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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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尾瀬国立公園

185件の記事があります。

2021年08月25日檜枝岐歌舞伎

尾瀬国立公園 前川公彦

みなさん、こんにちは。

檜枝岐自然保護官事務所の前川です。

尾瀬というと湿原や花々、近隣の山といった自然を思い浮かべる人が多いのではないかと思いますが、かつて秘境と言われた檜枝岐には独自の文化が残されています。

檜枝岐には古典芸能として有名な檜枝岐歌舞伎があります。歌舞伎は春と夏の2回、村人の手により村人のために行われています。なぜこの時期に行われているのかというと、それには村人のかつての生活と深くつながる理由があります。

檜枝岐村全景 檜枝岐の舞台(奥)と歌舞伎伝承館(右)

 檜枝岐村全景                    檜枝岐の舞台(奥の茅葺き)と歌舞伎伝承館(右)

(写真をクリックすると拡大します)

標高が900m以上あり、平地の少ない谷間にある檜枝岐では昔から全戸で近隣の場所に出作り小屋を持っていて、夏の間はそこに泊まり込んでソバやジャガイモなどの農業、養蚕、イワナやサンショウウオ獲り、さらには杓子(しゃくし)ぶちと言って木を削ってヘラやシャクシを作っていました。

雪が溶けた5月に愛宕神社の祭礼があり、それが済むと村人はみな出作り小屋に向かいました。また、出作り小屋で仕事をしている間もお盆の間は休養のため、みな帰村していたそうです。今では村の主な産業は観光へと変わったため、出作り小屋もほとんど残っていませんが、かつての習慣は今でも受け継がれ、毎年5月12日と8月18日には村人全体の楽しみとして歌舞伎が開催されてきました。

出作り小屋(現在は使われていません) 歌舞伎伝承館の内部

 出作り小屋(現在は使われていません)           歌舞伎伝承館の内部

観客席上段に鎮座する「鎮守神」 檜枝岐村で作られた杓子

 観客席の上段に鎮座する「鎮守神」             檜枝岐村で作られた杓子

檜枝岐歌舞伎は寛政・文化の頃、上方歌舞伎から習い覚えたと伝えられています。貴重な無形文化財ですが、上演されるのは上方歌舞伎の古典調のものが主体です。東京などで演じられている有名人による洗練された歌舞伎とはおもむきが違いますが、通常は他に仕事を持つ村人が伝承された歌舞伎を演じることに価値があり、歌舞伎上演の日を何より楽しみにしているという村人がたくさんいます。歌舞伎というと年配の方が見るものというイメージがありますが、檜枝岐ではたくさんの若い人や子供たちが見に来ます。

観客席から檜枝岐の舞台を見下ろす 春の歌舞伎上演時の様子(2021.5.12)

  観客席から檜枝岐の舞台を見下ろす         春の歌舞伎上演時の様子(2021.5.12)

歌舞伎が演じられるのは愛宕神社の境内にある茅葺きの地芝居小屋で、これを見下ろすように作られている観客席は古代ローマのコロセウムを思い起こすような造りになっています。夜間、ライトに照らされて浮かび上がる舞台上演時の雰囲気は決して銀座の歌舞伎座に劣るものではなく、これまで歌舞伎に縁遠かった私ですら強く惹きつけられるものを感じました。今回はコロナのため、無観客での上演となってしまいましたが、檜枝岐歌舞伎はこれからも村民のためにずっと続いていくものと思います。

春の歌舞伎上演時の様子 春の歌舞伎上演時の様子(2021.5.12)

         春の歌舞伎上演時の様子(2021.5.21)

さて、2018年に尾瀬国立公園協議会が策定した「新・尾瀬ビジョン」はこれからの尾瀬がめざす姿を示したものです。尾瀬国立公園協議会は尾瀬に関係する地域事業者(山小屋、交通、ガイド、ボランティアなど)や行政(国、県、市町村)で組織され、尾瀬国立公園のあるべき姿について3年間をかけて協議してきたもので、いわば尾瀬関係者の総意を表現したものと言えます。尾瀬がめざす姿は「みんなに愛され続ける尾瀬」であり、それを実現するための行動理念が3つあげられています。

