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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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佐渡

137件の記事があります。

2021年12月20日トキを守る・広める ~長岡市トキ分散飼育センターの紹介~

佐渡 右田京子

皆さん、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の右田です。

佐渡では雪が降る季節となりました。寒さが厳しくなるこの季節は、新型コロナウイルス感染症だけでなく、風邪やインフルエンザなども注意しなければなりませんね。

【雪が積もり始めた金北山と飛翔するトキ6羽】

そしてこの時期は渡り鳥の飛来が増えるため、トキ保護増殖事業にかかわっている私達にとって、「高病原性鳥インフルエンザ」にも注意が必要です。

2021年12月16日現在、既に国内各地で家きん飼養農場で9事例、野鳥で8事例の発生が認められています。県内での発生はまだ確認されていませんが、トキを飼育しているエリアに私たちがウイルスを持ち込まないよう、予防対策を実施しています。例えば、飼育エリアに入る際の職員や来訪者の靴底の消毒、車両の原則進入禁止(進入する際は車体へ消毒液を噴霧)などを行っています。

 

【ゲートや管理棟入り口に設置している靴底の消毒槽】    【車両用消毒液噴霧器】

また、高病原性鳥インフルエンザ等の感染症や環境変動によるリスク対策として、地理的に距離を離してリスクを分散する分散飼育の取り組みも行われています。

佐渡トキ保護センターと野生復帰ステーションの他に、実は国内各地5施設(多摩動物公園、いしかわ動物園、出雲市トキ分散飼育センター、長岡市トキ分散飼育センター、佐渡市トキふれあいプラザ)でトキが飼育されているのです。皆さんご存じでしたか。

【トキの分散飼育施設】

 

先日、本州での仕事の際に、公開施設のある長岡市トキ分散飼育センターを見学させて頂きましたので、ご紹介します。

まずは、トキを間近で観察できる観覧棟「トキみ~て」です。

   

【観覧棟「トキみ~て」】      【トキと虫眼鏡をモチーフにしたキャラクターがお出迎え】 

 

【左から、ひかり、のずみ、ほたる】       【しなの、けやき】

生まれ年と性別: 2010♂、2005♂、2010♂        2004♂、2008♂

大きな窓で、とても見やすいです!近いです!

餌を食べる様子や池で餌を探す様子などをじっくり見ることができます。

なお、トキにストレスを与えないよう、施設館内は暗くしてあり、また窓には特殊なガラスを用いているため、トキ側からは人の動きが見えにくい工夫がされています。

ここには観覧棟の飼育ケージとは別に、非公開の繁殖ケージもあり、現在2つがい(4羽)のトキがいます。春に新しい命が生まれるのが楽しみですね。

そして、観覧棟「トキみ~て」の横にある展示施設「トキと自然の学習館」です。

【トキと自然の学習館】          【とてもきれいなトキの羽の展示】

標本や資料などいろいろな展示物で、トキや自然環境のこと、長岡市の取り組み等についてわかりやすく学ぶことができます。

最後に、こちらをご覧ください。

観覧棟「トキみ~て」のすぐ横にある林です。

2008年から佐渡でトキの放鳥を開始していますが、そのほとんどが佐渡島内にとどまる中、佐渡から本州に渡った個体は27例確認されています。そして、その中の1羽が飛来したのが、この林です。

しばらくの間、ここから仲間を求めてしきりに鳴いていたそうです。

いつの日か本州へ渡るトキが増え、定着してくれるといいですね。

分散飼育は感染症等のリスク分散のために行われていますが、こうした施設を通してトキの保護増殖事業のことや環境保全についての普及啓発が進み、各地でトキが暮らしていけるように、生息環境整備や社会環境整備が積極的に実施されると良いなと改めて感じました。

トキも立ち寄る「トキみ~て」、ぜひ皆さんも訪れてみてはいかがでしょうか。

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2021年11月29日いざ!制札(せいさつ)再設置へ!

佐渡 菅野萌

皆さんこんにちは。

佐渡自然保護官事務所の菅野です。

少し前になりますが、国指定鳥獣保護区の制札の再設置を行ったので、その作業のことを日記に書きたいと思います!

