2021年12月
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2021年12月07日【小笠原】あっ、カラスバト!いいえ、カラスです
小笠原国立公園 鈴木尚之
こんにちは、小笠原の鈴木です。
最近は天気の良い日がなかなか訪れず、外で作業できない日が続いています。
昨日(12/6)も、相変わらずの雨模様だったので屋外での作業はなくなり、事務所でデスクワークをしていたのですが、
郵便物を出しに行き、事務所に戻ってくると近くにある教会の芝生から黒い影が2羽飛び出しました。
変なアカガシラカラスバトだな、と思いながら飛んでいった方向を見るとなんとミヤマガラスが!
△電線にとまるミヤマガラス
小笠原にはカラスは生息しておらず、カラスっぽい生き物と言えば固有種のアカガシラカラスバトだけです。
アカガシラカラスバトも最近になって比較的簡単に見られるようになった希少な固有種ですが、カラスは渡ってこないと見ることが出来ないので激レアです。
△アカガシラカラスバト
先週は母島でも見られていたとのことなので、もしかすると母島から飛んできた個体かもしれません。小笠原諸島への定着は確認されていないので、また少しするとどこか別の島へと渡っていくのでしょう。
そう考えると、島に定着して繁栄している生き物って稀有な存在なんだなあ、としみじみと思ったりします。
今は冬の渡りの時期。皆さんの身近にも珍しい鳥が潜んでいるかもしれません。
気が向いたら探してみてください。
小笠原 鈴木
2021年12月03日尾瀬でホッと一息、道行沢
尾瀬国立公園 前川公彦
みなさん、こんにちは。
檜枝岐自然保護官事務所の前川です。
尾瀬には400年も前から利用されてきた古道が残っています。この古道は檜枝岐では沼田街道と呼ばれ、かつては会津と上州を結び、馬に荷物を載せて運んだ交易路でした。戊辰戦争の時には新政府軍をむかえ撃つため、300名もの会津藩士がこの街道を通って、群馬県の戸倉まで進軍し、交戦したということです。夏は沼山峠まで車で入ることができたので歩く機会がなかったのですが、シャトルバスも冬期休業に入りましたので、沼山峠から檜枝岐村の外れにある七入まで歩いてみました。
沼田街道は沼山峠から車道と別れ、森の中に入っていきました。長く街道として使われてきただけあって人が通るには十分に広く、草や石などの障害物もなくて歩きやすい道です。斜面に設置された木道は苔むしていました。
道行沢の入口 苔むした木道
歩き始めてすぐに抱返ノ滝(だきかえりのたき)に出会いました。今の時期の水量はあまり多くないのですが、それでも落差25mの高さから落ちている滝は壮観でした。抱返ノ滝から落ちた水を集めて小川が流れ始めました、これが道行沢(みちぎさわ)です。簡単にまたげそうな川幅の小さな流れで、森の中をゆるやかに流れていました。この時期は落葉のために森の中は見通しがきき、林床は川縁まで枯れ葉で覆い尽くされています。沼田街道は道行沢の脇に作られているので、水辺に降り立って沢の水を手に触れることができます。
抱返ノ滝 道行沢の流れ
沼田街道は道行沢に沿って、つかず離れずに下っていきました。たまに沢を横切るための橋が架かっていましたが、古くてどっしりした造りで、道標も親切でした。あとで村の人に聞いたところ、「さんばんきょう」と読むとのことでした。道行沢は小さな流れですが、途中で覆水することもなく流れが続いていて、沢を維持している森の豊かさを感じさせます。
道行沢にかかる三番橋と道標
尾瀬檜枝岐温泉観光協会が出している「巨木MAP」というパンフレットがあります(片品村でも大清水から市ノ瀬までの旧道の巨木MAPについて現在作成中です)。そこには沼山峠から七入までの沼田街道沿いで見られる巨木が地図上に示され、1本ずつの樹種や直径、樹高について書かれています。このパンフレット1枚あれば、沼山峠から七入までの沼田街道を迷うことなく歩けるばかりでなく、38本もの巨木についての情報を得ることができますので、もし道行沢を歩かれる場合はご持参していただくことをお勧めします。
巨木MAPの表紙と内容(尾瀬檜枝岐温泉観光協会発行)
下の写真は第31番目のブナの巨木です。巨木の番号は沼山峠側から順に1番から38番まで振られているので、もうだいぶ下まで降ってきたことになります。この付近はブナ平という地名の場所があるくらいブナの多い場所ですが、ひときわ大きさが目立つブナでした。静かな森の中を歩いていると、次々と出会う巨木には重みが感じられ、自然の中にいる自分の心が軽やかになります。
第31番目の巨木ブナ 巨木の標識
道行沢最後の橋に着きました。道行沢は相変わらず緩やかに流れています。川辺にはある程度の大きさの石もありますが、全体が箱庭のような「優しい」感じを受け、道行沢を歩く時の安心感を生み出しているように思いました。今まで檜枝岐で道行沢という名前は何度か聞いたことがあったのですが、それを語る人はきっとこのような風景を思い描きながら口にしていたのだろうなと思いました。大切なのは知識ではなく、実際に自分で行ってみて感じることです。
道行沢最後の橋 ブナ林の終わり
歩いている途中、真っ黒な物質が落ちていました。最初はクマのフンかなと思ったのですが、良く見ると落ち葉の間からたまたま顔を出していた土でした。ただ、クマのフンと間違えるほど真っ黒な土で、良くは分かりませんが、この道行沢流域が大変豊かな土壌であることの証拠かなと思いました。森から出ると晴れやかな秋空が広がっていました。
