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アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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南アルプス国立公園 南アルプス

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2019年10月07日南アルプス初心者にオススメ!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

みなさんは『南アルプスの山』と聞いてどんなことを思い浮かべますか?「アクセスが悪い」、「歩行時間が長い」、「登山初心者向けの山がない」などが挙げられると思います。マイカー規制が始まる前の入山は長い時間林道を歩かなければならないですし、マイカー規制中ですと、バスの乗車時間に追われながらの登山になってしまいます。また、ルートによっては山小屋や山頂に着くまでの歩行時間が日帰りでは難しいところもあります。そのため、気軽に登ることはできず、重装備になりがちかと思います。

そんなあなたにおすすめの場所があります。こちらです!

看板の写真で、「なんだこれ!」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、看板の真ん中に『仙水峠』と標記されているのがお分かりでしょうか?そうです、オススメの場所とは!仙水峠です。仙水峠の標高は2,264m。スタート地点である北沢峠の標高は約2,000mなので、標高差は300mもありません。3時間半もあれば往復することができます。長時間歩くことなく、南アルプスの自然を存分に味わうことができちゃいます!仙水峠は手軽に南アルプスを楽しめるだけではなく、他にも魅力がありますのでご紹介します。

■「南アルプスの天然水」を感じる

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、南アルプスの山々では水が豊富です。南アルプスの麓にも甲斐駒ヶ岳を源流とする『尾白川渓谷』や鳳凰山・地蔵ヶ岳を源流とする『精進ヶ滝』などがあります。芦安から広河原へ来る間にもたくさんの滝がありますよね。とても水に恵まれている山域なのです。

川の底が見えるくらい透明度が高く、水温はとても低いです。また、山小屋の方が苦労してひいてくださっている水はどの小屋もとってもおいしいです。飲み比べてみてもいいですね。

■シラビソ林に広がるコケ

長衛小屋から仙水峠へ歩いていくとシラビソ林が広がります。木々の根元などいたるところからたくさんのコケたちがお出迎えしてくれます!


写真のように日が差すと光が当たっている部分のコケがとても美しいです。長期間雨が降らないとコケも水分を失ってひからびてしまいますが、この日は前日に小雨が降ったようでコケに瑞々しさがあり、美しさがさらに増していました。

■斜面にたくさんの岩石がごろごろ?

コケが美しい森を抜けるとびっくり!きっとこれまでに見たことがない世界が広がっています!


右を見ても左を見ても、上を見ても下を見ても岩石だらけです。この岩石は岩塊流(がんかいりゅう)と呼ばれ、氷期に凍結破砕作用で生産された岩屑が斜面下方へ移動し、後に細粒が流水によって除去されたために生じた地形のことをいいます。仙水峠は日本を代表する岩塊流の1つです。地質マニアの方にはたまらないスポットですね!南アルプスでは仙水峠のほかに、早川尾根上にある白鳳峠でも同じような地形を見ることができます。

仙水峠は栗沢山や早川尾根、甲斐駒ヶ岳の分岐点にもなっています。体力がある方は足を伸ばしてみても良いかもしれません。この周辺は長衛小屋を過ぎるとトイレがありません。そのため、携帯トイレを持参するようにしてください。紅葉シーズンを南アルプスで過ごしてみてはいかがでしょうか?

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2019年10月01日北岳、色づき始めました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

秋晴れを狙って、925日に北岳へ行ってきました。3日間ほど晴れの日が続く予報ですが、この日は週の半ばだったこともあり、すれ違う登山者は両手で収まるほどの人数でした。

3週間前にも二俣周辺の巡視へ行きましたが、3週間で景色が変わりました!

  

9/6撮影                    △9/25撮影

25日撮影のほうが少し低い地点からの撮影になっていますが、ほんのり色付いているのがお分かりでしょうか?すこーしオレンジ色っぽくなっていますよね。標高が高いところではもっと綺麗に色付いているのかもしれません。

ここ数日でかなり冷え込み、標高が高い山小屋では¨バケツに氷が張った¨との声をちらほら聞きます。下界ではまだ半袖で活動していられますが、立ち止まる時間が長いと寒さも感じられます。朝晩の冷え込みも夏季シーズンと異なり、寒くなっているので暖かい服装で登るようにしてください。

山は紅葉が進んでいるというのに、二俣では高山植物を楽しむことができました。数は少ないですが、元気よく咲いている子たちを紹介します!