  1. みんなの尾瀬

  2. みんなで守る

  3. みんなで楽しむ

新・尾瀬ビジョン表紙 「みんなで守る」について 

 新・尾瀬ビジョン表紙                「みんなで守る」について

このうち「みんなで守る」についての視点2では、"地域に息づいた歴史・伝統・文化は、地域に対する愛着を深める大切な資源であるため、その価値を再認識しながら、しっかりと後世に受け継いでいきます"と述べられています。今回ご紹介した檜枝岐歌舞伎も檜枝岐だけでなく、尾瀬にとっても非常に重要な存在だと思いました。

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2021年08月04日尾瀬沼に新ビジターセンターがオープンしました

尾瀬国立公園 前川公彦

みなさん、こんにちは。

檜枝岐自然保護官事務所の前川です。

尾瀬には尾瀬沼と山の鼻の2箇所にビジターセンターがあります。そのうち福島県側のビジターセンターである尾瀬沼ビジターセンターが新築され、7月にオープンしました。

尾瀬沼ビジターセンターは当初昭和39年に設置され、昭和60年には建替え工事を行い、翌年の昭和61年にリニューアルオープンしました。旧ビジターセンターは尾瀬の自然情報のみならず、公園の利用やマナーといった幅広い情報を提供する利用拠点として親しまれてきましたが、30年以上が経過し、老朽化が進んできたため、今回の新ビジターセンターの開設となりました。

新ビジターセンターは旧ビジターセンターに隣り合って建設され、写真のように晴れた日には旧ビジターセンター越しに燧ヶ岳を望むことができるという恵まれた立地です。建物は旧ビジターセンターと同様に周りの景色になじむようなこげ茶色です。

新ビジター周辺から見た燧ヶ岳  正面から見た新ビジターセンター

 新ビジター周辺から見た燧ヶ岳             正面から見た新ビジターセンター

(画像はクリックすると拡大します)

では、まずテラスを通って、靴の泥をよく落としてから館内に入ります。入口正面の右側には尾瀬の天気予報やコースタイムなどの情報が表示されています。左側はリュックなどの荷物を収容するための大型の棚があり、山から下山した人でも利用することができます。建物に入るとすぐ右側には受付があり、尾瀬やこのビジターセンターに関して質問すれば、知識の豊富なスタッフが何でも親切に答えてくれます。左側を振り向くと、尾瀬周辺の山などに関する情報が掲示されていますので、これからどこか尾瀬周辺に向かう人にはとても役立ちます。

入口正面の様子 続々と来訪者が訪れます

 入口正面の様子                   続々と来訪者が訪れます

受付と常設展示コーナー 

 受付と常設展示コーナー              入口近くで尾瀬の情報を集める来訪者

入口からまっすぐに進むと常設展示コーナーがあります。ここは新ビジターセンターのメインの展示場所となります。まず最初に目にするのが正面に置かれている尾瀬のジオラマです。大変丁寧に作り込まれていますので、これを見れば自分がどこにいて、これから向かおうとする場所の位置関係や距離感を立体的につかむことができます。尾瀬という湿地の特殊な地形もよく分かると思います。

常設展示コーナーをジオラマから壁面に沿って時計回りに見ていくと、まず尾瀬国立公園や尾瀬の自然環境についての概要説明があり、尾瀬の成り立ちについては液晶スクリーンで視覚的に知ることができます。続いて、尾瀬の生きものたち(昆虫、両生類、魚類、野鳥、花)、尾瀬と人の歴史のパネルが展示されています。中央部の展示台の上にはさらにはキツネの剥製など尾瀬に生息する動物たちと、シカの皮や角が展示されています。また、このコーナーの最後には尾瀬の周辺情報のパネルがあり、周辺観光地の写真が展示されています。この写真は尾瀬近隣の市町村や関係団体から選りすぐりの写真を提供していただいたもので、これを見ると尾瀬周辺には本当にきれいな景色がたくさんあることに驚かされます。