佐渡には6か所の県指定鳥獣保護区と1か所の国指定鳥獣保護区があり、佐渡自然保護官事務所は国指定小佐渡東部鳥獣保護区を管轄しています。

鳥獣保護区内では狩猟が規制されており、鳥獣保護区であることを示す制札(看板)がいくつも設置されています。

▲この赤い看板を見たことがある方もいるのではないでしょうか

ところが、設置してから何年も経った制札は、錆や強風の影響を受けて倒れてしまうことがあります。

今年は3基の制札が倒れてしまったので、まとめて再設置に行きました。

まずは事前準備。

事務所の敷地内などで大小さまざまな大きさの石を拾い集めます。

一体何のために石を用意するのでしょうか?その答えはあとで分かります。

今回は、新しい制札を少しでも長持ちさせるために、錆びやすい箇所に錆止め剤を塗るという一手間もかけました。

▲一番錆びやすいのは、土中に埋まる部分と、ネジが接する部分です

錆止め加工が終了したら、制札を組み立てて事前準備完了!次は現地での作業です。

スコップなどを使い、制札がもともと設置されていた場所を掘り返します。


支柱が埋められる深さまで穴を掘れたら、制札の支柱を立て、周りに石と土を入れて丁寧に地盤を固めていきます。

この地盤固めのために様々な大きさの石が必要だったのです!

▲大きい石と小さい石を隙間無く詰めていきます

最後に、大きな木槌で地面を叩き、地面を固め終わったら終了です!

この日は職員4名で半日がかりの作業でしたが、無事3基分の再設置が終了しました!

しっかり建てることができたと思うので、この状態が維持されれば良いと思います。

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2021年11月19日秋恒例・トキのねぐら出一斉カウント調査

佐渡 右田京子

みなさん、こんにちは。

佐渡自然保護官事務所の右田です。

佐渡では、秋の終わりが近づいています。山々の頂上付近はすっかり紅葉が終わってしまい、あわてて裾野の紅葉狩りを楽しんでいる今日この頃です。

【観察棟からの景色:秋が訪れた野生復帰ステーション】

秋から冬にかけてのこの時期、トキたちは集団で行動しています。たくさんのトキが集って餌をついばむ姿はなんとも愛らしく、また複数のトキが飛翔した時に目の前に広がる「とき色」はとても綺麗です。

【集団で行動するトキ】

毎年、トキが大きな群れを形成する9月と11月に、佐渡島内のトキのねぐら出一斉カウント調査を行っています。

現在、佐渡島内の野生下のトキの推定個体数は480羽程度です。足環のない個体(野生生まれ)も含めトキの個体数は、2008年の第1回放鳥から順調に増加しており、全てのトキの生存状況を把握することが難しくなってきています。うれしい悲鳴です。

そこで、トキの個体数を把握するために、2015年よりトキのねぐら出一斉カウント調査を実施しています。佐渡島内各地のトキの集団ねぐらが見える位置に、観察者を配し、無線で連携しながら一斉にねぐら出する個体数を数えます。その合計数を調べ、個体数の把握に役立てると共に、今後のトキ野生復帰の取組を検討する際の重要な情報として活用しています。 

【モニタリングセット】

記録用紙・地図 : それぞれが観察地点に行き、結果を記録します

ヘッドライト : 日の出前からスタンバイするため手元を照らします。

無線機 : 各地の観察者とねぐら出の羽数や方向を共有し連携します。

双眼鏡・スコープ : ねぐら出の確認やねぐら出後の識別をします。

トキの生息数が順調に増えている背景には、地域の方々の様々な努力やご協力があります。そして、ねぐら出一斉カウントもまた、職員だけでは実施できないため、地域のボラティアの方々に支えられています。

11月9日~11日の3日間、悪天候の中ではありましたが、のべ71人で佐渡島内53地点について調査を行いました。

夜明け前の暗いうちから、各持ち場に到着した観察者のみなさんから「こちら○○、××ねぐらにスタンバイしました。」との無線が入り始めます。辺りがうっすら明るくなる頃になると「××ねぐらから△△羽出ました!北に向かいました。」などの無線が続々と入り、とても賑やかになります。無線のやり取りで貴重な情報だけでなく、ワクワク感も共有されていきます。ねぐら出が終わった後も、さらに、飛翔方向の無線を頼りにトキたちが降り立った場所へ向かい個体識別を行うことがあります。

