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きのこエッセイ「花盛りの森」
先月の奥日光は、花盛りの森と言いたいくらい色取り取りのきのこがでていました。
黄金色で誘うタモギタケ(右)は、ハルニレの腐朽菌です。
半透明のバラ色の滴を垂らす蠱惑的なホシアンズタケ(左下)も同じくハルニレからでています。このきのこは、最初、北海道で発見され北海道の特産種と考えられていたようでしたが、その後本州のいくつかの場所で確認されるようになったといいます。
雄大なハルニレの枯木に、これらの北方でよくみかけるきのこがでていると、奥日光はやはり関東とは違った風光と感じます。
右下はサーモン色のマスタケです。南会津地方の檜枝岐村では、アカタケといって食用として好まれているきのこのようです。私も10年ほど前、利尻島でとったものをカレーにして食べようとしたことがありました。
ボリュームのある朱色が大株からどっさり生えていて、大喜びしてカレーを作ったのですが、作品はぼそぼそして、結局中の具を食べずにしてしまった思い出があります。少し時間のたった古いもののようでした。
左下は、どこか無防備な鮮黄色のキイロスッポンタケです。普通、頭部についている悪臭を放つグレバ(胞子がついた暗色の粘液)も、雨に洗われたためか、流されて、東部の黄色がきれいに露出していました。
森の奥では、人知れず、きのこが、様々なパフォーマンスを繰り広げています。
今月号は、単純にきのこの色彩の競演を楽しむことにしたいと思います。
小沢晴司 記