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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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富士箱根伊豆国立公園 箱根

213件の記事があります。

2021年07月14日【富士山編】開山前から出来る装備の状態とルールの確認

富士箱根伊豆国立公園 箱根 高木俊哉

AR日記をご覧の皆さま、こんにちは。

箱根事務所の高木です。

富士山の開山時期になり、2年ぶりに富士山にも登山客が戻りつつあります。
梅雨でなかなか外に出ることが出来ない今だからこそ、快適な富士登山に向けて装備の状態を確認してみてはいかがでしょうか。

  • ●装備の状態をチェック

昨年は開山されることがなかったため、今年を楽しみに富士登山を計画されている方も多いかもしれません。
是非今年は例年以上にしっかりと準備をして、感染症対策も行い、事故無く楽しく富士登山を終えましょう。

<登山靴>

まずは登山靴から。

富士登山では、ハイカットの靴を選ぶと良いでしょう。スコリアが靴の中に入るのを防ぎ、また足首を固定する役割もあります。特に「砂走り」や「大砂走り」はゆっくり歩いても靴が数センチ沈みこむところもあるため、さらにゲイター(スパッツ)などを装備することも推奨されます。

靴の底などもはがれている場合がないように、今のうちに状態をしっかりチェックしておきましょう。状態に不安が残る場合には買い替えも検討した方がいいですが、試着はしっかりしておきましょう。

登山靴

▲富士山は過酷な環境です。「これくらい良いか」と放置しないようにしましょう。

<ストック>

ストックは、特に下山時の膝への負担を軽減する際に有効です。
伸縮タイプのものは長さを調節するストッパーなどに異変がないか確認しましょう。また、登山道や植生の保護の為、キャップは必ずつけてください。

ストック

<ザック>

登山中に使い物にならなくなってしまわないよう、ザックに破れなどの破損がないか確認を。ウエストベルトの差し込みバックルなども耐久力があるかチェックしておきましょう。

ザック

▲差し込みバックル

<防水スプレー>

防水機能のあるザックや登山靴、レインウェアも使用を重ねていると、機能が低下することがあります。急な悪天候で雨に濡れてしまい、体力の低下やザックの中を水浸しにしない為にも今のうちに防水スプレーで対策を行っておくと安心です。

※防水スプレー・防水スプレーを使用する物品の、使用方法や取扱説明書を必ずご確認のうえご使用ください。

<感染症対策>

手洗い

消毒ジェルや不織布マスク、密閉袋など感染症対策用の装備は個人で用意を。また、登山前の計画段階から体調管理を行って、症状がある場合には冷静な判断で中止・延期の決断をしましょう。

富士登山オフィシャルサイト(感染症対策)

そして個人的なおすすめ装備として、軍手を持っていくと安心です。
登山技術・経験や歩き方にもよると思いますが、軍手(グローブ)は、例えば富士宮ルートの一部では岩がせり出しているような場所もあるので、手を守ってくれます。また、他のルートでも急な転倒の際には手のすりむきなどを防いでくれるでしょう。リーズナブルな価格もポイントです。ただし、保温の効果は低く、雨が降ると冷たい水分を含んでしまうので注意しましょう。

  • ●ルール

富士山は国立公園と特別名勝及び史跡に指定されているため、自然公園法と文化財保護法によって、法律により禁止されている行為があります

採取禁止採取禁止
必ず下記のページを確認しておきましょう。

<富士箱根伊豆国立公園特別保護地区>

五合目より高い地域は国立公園特別保護地区に指定され、自然保護のため厳しい規制がかけられています。
また、世界文化遺産にも登録され、他にも溶岩樹形等の自然的・歴史的価値のある天然記念物がありますので、マナーを守った行動を心がけましょう。

富士登山オフィシャルサイト(富士登山のルールとマナー)

最後になりますが改めて「withコロナ時代の新しいマナー」をよく確認して感染拡大防止に努めましょう。

Withコロナ時代の新しい富士登山マナーWithコロナ時代の新しい富士登山マナー(PDF:278KB)

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2021年06月29日芦ノ湖水門を訪ねて2021(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