【集団で採餌するトキ】

◆ボランティアNさんの声

2回目の参加です。毎日の観察は無理ですが、1日だけ早起きしてお役に立てるので、この調査が楽しみです。

今回私の場所はねぐら出ゼロでしたが、「いないことがわかった」のも成果です。

◆ボランティアOさんの声

ねぐら出カウント5年になります。今回、初日はいつもの場所、2日目が初めての場所でした。初日の場所は私がウォーキングをしていて見付けたねぐらです。今回は荒天で車の窓を開けての観察は大変でしたが、元気に飛んで行くトキ達を見ると幸せな気分になれますね♪朝焼けと共に出た大きな二重の虹にも感動しました。

◆今回の結果

ねぐら出が確認されたねぐら数は29か所でしたが、合計羽数は423羽となり、9月時点の推定生存個体数の9割弱のトキが確認できました。一つのねぐらからねぐら出した最も多い個体数は60羽だったそうです。

トキも人も集まって和気あいあいと!この時期ならではの醍醐味です。

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2021年10月29日トキの成長を見守る

佐渡 菅野萌

皆さんこんにちは。

佐渡自然保護官事務所の菅野です。

朝晩はだいぶ冷え込むようになり、トキのモニタリングに出る際は防寒具が必要になってきました。

ひんやりと冷たい車のハンドルを握りつつ、モニタリングをしていると・・・

あ!トキを発見!

放鳥したトキや、野生下で誕生したトキの一部には足環がついているので、番号やカラーリングの色の組み合わせで個体番号を識別することができます。

一番左側のトキは・・・

今年野生下で生まれたNo.C55です!


No.C55は、No.254(オス)とNo.190(メス)から生まれた4羽のヒナのうち、一番体が小さかったトキです。

まだ巣内にいた頃の写真がこちら!

▲野生下トキの足環装着は巣内ビナ(18~25日齢程度)のうちにおこないます

この写真は5~6月に行われる足環装着の際に撮影した写真です。

ご覧の通り、ヒナの時期は嘴も短く、顔も黒っぽい色をしています。

そしてこちらが巣立ちを確認してから約一ヶ月後のNo.C55の様子です。

写真だとハッキリ見えないかもしれませんが、顔はオレンジ色になっています。

成長するにつれて顔の色が変化していくのです。

そして現在は、成鳥と同じくらい顔の色が赤に近づいています。

まだ巣にいる頃から成長を見守ってきたトキが立派に成長し、他のトキと共に過ごしている姿をみるととても嬉しい気持ちになります。

これから寒い冬がやってきますが、しっかりとエサを食べて元気に過ごして欲しいと思います。

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2021年10月11日第25回放鳥 ー順化訓練を経て、いざ大空へー

佐渡 右田京子

皆様、はじめまして!
佐渡自然保護官事務所に9月よりアクティブ・レンジャーとして着任しました右田 京子(みぎた きょうこ)と申します。素晴らしい佐渡の魅力やトキの野生復帰に向けた私たちの活動について、少しでも皆様にお伝えできるよう、業務に励みたいと思います。これから、どうぞよろしくお願いします。

早速ですが、第25回トキ放鳥が行われましたので、その様子についてお伝えします。

9月17日に佐渡市野浦地区にて5羽を放鳥し、9月28日~29日に佐渡市新穂地区にある野生復帰ステーションの順化ケージより9羽の放鳥を行いました。

【9月17日 佐渡市野浦地区での放鳥の様子】

▲トキの生息環境整備に取り組む野浦地区の住民の皆さんと一緒に放鳥しました。当日は小雨まじりの曇り空でしたが、放鳥の際はぴたりと雨もやみ、5羽のトキたちは一斉に飛び立って行きました。放鳥場所上空を旋回したのち、山側の谷へ。

【9月28日~29日 野生復帰ステーション順化ケージからの放鳥の様子】

                     

▲順化ケージの放鳥口付近に集まってきて・・・  飛び立ちました!

初日は9時に放鳥口を解放したもののなかなか動きはなく、夕方やっと1羽が飛び立ちました。2日目は6時に放鳥口を解放し、7時半頃に7羽が一斉に飛び立ちました。残り1羽も放鳥口の外の池に歩いて出て採餌をしばらく続けた後、14時半頃に無事に飛び立ちました。

これから新しい世界で生活をしていくトキたちと自分を重ね、「頑張れよ-!」という思いもひとしおです。

さて放鳥前のトキたちが、どのように過ごしているかご存じでしょうか?