常設展示コーナーを巡る来訪者 一番奥に設置されているキツネの剥製

 常設展示コーナーを巡る来訪者            一番奥に設置されているキツネの剥製

入口から左側に向かうと企画展示コーナーになります。ここではホワイトボードスクリーンを使って、オコジョとヤマネに関する情報を提供しています。両方とも非常にかわいい動物なので、尾瀬のアイドル的な存在です。貴重なオコジョの映像もあり、オコジョやヤマネに是非会いたいと思っている方はここで情報を仕入れていくのが良いと思います。

企画展示コーナーの奥にはレクチャー室兼休憩コーナーがあります。大型スクリーンや音響システムが設置されており、講演会などで活用する予定となっています。両側の壁には尾瀬でのベストショットの写真パネルが飾られており、尾瀬の自然を歩くことの楽しさが伝わってきます。

企画展示コーナーのオコジョとヤマネ レクチャー室兼休憩コーナー

 企画展示コーナーのオコジョとヤマネ         レクチャー室兼休憩コーナー

これまで旧尾瀬沼ビジターセンターにおいても、現在の尾瀬がどのような状態にあり、いつ、どこに行けばどのような動物や植物に会えるというような訪問者への対応やリアルタイムの情報発信がなされてきました。さらに定期的な自然観察会や自然ふれあいイベントを通じて、これまで数多くの方々に自然に親しむ機会を提供してきました。

このようなビジターセンターの活動は今後も新ビジターセンターにおいて引き継がれ、これまで以上にたくさんの方々に尾瀬の自然の素晴らしさに気付いてもらえるような活動を行っていきますので、皆様方のご来訪をお待ちしております。

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2021年08月04日尾瀬国立公園アクティブ・レンジャー写真展開催のお知らせ

尾瀬国立公園 尾池こず江

 尾瀬国立公園の群馬側入り口である片品村において、令和3年8月3日(火)から9月2日(木)まで「道の駅尾瀬かたしな」で「アクティブ・レンジャー写真展-アクティブ・レンジャーが見つめる世界」を開催しています。

▲写真展チラシ

 本写真展では、関東地方の国立公園や国指定鳥獣保護区の自然豊かなフィールドで、自然保護官補佐(アクティブ・レンジャー)が、日々の業務で撮影した一コマを紹介しています。動植物や四季折々の写真を展示していますので、お立ち寄りの際は是非一度ご覧下さい。

 さらに8月30日は、尾瀬国立公園指定日になっており、尾瀬の郷片品村民は、恵まれた自然をいつくしみ感謝する日として「尾瀬の日」と定めています。尾瀬国立公園の魅力や自然保護に関することなどに興味を持っていただけると嬉しく思います。

 写真展は、道の駅尾瀬かたしなの食堂スペースに展示されており、入場料なしで気楽に立ち寄れますので、ランチやちょっと一休みしながら鑑賞いただけます。

▲写真展の様子

さいごに、最近の尾瀬の様子も載せてみます。

▲尾瀬沼から燧ヶ岳(ひうちがたけ)と夕焼け 8月2日撮影

▲コオニユリ 8月3日撮影

夏の終わりを告げているような風景や、秋の訪れをほんのり感じさせる風が吹いていました。

日中はまだまだ暑いですが、朝晩は涼しくなっています。体調管理をしっかりして夏を乗り切りましょう!

【新型コロナウイルス感染拡大防止についてのお願い】

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、お出かけの際は、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認ください。

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2021年07月15日尾瀬の花リレーはニッコウキスゲへ

尾瀬国立公園 尾池こず江

こんにちは。片品自然保護官事務所の尾池です。

尾瀬では、夏の花々が見頃を迎えています。

白いワタスゲの見頃は終わりかけとなりましたが、尾瀬の花リレーのバトンは次々に夏のお花へと渡っています。今その中でも目立っているのは、ニッコウキスゲです。

ニホンジカの食害で数が減ったと言われるニッコウキスゲですが、実は尾瀬ヶ原の牛首分岐~ヨッピ吊橋の間でお花畑を見ることができます。黄色の絨毯とまではいきませんが、緑の湿原の中で鮮やかに咲いていました。牛首分岐~ヨッピ吊橋間のニッコウキスゲは、シカによる食害が目立ち初め、3年ほど前から環境省で植生保護柵を設置しています。今回調査に同行したところ、昨年よりは花芽の数は少ないようですが、柵の効果があってか年々復活しているように感じます。