5月に予定していたパークボランティア主催の行事「芦ノ湖水門と歴史を訪ねて」は、まん延防止措置対策のため中止されましたが、今回も次年度に向けての研修が実施され、アクティブレンジャーが同行しています。

このコースは、箱根の「歴史」と「ジオ(大地のパワー)」に触れられるコースです。

【 箱根ビジターセンターで配布しているコースマップです 】

【湖尻水門】

このコースでは「湖尻水門」「深良水門」2つの水門を通ります。

上部写真の「湖尻水門」は、大雨等で芦ノ湖の水が増えすぎた際に解放される水門です。今の姿は平成2年に立て替えられた新しいものです。それ以前は手動の水門だったそうです。パークボランティアさんの中には、以前の古い湖尻水門を実際に手動で締めて、芦ノ湖の水量を管理した経験者がいます。経験者が語る、リアルな水門管理のお話は、聞き応えがあることでしょう。

【移築され残されている古い湖尻水門】

「深良水門」周辺からは、登りのコースです。芦ノ湖周辺の標高700m前後から、1000m前後まで1時間程度かけて登っていきます。一部古い石畳が残されていますが、滑りやすいため注意して歩く必要があります。

【深良水門 (2020年3月撮影)】

途中に現れる、箱根スカイライン(車道)を歩いて渡ると、ここから景観が変わります。富士山から吹く風が、冷たく強く吹くことで、育つ植物が限られてくる地帯「風衝地」です。箱根外輪山らしい景色が広がります。

【 箱根の風衝地はササの草原です 】

 そして振り返ると、そこには絶景が。

【 芦ノ湖と箱根内輪山 】

 箱根の名所を一度に見渡せる景観が広がります。箱根には火山活動と人の暮らしが両立してきた歴史が有り、「ジオサイト」と呼ばれる、大地が動いている軌跡が各所にあります。この風景を眺めながらパークボランティアさんのガイドを聞くことで、「ジオサイト」の点と点をつないだ線が見え、箱根ジオパークの全体像が感じられました。スタート地点の箱根ビジターセンターも見えて、歩いた距離の実感も湧きますよ。

 また、それ以外にも、駿河湾や富士山が見える展望があり、実際にその目で見て欲しい!と感じる景観抜群のハイキングコースでした。写真撮影のベストスポットは、パークボランティアさんが知っています!是非、教えてもらいましょう。

季節の植物としては、「ツチアケビ」を目にすることが出来ました。5月下旬の姿はアスパラガスのようです。夏の姿はまた激変しますので、夏期以降でこのコースを歩くときには楽しみに探してみて下さい。

【ツチアケビ 春の姿はアスパラガス?】

来年は、お客様をご案内できますように。コロナ禍の終息を、切に願います。

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2021年06月23日野生動物との共生

富士箱根伊豆国立公園 箱根 高木俊哉

AR日記をご覧の皆さま、こんにちは。

箱根の高木です。

最近、巡視をしている最中に珍しい光景に出会うことがありました。

こちらの写真に何が写っているかわかりますでしょうか。

ヒガシニホントカゲの幼体同士が接近しています。

左の個体の方が体長が小さいようです。

その小さい個体が大きい個体をじっと見つめています。

この後どうなるのか気になり観察を続けることにしました。

その後じりじりと小さい個体の方が近寄り、、、

そしてちょっかいを出し、消えていきました。

近すぎて連なっているようにも見えますね。

ちょっかいを出された個体と言えば、、、動じない個体なのでしょうか、

接触されてもほとんど動きはありませんでした。

そんな彼(オスでしょうか?)が気になり、私ももう少しだけ近寄って撮影してみることにしました。

、、、逃げません。

警戒心が強ければとっくに逃げている距離ですが、どのような経験をしてきた個体なのでしょうか。

近づいてしまった手にも逃げることはありませんでした。

野生動物との距離が近くなった、束の間の楽しく緊張の瞬間でした。

しかし、全ての動物に対してこの瞬間が訪れるとは限りません。

最近、箱根地域でツキノワグマの目撃情報がありました。

実は、調査により箱根には少ないながら恒常的にクマが生息している可能性が高いと過去に論文で発表されています。

当たり前ですが、クマとの間では先ほど私が行ったトカゲとの接触のように不必要な接近は起こすべきではありません。

今のところ、被害が出ている情報はありませんが、様々な野生動物と上手な付き合い方をしていきたいと改めて感じるきっかけになった出来事でした。

仙石原地域でのツキノワグマの出没情報について(箱根町)

http://www.town.hakone.kanagawa.jp/index.cfm/6,24602,16,115,html

クマ類に遭遇した際にとるべき行動[PDF:834KB]

