報道発表資料
- 報道発表
平成29年夏期の富士山登山者数について(お知らせ)
平成29年9月28日(木)
環境省関東地方環境事務所 箱根自然環境事務所
所長:澤 邦之
Tel:0460-84-6920
沼津自然保護官:成田 智史
Tel:055-931-3261
富士五湖自然保護官:仁田 晃司
Tel:0555-72-0353
環境省では、富士山の登山者数を把握するため、平成17年から各登山道の8合目付近に赤外線カウンターを設置して登山者数調査を実施しています。
富士山8合目における平成29年開山日(吉田ルート:7月1日、須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルート:7月10日)から9月10日までの登山者数の合計は約28.5万人でした(前年同時期との比較で約3.9万人の増)。
1.調査の背景
環境省では、平成17年から富士山山頂部への登山者数を把握し、国立公園の適正な利用の推進に資するため、4つの登山道(吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート及び富士宮ルート)のそれぞれ8合目付近に赤外線カウンターを設置することにより、登山者数調査を実施しています。
富士山の開山日については平成26年に山梨県側が7月1日、静岡県側が7月10日とされ、閉山日については平成28年から両県で9月10日に統一されたことから、今年度から調査期間を開山日から閉山日までとしました。
なお、今般の調査期間の変更に伴い、開山日が決められた平成26年から平成28年までの登山者数についても、開山日から閉山日までの値に修正しています。
※平成16年までは山梨県による登山口の車両数や吉田口登山道6合目での通過者数調査等から推計
2.今年の集計結果
(1)富士山の登山者数及び登山道別の登山者数
今回開山日(吉田ルート:7月1日、須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルート:7月10日)から9月10日の富士山8合目における登山者数の合計は約28.5万人であり、前年の同期間と比較して約3.9万人増加しました(前年比+16%)。
表1:富士山の登山者数の推移(PDF 208KB)
図1:富士山の全登山者及び各登山道別登山者数の推移(PDF 286KB)
(2)日別登山者数の推移
今回調査期間(各登山道開山日~9月10日)における各登山道の日別登山者数及び旬別登山者数は、以下のとおりです。なお、4登山道の登山者数の合計が、調査期間において最大だった日は8月13日(日)の8,201人(昨年は7月30日(土):7,762人)でした。
※今回の調査期間の日別データについては、環境省富士箱根伊豆国立公園のホームページ(次のアドレス)で公開しています。https://www.env.go.jp/park/fujihakone/data/fuji_tozansha.html
表2:富士山の旬別登山者数
7月 |
8月 |
9月 |
|||||
初旬※3 |
中旬 |
下旬 |
初旬 |
中旬 |
下旬 |
初旬 |
|
吉田ルート |
16,718 |
20,068 |
28,705 |
24,648 |
32,844 |
27,626 |
22,048 |
須走ルート |
207 |
3,608 |
3,772 |
3,641 |
4,520 |
4,293 |
3,434 |
御殿場ルート |
85 |
2,372 |
3,991 |
3,378 |
3,518 |
3,716 |
1,351 |
富士宮ルート |
466 |
7,797 |
14,197 |
10,736 |
15,509 |
11,996 |
9,618 |
合計 |
17,476 |
33,845 |
50,665 |
42,403 |
56,391 |
47,631 |
36,451 |
※1:括弧内は前年比。小数点以下四捨五入
※2:初旬(1日~10日)、中旬(11日~20日)、下旬(21日~31日)
※3:7月初旬 吉田ルート:7月1日~10日、須走、御殿場、富士宮ルート:7月10日のみ
表3:今年(平成29年)・昨年(平成28年)の開山期間中の1日あたりの登山者数が多かった日
(全登山ルート合計上位5日)
平成29年 |
平成28年 |
|||
登山者数 |
日 付 |
登山者数 |
日 付 |
|
1 |
8,201 |
8月13日(日) |
7,762 |
7月30日(土) |
2 |
7,608 |
8月5日(土) |
7,596 |
8月6日(土) |
3 |
7,553 |
8月12日(土) |
7,406 |
8月13日(土) |
4 |
7,327 |
8月26日(土) |
7,340 |
8月12日(金) |
5 |
7,143 |
7月15日(土) |
7,132 |
9月3日(土) |
表4:今年(平成29年)・昨年(平成28年)の開山期間中の登山道別の最大カウント数
登山道 |
平成29年 |
平成28年 |
||
最大カウント数(人) |
最大カウントした日付 |
最大カウント数(人) |
最大カウントした日付 |
|
吉田ルート |
4,544 |
8月12日(土) |
4,585 |
7月30日(土) |
須走ルート |
791 |
7月16日(日) |
950 |
8月13日(土) |
御殿場ルート |
1,020 |
8月6日(日) |
557 |
7月17日(日) |
富士宮ルート |
2,656 |
8月13日(日) |
2,107 |
8月13日(土) |
(3)時間帯別登山者数の推移
特に吉田ルートでは、時間によって登山者数の変動が激しく、朝9時前後(※1)、夕方15時から17時ごろ(※2)、深夜23時から25時ごろ(※3)の3つの時間帯に多くの登山者が8合目を通過していることが確認されます。
※1:朝のピークは、主に8合目より下の山小屋で宿泊した登山者や、早朝からの日帰り登山者であると推測されます
※2:夕方のピークは、主に8合目以上の山小屋で宿泊する登山者であると推測されます