【ヤマハハコ】

先端に白と黄色のドライフラワーのような花を付けます。二俣周辺にたくさん見かけます。漢字では「山母子」と表します。ミネウスユキソウに似ていますが、咲いている標高や花弁に大きな違いがあるので、区別は付くかと思います。

【タカネナデシコ】

花弁の先端が細く、深く糸のように裂けています。形がユニークで一度見たら忘れない形です。鮮やかな色をしているので、お花畑の中でも一際目立ちます。この花を初めて見たとき、とて目立っていて惹きつけられたのを覚えています。

他にも以前の日記で紹介した¨オヤマボクチ¨や黄色い大きな花を付ける¨キオン¨、秋の訪れを感じさせる¨トリカブト¨が咲いていました。展望がないときは足元に注目して登ってみてくださいね。

今日から10月ですね。南アルプスはあと1ヵ月ほどで閉山です。南アルプス南部では多くの山小屋が営業を終えました。また、10月中旬には北部の山小屋でも営業を終了する小屋があります。登山の計画をされる方は泊まる予定の山小屋に事前に連絡してみるのがよいでしょう。昨年は10月に北岳でまとまった降雪がありました。今年はいつ頃から降り始めるのか楽しみです♪

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2019年09月26日南アルプスのへそ

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

南アルプス国立公園は、東西約15キロメートル、南北約50キロメートルに及ぶ、南北に長い国立公園です。さて、ここで問題です。南アルプス国立公園の真ん中ってどのあたりだと思いますか?

正解は・・・

・・・塩見岳です。塩見岳は長野県と静岡県にまたがる標高3,052mの山です。南アルプスでは大きくなだらかな山が多いですが、塩見岳は突出した山頂の岩峰です。山頂は西峰と東峰の2つに分かれています。西峰の標高は3,047m、東峰は3,052mです。塩見岳は南アルプスの真ん中にある山とされ、「南アルプスのへそ」とも呼ばれています。

主な登山口は長野県大鹿村の鳥倉登山口です。鳥倉登山口から「日本で1番高い峠」と言われている三伏峠を経由し、塩見小屋へ向かいます。晴れていると、三伏峠までの登山道で仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳が、塩見小屋までの登山道で塩見岳を見ることができます。

塩見小屋から先は岩稜帯になり、落石の危険があるため、ヘルメットは必須です。両手を使うことが多くなるので、ストックの扱いには気をつけてください。

△天狗岩付近からの塩見岳

自分が踏んだ石が下の登山道を歩いている登山者に当たってしまう可能性もあります。場所によってはザレているところもありますので、歩行の際は要注意です!!富士山のように登りと下りが分かれているわけではないので、譲り合って登るようにしてください。

岩場を登り切ると西峰、東峰が見えてきます。この場所からは南アルプス北部、南部の大パノラマを見ることができます。

  

左は北部方面です。仙丈ヶ岳や間ノ岳、農鳥岳がよく見えますね。目の前に見える稜線は北岳や仙丈ヶ岳方面へ向かう「仙塩尾根」です。登山者が少ないルートなので、静かな山歩きを楽しむことができます。右は南部方面です。目の前に見える大きな山は悪沢岳(東岳)、中岳、前岳の三山から成る荒川岳です。後ろに見える山は聖岳、兎岳です。南アルプスの名峰を一望できるのは南アルプスの中心にあるこの塩見岳だけです!さすが、南アルプスのへそですね!岩場やザレ場を頑張った先にこんなにきれいな景色が出迎えてくれると疲れも吹き飛びます!

塩見岳までの登山道にある三伏山では塩見岳を望むことができ、三伏峠小屋から15分ほどの場所にあるので、手軽に朝日や夕焼け、星空もこの場所で楽しむことができます!これからは朝晩の冷え込みが激しくなりますので、暖かい格好をして綺麗な景色を楽しんでください。

△夕日に染まる塩見岳

塩見岳の左側にある小さな突起は天狗岩といい、この付近ではチャートや緑色岩を見ることができます。緑色岩とは、付加体中に存在し、もともと海洋底や海山の一部を構成していた玄武岩質溶岩であり、変質・変成作用により緑泥石、緑蓮石などの緑色鉱物が晶出して、濃緑色を呈するようになった岩石を指します。南アルプスではこの塩見岳天狗岩のほかに北岳や聖岳付近で見ることができるので探してみてください。ガスで景色が楽しめないときでも、南アルプス特有の地質を楽しむことができます。

この時期は鳥倉林道までのバスの運行が終了しているのでマイカーかタクシーのみになります。また、三伏峠小屋と塩見小屋で営業日も異なりますので、各小屋に事前に確認するようにしてください。3,000mの高峰では、9月中旬頃から紅葉が始まります。暖かい服装に衣替えをして、秋の南アルプスの計画を立ててみてはいかがでしょうか?

