2019年8月
21件の記事があります。
2019年08月28日暑いトキは・・・?
佐渡 菅野萌
皆さんこんにちは。
佐渡自然保護官事務所の菅野です。
気がつけば8月が終わろうとしている今日この頃。
少しずつ涼しくなり、野生下のトキのモニタリングがしやすい気候になってきました。
相変わらず足環は草陰に隠れてしまい読みづらいのですが、エンジンを切った車内の暑さに耐える必要がないのはありがたいことです。
▲稲穂とトキ
さて、時期がずれてしまったようにも思えるのですが、今回は暑い日のトキの様子についてご紹介したいと思います!
私たち人間は暑いと汗をかくことによって体温調節できるような仕組みになっていますよね?
ところが、鳥は汗をかくことができません。
では、トキは一体どうやって体温調節しているのでしょうか。
そのヒントがこちらの2枚の写真。
この写真は暑い日のトキの様子を連写したものです。
喉の辺りに注目してみてください。膨らんだり、縮んだりしている様子がわかるでしょうか。
なんとトキは嘴を開け、喉を動かすことによって熱を放出させているのです!
その様子を映像でご覧いただけないのがとても残念なのですが、犬が舌を出してハアハアやっているところを思い浮かべてもらうと良いかもしれません。
(ただし、トキは犬のように舌を出したりはしません)
▲農道でも暑そうにしているトキ
さらに、トキは羽毛のない、顔の赤い部分からも熱を発散しているそうです。
ちなみに、トキは大きく分けてペリカンの仲間です。
どうでしょう。喉の膨らんだ状態のトキを見ると、少し説得力があるように思えませんか?
2019年08月26日真夏の三原山の景色 大島(伊豆諸島地域)
富士箱根伊豆国立公園 竹下実生
皆さまこんにちは。伊豆諸島ARの竹下です。
あっという間に8月も終わりに近づいてきましたね。
今回は、真夏の三原山の景色を紹介したいと思います。
真夏の大島は、さぞ天気が良くて暑かろう・・・とお思いかもしれませんが、
海沿いは晴れていても、三原山の山頂付近には雲がかかっていることが多いのです。
海から吹き上げる風が湿気を運び、霧や雲になって溜まるのですね。
▲海水浴客でにぎわう海沿いは青空でも、三原山は雲の中
※濃霧の中、お鉢巡りや砂漠を歩くことは大変危険ですので天候によってはお止めください。
霧の晴れ間にカルデラ内を歩くと、サクユリの白い花を目にすることが出来ます。
皆さんは、「サクユリ」を知っていますか?
サクユリ(Lilium auratum var. platyphyllum)は、本州に分布するヤマユリ(Lilium auratum)の変種であり、伊豆諸島の固有種です。
ヤマユリと比べて、葉の幅が広く、葉脈の本数が約7本(ヤマユリは約5本)あるのが特徴です。花びらには赤い斑点が少なく、花の中が真っ黄色のものもあります。
三原山では、7月後半から8月にかけて開花します。
▲サクユリの花(赤い斑点が多いもの)
▲サクユリの花(赤い斑点が少ないもの)
▲サクユリの花(赤い斑点が無いもの)
東京都のレッドリストには、絶滅危惧Ⅱ類(VU)として掲載されています。
絶滅危惧Ⅱ類というのは、
現在の状況に追い込んだ要因がこのまま続くと、近い将来、野生での存続が難しくなることが確実だとされている種、ということです。
大島のサクユリの場合は、園芸や販売目的の盗掘、外来生物キョンによる食害、ウイルスなどが要因になっていると考えられています。
▲サクユリが点々と咲く景色
サクユリが点々と咲く景色を今後も楽しむためには、今、何が出来るのでしょうか。
皆さんも、サクユリを見に行くことがあったら、手折ったりせずに見守ってくださいね。
もし盗掘を見かけたら、伊豆諸島管理官事務所に連絡していただけると幸いです。
▲ハマナデシコ (Dianthus japonicus)
8月の三原山表砂漠には、ハマナデシコも咲いています。
海岸沿いに生育する植物ですが、海から吹き上げる風に乗って、種が飛んできたようです。
▲三原山山頂付近からカルデラの縁を望む(カルデラの縁では、海から上がってきた風によって雲が作られている。)
真夏は雲や霧の多い三原山ですが、これからの季節は空気が澄んできて、景色も良くなってくるはずです。
皆さんも、景色や地形、植物を楽しみながら、三原山を歩いてみませんか?
