++++++++

富士箱根伊豆国立公園指定80周年記念事業の一環として、国立公園内と周辺地域の代表的な富士山の展望地を"富士山がある風景100選"として選定しました。
その他の選定地などの情報につきましては以下URLからご覧下さい。

▼富士箱根伊豆国立公園「富士山がある風景100選」

http://www.env.go.jp/park/fujihakone/topics/100.html

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2021年10月14日防鹿柵の冬支度

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

9月下旬から10月上旬にかけて、環境省事業で行っている仙丈ヶ岳、荒川岳に設置されている防鹿柵の撤去に行ってきました。環境省では、北岳、仙丈ヶ岳、荒川岳に季節型の柵(*)を設置しています。

(*)季節型の柵

杭の中にポールを差し込み、ニホンジカが噛みちぎれない繊維のネットをポールにかけます。積雪量が多く、設置したまま越冬すると雪圧で杭やポールが曲がってしまうので、初夏に立ち上げ作業、秋に撤去作業を行います。

仙丈ヶ岳の作業は南アルプス食害対策協議会のみなさんと行いました。環境省の柵は5か所にありますが、協議会のみなさんのおかげであっという間に撤去ができました。

今年度、劣化したネットを新調したおかげで網目の絡まりがなくなり、かなり見た目が良くなりました!柵の中を見ると、オヤマノリンドウやバイケイソウの実がなっていました。まだまだ¨花の仙丈¨には遠いですが、柵の中だけでも、たくさんの高山植物が見られるようになるといいなと思います。

今回の作業は天候に恵まれ、甲斐駒ヶ岳を横目に作業。


なんて贅沢な時間でしょう。山梨県側はきれいに雲海が広がり、空を見上げるとハロ現象。


見つけたときは、「珍しい現象かな?綺麗~」と心弾ませていましたが、調べてみるとハロ現象が見られるときは、天気下り坂のサインといわれており、低気圧や前線が接近して天気が崩れる前触れと言われているそう・・。案の定、翌日は強風と雨でしたが、ステキな光景が見られたのでヨシとします!!

仙丈ヶ岳から下山し、次の日から荒川岳作業へ移動。

荒川岳作業の3日間は雨に降られることなく、3日間カンカン照り!

荒川岳には西カールに2箇所、前岳南東斜面に1箇所防鹿柵を設置しています。前岳南東斜面の防鹿柵は前岳・中岳分岐から荒川小屋の間に設置されており、登山道を含む大きな防鹿柵です。

傾斜がきつい斜面へ設置していて、落石もあるため、ヘルメットをつけて作業です。西カールの底から柵を見上げると。

こんなに広大で傾斜がある場所で作業しているということを改めて感じました。設置時の作業にすると、斜面いっぱいに広がる高山植物を見ることができ、その光景に毎回感動します。今年も無事にいっぱい花をつけてくれてありがとうと言いたいです。

防鹿柵を設置しても、すぐに植生は戻りません。ですが、設置するかしないかでは大きな差が生まれます。すぐに効果が出るわけではなく、地道な作業ではありますが、続けていくことに意味があると思っています。仙丈ヶ岳はニホンジカの食害を受ける前のお花畑が戻ってきてくれること、荒川岳は後世にもこの素晴らしい景色を残していけるようにと祈りながら、今後の植生復元活動に取り組んでいこうと思います。

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2021年10月11日第25回放鳥 ー順化訓練を経て、いざ大空へー

佐渡 右田京子

皆様、はじめまして!
佐渡自然保護官事務所に9月よりアクティブ・レンジャーとして着任しました右田 京子(みぎた きょうこ)と申します。素晴らしい佐渡の魅力やトキの野生復帰に向けた私たちの活動について、少しでも皆様にお伝えできるよう、業務に励みたいと思います。これから、どうぞよろしくお願いします。

早速ですが、第25回トキ放鳥が行われましたので、その様子についてお伝えします。

9月17日に佐渡市野浦地区にて5羽を放鳥し、9月28日~29日に佐渡市新穂地区にある野生復帰ステーションの順化ケージより9羽の放鳥を行いました。

【9月17日 佐渡市野浦地区での放鳥の様子】

▲トキの生息環境整備に取り組む野浦地区の住民の皆さんと一緒に放鳥しました。当日は小雨まじりの曇り空でしたが、放鳥の際はぴたりと雨もやみ、5羽のトキたちは一斉に飛び立って行きました。放鳥場所上空を旋回したのち、山側の谷へ。

【9月28日~29日 野生復帰ステーション順化ケージからの放鳥の様子】

                     

▲順化ケージの放鳥口付近に集まってきて・・・  飛び立ちました!