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2019年09月19日塩見岳で高山植物保護活動

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

914日から16日の3連休で静岡県事業として三伏峠の防鹿柵修繕作業を、環境省事業として塩見岳の伏工作業を静岡県ボランティアネットワークのみなさんと行ってきました。

初日は三伏峠の防鹿柵に設置されている通年設置の防鹿柵の修繕を行いました。通年設置の防鹿柵は季節型の防鹿柵と違ってポールからネットを外すという作業ではなく、雪圧でひしゃげてしまった支柱の打ち直しや高さが足りなくなっている金網部分を持ち上げる作業を行いました。元々はまっすぐ設置されていた支柱や金網は雪圧でぐにゃと曲がっており、大人1人の力でも修復が難しい状態でした。雪圧恐るべし。

  

金網の修復で金網が目に飛んだり、支柱の打ち直しで頭に支柱や杭打機が当たるのを防ぐために、作業時はゴーグルとヘルメットを、もちろん足元は高山植物への影響を少なくするために地下足袋着用です。三伏峠・塩見岳の作業では社会人だけでなく、大学生や高校生も参加してくれたので、大人数で作業を進めることができ、あっという間に作業が終了しました。

柵の中には少し枯れ始めてしまってはいますが、タカネマツムシソウがたくさん咲いていました。

春先にはミヤマクロユリやシナノキンバイ、ハクサンチドリなどの高山植物でいっぱいになります。三伏峠から烏帽子岳、小河内岳方面へ向かう際はこのお花畑の真ん中を通ります。季節に応じて、たくさんの高山植物が咲くスポットなので、夏季に通過される際は注目して見てください。

2日目は塩見岳東峰にて伏工の作業を行いました。塩見岳東峰付近ではシナノキンバイやハクサンイチゲが咲き誇るお花畑でしたが、ニホンジカの採食圧や踏圧によって植生の変化が進み、やがてニホンジカが好まない植物すらなくなり、山肌がむき出しになってしまいました。氷河跡地の上部は土壌が薄く、一度表土が剥がれ落ち、土壌侵食が起きてしまうと、植生の自然回復は困難になってしまいます。そのため、2009年(平成21年)から毎年、塩見岳東峰付近ではヤシマットの設置を行っています。

三伏峠を出発し、塩見小屋から一人ひとり歩荷したマットをお花畑の裸地部分に敷きます。

  

塩見岳直下のガレ場や東峰斜面のきつい傾斜での作業で落石による事故防止のため、この作業でもヘルメットは必須。すでにむき出しになっている斜面は傾斜がきつく、足元が非常に悪いです。四隅や途中部分に張りピンを木槌で打ち、シュロ縄で固定します。最後に石を置いて完成です。マットで覆うことによって土壌が流れにくくなるほか、保温性を高めることができます。地面の温度変化が穏やかになると、飛んできた種から芽が出やすくなる効果もあります。石はマットを押さえるだけでなく、石によってできる影によって、日影を好む植物、日向を好む植物がそれぞれ育ちやすくなるそうです。

昨年設置したヤシマットにはオンタデやイワツメクサが根付いており、ヤシマット設置の効果を感じました。すぐに効果が出るわけではなく、地道な作業ではありますが、続けていくことに意味があると思っています。かなりの時間を要すると思いますが、いつかこの場所に緑やお花畑が戻ってきてくれることを願います。

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2019年09月11日北岳で秋のお花が咲き始めました

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

9月6日に北岳へ巡視に行ってきました。天気予報で6日、7日ともに天候が大きく崩れる予報がなかったせいか、平日にも関わらず多くの登山者で賑わっていました。9月に入って夏の花が終わり、徐々に秋の花が咲き始めています。今回の巡視で見られた植物を紹介したいと思います。

【オヤマボクチ】

北岳には数多くの植物が生育しているのはみなさんご存じですよね。ピンクや黄色、白色で綺麗な花が多いというイメージをお持ちの方が多いかと思います。このオヤマボクチは色としては地味ですが、花は大きく鋭くトゲ状になっていてとてもユニークです。由来は、葉の裏に生える繊維が火起こし時の火口(ほくち)として用いられたからだそうです。よーく目をこらして探してみてください。