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2021年05月31日箱根で見つける春の花

富士箱根伊豆国立公園 箱根 高木俊哉

AR日記をご覧の皆さま、こんにちは。

箱根事務所の高木です。

最近は地域によって早い梅雨が始まっているようですが、箱根も雨が降りながらも暖かい日が続いています。

外に出てみると、実を付けていたり花が咲いていたり、植物の様々な「色」を目にすることが出来ます。

今回は巡視で見つけたそんな春の花たちをご紹介します。

サクラスミレ

▲和名:サクラスミレ (学名:Viola hirtipes

スミレ科スミレ属 花期4~6月 花径25~30mm

見つけられる場所:日の当たる山地帯の草原

花が大きく美しいので「スミレの女王」の異名があるそうです(王はいるのでしょうか?)。

確かに他のスミレとは違い、スミレ初心者の私でも「これは大きい」と感じるほど存在感がありました。

シャガ

▲和名:シャガ (学名:Iris japonica

アヤメ科アヤメ属 花期4~5月 花径30~60mm

見つけられる場所:スギ林周辺などのやや湿っている木陰

箱根ジオパークのジオサイトの一つである堂ヶ島(島と言っても、海に浮かぶ島ではなく箱根の地名です)付近で観察しました。

こちらも大きな花が印象的です。

(※由来については諸説あり、帰化植物として扱われる場合もあります。)

サンショウバラ

▲和名:サンショウバラ (学名:Rosa hirtula

バラ科バラ属 花期6月 花径60mm

見つけられる場所:林縁や草原(富士山に近い富士箱根地域のみ)

日本固有種かつ、富士山や箱根地域のみに分布する希少な植物です。

名前の由来は、独特の香りを持つサンショウに葉が似ていることから。

こちらはビジターセンターの近くで観察しました。

開花は夏とされていますが、今年は暖かいからでしょうか、6月に入る一週間前でも開花しているようでした。

今回は春に観察した植物を3種、ご紹介しました。

木本と草本どちらもありましたが、自然の中を歩くと上から下まで、よく見てみると様々な色を持つ花があることに気付かされました。

今後もよく見て、じっくり理解を深めていきたいと思います。

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2021年05月28日スミレを探して2021 (箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 箱根 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

令和3年度の箱根地域親しむ運動「スミレを探して春の仙石原を歩く」は、神奈川県の蔓延防止対策等措置の実施を受けて中止となりましたが、次年度に向けて対象地区外在住の少数精鋭のパークボランティアのみで研修を実施し、ARも同行しました。

当日のコース「仙石原探勝歩道」は、約8㎞の道のりを歩く長めのハイキングです。

【 仙石原自然探勝歩道 コースマップ 】

箱根ビジターセンターを出発し、箱根湿生花園まで昼休憩をはさんで、ゆっくりと約6時間を歩きます。高低差は少なめですので歩きやすいコースですが、体力はやや必要です。

今回はガイドマイク計5台を使用し、パークボランティアの皆さんに、解説時の使い心地を試してもらいました。もちろん、ソーシャルディスタンスを維持できることが最大のメリットですが、過去にお客様から「良い解説だが、声が聞き取りにくかった」という感想を頂いたことがあり、今回ガイドマイクを使用することによりそれが改善できることを実感しました。お客様とパークボランティアさん、それぞれの安全と安心の為にも、今後ガイドマイクは自然解説時の必須アイテムとなっていくでしょう。

【 ガイド中のパークボランティアさん 】

今回メインの観察対象「スミレ」は、なんと13種類を観察しました。1つの探勝歩道で見られるスミレの種類が、そんなにあることに驚きです。一人で歩いていたら、見分けがつきません。パークボランティアさんたちの解説の価値を強く感じました。観察できる植物はスミレ以外にもたくさんあり、それぞれに楽しい解説を聞くことが出来ました。

