アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
トキの求愛行動
2019年01月10日皆様、明けましておめでとうございます。
佐渡自然保護官事務所の近藤です。
2019年最初の日記は、繁殖期(2~7月)に向けてトキ達が取る求愛行動を3つ、ご紹介したいと思います。
①枝渡し(えだわたし)
トキは、気に入った相手がいると、小枝や草、枯れ葉や木の皮などを渡そうとします。相性が良ければ、一緒にくわえて遊ぶような行動をしますが、相性が悪いと、渡そうとしても逃げられてしまいます。
よく似た行動で、枝をくわえて頭と翼を下げ、のっしのっしと大股で歩きながら別のトキを追いかけることがあります。これは、おそらく威嚇行動で、枝は威嚇の道具として使っているようです。
②相互羽づくろい(そうごはづくろい)
お互い、相手の羽をくちばしで整える行為です。トキのくちばしは鋭く、ヌルヌルするドジョウをさっと捕まえることができます。人が指などを噛まれると、皮膚が切れることもあります。
このように攻撃や威嚇にも使うことができるくちばしで相手に羽づくろいさせるのは、仲良しの証拠。羽づくろいされている側は、冠羽(かんう)と呼ばれる後頭部にある長い羽を逆立てていることが多いです。「気持ちいい」のサインでしょうか?
③擬交尾(ぎこうび)
おしりとおしりがくっつき合わない、交尾に似た行為です。オスがメスの上に乗ります。擬交尾が見られた2羽は、ペアとなり繁殖を始めることが多いです。
擬交尾(または交尾)の際、トキは独特な鳴き声を出します。「コオオ、コオオ、コオオ、ター!」とリズムがあり、「コオオ」と鳴いている間は、オスがメスの上に乗ってお互い頭を震わせながらくちばしをカチカチ当て合います。最後の「ター!」は、オスがメスの上から降り、擬交尾が終わった時の鳴き声です。
たとえトキの姿が見えなくても、林の中からこの鳴き声がすれば、擬交尾していることが分かります。また、「コオオ」が長く続く場合は、オスがメスの上に乗っている時間が長いということ。擬交尾ではなく交尾の可能性が高くなり、産卵時期を推定するのに役立ちます。
トキにはトキ特有の様々な表現方法があり、それが読み取れるようになると、観察もより楽しくなります。
これからもトキとトキが暮らす佐渡の魅力をお伝えしていきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
~おまけ~
珍鳥 オオカラモズが、佐渡では25年ぶりに確認されました。(2018年12月撮影)
普段見かけるモズよりも一回り以上大きくて白っぽい体が大変美しく、印象的でした。