初日は9時に放鳥口を解放したもののなかなか動きはなく、夕方やっと1羽が飛び立ちました。2日目は6時に放鳥口を解放し、7時半頃に7羽が一斉に飛び立ちました。残り1羽も放鳥口の外の池に歩いて出て採餌をしばらく続けた後、14時半頃に無事に飛び立ちました。

これから新しい世界で生活をしていくトキたちと自分を重ね、「頑張れよ-!」という思いもひとしおです。

さて放鳥前のトキたちが、どのように過ごしているかご存じでしょうか?

いきなり野外での生活は難しいので放鳥前は3か月間、採餌・飛翔・群れ行動・人への慣れなどの順化訓練を行います。

今回は、トキが訓練を行っていた順化ケージの環境の一部を紹介したいと思います。

【トキたちが訓練していた順化ケージ】

▲順化ケージ内部(奥行き80m×幅50m×高さ15m)

とても広々としていて、奥に向かって傾斜があります。そして奥側半分は飼育員も立ち入らないトキたちの聖域(草ボウボウの自然のままの状態)になっています。安心できる場所を確保しつつ様々な状況に慣れる訓練ができるように工夫されています。

 

▲トキたちの痕跡

いたるところにトキたちの痕跡が残っていました。ちなみに田んぼなどで見られるトキの足跡のそばには、餌を探したクチバシの跡が点々と穴になって残っています。

▲ケージ内の生き物

ケージ内をほんの数分探索しただけで様々な生き物に遭遇しました。

ドジョウなどの給餌も行われていますが、自然の中でこういった生き物を捕って食べる方法も覚えます。

訓練を経て大きく羽ばたいていったトキたち、今後、地域の方々に見守られながらうまく定着してくれることを期待したいと思います。

(参考)トキの放鳥方法

9月17日に佐渡市野浦地区にて箱からトキを放鳥した方法は、ハードリリース方式と呼ばれています。順化訓練後のトキを放鳥場所に移動し、直ちに放鳥する方式で、既存の群れサイズの拡大とトキの分布拡大を促すことを目的としています。

9月28日~29日に野生復帰ステーションの順化ケージからトキを放鳥した方法は、ソフトリリース方式と呼ばれています。

放鳥場所で飼育し、トキが環境に順化したのちに放鳥する方式で、分散を抑制し、放鳥場所周辺での群れ形成を目的としています。

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2021年10月11日【小笠原】ここから次世代へ!!

小笠原国立公園 坂田彩

みなさんこんにちは。小笠原の坂田です。

日中はまだまだ暑さが感じられますが、朝晩は過ごしやすく散歩するのも気持ちよい小笠原です。

△ 散歩で見られた夕焼け

この時期、小笠原の固有種でもあるオガサワラハンミョウは成虫となり、羽化して地上へと出てきます。

△オガサワラハンミョウ

以前は父島にも生息していたオガサワラハンミョウですが、現在は兄島のごく限られた場所でしか見られなくなっています。

そのため、保護増殖事業の一環として、小笠原世界遺産センターでは1年を通してオガサワラハンミョウの飼育を行い、羽化時期である秋に兄島への移殖を行っています。

今回は野生のオガサワラハンミョウをファウンダー(次世代の始祖)として捕獲する為に兄島に行ってきました!!

飼育している個体だけで世代交代が進むと遺伝子が劣化してしまうことがあるので、野生個体群の維持に配慮しつつ、その遺伝子を取り入れることがとても重要です。

兄島では、大きな網を持って体長1cmほどのオガサワラハンミョウを捕獲していきます。

野生のオガサワラハンミョウは動きが素早く、捕まえた!!と思っても逃げられることも・・・。

△オガサワラハンミョウ捕獲中

私たちは運良く、個体を捕獲することが出来ました!!