【ほんの一部のスミレたちです】

【スミレ以外の植物はもちろん、金時山と早川の美しい景観も臨めます】

また、仙石原探勝歩道には、今年ならではの話題の場所がありました。「耕牧舎」跡です。

【 耕牧舎跡の石碑 】

NHK大河ドラマで取り上げられている「渋沢栄一」は、箱根にも関わりが深い人物です。この「渋沢栄一」が箱根の人たちと共に、明治12年箱根仙石原に創設して沼津の御用邸に乳製品を納めていた牧場が「耕牧舎」です。この日は耕牧舎跡でランチ休憩を取りました。静かな木陰で、箱根の歴史を感じながら、ゆっくりと気持ちの良い時間が過ごせます。これからドラマに、箱根や耕牧舎の名が登場する日が楽しみになりました。

終日を通して、見どころ満載の仙石原探勝歩道でした。本当に良いコースです。次年度には、パークボランティアの皆さんと一緒に、お客様を案内できることを心待ちにしたいと心から感じる研修同行でした。そのためにも、コロナ禍が早く過ぎ去ることを祈るばかりです。

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2021年04月27日仙石原湿原のニホンジカ対策

富士箱根伊豆国立公園 箱根 高木俊哉

AR日記をご覧の皆さま、こんにちは。

箱根事務所の高木です。

最近は暖かい日が続いています。

動物達もすでに活動を始めていますが、事務所の周りではこんな光景が広がっています。

このめちゃめちゃに掘り返したような跡はイノシシでしょう。

穴の深さは30cm以上もあり、他には木の根が浮いていたり歩道に土が溢れ出たりしている箇所もありました。

ビジターセンターも隣接していて昼間は人の営みがあるこの場所でも、こんなにも色濃く痕跡があることを考えると少し怖く感じます(ビジターセンターではイノシシとの遭遇に対して注意喚起を行っています)。

さて、動物の問題と言えば、箱根地域では仙石原湿原を守るために植生保護柵が設置されています。

シカなどによる採食や踏みつけによって、トキソウやモウセンゴケなど希少な湿原性植物を絶やしてしまわない様に、湿原を管理するための金網が仙石原の植生保護柵=シカ柵なのです。

現在は一部区間で未設置となっていますが、今後は柵を増設して湿原を一周させ完全に内部への侵入を防ぐものとする計画になっています。

このシカ柵の点検と補修を先日実施しましたので、ここでお話をさせて頂きます。

まずは現在のシカ柵の様子から。

支柱を軸として金網のパネルを連結させてあり、また柵下部には(写真では確認できませんが)スカートの様に斜めに張ったスカート部があります(スカート部によって水平面積を増やすことで、シカを寄せ付けにくくするという効果もあるようです)。

▲柵の様子(柵奥側が仙石原湿原内)

写真中央の柵が大きくへこんでしまっています。

これは恐らくシカによるアタック(衝突)が原因と考えられます。

好んでアタックをしているわけでは無いでしょうが、箱根地域で増えつつあるシカも自然の中で移動をするためにこの経路は避けて通れないのかもしれません。

それを裏付ける様に、付近の山と行き来する様子がモニタリング用に設置しているセンサーカメラで撮影されています。

▲仙石原湿原内で撮影されたニホンジカ

こちらは今回の点検で最も破損のひどかった金網を上から撮影した写真です。

衝撃で柵の針金の溶接が外れてしまっています。

1回のアタックでこのようになったわけでは無いと思いますが、その衝撃の大きさを物語っています。

このような破損は、溶接が外れて防護の機能を失った金網の隙間から動物が侵入することに繋がってしまいます。

そのため、今回は新しく溶接ではなく針金をクルクルと回し、撚った様に作られている金網を試験的に設置してみました。効果のほどはまだわかりませんが、柵そのものの破損が少なくなるよう期待をしています。

▲撚って合わされた針金

ところ変わって、南アルプス国立公園内(北岳や仙丈ヶ岳など一部の地域)では、ポリエチレン素材のネットを使用している様です(とは言っても、ステンレス線も編み込まれているので噛みちぎることが出来ない対策を取っています!)。