【ノコンギク】

秋の低山を代表する植物の1つです。咲いているところによって濃い紫色や少し白っぽい色などさまざまです。群落で咲いていることが多く、鮮やかな紫色がとても綺麗です。広河原で多く見られます。ヨメナという花に似ていますが、ノコンギクには葉や茎に毛が生えていることが特徴です。

△二俣周辺からの北岳

この日は広河原からも北岳山頂がよく見えて、大樺沢ルートを歩いている最中も北岳を見ながら歩くことができました!雨が続いていたせいか、登山道には水が流れこんでいました。靴底が濡れたまま岩の上を歩くと滑ることもありますので、歩行の際は十分に気をつけてくださいね。登山道脇ではトリカブトやサラシナショウマ、二俣周辺にはキオンやミヤマアキノキリンソウ、ヤマハハコが咲いていました。

△白根御池小屋から見た北岳方面

午後になると一変し、北岳山頂はガスの中。ついさっきまで晴れていたのに、一瞬にして真っ白になってしまいました。午前中は晴れていても午後になったらガスに包まれたり積乱雲が発達して雷が発生したり、¨天気予報は1日晴れ予報だったけど雨が降った¨などは山でのあるあるです。今週末は3連休!予報を見ると大きな崩れはなさそうですね。大きな崩れがないからといってお昼過ぎから歩いたり、重くなるから雨具を持ち歩かないということがないようにしてください。早出早着を心がけ、天気予報に関わらず雨具を携帯するようにしてください。みなさんにとって素敵な3連休になりますように♪

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2019年09月06日雲が広がって景色を楽しめない、そんなとき

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

今年はカラっと晴れている日が続くということが少なく、どんよりしているときが多いですね。空に雲があって景色を楽しむことができないそんなとき!足元に目を向けて見ましょう。登山道でたくさんの高山植物があなたを出迎えてくれます。ときには登山道の真ん中に咲いているときもあります。広河原では登山をしなくとも、植物を楽しむことができます。時期はズレてしまっていますが、8月中旬に見られた広河原周辺に咲いていた植物を紹介したいと思います。

【ソバナ】


花は鐘のような形をしています。名前の由来は葉がソバの葉に似ていることから「蕎麦菜」と言われるようになったとか。写真のように薄い紫色もあれば、濃い紫色があったりと、場所によって色が多少異なります。いろいろな色のソバナを見つけてみてはいかがでしょうか。

【コウシンヤマハッカ】

ブナ帯の林内に咲くことが多いです。コウシンヤマハッカは山梨県と長野県南部にしか咲いていません。この花と似ているもので¨イヌヤマハッカ¨がありますが、大きな違いとして、コウシンヤマハッカのほうが葉の幅が広くなっています。南アルプスでは北岳の他に三伏峠の登山道などでも見ることができます。

下を見て歩いていてもお花を見つけることも難しい場合は、登山道脇を流れる川を眺めながら歩くのもオススメです。水が豊富な南アルプスでは登山道や山小屋の周辺で沢があることが多いです。水が流れる音を聞きながら、南アルプスの大自然を満喫してください!


雨が降った後には水かさが増え、水の勢いや水量が増えるので見応えがあります。ただし。大雨の後は濁流になり、近づくと流されてしまいますので、その場合は近づかないようにしてくださいね。

9月になって山の上ではこれまでと異なり、朝晩がかなり冷え込みます。山小屋泊、テント泊などで計画されている方は着替えはもちろん、暖かい服装を準備してください。日帰り登山の場合も汗をかいた身体に風があたるとすぐに冷えてしまいますので、こまめに汗を拭いたり、さっと羽織れるウェアがあると便利です。標高が高い山々では9月中旬から紅葉が始まります。南アルプスの山々で紅葉狩りの計画を立ててみてはいかがでしょうか?

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2019年08月21日南アルプスで暮らすライチョウたち

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

みなさんはライチョウという鳥を知っていますか?