▲尾瀬ヶ原の牛首分岐~ヨッピ吊橋間のニッコウキスゲ(7.12撮影)

他にもたくさんのお花が咲いていますので、ぜひ探してみて下さい。

また、先週の巡視でもたくさんの動植物が見られましたので、一部ご紹介します。

最後に、福島県と新潟県の県境に位置する三条ノ滝も巡視しましたので、ご紹介します。

三条ノ滝は、日本の滝百選に定められており、落差約80m、幅約30mほどで水量がとても多く、雨上がりや雪解け期は大迫力です。

尾瀬の水を集めて豪快に流れ落ちる三条ノ滝は、とても見応えがあります。

▲三条ノ滝(7.7撮影)

夏の尾瀬では熱中症対策や登山装備をしっかりして楽しんでくださいね。

小さな厄介者、ヌカカも出ていますので、ご注意を。

その他尾瀬の情報はこちら

【尾瀬保護財団HP】

<https://www.oze-fnd.or.jp/>

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新型コロナウイルス感染拡大防止のため、お出かけの際は、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認ください。

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2021年06月30日山の花の都と言えば

尾瀬国立公園 前川公彦

みなさん、こんにちは。

檜枝岐自然保護官事務所の前川です。

花の都と言えば、東京かパリを思い浮かべる人が多いと思います。

では、山の花の都と言えば・・・?全国各地の山の名があがるものと思います。

先日、燧ヶ岳と会津駒ヶ岳に登る機会がありました。植物に詳しくない私ですが、途中たくさんの花々に出会うことができましたので、その一部をご紹介させていただきます。

まずは、赤系統の花からですが、イワカガミ(イワウメ科)は見るものをやさしく誘うように優美なビロードのドレスのようなヒラヒラが広がり、チョウやハチといった昆虫たちは思わず吸い寄せられて花の中心に集まってしまうのだろうなと思いました。

燧ヶ岳の湿原にて イワカガミ

 燧ヶ岳の湿原にて  イワカガミ

これはお分かりですね、有名な食虫植物のモウセンゴケ(モウセンゴケ科)です。尾瀬のような、酸性で貧栄養の湿原のミズゴケ群落の中に生育します。葉は円形で表面に赤褐色の腺毛が生え、粘液を出して小型の昆虫類を捕まえ、栄養としています。尾瀬のように栄養の少ない場所で生き残っていくための工夫だと思いますが、群生しているモウセンゴケを見ていると、栄養源となる昆虫類が少ないような気がして、少し心配になります。これ以外に本州では尾瀬だけに生育している葉の長さが4~5㎝もあるナガバノモウセンゴケがありますが、注意していなかったので見落としていたのかもしれません。

モウセンゴケ

 モウセンゴケ

花ではありませんが、山に登ると日当たりの良い場所でよく見かける「動く赤い点」です。ネットで調べてみるとタカラダニという名称が多いのですが、他にも名前が出ていました。基本的に人には無害と出ていましたが、確かにこのダニに噛まれたという話は聞いたことがありません。ただ、潰して服などに付着すると汚れたり不快な気分になったりするので注意が必要とのことです。

タカラダニ

 タカラダニ

ショウジョウバカマ(ユリ科)は紫の同系色でまとめた高級感あふれるユリ科の植物です。雪解け後すぐの枯れ色の湿原に急に出現するので、大変目立つ存在です。なんか近未来のデザインを予感させるような、ユニークな形です。

ショウジョウバカマ

 ショウジョウバカマ

尾瀬では森林内の日当たりの良いところに生息するオオタチツボスミレが最もよく見かけるスミレ類ということですが、名前のよく似たこのオオタチツボスミレ(スミレ科)は湿原に生息します。実際この写真も湿地の上の木道から撮ったものです。九州から北海道にかけて普通に分布するツボスミレに比べて、両者とも株全体が立っているためタチツボの名前が付けられたようです。ただ、スミレの分類は大変難しいと聞いていますので、今後スミレはあまり出現してほしくないなあと心の中では思っています。