一口にシカ柵と言っても、設置の方法や素材等色々なものがあり、状況に合わせたシカ柵を作ることが大事だと言えそうです。

(関連記事はこちら:南アルプスとニホンジカ問題 その3

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2021年04月27日箱根外輪山ハイキングコース(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

新年度もよろしくお願い致します。

とても良い季節がやってきましたが、4月中旬になって、箱根がある神奈川県では「まん延防止等重点措置」が適用されました。まずは新型コロナウイルス感染症がこれ以上広がらないように、感染症予防対策にご協力下さい。AR日記をご覧の皆さんは、巡視風景の写真にてこの春を感じていただければ幸いです。

今回は、箱根外輪山ハイキングコース【湖尻峠~山伏峠】についてです。

令和元年秋の台風被害で起きた崩落部の補修が完了し、【湖尻峠~山伏峠】間が1年半ぶりに歩けるようになりました。そこで3月下旬、歩道管理の神奈川県自然環境保全センターの方と一緒に、合同巡視を実施しました。

【海ノ平からの富士山 向かって左に南アルプスが見えます】

前半は、箱根外輪山の稜線を歩きながら、富士山を眺められる素晴らしいコースです。左側には南アルプスもうっすら見えています。この南アルプス、箱根の北側にある明神ヶ岳からは、富士山の右側に見えます。業務でよく明神ヶ岳に登る高木ARからは、不思議な眺めだと感想がありました。

足元を見ると、春の花も咲き初めており、とても可愛らしい花々に出会えました。

【ナガバノスミレサイシン】

【ハナネコノメ】

このコースの見所は、富士山と花々だけではありません。

道中、アカガシとブナの林の中を、歩くことが出来ます。

【ブナの巨樹 人と大きさを比べて下さい】

芽吹き間近のブナの巨樹たちが、とても印象に残った巡視になりました。もうすぐ見られる若葉の新緑が、楽しみに感じて仕方がありません。崩落前には「箱根地域親しむ運動」でハイキングコースとして使われていた理由がよく分かりました。

もちろん、崩落部の補修もしっかりと行われていました。

【崩落部を渡る木道が設置されていました】

補修が完了した登山道も使い、箱根峠パーキングから、湖尻水門まで約6時間の道のりを歩くことができます。ただし、いざ歩くとなると、このコースは途中バス等を利用することが出来ないため、ロングコースになります。利用の際には登山靴やしっかりとした山歩きの準備を行う必要がありますので、ご注意下さい。

駐車場は箱根町港の無料パーキングを使うことをおすすめします。箱根峠まではバスで10分の移動時間です。帰りは桃源台駅から海賊船で芦ノ湖クルージングを楽しんで箱根町港に戻ることができます。

「まん延防止等重点措置」が解除された後には、このようなコースで箱根の外輪山に挑戦してみてはいかがでしょう。お休み中にご自宅にて計画を良く練っていただき、準備万端で後日挑戦してみてください。

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2021年03月19日箱根白浜(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 箱根 山口光子

みなさん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

今回は、冬の芦ノ湖西岸「白浜」巡視状況をお知らせします。

【冬の白浜】

【最近ダイサギが良く現れます】

夏から秋にかけては、BBQや焚火、花火の残骸に悩まされた白浜でした。

夏の白浜についてはこちらをどうぞ⇒アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]_白浜巡視清掃 (env.go.jp)

12月に入って漁期が終わり、白浜を訪れる人は減ったようです。人に会うことが少なくなりました。このまま、春までは芦ノ湖西岸コースのハイカーが時折利用する程度で落ち着くのではと思われましたが、予想に反し、大きな変化が起こっていました。

【上:白浜一面のシカの足跡】

【左下:シカに食べられ、折れたネコヤナギ 右下:シカの毛】

シカです。

これまで箱根地域では明神が岳や仙石原湿原など、別の箇所でのシカ被害が問題となっていましたが、とうとう芦ノ湖西岸でもシカが増えているようです。

その影響により、春から夏にかけて、美しく茂る白浜のネコヤナギが食べられています。そのため、今年はネコヤナギの美しい銀色の花芽は少なそうですが、2月の末になると少量ですが、花芽が芽吹いてきました。植物はたくましいです。