こんなところで幼少時代に鍛えた虫取り能力が生かされましたね~

△雄雌を識別中

捕獲後は雄雌の識別を行いますが、動きが速すぎて・・・・識別するのも一苦労。

識別が出来たら搬送容器に入れ、移動のストレス軽減のためクーラーボックスへ。

適時空気の入れ換え等行いながら、状態観察しつつ小笠原世界遺産センターまで搬送します。

△搬送途中のオガサワラハンミョウ

この小さな命が次世代を生み出すことを考えると、とてもワクワクしますね!!

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2021年10月09日富士登山の歴史に触れる -須山口登山歩道を歩こう!-

富士箱根伊豆国立公園 沼津 刑部美鈴

こんにちは!沼津管理官事務所の刑部です。

あっという間に夏が終わり、空に浮かぶ雲や道端に咲いている草花にも季節の移り変わりが少しずつ感じられるようになりましたね。

今年の夏は開山から閉山まで富士山にかかわってきましたが、閉山して早くも一か月がたとうとしております。今年度の富士山はコロナ禍の中、初めての取り組みもあり色々と大変な中での開山でした。

富士山開山期間の登山者数を環境省がまとめたものをHPに掲載しておりますので、興味のある方はこちらをご覧ください。(4登山道の八合目付近に赤外線による登山者カウンターを設置しています。)

さて富士山は閉山し、現在は山頂まで行くことができませんが、皆さまは須山口登山歩道をご存じでしょうか!? 詳しくはこちら(裾野市のHP)

須山浅間神社を起点として、水ヶ塚公園を通り富士山の山頂に至る昔に使われていた登山道です。須山口登山道が開かれた年代は明らかではないそうですが、12006月の「末代為証拠三ヶ村立会書付事」の文書の中に須山口登山道の存在を示した表記があるようです。

宝永四年(1707年)の噴火により、須山口五合目辺り(現在の宝永山の辺り)が噴火して登山道が崩落し、須山口登山歩道は一時途絶えたそうですが、約70年後の安永九年(1780年)には須山村の人々の努力により復旧したとのことです。

▲須山浅間神社 境内にはおよそ五百年前から存在している杉の木がいくつかあるそうです

今回は富士登山の歴史の一部を垣間見ようと、須山口登山歩道の須山浅間神社から水ヶ塚公園までの間を歩いてきました。

▲須山浅間神社付近

須山の地元の方々が平成9~11年にかけて須山口登山歩道を再興したそうで、その時につけられたと思われる須山口登山歩道という標識がきちんとしており、住宅街のなかでも迷うことなく進むことができます。

▲こんな感じで標識がきちんと出ています

昔からあったと思われる道祖神(地域や集落の境に置いて、外からやってくる疫病、悪霊など災いをなすものを遮ろうとするもの)も見られ、古道歩きや歴史の好きな方には昔の方々の生活を感じられるものがたくさんあり面白いかと思います。

▲道祖神 昔の方たちと同じものを見ているかと思うと面白いですね

住宅街や道路を歩くのはほんのわずかで八割は山道を歩きますので、登山靴のほうが安心です。

▲雲がかぶっていますが歌碑の後ろには富士山が見られます

昔の人もこの景色を見ながら歌を詠み、富士山を目指したのでしょうか。

水ヶ塚公園に向かう途中には、このような雰囲気の良い森の中を歩くところがあります。

このあたりは道も平坦なので花や植物を楽しみながら歩くことができます。

こちらは弁当場の写真

昔の人が富士山に登る途中に弁当を食べた場所かと思いそうな名前ですが、源頼朝が1193年にこの地で巻狩を行っており、貴重な湧水地の一つであり炊事場であったことからこの名前が付いたそう。まったく私の想像とは別ものでした。

後半は徐々に急な上り坂になっていきますが、案内看板を見失わないように進んでいくと水ヶ塚公園に到着します。

須山浅間神社からは約5時間程度の道のり。標高差も約900m程あります。結構しっかりした山登りですね。

なぜ富士山に昔から現代まで多くの人が惹き付けられ、様々な思いを持って登りにやってくるのか今年度富士山にたくさん登ってみて感じたそんな気持ちが、富士登山の歴史を紐解くにつれなんとなく分かるような気がします。

五合目からの富士登山を経験した方は、来年度はぜひ一度昔ながらの登山道を歩き、昔の富士登山に思いをはせてみてはいかがでしょうか?!