オオバタチツボスミレ

 オオバタチツボスミレ

「竜胆」は何と読むでしょうか?「リンドウ」と読めた人はよほど植物か漢字に詳しい人だと思います。立山竜胆(タテヤマリンドウ:リンドウ科)も湿原を歩いているとよく見かける花です。なぜ、こんなに端正な花なのに「竜胆」なのかというと、姿形ではなく、根の苦みが強く、竜の胆ほどに苦いという例えから付けられた名前だそうです。竜の胆を嘗めた人はいないと思いますが、クマの胆を嘗めたことはありますか?私はかつて一度だけ、健康に良いからとツキノワグマの胆を嘗めさせてもらったことがあります。もう40年も前のことなのに、その強烈な苦味は今でも鮮明に覚えています。

タテヤマリンドウ

 タテヤマリンドウ

これはハウチワカエデ(カエデ科)のタネです。タネには羽のようなもの(翼果:よくか)が付いており、落下の際にタネ自体が回転して揚力が発生するため、遠くまで飛んでいくことができます。できるだけ遠くまで子孫を分散させて、より良い場所で生き残ろうという作戦ですね。

ハウチワカエデのタネ

 ハウチワカエデのタネ

タムシバ(モクレン科)も登山道を歩いていると巨大な白い花びらで目立つ存在です。花の大きさは拳ほどもあり、葉を噛むと甘みがあるためカムシバ(噛柴)と呼ばれたのが転訛してタムシバと呼ばれるようになったという説があります。遠くから見ると木にチリ紙がたくさん咲いているようにも見えることから、冗談でチリ紙の木と呼んだりする人もいます。花を近くで見ると大きくて迫力があります。

チリ紙が咲いているようなタムシバの木 迫力のあるタムシバの花

チリ紙が咲いているようなタムシバの木 迫力のあるタムシバの花

この可憐な白い花の群落を見たことがある人はいますか?オサバグサ(ケシ科)は日本の固有種で本州の中部地方以北に分布する1属1種のユニークな植物です。檜枝岐村の帝釈山や台倉高山では登山口付近から生息がみられ、毎年6月には尾瀬檜枝岐温泉観光協会主催の「オサバ草まつり」が開催されます。参加者には記念ピンバッチがプレゼントされ、多い日には数百人が訪れるほどの人気があります。以前より減少傾向にあるという話も聞きますが、この時期登山道を歩けばいくつも見つけることができます。特徴的なのは一緒に生息していることの多いシダ類と葉の形がそっくりなことです。

可憐なオサバグサの花  林床に生えるオサバグサ

可憐なオサバグサの花 林床に生えるオサバグサ

黄色円内がオサバグサの葉  オサバグサ記念ピンバッチ

黄色円内がオサバグサの葉        オサバグサ記念ピンバッチ

 今の時期、尾瀬やその周辺では山の花の都と言いたくなるような花々の開花が楽しめます。

次回は夏を迎えた尾瀬の様子をお伝えしたいと思います。

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2021年06月09日簡易誘導標識を設置しました

尾瀬国立公園 尾池こず江

尾瀬の環境省歩道に標識(誘導タイプ)を設置してきました。


尾瀬は有名なハイキングエリアで、一般的には誰でも、気軽に歩けるという印象だと思いますが、実は標高差もそこそこあり、歩く時間も最低半日はかかってしまう、意外としっかり歩く必要のある国立公園です。
もちろん歩いてしか行けない場所だからこそ、手つかずの自然や絶景スポットがあちこちにあるわけですね。

▲尾瀬沼ビジターセンター付近から見た燧ヶ岳(6/7撮影)

という事で、そんなハイキング中の安心につなげるため、見やすい場所に一定間隔で標識を設置しました。

区間は尾瀬ヶ原の山ノ鼻から、見晴や尾瀬沼を経由して、沼山峠の間です。


▲標識設置箇所

豪雪地帯の尾瀬では、杭タイプの標識は積雪で壊されてしまうので、今回は木道に貼り付けるシンプルなタイプの標識です。
地名も書かれていますので、行き先までの距離だけでなく、現在地の確認にも活用ください。

