報道発表資料
- 報道発表
野生下のトキの今期最初のヒナへの足環装着等について
平成29年5月9日(火)
関東地方環境事務所
所 長 笠井 俊彦
野生生物課長 伊藤 勇三(℡:048-600-0817)
佐渡自然保護官事務所
首席自然保護官 若松 徹(℡:0259-22-3372)
新潟県佐渡市において、野生下で誕生したトキのヒナへの今期最初となる足環装着を行いましたので、お知らせします。
また、本日時点での野生下のトキの営巣状況について、併せてお知らせします。
営巣が確認されているペアは、全体で47組、そのうち24組で育雛、18組で抱卵が確認されています。
1 今期最初に足輪装着等を行ったペアについて
(1)個体番号
No.161(2011年生まれ、オス) 及び No.149(2012年生まれ、メス)
(2)実施日
平成29年5月9日(火)
(3)場 所
新潟県佐渡市
(4)経 過
6:15 林内作業班6名が営巣木のある林内に入る。親鳥は不在。
6:27 捕獲作業員が営巣木にロープを用い登り始める。
6:51 巣に到着しヒナ3羽を確認。捕獲作業員がヒナ3羽を捕獲し、収容カゴに入れる。
6:57 収容カゴをロープで下ろし、地上で足環装着、身体測定(自然翼長・跗蹠長、嘴峰長)、羽毛採取
(2枚、血液を用いた雌雄判別等に使用)、写真撮影を行う。同時に樹上で巣の計測等を実施。
7:28 収容カゴを樹上に引き上げ、ヒナ3羽を巣に戻す。
7:50 全ての作業を終了し、林内から撤収。
7:56 親鳥2羽ともに巣に戻る。
(5)今期最初に足環を装着したヒナの状況
No.B01
○体重 1,100g
○自然翼長 220mm
○跗蹠長 62.8mm
○推定日齢 20日齢程度
○装着した足環
・ナンバーリング:プラスチック製の番号足環(「B01」を刻印)、左関節下
・補助カラーリング:プラスチック製の青色の足環を左関節上に1個、赤色の足環を右関節下に2個
・金属リング:環境省が定める全国共通の足環、右関節上
○ヒナの健康状態 良好
(6)営巣環境等
○営巣木:スダジイ
○巣の高さ:15.5m
○巣の大きさ:長径85cm、短径60cm、厚さ20cm、深さ10cm
(7)作業実施体制
○林内作業(6名)
作業統括(環境省職員)
ヒナ捕獲作業員(環境省職員)
足環装着・身体測定・保定(佐渡トキ保護センター職員2名)
記録(新潟大学職員、環境省職員)
○林外作業(1名)
モニタリング等(調査請負事業者職員)
※本日の足環装着作業において、No.161/No.149ペアのヒナ3羽及びNo.172/足環なしペアの
ヒナ4羽の計7羽に足環を装着しています。
2 野生下のトキの営巣状況(まとめ)
(1)営巣中(育雛中)
番号 生まれ年 性別 |
状 況 |
No.172 2011年 オス 足環なし メス |
3月8日 スギで営巣を確認 3月17日 抱卵確認 (15日夕刻以降に産卵と推定) 4月14日 ヒナ1羽を確認 4月26日 ヒナ計4羽を確認 5月9日 ヒナ4羽に足環装着(No. B04,B05,B06,B07) |
No.68 2009年 オス No.78 2010年 メス |
3月13日 クロマツで営巣を確認 3月19日 抱卵確認 (17日夕刻以降に産卵と推定) 4月20日 ヒナ1羽を確認 4月27日 ヒナ計3羽を確認 |
No.98 2010年 オス No.156 2011年 メス |
3月21日 スギで営巣・抱卵を確認 (20日夕刻以降に産卵と推定) 4月20日 ヒナ1羽を確認 5月5日 ヒナ計3羽を確認 |
No.161 2011年 オス No.149 2012年 メス |
3月17日 スダジイで営巣を確認 3月22日 抱卵確認 (20日夕刻以降に産卵と推定) 4月20日 ヒナ1羽を確認 5月1日 ヒナ計3羽を確認 5月9日 ヒナ3羽に足環装着(No.B01,B02,B03) |
No.81 2007年 オス No.66 2009年 メス |
3月23日 スギで営巣・抱卵を確認 (観察経過から産卵時期の推定は困難) 4月20日 ヒナ1羽を確認 4月25日 ヒナ計3羽を確認 |
No.A19 2014年 オス No.220 2014年 メス |
3月24日 スギで営巣・抱卵を確認 (観察経過から産卵時期の推定は困難) 4月20日 ヒナ1羽を確認 4月28日 ヒナ計2羽を確認 |
足環なし オス 足環なし メス |
3月16日 コナラで営巣を確認 3月25日 抱卵確認 (23日夕刻以降に産卵と推定) 4月23日 ヒナ1羽を確認 |
No.A09 2014年 オス No.239 2014年 メス |
3月21日 クロマツで営巣・抱卵を確認 (19日夕刻以降に産卵と推定) 4月24日 ヒナ1羽を確認 5月1日 ヒナ計2羽を確認 |