【少量ですが、銀色の花芽が確認できました】

シカも必死で生きていますが、本来いなかった動物が新たに増えることは、やはり自然の状態や生物多様性に大きな変化をもたらすことを体感させられました。今、同様の出来事は、日本の各地で起きています。小さな白浜の状況については、今後も記録を継続します。

また、今年の芦ノ湖はとても水位が低いです。そのため夏と比較して、白浜の面積が広く、良かったこととしては、漂着ゴミや釣り糸ゴミを回収出来る部分が広がりました。

【漂着した長靴のゴミ】

コツコツと拾い続けていますが、終了するにはまだ先は長いようです。ごみ拾いは、続けていくことが大切ですね。

白浜の変化を知ってか知らずか、シカ以外の動物たちも気ままに白浜周辺で生活しています。

【タヌキの足跡でしょうか】

ヒガラの混群が水浴びに訪れたり、カンムリカイツブリが湖面に現れたりと、鳥たちがゆっくり時間を過ごしています。もうすぐ春の訪れも近いのでしょう。花の季節はもう間もなくです。

3月に入ってからは、芦ノ湖の釣りが解禁されました。白浜周辺では道が細く、駐車スペースは基本的にはありませんが、車が増えているのが気になります(箱根港周辺のパーキングの使用を推奨いたします)。人が増えてごみも増える可能性があります。実際に、たばこの吸い殻ゴミが浜に増えはじめました。特に焚き火は国立公園内では禁止されていますので、山火事等の事故につながらないように、すれ違う皆さんには時折声かけをさせて頂いています。

これからも白浜の自然を保つために、定期的な白浜巡視を継続していきます。

※現在箱根ビジターセンターは臨時休館中です。詳細についてはHPをご確認下さい。

http://hakonevc.sunnyday.jp/index.html

 

 

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2021年03月03日箱根地域の大掃除

富士箱根伊豆国立公園 箱根 高木俊哉

AR日記をご覧の皆さま、こんにちは。

箱根事務所の高木です。

最近は暖かい日が続いていましたが、先週(2月24日)の午後は久しぶりに雪が降りました。うって変わってひどく寒く感じましたが、事務所の裏にある広場でも薄く積雪した様子でした。

広場の様子

(撮影日:2月25日)

さて、今回は日が経ってしまいましたが昨年末に実施した「箱根地域の大掃除」についてお伝えしたいと思います。

「箱根地域の大掃除」とは、昨年末の12月17日、箱根地域において環境保全と美化向上のために実施した「箱根地域国立公園内不法投棄防止一斉パトロール」のことです。

毎年年末頃に富士箱根伊豆国立公園箱根地域内において、関係行政機関や事業者の皆様に呼びかけを行い、

不法投棄防止パトロール及びゴミの回収活動を実施しています。

第14回となった今年度の活動では、約50名の方にご協力頂き1トンを超えるゴミを回収しました。(昨年度の様子はこちらからご覧頂けます)

当日は参加者毎に決められた範囲をパトロールし、同時に投げ棄てられていたゴミを回収しました。

当事務所では箱根町及び箱根ビジターセンターの方々と協力をして、

例年投棄ゴミが多く見つかる峠道で活動を行いました。

普通にドライブをしていたらあまり気付くことは無いかもしれませんが、道路から下の斜面を見てみると写真のようにゴミが投棄されていることがあります。

投棄の様子

座椅子や生活用品などでしょうか。

投棄された意図は分かりませんが、とても残念な気持ちになります。

他にはマットレスやお菓子などのプラスチックゴミ、小型冷蔵庫など主に生活に関連するゴミがありました。

回収の際にはガラスの破片も混ざっていることがあるので、怪我をしないよう注意しながら作業を行いました。

ゴミの分別作業

▲集められたゴミの分別作業(ゴミは回収されたものの一部です)

集められたゴミは分別の後、箱根町環境センターへ持ち込み、適切に処理して頂きました。

今年度のゴミの回収量は約1040kgで、過去7年間と比べて最も多くなりました。

回収量の推移

▲ゴミの回収量及び参加者数の推移

箱根地域は国立公園にも指定されている通り、傑出した風景地であるとともに観光の名所でもありますが、少し道路から外れて茂みの中を見るだけでも、こんなにもゴミがあるのかと大変驚きました。

