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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

台風19号の爪痕

2019年10月23日
南アルプス

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

各地で大きな被害をもたらしている台風19号が去ってから1週間ほどが過ぎました。事務所がある芦安を流れる御勅使(みだい)川では台風通過中は水量がかなり増え、流れもとても早くなっていたようです。台風通過後もご覧の通り。


普段はとてもきれいな水が流れ、岩などが見えるくらいの水量ですが、ここ数日は綺麗な御勅使川を見ることができていません。水量が増しているだけでなく、木が流されてしまっています。

被害は山の麓だけではありません。台風通過後の晴れた日に北岳に設置してある登山者カウンターの点検に行ってきました。

一見、なんの変化もないように見える登山道。広河原から北岳方面に登る際に必ず通過する登山道です。写真を拡大してみると小石がたくさん。そして、隙間を埋めるように流れてきている砂。白根御池小屋と大樺沢の分岐の間にはいくつか沢があり、登山道にあふれてあることはよくありますが、こんなに小石や砂が流れてくるほどの水量ではありません。台風通過中、この登山道が水の流れ道になってしまっていたようです。

北岳での主な被害は白根御池小屋経由の登山道が一部崩落(現在は通行可能)、大樺沢ルートの仮設橋が崩壊し、通行止めになっています。

ロープが引っ張ってあるだけなので、くぐれば通過できますが、大樺沢ルートは急流で渡渉をして通過できるような川ではありません。また、右岸も崩落により通行できないルートになっていますので、興味本位だとしてもくぐって大樺沢ルートへは行かないようにしてください。北岳山頂は白根御池小屋経由ルートを使って登山してください。

広河原インフォメーションセンターの前を流れる野呂川。北沢峠のほうから水が流れています。左は台風前に撮影したようす。右は通過後。見比べてみてください。

  

川のようすが変わってしまっています。川の真ん中に生えていた植物もすべて流され、土砂だけが残っています。河川の入り口が砂浜に変わってしまいました。台風通過中は川の一面を茶色の水で覆い、御勅使川と同様、石が見えないくらいの水量だったようです。山小屋のスタッフの方々は本当に恐ろしい思いをされたと思います。

今回の台風の影響で通行できなくなっている林道や登山道はとても多いです。とても有難いことにSNSで近状を発信している山小屋もあります。ただ、状況が変わっていることもあるかもしれないので、登山を計画されている方は事前に山小屋に確認をするようにしてください。