No.33 2008年 オス No.38 2007年 メス |
3月16日 クロマツで営巣を確認 3月25日 抱卵確認 (24日夕刻以降に産卵と推定) 4月24日 ヒナ1羽を確認 4月27日 ヒナ計2羽を確認 5月4日 ヒナ計3羽を確認 |
No.205 2012年 オス No.192 2012年 メス |
3月26日 スギで営巣・抱卵を確認 (22日夕刻以降に産卵と推定) 4月24日 ヒナ1羽を確認 |
No.107 2010年 オス No.154 2009年 メス |
3月28日 スギで営巣・抱卵を確認(4月6日に同ペアであることを確認) 4月25日 ヒナ1羽を確認 5月5日 ヒナ計3羽を確認 |
No.74 2009年 オス 足環なし メス |
3月28日 スギで営巣・抱卵を確認 (24日夕刻以降に産卵と推定) 4月25日 ヒナ1羽を確認 5月4日 ヒナ計3羽を確認 |
No.85 2009年 オス No.93 2009年 メス |
3月29日 スギで営巣・抱卵を確認 (27日夕刻以降に産卵と推定) 4月27日 ヒナ1羽を確認 |
No.67 2009年 オス No.95 2010年 メス |
3月29日 スギで営巣・抱卵を確認 (観察経過から産卵時期の推定は困難) 4月28日 ヒナ1羽を確認 5月5日 ヒナ計2羽を確認 |
No.204 2012年 オス No.120 2010年 メス |
3月22日 スギで営巣を確認 3月31日 抱卵確認 (29日夕刻以降に産卵と推定) 4月29日 ヒナ1羽を確認 5月4日 ヒナ計3羽を確認 |
No.A18 2014年 オス No.148 2012年 メス |
3月29日 スギで営巣・抱卵を確認 (24日夕刻以降に産卵と推定) 4月30日 ヒナ1羽を確認 5月8日 ヒナ計2羽を確認 |
足環なし オス 足環なし メス |
3月30日 タブノキで営巣・抱卵を確認 (27日夕刻以降に産卵と推定) 4月30日 ヒナ1羽を確認 5月6日 ヒナ計2羽を確認 |
No.110 2010年 オス No.163 2011年 メス |
4月3日 スギで営巣・抱卵を確認 4月30日 ヒナ1羽を確認 5月8日 ヒナ計2羽を確認 |
足環なし オス No.96 2010年 メス |
3月16日 クロマツで営巣を確認 3月23日 抱卵確認 (21日夕刻以降に産卵と推定) 5月1日 ヒナ1羽を確認 5月4日 ヒナ計2羽を確認 |
No.209 2013年 オス No.A26 2015年 メス |
3月31日 スギで営巣・抱卵を確認 (27日夕刻以降に産卵と推定) 5月1日 ヒナ1羽を確認 |
No.A02 2013年 オス No.A01 2013年 メス |
4月5日 アカマツで営巣・抱卵を確認 5月4日 ヒナ2羽を確認 |
No.23 2008年 オス No.26 2008年 メス |
3月31日 スギで営巣・抱卵を確認 (29日夕刻以降に産卵と推定) 5月5日 ヒナ2羽を確認 |
足環なし オス No.A14 2014年 メス |
3月30日 クロマツで営巣を確認 4月3日 抱卵確認 5月8日 ヒナ1羽を確認 |
No.254 2014年 オス No.224 2012年 メス |
3月21日 スダジイで営巣を確認 4月7日 抱卵確認 5月9日 ヒナ1羽を確認 |
(2)営巣・抱卵中
番号 生まれ年 性別 |
状 況 |
No.91 2009年 オス No.181 2013年 メス |
3月28日 スギで営巣・抱卵を確認(4月6日に同ペアであることを確認) |
No.86 2009年 オス No.134 2011年 メス |
3月31日 スギで営巣・抱卵を確認 (観察経過から産卵時期の推定は困難) |
足環なし オス No.240 2014年 メス |
3月21日 スギで営巣を確認 3月31日 抱卵確認 |
No.92 2009年 オス No.200 2012年 メス |
4月2日 スギで営巣・抱卵を確認 |
No.211 2013年 オス No.A04 2013年 メス |
4月4日 スギで営巣・抱卵を確認 |
No.A13 2014年 オス No.A11 2014年 メス |
4月6日 営巣・抱卵を確認(樹種不明) |
No.213 2013年 オス No.217 2014年 メス |
4月12日 スギで営巣・抱卵を確認 |
足環なし オス No.182 2013年 メス |
4月12日 スギで営巣・抱卵を確認 |
No.135 2006年 オス No.184 2013年 メス |
4月9日 スギで営巣を確認 4月13日 抱卵確認 |
No.A28 2015年 オス 足環なし メス |
4月13日 クロマツで営巣・抱卵を確認 |
足環なし オス No.201 2012年 メス |
4月13日 スダジイで営巣・抱卵を確認 |