*今回こちらの日記を書くにあたり須山口登山歩道保存会の資料および裾野市のHPを参考にいたしました。

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2021年10月08日【小笠原】10周年記念フォトコンテスト入賞作品展示中!(母島)

小笠原国立公園 伊藤竜啓

皆様、こんにちは。

小笠原自然保護官事務所 母島事務室の伊藤です。

現在ははじま丸の船舶待合所内にて、小笠原諸島世界遺産地域登録10周年記念フォトコンテストの入賞作品を展示しております。

同時に、展示会場にてグランプリ作品選定のための人気投票も実施しております。

△展示中の写真の中から好きな一枚を選んでいただき、番号を用紙にご記入ください。

記入に使用するペンは10周年を記念した特別製となっており、投票してくださった方には一本プレゼントしております。

△会場の様子です。気軽にお立ち寄りください。

コンテストのテーマは「後世まで伝えたい小笠原の魅力」です。

約800作品応募いただいた中から厳選された40作品を展示しており、美しい小笠原諸島の魅力をあらゆる角度からとらえた写真が揃っております。

<期間>

10月5日~10月18日まで

となっており、どなたでもご来場いただけます。(入場無料!)

ぜひ期間中にお越しください。

<予告>

10月25日~11月5日の期間、父島の小笠原世界遺産センターにて同展示、人気投票を開催予定です。

展示の内容は母島会場と同じですので、そちらもお楽しみに!

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2021年10月08日秋色の尾瀬で植生保護柵を撤去

尾瀬国立公園 尾池こず江

こんにちは。片品自然保護官事務所の尾池です。

尾瀬では、10月に入り周辺の木々も徐々に色づきはじめました。

朝晩はとても寒くなり、霜が降りることもありますので防寒対策が必要になってきます。

尾瀬は四季折々、自然そのものの姿を見ることができるのが魅力です。季節ごとに様子を変える姿はどれも美しく、何度見ても飽きません。その中でも秋の尾瀬ヶ原は、草紅葉(くさもみじ)が赤や黄金色に色づき、さらに湿原にある池塘(ちとう)に浮かぶヒツジグサも彩りを添えて、夏の尾瀬とはまた違った姿を感じられます。ゆっくりと流れる時間に癒されてみてはいかがでしょうか。

▲池塘に浮かぶヒツジグサ(104日撮影)

今回は、環境省で設置している植生保護柵の撤去をしてきましたので、その様子をお伝えします。現在、尾瀬の植生をニホンジカ(以下、シカ)から守ろうと、各関係者が対策を行っています。その中で、尾瀬ヶ原では環境省が植生保護柵を3箇所設置しており、希少な植生を守っています。

尾瀬に来るシカのほとんどは、日光と行き来しており、春になると尾瀬に移動し、秋になると日光方面へ移動します。この季節移動個体はGPS首輪によるシカの行動追跡調査を実施して個体群が明らかになっています。捕獲の強化をしつつも、ここ数年では優先順位を決めて植生保護柵を設置しています。

シカは、希少な植物の芽を食べたり、掘り起こしてしまうため、雪解け頃に柵を設置して秋に撤去しています。

今年度の設置および撤去は、環境省と連携協定を締結している地元の尾瀬高等学校(以下、尾瀬高校)の皆さんと一緒行いました。

▲植生保護柵撤去の様子(105日撮影)

専門員の指導の下、班に分かれ細心の注意を払いながら行いました。

湿原という特殊な場所ですが、専門業者さんによって設置と撤去が効率良くできる仕組みになっていることと、高校生のパワーのおかげであっという間に終わりました。現地では高校生から積極的に質問をいただき、私たちも新鮮で大変勉強になりました。

最後の挨拶では、学生自ら手を上げ感想を述べ挨拶をしてくださいました。実際に植生を守ることができる体験ができ、自然環境保全について身近に感じられたものと思います。ぜひ数年後、植生の様子を見に来ていただけたら嬉しいです。

最後に・・・

ここ最近星空撮影に興味を持ち始めたので、練習で撮った1枚。

秋の夜空は空気が澄んでいて、タイミングが良ければ満天の星空を見ることができます。

▲尾瀬沼ビジターセンター付近から(913日撮影)

今年度の尾瀬シーズンは、残りわずかとなりました。お出かけの際は、各施設の情報をご確認ください。

その他尾瀬の情報はこちら

【尾瀬保護財団HP

https://www.oze-fnd.or.jp/

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2021年10月06日【小笠原】アクティブレンジャー写真展IN父島!!開催中

小笠原国立公園 坂田彩

みなさんこんにちは、小笠原の坂田です。

こちらは台風も通り過ぎ、心地よい風が吹く過ごしやすい陽気となっています。

さて、現在父島の小笠原世界遺産センターではアクティブレンジャー写真展を10月22日まで開催中です!!