ライチョウは古来より信仰の対象となってきた高山帯を象徴する鳥です。氷河期に分布が南に拡大したあと、暖かくなるにつれて北に後退する中で、高山帯に取り残された集団が日本のライチョウと考えられています。主な食物は高山植物(ガンコウラン、コケモモなど)の芽や種子などです。メスは6月にハイマツなどの根元など地上に窪みを作って巣にします。卵が孵化するまではオスも見張りをしますが、子育ては基本的にメスのみです。

ライチョウの生息数は1980年代に3,000羽と推定されていましたが、2000年代には約2,000羽弱と減少したと推定され、環境省4次レッドリストにおいて、絶滅の危険性が増大しているとされる絶滅危惧Ⅱ類から近い将来における野生での絶滅の危険性が高いものとされている絶滅危惧IB類にカテゴリーが引き上げられました。現在、日本では頸城(くびき)山塊、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、南アルプス、中央アルプスで生育しています。

近年、南アルプス北部の白峰三山周辺で減少傾向がみられています。

  
△ケージとお散歩のようす

環境省では平成24年から「ライチョウ保護増殖事業」を策定し、平成27年度より北岳周辺で生まれたばかりのヒナと母鳥を一時期間ケージ内で保護し、悪天候や天敵から守り、多くのヒナを育つようにケージ保護事業を実施しています。左の写真の青いシートで覆われているのがライチョウ親子が暮らすケージです。ケージ保護されているライチョウ親子は1日2回、ケージの外に出され自力で餌を食べます。

お散歩をしていると・・・母親ライチョウが砂浴びを始めました。しばらくするとヒナも寄ってきて、母親ライチョウの真似をして砂浴びを始めました。なんとも微笑ましい光景です。


砂浴びは人間の行為で表すとお風呂。6月から7月中旬まで雨が続き、気持ちよくお散歩できない日が続きましたが、7月下旬からは天気が安定しない中でも晴れ間が出てようやく、思う存分にお散歩ができる環境になったかと思います。とても気持ちよさそうでした♪

ライチョウの減少の要因として考えられることは、1.気候変動による環境・植生の変化、

2.登山者の増加、3.山岳環境の汚染に起因する感染症の原因菌などの侵入、4.従来生息していなかったニホンザルやニホンジカなどの進入のより、高山植物が採取されることによる生息環境の劣化、5.捕食者となり得る種(キツネ、カラス等)が生息地へ分布拡大による影響が挙げられています。食べ物を放置したり、ラーメンの汁を捨てたりせずに、ご自身が持ってきたゴミはしっかり持って帰るようにしてください。また、ライチョウは寒いところに生きる鳥です。地球温暖化が進めば生息できなくなってしまいます。マイバッグ持参や徒歩・自転車移動するなど、できることから行動してみませんか??

ライチョウを見かけた際は近づかず、刺激せず、そっと遠くから見守るようにしてください。見守る際は登山道から外れないようにしてください。登山道を外れると、高山植物を踏み荒らしてしまう恐れや転倒などの危険もありますのでご注意してください。

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2019年08月14日 広河原インフォメーションセンターでアクティブ・レンジャー写真展開催中!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

7月30日(火)から9月17日(火)まで「環境省 アクティブ・レンジャー写真展」が広河原インフォメーションセンターにて開催されています!

★ 環境省 アクティブ・レンジャー写真展 -国立公園・野生生物の姿-

 開催場所  広河原インフォメーションセンター2階奥

 開催期間  7月19日(火)から9月17日(火)

関東地方環境事務所管内の自然、風景、国立公園を多くの方々に紹介し、自然の素晴らしさや大切さを伝え、自然保護や国立公園の普及啓発を図ること、写真や展示を通じ、アクティブ・レンジャーの存在や活動を紹介や周知することを目的とし、平成22年度から開催されています。

関東地方環境事務所管内には、6つの国立公園(日光・尾瀬・秩父多摩甲斐・小笠原・富士箱根伊豆・南アルプス)、8つの国指定鳥獣保護区{小佐渡東部(新潟県)・佐潟(新潟県)・福島潟(新潟県)・瓢湖(新潟県)・谷津(千葉県)・鳥島(東京都)・西之島(東京都)・小笠原群島(東京都)}があります。そこで働くアクティブ・レンジャーが、日々の業務の中で撮影した風景や大自然を写真で幅広く紹介しています。

  

△展示のようす

南アルプス国立公園からは、南アルプス山域で最も大きいと言われている荒川岳のお花畑や鳳凰三山から見た富士山と躍動感ある雲の写真を展示しています。

写真をご覧になって、「行ってみたい!」と思う場所がありましたら、パンフレット等もありますので、お手に取ってみてください。

広河原インフォメーションセンターは1階にトイレやロッカーコーナー、バスチケット売り場があり、2階には登山届けポスト、売店、山や自然についての文庫があります。トイレやバスチケット売り場に寄ってあとにする、という方が多いかと思いますが、ぜひ、2階まで足をのばしてアクティブ・レンジャー写真展をご覧ください♪みなさんのお越しをお待ちしております!!

