アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
荒川岳の防鹿柵撤去作業
2019年10月30日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
10月4日から6日にかけて静岡県ボランティアネットワーク、特種東海フォレストのみなさんと荒川岳防鹿柵撤去作業へ行ってきました。荒川岳は南アルプスの南部、静岡県に位置する山です。東岳(悪沢岳)、中岳、前岳の3つの山を総称し、「荒川三山」と呼ばれています。中でも東岳(悪沢岳)は標高3,141m、日本で6番目に高い山です。
荒川岳には西カール底に2箇所、前岳南東斜面に1カ所防鹿柵を設置しています。西カール底、前岳南東斜面と聞くと「どこだろう?」と思う方が多いかと思いますが、前岳・中岳分岐と荒川小屋の間にあります。この2カ所は荒川岳の重要な景観を構成している場所であることから、お花畑を守るために平成23年度より設置しています。夏季の立ち上げ作業の記事はコチラから!
西カール底の作業のようすです。写真をクリックし、拡大して見てみると小さく人が写っているのが分かります。ご覧のとおり、とても広大な現場です。
¨こんなところにシカがくるの?¨と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実際に防鹿柵のすぐ脇にニホンジカの足跡が確認されました。ニホンジカ以外にもクマの糞があったりと、動物が生息している、できる場所であるということを感じさせられました。
今回の撤去作業は、1.ポール先端に固定されているネットを外す、2.ポールを外す、3.ポール及びネットが雪崩等で流されないように紐で縛るという3つの作業です。3人から4人1組に分かれて作業をします。
立ち上げ作業時に設置した登山道を横切るように設置されている防鹿柵のドアも無事、撤去されました。設置時は傾かないようにきつく固定するなどの微調整をしながらでしたが、撤去時はあっという間に撤去されました。
シーズン中、柵内の高山植物は綺麗に花を咲かせることができたようで、登山者のみなさんの「開けたら閉める」の徹底をのおかげです。ご協力、ありがとうございました!作業時は晴天が続き、富士山や赤石岳を眺めながら作業を進めることができました。
今回の作業に参加された方の中にはこの防鹿柵作業が始まった当初から参加されているベテランさんもいらっしゃいますが、今年度は初参加の方も多くいらっしゃいました。実は、このようにボランティアを募って活動を行っている山域は少なく、他山域に比べて活動が進んでいるといわれています。参加者の中には東京都や神奈川県、福島県や石川県から参加されている方もいらっしゃいます。荒川岳の作業だけでなく、三伏峠、塩見岳、茶臼岳、聖岳で行われています。アクティブ・レンジャー日記を通して、活動に参加するきっかけになれば幸いです。