いきなり野外での生活は難しいので放鳥前は3か月間、採餌・飛翔・群れ行動・人への慣れなどの順化訓練を行います。

今回は、トキが訓練を行っていた順化ケージの環境の一部を紹介したいと思います。

【トキたちが訓練していた順化ケージ】

▲順化ケージ内部(奥行き80m×幅50m×高さ15m)

とても広々としていて、奥に向かって傾斜があります。そして奥側半分は飼育員も立ち入らないトキたちの聖域(草ボウボウの自然のままの状態)になっています。安心できる場所を確保しつつ様々な状況に慣れる訓練ができるように工夫されています。

 

▲トキたちの痕跡

いたるところにトキたちの痕跡が残っていました。ちなみに田んぼなどで見られるトキの足跡のそばには、餌を探したクチバシの跡が点々と穴になって残っています。

▲ケージ内の生き物

ケージ内をほんの数分探索しただけで様々な生き物に遭遇しました。

ドジョウなどの給餌も行われていますが、自然の中でこういった生き物を捕って食べる方法も覚えます。

訓練を経て大きく羽ばたいていったトキたち、今後、地域の方々に見守られながらうまく定着してくれることを期待したいと思います。

(参考)トキの放鳥方法

9月17日に佐渡市野浦地区にて箱からトキを放鳥した方法は、ハードリリース方式と呼ばれています。順化訓練後のトキを放鳥場所に移動し、直ちに放鳥する方式で、既存の群れサイズの拡大とトキの分布拡大を促すことを目的としています。

9月28日~29日に野生復帰ステーションの順化ケージからトキを放鳥した方法は、ソフトリリース方式と呼ばれています。

放鳥場所で飼育し、トキが環境に順化したのちに放鳥する方式で、分散を抑制し、放鳥場所周辺での群れ形成を目的としています。

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2021年09月02日群れの季節

佐渡 菅野萌

皆さんこんにちは。

佐渡自然保護官事務所の菅野です。

佐渡ではトキが群れで行動する時期になり、色々なところでトキの群れに遭遇するようになりました。

▲「トキの木」を発見!いったい何羽のトキがとまっているのでしょうか

▲こちらは畦にずらり

こんな光景が見られるのも、佐渡にトキが暮らしていける環境があるからこそ。

その環境を作り出しているのは佐渡に住んでいる地域の方々です。

例えば、佐渡の農家の方の多くは畦の草管理に除草剤を使わず、草刈り機などを使用して、多くの生きものの生息環境を守っています。

これは「生きものを育む農法」の取り組みのひとつです。

除草剤がまかれていない畦は綺麗な緑色で、バッタやミミズなどの生きものがたくさんいるので、トキの大切なエサ場になっています。

佐渡の方々の理解と協力があるからこそ、現在の佐渡島内に400羽以上のトキが生息しているのです。

佐渡でトキの群れを見かけたら、トキだけでなく、その背景にも思いをめぐらせていただけたら嬉しいです。

また、トキの観察をする場合は車の中からそっと観察するようにお願いいたします。

<おまけ>

▲「緑の畦」をよく見ると、こんな鳥も!

鳥に詳しい職員に聞いたところ、おそらくチュウジシギだそうです

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2021年07月15日試行錯誤は続く!

佐渡 菅野萌

皆さんこんにちは。

佐渡自然保護官事務所の菅野です。

日中は蒸し暑くてたまらない季節になってきましたね。

▲まだ佐渡ではアジサイが咲いていますが・・・

さて、今週はそんな蒸し暑さにも負けずに、佐渡市内の元気な小学生の見学に対応しました。

小学生等を対象とした普及啓発活動も佐渡のアクティブ・レンジャーにとって大切な業務の1つです。

今年度は学校からの見学依頼が多く、私もすでに6件の案内対応をしています。

たいてい私が案内を担当するのは「トキのテラス」という施設で、野生トキの観察とトキが生息する佐渡の里地の展望ができます。昨年6月に全面オープンしたこの施設の屋内観察室にはトキの生態に関する展示物があり、また、野外のトキを観察できるように望遠鏡が備え付けられています。ここでトキについて説明したり、トキと佐渡の農業とのつながりを説明したりしています。

