関東地域のアイコン

関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

荒川岳の防鹿柵を設置しました!

2019年07月30日
南アルプス

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

7月19日から21日にかけて、荒川岳に設置している防鹿柵の立ち上げ作業を行いました。荒川岳には、前岳と中岳の分岐を下った登山道下の西カール底と前岳南東斜面の2カ所に防鹿柵を設置しています。この2カ所は荒川岳の重要な景観を構成している場所であることから、お花畑を守るために平成23年度より設置しています。

1日目の移動、2日目の作業日はひっきりなしに雨が降り、時折、かなり強い風。3,000メートル級で受ける雨風は想像以上に身体へのダメージが強かったです。7月にも関わらず、立ち止まるとかなりの寒さを感じました。作業ができるかどうかも危ぶまれましたが、無事に作業することができました!また、設置している2箇所は傾斜が強くて作業が大変でしたが、ボランティアのみなさんの手際がとてもよく、あっという間に終えることができました。参加してくださったボランティアのみなさんに感謝です。

前岳南東斜面のお花畑に設置している防鹿柵は登山道を横断しているので、出入口に扉が設置されています。南アルプス山域で登山道を横断するように防鹿柵を設置している場所はこの荒川岳のみです。扉が開けっ放しになっているとニホンジカが入ってきてしまう恐れがあり、ニホンジカが入ってしまっては、防鹿柵を設置している意味がなくなってしまいます。

  

通過される際は写真のように「開けたら閉める」を徹底してください。なお、扉にはドアノブがついておりますので、確実に閉めるようにしてください。荒川岳の素晴らしいお花畑を守るためにも、みなさんのご協力をお願いします。


防鹿柵の中にはシナノキンバイやハクサンイチゲ、ハクサンチドリ、ミヤマクロユリなどが咲いていました。千枚小屋から荒川小屋の間ではツマトリソウ、イワツメクサ、シコタンソウ、ミヤマオダマキなどたくさんの高山植物が咲いていました!気温が低い日が続いていたことからまだつぼみの株もありましたので、しばらくはお花を楽しむことができそうです。

ようやく、関東甲信地域の梅雨明けが発表されましたね!これからたくさんの種類の花が咲き始めることでしょう。ガスが上がってきて周りの景色が見えないときは少し目線を下げて高山植物を観察しながら登山してみてはいかがでしょうか。