ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2022年6月 3日

2件の記事があります。

2022年06月03日【小笠原】小笠原で進化していく植物

小笠原国立公園 坂田彩

みなさんこんにちは、小笠原の坂田です。

今年度に入って早いもので6月になってしまいました。

私が小笠原にARとして着任してからもう3年目に突入しています。

今年度も小笠原の魅力をたくさんお伝えできればと思っています!!

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【兄島の美しい乾性低木林と見返山】

さて、みなさんもご存じのように、小笠原は海に山に、たくさんの自然があります!!

小さな島々ですが、それぞれの島で環境が違ったり、同じ島の中でも環境に違いがあったりと、生き物たちが環境に合わせて進化を遂げている場所です。

その中でも私が仕事・プライベートともによく写真を撮ることが多いのが植物です。

父島にはムラサキシキブの仲間がいますが、元々は同じ種だったものが長い年月をかけてその場所の環境に合わせて以下の3種に変化しています。

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【左:シマムラサキ 右上:オオバシマムラサキ 右下:ウラジロコムラサキ】

今回はそのうちの1つをご紹介したいと思います。

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【ウラジロコムラサキ】小笠原諸島固有種

保全状況:絶滅危惧ⅠB類(環境省第4次レッドリスト) 

分類:クマツヅラ科 生息地:父島・兄島 

乾いた岩地を好み、葉は少し厚めでしっかりしていて、枝や葉に毛があるのが特徴です。花期は6月くらいでピンク色の小さなかわいい花を咲かせます。ノヤギやネズミの食害もあり、自生株が減少したともいわれ、国内希少野生動植物種にも指定されています。

種から新しい芽(実生)が出てきてもなかなか大きくなるまで育たないことが多いので、保護増殖事業も取り組まれています。

【兄島のウラジロコムラサキの実の時期】

父島では自生株が少ないウラジロコムラサキですが、お隣の兄島では花をつけるサイズの株も多く、実の時期になると鈴なりの実を見ることもできます!!

【ウラジロコムラサキの実生】

進化していく中でウラジロコムラサキが選んだ場所ではありますが、乾いた岩地は実生が育つには過酷な環境なのかもしれないですね・・・。

しかし、そんな中でも実生が育っている場所もあるので、花が咲くくらいまで大きく育っていってくれるように、今後も見守っていきたいと思います。

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2022年06月03日巣立ちの季節です!

佐渡 右田京子

皆さん、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の右田です。

事務所近くの田んぼの畦にはトビシマカンゾウの花が咲き、初夏の景色が広がっています。

【田んぼの畦に咲くトビシマカンゾウ】

そして今年も野生下でトキのヒナが誕生し、巣立ちの季節となりました。

例年1月頃から求愛行動を行いつがいを形成して、2月頃から巣を作り始めます。3月頃には卵を産み、約28日でふ化、約40日で巣立ちを迎えます。

今年は5月26日に初巣立ちを確認しました。

【立ち上がって羽ばたきの練習をするヒナ】

現在、ふ化からおおよそ18日~25日経過したヒナに足環装着を行っているところです。

トキの捕獲は種の保存法や文化財保護法で規制されていますが、種の保存法に基づくトキ保護増殖事業の追跡調査のために足環装着を行います。足環装着によって、個体ごとの生存状況や繁殖状況を確認し、トキの野生復帰を進める際に重要な情報として活用しています。

【足環装着の様子】

足環装着作業の詳細については、過去のアクティブレンジャー日記でも投稿していますのでご覧ください。

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]_足環装着って何? (env.go.jp)

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]_野生下のトキのヒナへの足環(あしわ)装着 (env.go.jp)

そんな喜ばしい誕生の季節ですが、自然の厳しさを痛感することも多々あります。ふ化前に抱卵をやめてしまったり、天敵にヒナが捕食されたりと、子育てが順調にいかない場合もあります。ヒナへの足環装着もなかなか思うようにはいきません。

足環装着はタイミングが重要です。ヒナが小さすぎると足環をつけるのに十分な足の長さに達していない場合や、大きすぎると活発に動くため巣から落ちてしまう危険があります。このため、足環装着はふ化からおおよそ18日~25日の間に行っています。

そこで日々のモニタリング調査をしっかり行い、ヒナの日齢を把握しておく必要があるのです。

佐渡トキ保護センターの獣医師に日齢を見極めるポイントを改めて伺ったところ、一番わかりやすい判断基準は、羽軸から出る羽の房の大きさの違いとのことでした。

私たちはモニタリング調査で営巣状況を確認しながら、ヒナの大きさ、羽の状態や顔の色、行動などを見て確認しています。また、野外で撮影した映像を獣医師に見てもらい、判断を仰いだり、過去の映像と見比べながら日齢を判断していきます。

【足環装着時期のヒナの羽の様子】

※トキの繁殖に影響を与えないよう、できるだけ離れ、原則として車内からの観察、撮影を行っています。

現時点では、17羽のヒナに足環装着を行っています。

これからこのヒナたちが無事に巣立ち、幼鳥から成鳥となって命を繋いでいく日を楽しみにしつつ、地域の方々と見守っていきたいと思います。

【巣立ち前の家族団らん】

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