▲木道に設置した様子

木道に付けられているとはいえ、登山靴でふみふみしたり、ストックでグサッとやらないようにお願いします。

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2021年05月28日ミズバショウの尾瀬

尾瀬国立公園 檜枝岐 前川公彦

みなさん、こんにちは。

檜枝岐自然保護官事務所の前川です。

檜枝岐村の桜もほとんどは散ってしまいましたが、尾瀬ではミズバショウの花が咲き始めました。なんと言っても尾瀬のシンボルはミズバショウですので、シンボル化されたミズバショウは村内のいたる所で一年中目にすることができます。ちなみに事務所に飾られている尾瀬国立公園の旗はミズバショウですし、環境省の尾瀬のパンフレットにも同じシンボルマークが使われています。そういえば旧檜枝岐村役場の正面に掲げられているのもミズバショウですので、尾瀬にとってミズバショウはとても大切な存在です。

檜枝岐村入口に立つ尾瀬のシンボル 事務所に飾られている尾瀬国立公園の旗

檜枝岐村入口に立つ尾瀬のシンボル     事務所に飾られている尾瀬国立公園の旗

先週、尾瀬の中央にある尾瀬沼地区に行く機会があり、歩いている途中で咲き始めのミズバショウを見ることができました。雪の残る沼山峠から大江湿原に降りた頃には雪はほとんどなくなり、川や水たまりにたくさんのミズバショウが出てきていました。木道に沿ってミズバショウが生えているのは歩く人を歓迎してくれているように思え、何ともうれしい気持ちにさせられます。ここでは時期がまだ早いのか、小ぶりの花が多いと思いました。

木道の脇に咲くミズバショウ 樹木の下の水たまりに顔を出したミズバショウ

木道の脇に咲くミズバショウ        樹木の水たまりに顔を出したミズバショウ

また、御池から燧ヶ岳の裏側を通って見晴地区(尾瀬ヶ原)に行った際にも、途中の温泉地区を過ぎてからはたくさんのミズバショウに出会いました。尾瀬沼と比べて、見晴地区では開花が早いのか、こちらの花の方が大きく咲いていました。草原が広がる尾瀬ヶ原では、あたり一面に広がるミズバショウを楽しむことができました。特に見晴地区から至仏山に向かって歩くと、木道の周りのミズバショウに極楽浄土への道へと誘われているような気分になり、「至仏山の名前の由来はこういうことだったのか」と勝手に納得していました。

至仏山に至る木道周辺に咲くミズバショウ

至仏山に至る木道周辺に咲くミズバショウ

一面に咲くミズバショウの群落

一面に咲くミズバショウの群落

今回は動物に食べられたミズバショウを見ることはなかったのですが、調べてみると冬眠明けのツキノワグマは根茎を食べることがあるそうです。ただ、アルカロイド(毒性があり、服用すると吐き気、脈拍の低下、呼吸困難、心臓麻痺などを起こす)が含まれているので、食料というより、体内にたまった老廃物を排出するための嘔吐剤や下剤として利用しているようです。サトイモ科とはいえ、食用にはならないようです。

檜枝岐村を尾瀬方面に向かう途中に中土合公園があり、以前訪れた際には尾瀬沼よりも一足早くミズバショウが咲いていました。久しぶりに訪れてみると花はすっかり落ち、巨大なバナナのような葉が生い茂っていました。その迫力にミズバショウの生命力を感じました。

花が落ちたミズバショウの葉が茂る中土合公園の池

花が落ちたミズバショウの葉が茂る中土合公園の池

次回はシーズンを迎えた尾瀬の様子をお伝えしたいと思います。

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2021年05月28日5月の尾瀬は・・・

尾瀬国立公園 尾池こず江

こんにちは。片品自然保護官事務所の尾池です。

新緑が眩しい季節を迎え、尾瀬では雪解けも進み、生き物たちが活発に動きだしています。今週の尾瀬ヶ原巡視では、たくさんの動植物が見られましたので一部ご紹介します。

 尾瀬と言えば「ミズバショウ」ですが、この時期を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。今年は例年に比べ全体的に少し早く咲いているようです。