ゴミを捨てるのは簡単かもしれませんが、それらを拾い集めたり分別したりする労力は大変なものです。

美しい箱根を維持するためにも、また来年度も協力して頂きながら活動を続けたいと思います。

今回の取り組みの詳細についてはこちらのPDFをご覧ください。

実施結果.pdf

また、今年度の活動の様子をタウンニュース様にも掲載して頂きました。

▼神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙 

https://www.townnews.co.jp/0607/2021/01/23/559768.html

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2021年02月09日仙石原湿原植生復元区火入れ(箱根地域)

富士箱根伊豆国立公園 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

仙石原湿原にある箱根湿生花園で実施された、「植生復元区火入れ」作業に参加をしてきました。箱根町が取り組む湿原性植物の保全活動の一環です。

【平成元年から実施しており、今年で32回目の火入れ作業でした。】

この取り組みは、夏に生い茂ったヨシやススキなどの枯草や、その中に隠れて成長したハンノキなどの樹木の幼木を、火をつけて燃やし、取り除く作業です。これらがその場にあり続けると、湿原は次第に森林へ変化していきます(遷移といいます)。そのため、仙石原湿原の維持にはこの火入れ作業が重要とされています。

ただ火をつけるだけの簡単な作業ではなく、その日の風向きを考えながら、あるいは燃えてはいけないところに火が付かないように十分気を付けながら、箱根湿生花園の職員の皆さんが真剣に作業に取り組んでいました。

実際に火入れ作業を手伝わせていただきましたが、顔が熱い!そして、意外と燃えません!

雨などを含んでいると、燃えにくいようです。火の様子を常に伺いながら進める、緊張感のある作業でした。

【事前に周辺への放水作業を行い、火事の防止に努めています。】

この枯草に火を付けるという作業が、なぜ湿原の維持につながるのか不思議に思いませんか?むしろ植物を全部燃やしてしまって、湿原性植物にも害があるのではと、考えてしまいます。しかし、今回面白い状態を確認することが出来ました。

【燃えた湿原の下の地面は、カチカチに凍ったままでした。】

今年は火入れの1週間ほど前に、雪と大寒波があり、足元の湿原も凍結した状態でしたが、火が通った後にもこの氷がほとんど解けていませんでした。このことからも火入れは、土中にほとんど影響を与えないと考えられます。

【燃え上がる炎の壁は湿原再生の第一歩です。】

【手前は火入れ終了後の湿原、奥は火入れをせずに森林化が進んだかつての湿原。】

今年も2時間ほどで無事に火入れ作業は終わりました。この状態から、次の春にどの様な湿原性植物が成長し、花開いていくのでしょうか。春が待ち遠しくなる、そんな火入れ作業でした。

今年は新型コロナウイルス感染症の拡大を防止する緊急事態宣言が発令され、2年連続で箱根の観光名所となっている仙石原ススキ草原での火入れ作業は中止されました。植生復元区のみ、関係者で火入れを行っています。仙石原ススキ草原の火入れは、通常はビジターの見学が可能です。見学してみたいと感じた皆さん、是非来年以降の実施を心待ちにしてください。そして、その作業が「湿原保全活動」であることを知っていてもらえると嬉しいです。コロナ禍も過ぎ去っていることを祈りましょう。

昨年6月のヨシ刈り作業や、植生遷移についてはこちらをどうぞ⇒アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]_「箱根仙石原湿原植物群落」保全活動(箱根地域) (env.go.jp) ※野焼きという表現が「火入れ」です。

箱根湿生花園は、神奈川県唯一の湿原「仙石原湿原」に隣接した箱根町運営の施設です。各地の湿原性植物を展示する植物園ですが、一方で仙石原湿原という特殊な地域の植生維持活動も実施し、ビジターが仙石原湿原の一部を見学できる施設です。※現在は冬季休館中です。

箱根湿生花園HP ⇒ http://hakone-shisseikaen.com/

 

※現在箱根ビジターセンターは臨時休館中です。詳細についてはHPをご確認下さい。

http://hakonevc.sunnyday.jp/index.html

 

 

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