▲大きな窓からはトキが暮らす佐渡の里山の風景を一望できます

見学依頼ごとに対象者の年齢や人数、案内時間が異なるため、飽きさせないためにどうすれば良いか、一番伝えたいことを効果的に伝えるにはどうすればよいか、毎回試行錯誤しています。


▲ある時はフリップを使ってみたり


▲デジタルサイネージの自作の動画で説明してみたり

▲展示物を利用して子供達の目線を変えてみたり

なかなか納得のいく案内はできていないのですが、場数を踏んだおかげでようやく基本スタイルが固まってきたように思います。

トキが暮らせるということは、それだけ他の生きものもたくさん生きていける環境であること。

そんな環境が維持されているのは、佐渡の農家の方々が生きものに優しい方法で農業をしているからだということ。

トキのことだけでなく、トキと人が共に暮らしている佐渡の素晴らしさを、佐渡の未来を担う子供達にしっかりと伝えるためにはどうすればよいのか、私の試行錯誤はまだまだ続きます!

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2021年07月05日退職のご挨拶

佐渡 近藤陽子

皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。

このたび結婚が決まり、今月いっぱいで退職し、佐渡を離れて故郷の愛知県に戻ることになりました。


<近藤、フィールドにて>

2014年10月に着任してから約7年。

トキとともに歩む日々でした。


時系列に大きなイベントを振り返りたいと思います。


■2016年
放鳥されたトキではなく、野生下で誕生したトキのペアから42年ぶりにヒナが巣立ちました。日々観察を続けてきた私たちには感動の瞬間でした。


<野生下で誕生したトキのペアから誕生し、42年ぶりに巣立った幼鳥3羽>


■2018年
佐渡トキ野生復帰10周年記念式典の開催に関わり、同年、11年ぶりに中国から提供されたトキ、オスの楼楼(ロウロウ)とメスの関関(グワングワン)が佐渡トキ保護センターに到着する様子を見届けました。


<佐渡トキ野生復帰10周年記念式典の様子>



<佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションでのロウロウ・グワングワンの様子>


■2019年
トキの野生復帰が順調に進み、トキは環境省のレッドリストにおいて「野生絶滅」から「絶滅危惧IA類」に見直されました。


<あぜで休息するトキ17羽>

1羽1羽トキを観察し、個々の動向を日々追っていた私には、記憶に残るトキたちがたくさんいます。

<近藤の記憶に残るトキたちを取り上げたアクティブ・レンジャー日記記事>
「野生下で生きる」2020年3月9日
「野生復帰を支えたトキたち」2019年12月24日
「帰って来たNo.264」2018年11月30日

「孤高のメストキ」2018年07月27日
「海を渡ったトキたち」2018年11月6日

「トキの個体特性」2018年10月18日

「92×200の奇跡」2018年06月01日

見上げればトキが舞う佐渡の空。

いつか本州でもこのような景色が見られることを心待ちにしています。

愛知県に戻っても、「トキと共生する佐渡の里山」として世界農業遺産に認定された佐渡の里山環境の素晴らしさ、佐渡に息づく伝統文化、そして大好きな佐渡の人たちの温かさを、自らの経験をもとに、広め続けていきます。


今後とも、佐渡とトキ野生復帰を応援いただけますと幸いです。


約7年間、本当にありがとうございました。



<2008年9月25日に行われた第1回放鳥の唯一の生き残りで、国内の野生トキでは最高齢(15歳)のNo.11。また会う日までどうか元気で。>

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2021年06月18日第24回トキ放鳥 ~ハードリリース方式~

佐渡 菅野萌

皆さんこんにちは。

佐渡自然保護官事務所の菅野です。

佐渡では6月上旬に第24回トキ放鳥を行い、計17羽のトキが放鳥されました!