※3:深夜のピークは、主に山頂で御来光を見る予定の登山者であると推測されます
(4)休日及び平日の登山者数
今回の開山期間における土日祝日及び平日の登山者数平均は、休日5,956人、平日3,323人でした。
表5:富士山の休日および平日の登山者数平均
|
平成29年 |
平成28年 |
||
平日 |
土日祝日(平日比) |
平日 |
土日祝日(平日比) |
|
合 計 |
3,323 |
5,956 (179%) |
2,832 |
5,237 (185%) |
吉田ルート |
1,983 |
3,227 (163%) |
1,697 |
2,993 (176%) |
須走ルート |
276 |
580 (210%) |
236 |
506 (214%) |
御殿場ルート |
227 |
432 (190%) |
185 |
369 (199%) |
富士宮ルート |
837 |
1,717 (205%) |
714 |
1,368 (192%) |
※:登山者数平均、平日比の小数点以下は四捨五入
3.調査方法概要(従来と同様)
(1)カウンター設置位置
全ての登山口からの利用者を把握するため、山小屋の協力を得てカウンターを4登山道のそれぞれ8合目付近に設置しました。協力頂いた山小屋は以下のとおりです。
- 吉田ルート :太子舘
- 須走ルート :見晴館
- 御殿場ルート :砂走館※
- 富士宮ルート :池田館
位置図は環境省富士箱根伊豆国立公園のホームページ(次のアドレス)で公開しています。
https://www.env.go.jp/park/fujihakone/data/files/counter.pdf
※:御殿場ルートでは、昨年まで赤岩八合館にカウンターを設置していましたが、霧の影響を受けやすい場所であったため、本年から砂走館へ設置場所を変更しております。
(2)計測機器について
設置したカウンターは、赤外線反射を利用してセンサーにより通過人数をカウントする仕組みです。日時、方向(上り下りを識別)が記録され、日ごとの登山者数等を把握することができます。
(3)データの欠測について
豪雨の発生や台風の接近時には、カウンターを一時的に山小屋に撤去しているため、データが一部欠測している場合があります。今回の調査期間のデータ欠測は以下のとおり。
登山道 |
欠 測 期 間 |
理 由 |
須走ルート |
8月 7日18:14~8月8日07:48 |
台風接近のため撤去 |
御殿場ルート |
8月 7日19:05~8月9日10:38 9月 6日00:00~閉山日00:00 |
台風接近のため撤去 カウンター不具合により欠測 |
(4)カウンターの数値と補正
濃い霧が発生した場合、カウンターが誤作動することが確認されています。そのため、1秒以内に連続カウントしている場合は、霧による誤作動とみなし排除するという補正を行っています。
4.その他
過去の発表資料及び日別データについては、環境省富士箱根伊豆国立公園のホームページ(以下のアドレス)で公開しています。
http://www..env.go.jp/park/fujihakone/data/fuji_tozansha.html
ただし、集計期間や集計方法を修正するなど、年度によって数値が異なる場合があります。統計の数値を用いる場合は、最新統計を確認してください。
(お願い)夏山期間以外の富士登山にあたって
夏山期間以外は、登山道は通行止めとなっています。しかしながら、毎年、積雪期における登山がなされ、山岳遭難事故が数多く発生し、死傷者、行方不明者が出ております。
特に、気象条件の厳しい積雪期の富士登山については、猛烈な突風や吹雪に見舞われることが多く、山岳遭難のリスクが極めて高く大変危険です。七合目以上では、突風による転倒やアイスバーンでの滑落の恐れがあります。遭難の原因は、気象などの情報不足、観光気分、十分な装備を持たない、知識・経験不足、無理な登山や過密スケジュール、自分は事故を起こさないという過信による強行日程など様々です。知識があり装備もそろえたはずの山岳経験豊富な登山者による死亡事故も発生しています。
こうした遭難事故の防止や自然環境を保全するため、平成25年に「富士登山における安全確保のためのガイドライン」が制定されています。夏山期間以外での富士登山では3つのルールが決められていますので、これらのルールを遵守するようにお願いします。
① 万全な準備をしない登山者の登山禁止
富士山においては、十分な知識やしっかりとした装備、計画を持たない登山者の登山は禁止されています。夏山期間以外は、特に気象条件が厳しく、救護所、トイレも閉鎖、携帯電話も通じにくいなど、安全確保が困難となります。
② 「登山計画書」を必ず作成、提出
登山は自己責任です。しかし、万が一の遭難時の迅速な救助のため、登山する際には、行程、メンバー、装備、緊急連絡先などを記載した「登山計画書」を必ず作成、提出して下さい。なお、「登山計画書」を提出したからといって、登山道の通行を許可したことにはなりません。
③ 登山者として「携帯トイレ」持参のマナー
五合目以上にある山小屋や公衆トイレは、夏山期間以外は閉所されています。万全な準備をした登山者が登山を行う場合、自然環境保全のための携帯トイレを持参して下さい。また、自らの排泄物は回収し必ず持ち帰って下さい。
詳しくは、富士登山オフィシャルサイトをご確認ください。
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環境省・山梨県・静岡県では、安全な富士登山の普及を図るため、富士登山に関する登山道の状況や基本的な装備、安全やリスク、規制やマナー、また、気象などのリアルタイム情報を取り入れた『富士登山オフィシャルサイト』を開設しています。
【富士登山オフィシャルサイト】 http://www.fujisan-climb.jp/
【参考】登山者数に影響を及ぼすと考えられる予条件
今回の開山期間の登山者数に影響を及ぼすと考えられる予条件(登山道開通・閉山期間、梅雨明け時期、及びマイカー規制)についての平成22年以降の比較は以下のとおりです。