▲研究見本園のミズバショウ(5.24撮影)

 そんなミズバショウですが、尾瀬ではシカによる被害が確認されています。

土壌を掘り起こして泥浴びをしたり、踏み荒らしてしまうことで湿原が露出してしまったり、採食被害もあります。尾瀬では、そういった被害に対し様々な対策を進めています。ここ数年では、植生保護や景観維持のため、柵を設置していますが、今年度は、環境省と連携協定を結んでいる地元の尾瀬高等学校の理科部の皆さんと一緒に植生保護柵を設置してきました。専門業者の方々のご協力をいただきながら無事に設置でき、高校生も体験することで色々感じていただけたものと思います。

▲植生保護柵を設置する様子(5.14撮影)

▲ミズバショウで有名な下ノ大堀川周辺(5.14撮影)

いつまでも綺麗なミズバショウが見られますように。

尾瀬入山にあたって

【新型コロナウイルス感染拡大防止についてのお願い】

1.緊急事態宣言区域やまん延防止等重点措置区域にお住まいの皆様は、お住まいの自治体からの外出自粛要請等をご確認いただくとともに訪問先自治体の状況も併せてご確認ください。

2.その他の区域にお住まいの皆様におかれましても、お住まいの自治体及び訪問先自治体からの要請等に協力をお願いいたします。

その他尾瀬の情報はこちら

【尾瀬保護財団HP】

<https://www.oze-fnd.or.jp/>

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2021年03月12日尾瀬の福島側入山口、檜枝岐村

尾瀬国立公園 檜枝岐 前川公彦

みなさん、こんにちは。

檜枝岐自然保護官事務所に着任しました前川と申します、よろしくお願いします。

2月に着任しましたが、初めてのアクティブ・レンジャー日記を書かせてもらいます。

檜枝岐村は福島県西部の山合いにあり、尾瀬国立公園の福島側の入山口です。豪雪地帯で、この時期は雪深い閉ざされた環境になります。檜枝岐に来て最初に感じたのは積雪の多さです。朝起きたら、村人はまずスコップやスノーダンプで玄関前の除雪を行います。これは雪国の人々の一日の始まりの習慣です。除雪車も朝から除雪を行うので、車の通行には問題がありません。屋根に積もった大量の雪は時に一晩で1m近くにもなり、家がつぶれないように除雪をします。

朝早くから活躍する除雪車

朝早くから活躍する除雪車

雪下ろしをしない屋根にはこんなに積っています

雪下ろしをしない屋根にはこんなに積っています

檜枝岐のメインロードを歩いていて目立つのは、村の象徴でもあるカラフルな衣装をまとった六地蔵です。碑文を読むと、米もできないこの地では、かつての凶作時には餓死者が出て、たくさんの子供が含まれていたため、その霊を弔い、母の嘆きを慰めるために建立されたとあります。今では子宝、子育ての守護として参拝する人も多いそうです。通りがかりに六地蔵を拝む村人の姿を見ることもあります。話は変わりますが、檜枝岐村に来て感心したのは、通りを歩いていると、老若男女の村人から挨拶されることです。今の日本のほとんどの所では廃れてしまった古き良き習慣がここには息づいているように感じました。

通りに面して建つ六地蔵、時折拝んでから通り過ぎる村人の姿も目にします

通りに面して建つ六地蔵、時折拝んでから通り過ぎる村人の姿も目にします

村に来て、一番うれしかったのは温泉に恵まれていることです。村営の公衆温泉が3つもあり(一軒は現在休業中ですが)、しかも村内全戸に温泉水が供給されているということです。事実、私の入居する村営アパートの風呂も蛇口をひねると温泉が出てきます。雪景色を見ながらゆったり温泉につかっていると、自然を含めて檜枝岐村の豊かさを実感できるような気になります。

