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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

尾瀬の利用と課題 ①尾瀬のシカ対策の取り組み

2013年02月26日
尾瀬国立公園
檜枝岐自然保護官事務所の長峯です。

前回『現在の尾瀬の問題点と課題』という内容で日記を書くとお伝えしたものの、何を書こうかと考えていたらあっという間に3週間経ってしまいました・・・。

尾瀬の問題は、過去を遡るとオーバーユース、ゴミ、車両規制の問題がありましたが、現地に滞在するアクティブレンジャーとしてまた違った視点から、現在進行中の問題について、数回にわたってお伝えできたらと思います。

さて、記念すべき?一回目は"尾瀬のシカ対策の取り組み"についてお話したいと思います。

シカも生きるのに一生懸命だということは分かるのですが・・・


先日、檜枝岐村側で行っている尾瀬ニホンジカ対策の会議に出席してきました。

檜枝岐村猟友会、檜枝岐村役場、福島県、林野庁、環境省でそれぞれが尾瀬のシカに対してどのような取り組みをしているかを情報共有しました。
また、これからそれぞれの機関でどういう取り組みをしていくかの意見交換も行いました。

シカのような山の動物を捕る為には、その山の地理や捕獲対象の生態などを知っていなければならず、地元の狩猟者の協力が不可欠です。
しかし、近年狩猟者の減少が著しく、狩猟者も高齢化していると言われます。尾瀬に係わる村々も例外ではありません。

今までの調査から、尾瀬のシカは冬は越冬のために群馬県を通り栃木県へ渡っていくことが分かっていますが、シカの移動経路にあたる各市町村どこもが、狩猟者の減少と高齢化に悩まされているのです。

ここ檜枝岐も昔から狩猟を行っていた地域ですが、その大変さを知っている住民は子供達に狩猟を勧めないといいます。


同行したときの様子。ナイフで突いて駆除しました。
真ん中辺りにに罠にかかった鹿が見えます。狩猟も体力が必要です。



特に檜枝岐村は600人程度の村なので、民宿の経営やいくつかの仕事を兼任しながら行っている人も多く、狩猟だけに専念するというのは大変厳しいのです。

農業も林業も無く観光で収入を得ている村としては、尾瀬の観光のシンボルと利用している植物へのシカ食害は、村の存続にも係わる問題です。
しかし、シカの増殖が大変問題になっている地域(南アルプスや知床など)と比べると、シカの頭数も影響もまだまだ少ないのが現状です。

そんな中で、今後の尾瀬のシカ対策をどうやっていったらよいか。
尾瀬に係わる行政機関や猟友会等と協力しながら、現在も検討が続いています。