コイ目 コイ科 和名:ミヤコタナゴ 学名:Tanakia tanago 絶滅危惧IA類(CR) …ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種 天然記念物 |
東京都文京区小石川の東京大学附属植物園内の池で採集された個体に基づき、1909年に新種として発表された日本固有種です。「東京のタナゴ」という意味で、ミヤコタナゴと名付けられました。
かつては関東地方に広く分布する「ごく普通の魚」でしたが、河川改修工事や圃場整備事業、休耕田化、都市化にともなう生息環境の荒廃などによってその生息域が激減し、現在では、羽田をはじめとする数ヶ所でしか自然状態での生息が確認されていません。
ミヤコタナゴは、地域によって、ベンタナ(群馬県城沼)、ナナイロ(♂)・シランチョ(♀)(埼玉県所沢)、ミョーブタ(千葉県小浜)、ジョンピー(千葉県勝浦)、オシャラクブナ(栃木県大田原)などと呼ばれています。
生息環境
湧水のある河川の支流や湧水池に閉鎖的に生息します。ミヤコタナゴが生息する水路部分の多くは、古くから水田の用水路として利用され、維持されてきました。
タナゴ類全般に共通しますが、生息域が狭いこと、移動性が小さく定着性が高いことから、環境改変の影響を受けやすい種です。
外観
体長は40mm前後、タナゴ類の中では小型です。
1対の口ひげが特徴です。
オスの婚姻色は独特で、頭部と背中は青紫、側面は紫、胸腹部は朱色、背ビレは白色、腹ビレと尻ビレは基部から縁辺へと淡黒→白→朱→黒と帯状に染まります。
食性
底生小動物や付着藻類などを食べます。
繁殖
産卵期は3月中旬~7月下旬で、マツカサガイなどの貝のエラの中に産卵します。
減少した主な原因
河川改修工事や圃場整備事業、休耕田化、都市化などにより、ミヤコタナゴや産卵母貝(マツカサガイ等)の生息環境が荒廃・消滅したことが大きな原因です。また、オスが非常に美しい婚姻色を呈することから相次いだ密漁や密売も減少に拍車をかけました。
さらに、タイリクバラタナゴ(アジア大陸東部・台湾原産)の生息域拡大も、ミヤコタナゴにとって圧力となっています。