通りに面して建つ六地蔵、時折拝んでから通り過ぎる村人の姿も目にします

檜枝岐自然保護官事務所の隣にある「駒の湯」、暖まります

30分も歩けば、村落の端から端まで歩けてしまう檜枝岐村ですが、谷間にあるためなかなか全景が見渡せません。村の南にある中土合公園の展望台に登ると村全体が見渡せます。写真を見ていただくと檜枝岐村がいかに狭隘な山間部に位置しているかが分かるかと思います。

中土合公園展望台からの檜枝岐村全景

中土合公園展望台からの檜枝岐村全景

まだ雪の残る中土合公園に登ってみましたが、誰も登っていないため新雪のラッセルが大変でした。天気も良く、素晴らしい展望でしたが、ふと足下を見ると動物の足跡が・・・。誰もいない公園から村を静かに見下ろす動物の姿を想像すると、檜枝岐村が山の動物に見守られているような気になってきます。

中土合公園に残されていた足跡

中土合公園に残されていた足跡

次回は尾瀬沼に開設中のビジターセンターの雪下ろしについて報告します。

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2020年10月09日東北最高峰「燧ヶ岳」の登山道紹介!

尾瀬国立公園 檜枝岐 細川有希

みなさんこんにちは!

尾瀬国立公園 檜枝岐自然保護官事務所の細川です。

感染症の影響で開山が遅れた尾瀬でしたが、シーズンも終わりに近づき段々と草木が紅葉を始めました。

今年も、季節ごとに様々な姿を見せてくれた尾瀬ですが、今回は燧ヶ岳について紹介しようと思います。

一般に燧ヶ岳と呼ばれている山頂は2,356mの柴安嵓(しばやすぐら)のことを言いますが、すぐ隣に俎嵓(まないたぐら)と呼ばれる標高2,346mの山があります。標高差が10m程度で2つの山の間を20分程度で行き来できるのでふたつをまとめて燧ヶ岳と呼ぶこともあります。

燧ヶ岳に登るには4つのルートがあります。

①御池から熊沢田代を通り俎嵓に到着するルート(コースタイム3時間30分)

②尾瀬沼の浅湖湿原から俎嵓に到着するルート(コースタイム4時間)

③沼尻から俎嵓に到着するルート(コースタイム3時間)

④尾瀬ヶ原見晴地区から柴安嵓に到着するルート(コースタイム3時間30分)

<燧ヶ岳を登る4つのルートの色別>

①は檜枝岐村の御池登山口に駐車場があり、登山口までは車で行くことができます。歩き始めて1分程で、燧ヶ岳と尾瀬ヶ原に行く道の分岐があるので看板を見落とさないように注意してください。燧ヶ岳方面に進むと、最初に岩場の斜面があり急いで登ると疲れてしまうので自分のペースでゆっくり進みましょう。

<燧ヶ岳と尾瀬ヶ原に行く道の分岐>

<登りはじめの岩場>

②は長英新道と呼ばれる登山道で、今から約60年前に現在の長蔵小屋の主人の祖父にあたる平野長英氏が開拓しました。

他の登山道より滑らかに進むことができますが時間はかかります。山頂近くに尾瀬沼を臨めるミノブチ岳というスポットがあります。

<ミノブチ岳の展望>

③はナデックボと呼ばれる岩場を登るルートで、他の登山道より早く山頂に到着できますが、整地されておらず上級者向けの道なので初めての方は他の道を登ることをオススメします。ナデックボの由来は諸説ありますが、「なだれが多い窪んだ所」を略して呼ぶようになったとも考えられています。

<沼尻平から見たナデックボ登山道>

<俎嵓(2,346m)から臨む尾瀬沼>

④は見晴新道と呼ばれ、約3時間半で柴安嵓に到着します。最近に開拓された道のため、雨水が固まらず滑りやすい道となっており、雨の日やその翌日などは歩くと登山靴がどろどろになります。

思い切って折りたたみの長靴などを持って行くと良いでしょう。新しく木道階段が作られており、少しずつ歩きやすい道に変わってきています。

<見晴新道の新しい木道階段>

<柴安嵓(2,356m)から臨む尾瀬ヶ原>

今まで通りとはいかない半年でしたが、来年はより多くの方が来られることを祈っています。

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