報道発表資料
- 報道発表
(お知らせ)飼育ケージにおけるトキの飼育再開について
平成28年1月12日(火)
関東地方環境事務所
所 長 上杉 哲郎
野生生物課長 荒牧 まりさ
(℡:048-600-0817)
佐渡自然保護官事務所
首席自然保護官 広野 行男
(℡:0259-22-3372)
佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションにおける飼育ケージについては、平成27年2月から4月にかけて同ケージ内で発生した4羽のトキの死亡事故を受け、ネット追加等の事故防止対策を実施しました。 |
移動した個体
No.471、473、482、487、494(いずれもオス、2014年生まれ)の5羽で、第14回放鳥以降の訓練候補個体です。
<参考>
1 飼育ケージについて
佐渡トキ保護センター及び分散飼育地で繁殖したトキの個体について、放鳥の順化訓練を行うまでの一定期
間、より安全かつ健康な状態で飼育を行うため、佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション敷地内に設置
(平成26年10月末竣工)。
(1)位置
新潟県佐渡市新穂正明寺1277番地(佐渡トキ保護センター野生復帰ステーション内)
(2)規模・仕様等
建築面積A=621.22㎡、高さH=9.0m、鉄骨構造・金網張・八角錐構造
(3)工事期間
設計:平成25年6月~平成25年10月
工事:平成25年12月~平成26年10月
2 飼育ケージにおけるトキの死亡事故発生状況等
(1)経過状況
<平成26年>
10月29日 飼育ケージ竣工
11月 7日 飼育ケージにトキ17羽(オス8羽、メス9羽)を移動
11月11日 飼育ケージにトキ7羽(オス4羽、メス3羽)を移動、計24羽を飼育
<平成27年>
2月25日 全羽飛翔しトキ同士が衝突、落下の衝撃でオス1羽(№490)が死亡
3月 3日 全羽飛翔しトキ同士が衝突、その衝撃でメス1羽(№440)が死亡
3月 4日 22羽全羽を捕獲、応急的な事故防止対策を実施し、15羽を戻す
3月12日 全羽飛翔し1羽がネットに衝突、落下の衝撃でメス1羽(№445)が死亡
4月14日 全羽飛翔しトキ同士が衝突、落下の衝撃でオス1羽(№499)が死亡
4月16日 全羽を捕獲し、別のケージに移動
(2)事故発生要因
2月下旬頃から、飼育ケージ内のトキがパニック状態で全羽飛翔する頻度が増加し、2月25日から4月14日
にかけて発生した4例の死亡事故は、いずれも飛翔中のトキ同士の衝突による落下等の衝撃、または、ネット
への衝突による落下の衝撃が直接の死亡原因となっている。
飛翔する要因としては、モニターカメラによる個体観察による飼育日誌等の記録から鳥類の接近(カラス、
猛禽類等)及び物音(航空機、外のトキの鳴き声、雷、落雪、霰等)等、様々な要因が関与している。
また、同ケージへトキを移動してから3ヵ月以上が経過した後に死亡事故が発生しており、個体の飛翔力が
ついていたことが衝突時の衝撃の強さに作用した可能性が考えられる。
3 事故防止対策の検討及び実施について
(1)事故防止対策の検討
平成27年8月7日、飼育の専門家等による事故防止対策に関する現地ヒアリングを実施し、対策方法につい
て検討を行った。
(2)事故防止対策の実施内容
検討をふまえ、トキの行動や習性等を考慮した事故防止対策とし、「パニック飛翔の防止」、「飛翔速度の
抑制」、「落下時の衝撃緩和」を目的に、下表のとおり実施。
No. |
主な対策 |
概 要 |
① |
ポリカーボネイト板への着色 |
ケージ内部から全方向に視界が通じている状態が、様々な外部の刺激によりパニック飛翔を招く原因になっていると見受けられることから、ケージ側面及び屋根の一部に設置されているポリカ板(無色透明)に着色し外部の刺激を遮蔽する。 |
② |
ケージ側面への葦簀設置 |
目的と効果については、①「ポリカーボネイト板への着色」に同じ。 |
③ |
ケージ中央部へのネット追加 |
高速での旋回飛翔を確実に抑制することを目的に、ケージ中央部(入口から正面奥に向かっての中央線沿い)にネットを追加し、ケージの内部空間を2分割する。 |
④ |
天井ネットの高さ調整等 |
飛翔速度の抑制、衝突落下時の衝撃の抑制を目的に、ケージ天井部のネット高さを全体として5m程度に下げ、地面に落ち葉等の緩衝物を敷設する。 |
⑤ |
止まり木(横木)の設置位置の調整 |
飛翔したトキが、止まり木(横木)により止まりやすくなるよう、位置、方向の調整を行う。 |