今回の放鳥も、昨年秋に実施された第23回トキ放鳥と同様にハードリリース方式(※1)とソフトリリース方式(※2)を併用して行いました。

この日記では6月5日に生椿(はえつばき)地区の棚田で行われたハードリリース方式での放鳥の様子をお伝えしようと思います。


佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションの順化ケージで約3か月間の訓練を受けたトキたちを捕獲し、放鳥箱に入れて放鳥場所まで移動します。

▲トキを放鳥箱に入れる様子

トキ捕獲作業は獣医師と飼育員が中心になって行いますが、アクティブ・レンジャーも手伝いをします。その後ひと足先に放鳥場所に移動して会場の準備をします。

上の写真は、私の持ち場の様子です。

報道発表用の写真・映像撮影をする必要があるので、ビデオカメラや望遠カメラを用意してあります。

放鳥されたトキが直後に落下するなどの事故があった場合に備え、トキ用の捕獲網もすぐ手に取れる場所に置いておきます。

会場の準備が整った頃、トキの入った放鳥箱をのせた車が放鳥場所に到着します。

そのあと関係者やマスコミの方々が放鳥場所へ到着し、いよいよ放鳥が始まります。

今回はトキのためのビオトープ整備に関わっている団体の代表者等に放鳥者になっていただきました。

放鳥者が放鳥箱にかけられた赤と白のテープをハサミで切ると・・・

放鳥箱の扉が開き、トキが飛び立っていきます。

前回の放鳥時はあいにくの雨でしたが、今回は青空が広がる中、無事に全10羽が飛び立っていきました。

▲放鳥されたトキ

※1 ハードリリース方式

順化訓練後のトキを放鳥場所に移動し、直ちに放鳥する方式で、既存の群れサイズの拡大とトキの分布拡大を促すことを目的としています。

※2 ソフトリリース方式

放鳥場所で飼育し、トキが環境に順化したのちに放鳥する方式で、分散を抑制し、放鳥場所周辺での群れ形成を目的としています。

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2021年06月03日トキの卵

佐渡 近藤陽子

皆様、こんにちは。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。



<親鳥とトキのヒナ2羽 2021/6/1撮影>

佐渡では5月28日に、野生下のトキの今期最初の巣立ちが確認され、トキの繁殖期も終わりが近付いてきました。

繁殖に成功し、ヒナを巣立たせるつがいがいる一方、巣造りしていたのにやめてしまったつがい、卵を温めていたのにやめてしまったつがいなども多数確認されています。

このようにトキが繁殖を中止した場合、トキが巣や林にいないのを確認してから巣の下へ行き、卵殻の回収を行います。



<巣の下に落ちていたトキの卵殻>

昨日も卵殻回収しに、繁殖を中止したトキの巣の下に行きましたが、卵殻ではなく、なんと卵まるごと1つを回収しました。落下したのに割れていない卵を拾うことはほとんどありません。




※野鳥の卵の採取は鳥獣保護管理法で禁止されています。トキの卵回収は種の保存法に基づくトキ保護増殖事業の一環として特別に実施しています。

どのような理由で落下したのか、天敵のカラスが持ち去ろうとして落としたのか、定かではありませんが、トキの卵を観察できる良い機会なのでご紹介します。

トキの卵は、青みがかった薄い灰色の地に、茶褐色の濃淡のある斑点が散らばっています。鈍端(丸い方の端)ほどこの斑点が多く散らばっています。



<短辺4㎝ほど>


<長辺7㎝ほど>



大きさは約7㎝×4㎝、重さは66.4gでした。

平均的なトキの卵の重さは約70gなので、こちらの卵は落下後に水分が抜けて少し軽くなったようです。

拾った卵や卵殻は、トキが何個卵を産んだのか(産卵数)、卵は有精卵だったのか(有精卵率)、今回のような未孵化卵(みふからん)の場合は卵を割って卵内のヒナの発生段階などを調べるために用います。

※ 第16回トキ野生復帰検討会p26
2.繁殖の成否に関する考察 (1)繁殖の成否に関する要因と分析 ① 未孵化による失敗


<有精卵か否かを調べるための検査の様子>



<検査液に卵殻を入れ、有精卵だと青白く光ります>

2008年に放鳥を開始してから徐々に個体数が増え、2012年に野生下での繁殖に成功し、現在、佐渡には約430羽のトキが生息していますが、2020年には個体数の増加の勢いが鈍化しました。

まだまだ野生復帰の道半ばですが、トキが佐渡だけでなく、本州でも安定して生息する未来が訪れることを願っています。

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