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2019年08月09日北岳の高山植物、真っ盛り!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

梅雨が明け、ようやく夏らしくなってきましたね!この時期の南アルプスではあちらこちらで高山植物が咲いています。休憩した時、ふと足を止めたとき。足元を見てみると、たくさんの高山植物があなたを出迎えてくれます♪今回はこの時期に北岳でみられる高山植物の一部をみなさんに紹介したいと思います。

△ミヤマハナシノブ

亜高山帯の林緑や草地に生育し、花弁を5枚つけます。きれいな薄紫色をしています。北岳では群落をつくっている箇所もありますが、環境省カテゴリの中で絶滅の危険性が増大している種として絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。


△タカネビランジ

タカネビランジは南アルプス山域にしか咲かない固有種です。鳳凰三山周辺では濃いピンク色、荒川岳周辺では白色が多く、北岳ではこの双方を見ることができます。8月初旬でつぼみの株もありましたのでもう少しで満開になるかと思います。


△タカネツメクサ

ツメクサは漢字では「爪草」と表記し、葉の形が鳥のツメに似ているからと言われています。タカネツメクサが咲いている周辺にはイワツメクサやミヤマミミナグサなどの似ている花がありますが、大きな違いとして、イワツメクサやミヤマミミナグサに比べてタカネツメクサは花びらが大きいです。どれか分からなくなってしまったら花の大きさに注目してみてください。

△八本歯のコル付近からの間ノ岳

街では連日、最高気温が30度を超える地域がたくさんありますね。標高が高いから涼しいだろう、と思う方もいらっしゃると思いますが、山も暑いです。そして、紫外線も強いです。日焼けもしますし、暑さで体力も奪われます。こまめな水分補給や帽子、アームカバー、サングラスを着用するなどして暑さ対策するようにしてください。

★ 奈良田‐広河原線が開通しました!

落石のため通行止めになっていた奈良田(早川町)‐広河原線が8月5日に開通しました。今後、台風等で通行止めになる可能性もありますので、こちらから道路状況をご確認の上、行程をご検討ください。

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2019年07月30日荒川岳の防鹿柵を設置しました!

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

7月19日から21日にかけて、荒川岳に設置している防鹿柵の立ち上げ作業を行いました。荒川岳には、前岳と中岳の分岐を下った登山道下の西カール底と前岳南東斜面の2カ所に防鹿柵を設置しています。この2カ所は荒川岳の重要な景観を構成している場所であることから、お花畑を守るために平成23年度より設置しています。

1日目の移動、2日目の作業日はひっきりなしに雨が降り、時折、かなり強い風。3,000メートル級で受ける雨風は想像以上に身体へのダメージが強かったです。7月にも関わらず、立ち止まるとかなりの寒さを感じました。作業ができるかどうかも危ぶまれましたが、無事に作業することができました!また、設置している2箇所は傾斜が強くて作業が大変でしたが、ボランティアのみなさんの手際がとてもよく、あっという間に終えることができました。参加してくださったボランティアのみなさんに感謝です。

前岳南東斜面のお花畑に設置している防鹿柵は登山道を横断しているので、出入口に扉が設置されています。南アルプス山域で登山道を横断するように防鹿柵を設置している場所はこの荒川岳のみです。扉が開けっ放しになっているとニホンジカが入ってきてしまう恐れがあり、ニホンジカが入ってしまっては、防鹿柵を設置している意味がなくなってしまいます。

  

通過される際は写真のように「開けたら閉める」を徹底してください。なお、扉にはドアノブがついておりますので、確実に閉めるようにしてください。荒川岳の素晴らしいお花畑を守るためにも、みなさんのご協力をお願いします。


防鹿柵の中にはシナノキンバイやハクサンイチゲ、ハクサンチドリ、ミヤマクロユリなどが咲いていました。千枚小屋から荒川小屋の間ではツマトリソウ、イワツメクサ、シコタンソウ、ミヤマオダマキなどたくさんの高山植物が咲いていました!気温が低い日が続いていたことからまだつぼみの株もありましたので、しばらくはお花を楽しむことができそうです。

ようやく、関東甲信地域の梅雨明けが発表されましたね!これからたくさんの種類の花が咲き始めることでしょう。ガスが上がってきて周りの景色が見えないときは少し目線を下げて高山植物を観察しながら登山してみてはいかがでしょうか。

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