関東地方環境事務所管内(佐渡島や奥多摩、日光など)で働くアクティブレンジャーが撮った写真を展示しています。

また、遺産センター内では勝手にコラボ企画やOGAレンジャー写真展も一緒に開催中!!

勝手にコラボ企画では今年新たに世界自然遺産となった奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の生き物についてご紹介!!

OGAレンジャー写真展ではOGAレンジャー(環境省小笠原自然保護官事務所で働く人々)が小笠原の生き物をご紹介!!

お近くにお越しの際は是非お立ち寄りください。

※小笠原世界遺産センターの開館予定は以下に掲載しています。

http://ogasawara-info.jp/sekaiisansenta/sekaiisansenta.html

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2021年10月04日【小笠原】妹島の巡視(後半・崖登りと島の鳥編)

小笠原国立公園 伊藤竜啓

皆様こんにちは。

小笠原自然保護官事務所 母島支所の伊藤です。

前回は妹島へ上陸した後、素敵なツルワダンと元気なシマカコソウの様子を見ました。

今回はその続きから、妹島での巡視を報告します。

素敵で元気な植物を確認した後は、ある目的のために見晴らしのよい場所を目指してさらに崖を登ります。

△砂の崖を滑り落ちないように登ります。危ないですね。

傾斜の具合が写真ではわかりにくいですが、2本足で立てない程度に足元がサラサラな急勾配で、高さは3階建の一軒家相当と例えれば恐ろしさが伝わりますでしょうか。

もちろん無理は禁物ですので、安全第一で慎重に登ります。

まだまだ道のりは続きます。

△道がないときは枝の中に潜っていきます。強引ですね。

道なき道を進むときは、地形や植物を極力傷つけないように気をつけましょう。

さて、なんとか見晴らしのよい場所にたどり着くことができました。

△母島が見える崖の上です。見晴らしがよいですね。

見晴らしのよい場所を目指した目的は、「オガサワラカワラヒワ」という鳥が島にやってきていないか張り込むためです。

最近は母島列島と南硫黄島でしか姿が確認されていない希少な鳥で、絶滅のおそれがあるため環境省でも保護増殖事業を行っております。

この張り込みもその一環で、今回妹島へ来た目的のひとつでもあります。

場所を少しずつ変えながらしばらく見張りを続けましたが、この日オガサワラカワラヒワを見ることはできませんでした...。

△こちらが今回出会えなかったオガサワラカワラヒワです。かわいいですね。

実はこの日、オガサワラカワラヒワに似た鳴き声が森のほうから聞こえたのですが、「イソヒヨドリ」という別の鳥がオガサワラカワラヒワの声真似をすることがあるようで、今回聞こえたのはそちらだろうということになりました。

それでも、「オガサワラカワラヒワの声真似ができるイソヒヨドリ」が妹島にいるということは、きっとオガサワラカワラヒワも近くに来たことがあるはず...と期待したいです。

余談ですがこのイソヒヨドリ、他にもウグイスやカエルなど、色んな生き物の鳴き声を真似ることもできるそうです。たいしたものですね。

巡視も終盤です。

張り込みを終え、諦め切れずにオガサワラカワラヒワを探しながら帰り道を歩いていると珍しいものを見つけました。

△カツオドリの親子です。素敵な光景ですね。

少し離れた崖に登り、手持ちのカメラで限界までズームしました。

真っ白な羽毛が保護色になって見えづらいですが、幼鳥の姿も映っていますね。

野鳥の営巣地を見つけてもむやみに近づかず、刺激しないように遠くから見守りましょう。

今回は妹島の巡視記録を前編と後編に分けてお伝えしました。

無人島に残された貴重な環境はこれからも大事にしていきたいですね。

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