落ち葉の下の土の色 森から出て見た秋の空
2021年12月03日アクティブ・レンジャー写真展inプラサヴェルデ<沼津エリア>
富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子
みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。
今日の富士山は麓の方まで真っ白です。頭の方だけ白い富士山も好きですが、真っ白の富士山も迫力があって美しいです。あっという間に12月ですね。今年やり残した事はないですか?私はカレンダーに予定を書き込みながらやり残しがないように年明けを迎えたいと思います。
今回は、本日12月3日(金)より沼津エリアにて開催している"環境省 アクティブ・レンジャー写真展inプラサヴェルデ"のご案内をしたいと思います。
関東地方環境事務所管内には、6つの国立公園、15の国指定鳥獣保護区があります。それらの地区に配置された環境省職員「アクティブ・レンジャー」が日々の業務で撮影した一枚をご紹介します。
会場には、各アクティブ・レンジャーの選りすぐり一枚が展示してあります。写真以外にも「アクティブ・レンジャーとはどんな仕事をしているのか?」紹介したパネルや、写真を撮影したアクティブ・レンジャーの紹介などもありますので、併せて見ていただき、国立公園の事やアクティブ・レンジャーについて少しでも知っていただければと思います。
【 プラサヴェルデ外観 】
会場は、沼津駅の北口から直結していますので、駅利用の際や、会場内でのイベントのお帰りの際、また年末年始(12/29~12/31は休館)に沼津周辺に帰省や旅行を予定されている方は、寄り道していただけると嬉しいです。
展示スペースのエントランスギャラリーは、ガラス張りで外からも見えます。開放的な空間は美術館を思わせる雰囲気があり素敵です。会場5階には屋上庭園とテラス席があり、天気が良ければ愛鷹山塊の後ろに富士山を見ることが出来て気持ちいい場所です。
【 プラサヴェルデ屋上庭園様子 】
開催場所/開催期間
<場 所>
プラサヴェルデ(キラメッセぬまづ1階)エントランスギャラリー(静岡県沼津市大手町1-1-4)
<期 間>
12月3日(金) ~1月6日(木)午前9時~午後10時
(休館日12月14日、12月29日~12月31日)
【 会場の様子 】
沼津管理官事務所からは、富士山の麓に広がる豊かな森と、春の天城山で芽吹き始めたブナと桜の共演の2点を展示しています。
【 足下に広がる世界 撮影:刑部 】
【 祝祭 撮影:山田 】
普段から頻繁に国立公園内の巡視をするアクティブ・レンジャーならではの珠玉の一枚をぜひ会場でご覧になって下さい。お待ちしております。
▼キラメッセぬまづアクセス方法
https://www.plazaverde.jp/access/
▼開催案内
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
今年度もアクティブ・レンジャー写真展が開催されています。すでに南アルプスエリアは7月に開催が終了していますが、今月は静岡県沼津市、栃木県那須郡那須町にて開催中です!
詳しくはこちら!
今回は私が今年度のアクティブ・レンジャー写真展で展示している2枚の写真の紹介をしたいと思います。
◆ 足を伸ばして
撮影日 :令和2年8月27日
撮影場所 :仙丈ヶ岳(長野県伊那市)
キャプション:仙丈ヶ岳の南にある、大仙丈ヶ岳。静かな時間を過ごせる穴場スポットです
南アルプス国立公園の中で「3,000メートル級で日帰り登山ができる初心者向けの山」として知られる仙丈ヶ岳。なんですが!仙丈ヶ岳山頂を仙塩尾根に向かって歩くと見えてくるのが、この写真の主役、大仙丈ヶ岳です。¨大¨と付いているのに、仙丈ヶ岳より少し標高が低い大仙丈ヶ岳ですが、山頂が登山者で賑わう仙丈ヶ岳と違って、静かな南アルプスを楽しむことが出来ます。また、山頂からは日本高峰第1位の富士山、2位の北岳、3位の間ノ岳を一望できます!大仙丈ヶ岳だけじゃ物足りない!という方はテントや小屋泊まり装備を持って、仙塩尾根をじっくり歩くのもおすすめです。ぜひ「足を伸ばして」、大仙丈ヶ岳まで歩いていただきたいです♪
◆ 冬に向かって
撮影日 :令和2年10月29日
撮影場所 :薬師岳(山梨県韮崎市)
キャプション:葉が色づき、落葉し、山が白くなる。冬支度が始まります
撮影日の夜、向こうの北岳から降雪した雪がこちらまで舞ってきました。この時期の高山はきりっとした寒さがあり、空気が澄み、普段の景色がより一層綺麗に見えるような気がします。3,000メートルあたりは雪、2,000メートルあたりは紅葉。標高の差でこんなに違う景色が見られることも山ならではですよね。秋と冬を一緒に感じることが出来ました。
アクティブ・レンジャー写真展では、文字の見やすさなどを考慮して30文字程度の説明文がありますが、写真への想いやエピソードを30文字に集約するのは難しいです。この日記を通して、想いやエピソードを知っていただけると嬉しいです。
文頭にもあります通り、南アルプスエリアでのアクティブ・レンジャー写真展は終了していますが、南アルプス自然保護官事務所では「南アルプス国立公園写真展」を開催しています。来年は1月に南アルプス市芦安地区で開催予定です。アクティブ・レンジャー日記にて、またお知らせしますのでお楽しみに!