足環なし オス No.A21 2014年 メス |
4月13日 スダジイで営巣・抱卵を確認 |
足環なし オス No.A10 2014年 メス |
4月13日 スダジイで営巣を確認 4月18日 抱卵確認 |
足環なし オス No.227 2012年 メス |
4月20日 スダジイで営巣・抱卵を確認 |
No.177 2012年 オス No.199 2012年 メス |
4月21日 スギで営巣・抱卵を確認 |
No.263 2012年 オス No.A36 2016年 メス |
4月27日 スギで営巣・抱卵を確認 |
No.216 2013年 オス No.A23 2015年 メス |
4月27日 営巣を確認(樹種不明) 5月4日 抱卵確認 |
No.48 2007年 オス No.272 2014年 メス |
5月4日 スダジイで営巣・抱卵を確認 |
(3)営巣中(抱卵未確認)
番号 生まれ年 性別 |
状 況 |
No.253 2014年 オス No.259 2015年 メス |
4月12日 スギで営巣を確認 |
No.187 2012年 オス No.232 2013年 メス |
4月24日 コナラで営巣を確認 |
No.206 2012年 オス No.270 2014年 メス |
4月3日 アカマツで営巣を確認 4月7日 抱卵確認 4月17日 抱卵中止を確認 4月27日 再営巣を確認 |
足環なし オス No.A47 2016年 メス |
4月27日 スギで営巣を確認 |
No.255 2014年 オス No.268 2014年 メス |
4月28日 スギで営巣を確認 |
(4)営巣・抱卵・育雛中止
番号 生まれ年 性別 |
状 況 |
No.08 2006年 オス No.25 2008年 メス |
3月21日 スギで営巣を確認 3月26日 抱卵確認 (24日夕刻以降に産卵と推定) 4月17日 抱卵中止を確認 |
No.238 2014年 オス No.69 2009年 メス |
3月31日 スダジイで営巣・抱卵を確認 (26日夕刻以降に産卵と推定) 4月21日 抱卵中止を確認 |
No.87 2009年 オス No.97 2010年 メス |
3月29日 スギで営巣・抱卵を確認 (24日夕刻以降に産卵と推定) 4月23日 抱卵中止を確認 |
No.136 2009年 オス 足環なし メス |
4月9日 スギで営巣・抱卵を確認 4月28日 抱卵中止を確認 |
No.A16 2014年 オス No.266 2014年 メス |
4月5日 スギで営巣・抱卵を確認 5月1日 抱卵中止を確認 |
No.212 2013年 オス No.237 2013年 メス |
4月27日 スダジイで営巣・抱卵を確認 5月1日 抱卵中止を確認 |
No.90 2009年 オス No.79 2010年 メス |
4月11日 スギで営巣・抱卵を確認 5月2日 抱卵中止を確認 |
No.138 2011年 オス 足環なし メス |
4月10日 スギで営巣を確認 4月14日 抱卵確認 5月2日 抱卵中止を確認 |
No.179 2011年 オス No.218 2012年 メス |
5月2日 卵殻回収 (2日以前に営巣・産卵と推定) |
No.170 2011年 オス No.157 2010年 メス |
3月17日 スギで営巣を確認 3月29日 抱卵確認 (27日夕刻以降に産卵と推定) 4月28日 ヒナ1羽を確認 5月2日 育雛中止を確認、ヒナ1羽行方不明 |
No.11 2006年 オス 足環なし メス |
4月18日 スダジイで営巣を確認 4月24日 抱卵確認 5月3日 抱卵中止を確認 |
No.143 2011年 オス No.183 2013年 メス |
4月3日 スギで営巣・抱卵を確認 5月5日 抱卵中止を確認 |
※今後のヒナへの足環の装着状況については、「野生下のトキの営巣状況(まとめ)」に随時反映していきます。
3 2012年~2017年の繁殖結果・繁殖状況
営巣 |
ふ化 |
巣立ち |
|||
形成ペア数 |
ヒナをふ化させたペア数 |
ふ化した ヒナの羽数 |
巣立ちさせた ペア数 |
巣立ちした 羽数 |
|
2012年 |
18 |
3 |
8 |
3 |
8 |
2013年 |
24 |
5 |
14 |
2 |
4 |
2014年 |
35 |
14 |
36 |
11 |
31 |
2015年 |
38 |
12 |
21 |
8 |
16 |
2016年 |
53 |
25 |
53 |
19 |
40 |
2017年 |
59※ |
24 |
53 |
※ 現時点までに形成されたペア59組のうち
・営巣中のペア47組(うち24組が育雛、18組が抱卵、5組が未抱卵)
・営巣・抱卵・育雛を中止したペア12組