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【開催報告】「知ろう・やろう・始めよう 環境教育」環境教育基礎講座inしずおか
2007.10.22 関東地方環境事務所
関東地方環境事務所では、“「知ろう・やろう・始めよう 環境教育」”と題して、環境教育リーダー研修基礎講座を去る10月3日~5日の日程で、雄大な富士山麓の「国立青少年交流の家」(静岡県御殿場市)[国立中央青少年交流の家ホームページへ]において開催しました。
環境教育基礎講座は、環境教育・環境学習を推進する人材を育成するため、基本的知識の習得と体験学習を重視した研修を行い、指導者としての能力を育成するとともに、参加者相互の交流によりパートナーシップ構築を図ることを目的に、環境省と文部科学省の共催により全国7地区の地方環境事務所が開催県・教育委員会の協力の下、実施しているものです。
以下、関東地方環境事務所が開催しました内容の一部を御紹介します。
第1日目
アイスブレイク
講師:NPO法人ホールアース研究所スタッフ [ホールアース研究所ホームページへ]

「アイスブレイク」とは、その名のとおり氷を打ち砕くという意味で、ミニゲームなどをとおして、初対面である参加者同士の緊張感をほぐすものです。
ミニゲームの中で、二人で向かい合わせに座っている状態で、両手をつなぎ、立ち上がるというものがありました。
二人ではうまく立ち上がれますが、三人、四人となるとタイミングを合わせないと立ち上がれません。チームワークが要求されます。
基調講演 環境教育・環境学習概論
講師:川嶋 直 氏 キープ協会常任理事 [キープ協会ホームページへ]

キープ協会常任理事 川嶋 直 氏から「「環境教育」とは何か?」の基調講演をいただきました。
- 教育とは(伝えるということ)
- 「言った」と「伝わった」は大違い。「言ったかどうか」より「伝わったかどうか」が大切。
- 環境教育とは
- 意識改革を促すのが環境教育。人を育てていくことが必要。自分が環境教育の全てを担うと思わない方が良い。全体を見た上で、その一部をやっていくという認識が必要。
- インタープリテーションとは何か
- インタープリテーションの本来の意味は「通訳」「翻訳」自然(歴史・文化)と人との通訳。見えるものをとおして、見えないもの(CO2、時間:未来・過去など)を伝える。
インタープリターとは[EICネットへ] - 何故「自然体験」が大事なのか
- 自然をイメージする姿は人によって違う。「温度」も「匂い」も「痛み」も分からない。知っているつもりの自然想像の中での価値となってしまう。
第2日目
環境教育プログラム体験(フィールドワーク)
講師:NPO法人ホールアース研究所スタッフ

富士山麓にある「まなびの森」[住友林業株式会社まなびの森ホームページへ]にて、自然体験型環境教育のプログラムの体験をしました。
写真の建物は、環境活動拠点施設の「まなびの森フォレストアーク」です。屋根の太陽光発電パネルや風力発電、太陽光集光機を利用した屋内照明、バイオマストイレの設置、雨水の利用など、富士山に相応しい環境に配慮した施設となっています。

フィールドワークでは、3つのグループに分かれて森を探索し、視て、触れて、感じたことを参加者で、共有しました。
標高が1,100m近くにもあるこの森で、多くの動植物が息づいていることが発見できました。

木の幹が緑に染まっています。これは、コケとかの地衣類が幹に張り付いているものです。
この辺りの森では、霧が立ちこめることが多く、多湿な環境に生息するコケが幹にもいます。

この辺りで「主」と呼ばれている「ケヤキ」の木です。写真には写ってませんが、もう一本、隣に同じように立っています。
通常「ケヤキ」は、このように枝が分かれることはなく、昔、切られるか、折れたかにより切り株から成長し、長い年月を経て、このような姿になったとのことです。
また、活火山である富士山麓の表土(腐葉土)は大変薄く、表土のすぐ下は岩だそうです。
第3日目
環境教育・環境学習プログラムの体験
講師:NPO法人ホールアース研究所スタッフ
研修も本日が最終日です。3つのプログムからの選択です。
[1]のプログラム プロジェクトワイルド(学校で使えるプログラムの体験)

これは、生物の生息地の構成要素を輪になって、表したものです。
参加者が「水」「食物」「隠れ家」「生息地」いずれかの役割を持ち、それをバランスよく配置後、一つの円なって後ろの人の膝に座ります。それぞれが役割を担っており、輪から抜けていってしまうと、輪が崩れてしまいます。
それぞれが支え合って生息地が維持されており、一つでも欠けてしまうと、生息地が維持できないということが分かります。
[2]のプログラム グループワーク(リーダーシップを学ぶトレーニング)

これは、参加者同士で協力し合いながら課題を達成する課程を通じて、グループにおける自身の行動や発言を知り、グループにおける自身の役割を知る上で、リーダーシップのあり方や形に気づいてプログラムです。
グループで目隠しをしたまま、ロープを手にし、声を掛け合いながら、四角形や三角形を形作っていきます。
「声が大きい」、「自信を持ってはっきり発言する」ということだけでは、問題解決には繋がりません。
[3]のプログラム 使える小道具アイデア集づくり

自然体験の中では、使えるいろいろな小道具があると便利です。
例えば、写真の右下にある水色の風船みたいなものは雨粒を約50倍に拡大した模型です。
私たちが、虫くらいに小さくなると、雨粒がこんなにも大きく感じるものなのです。

この他にも、「伝わる技術」、「伝わるワーク」としてインタープリテーション論の実践事例の発表や、参加者の活動発表・交流会などが行われ、あっというまの3日間でした。

今回の研修には、関東地域に勤務や居住されている一般市民や学校教員等、約60名の参加をいただきました。
参加者間や参加者と講師間との交流も活発に行われ、「地域での活動の仲間づくりができた」、「次回も参加したい」、「内容が予想以上だった」、「基礎講座の次はぜひ中級講座を!」等、好意的なご意見を多数いただきました。
来年度においても、内容の充実に努め開催を予定していますので、皆様の参加をお待ちしております。
詳細は、関東地方環境事務所ホームページまたは、環境省「環境教育・環境学習、環境保全活動のページ」[環境省ホームページへ]にてお知らせいたします。
お問い合わせ先
関東地方環境事務所
環境対策課 寺西、長沢
TEL:048-600-0815