○島へのアクセス・島内の観光情報はこちら
伊豆大島ナビ https://oshima-navi.com/
2019年08月23日奥日光はツキノワグマの生息地です!
日光国立公園 村田麻理沙
こんにちは。日光国立公園管理事務所の村田です。
まずは、先日、戦場ヶ原で撮った、ノアザミと男体山、コオニユリの写真をご覧ください。
△ノアザミと男体山
△コオニユリ
この日は一日晴れていましたが、奥日光では、8月になっても一日中晴天という日が少なく、午前中は晴れていても、午後に急変して雷雨となることが多くあります。
散策される際は、雨具の準備や散策コースの所要時間を確認し、時間配分を考えて安全に行動してください。
さて、戦場ヶ原といえば、2週間ほど前から、クマ出没対策用「クマ鐘」を設置しています。というのも、北戦場ヶ原の歩道で親子グマの目撃情報が複数あったためです(至近距離での遭遇は18時頃です)。
ご存じの方も多いと思いますが、奥日光はツキノワグマの生息地です。
下の写真は、先日確認したクマの痕跡(クマ剥ぎ)です。
諸説ありますが、クマ剥ぎとは、クマが樹皮を剥いで、歯で内樹皮や形成層をかじりとる行動で、写真のように歯形が残っています。
△クマ剥ぎ(広葉樹)
△クマ剥ぎ(カラマツ)
クマは、昼行性で薄明薄暮(早朝、夕方)に活動が活発になるといわれています。今年は、日中に歩道や道路からの目撃情報があり、地面を掘っている姿等が確認されています。クマは目が悪いので、食物が少ないこの時期に採食に夢中になりすぎて、気がついたら、人間が近くにいた、ということもあるような気がします。
というような状況であるため、見通しの悪い場所やクマの目撃情報があった場所付近に、クマに人間の存在を知らせるための鐘が設置してあります。
△クマ鐘
△戦場ヶ原歩道脇のクマ鐘
「常にクマ鈴を持っている!」「見通しの悪いところでは手を叩いている!」という皆さんは引き続きその方法でご協力いただき、「何も持っていなくて不安!」という方は、鐘を鳴らして存在をクマに知らせてください。あわせて、クマを誘引しないよう、ご自身で持ち込んだゴミは必ず持ち帰るようにお願いします。人とクマの無用な衝突を避けるため、ご協力をお願いいたします。
2019年08月22日富士山の植物『富士宮ルート編』
富士箱根伊豆国立公園 沼津 山田優子
みなさま、こんにちは!!沼津管理官事務所の山田です。
毎日暑い日が続いていますが8月も終わりに近づいています。
早いもので富士山も後20日で閉山です。
山では植物も夏から秋へと徐々に変化しています。日もだんだん短くなっていますので、これから富士登山を計画されている方は、日の入りの時間を確認して行程を立てられる事をお勧めします。
今回は、富士宮ルートの植物を紹介したいと思います。
前回の須走ルートとは違い登山道入口から視界が開けていて同じ富士山でもイメージがかなり違います。岩場やスコリアに植物が点々と群生していますので、疲れて下を向きながら歩いている時、ふと岩場から顔をのぞかせている高山植物に元気をもらえるかもしれません。
~富士宮ルート~
富士宮ルートは全ての登山道の中で一番高い標高2,380mから登りはじめます。
登山道入口で標高2,000mを越えていますので、準備をしながら30分以上の高所順応をお勧めします。
登山道は岩場が多く、登りはじめは緩やかに登っていきますが、段々と急になっていきます。登山道と下山道が同じなので、すれ違いに気をつけて下さい。また、下山で足が疲れてくると不安定な岩場から足を滑らせたり、つまづきやすいので最後まで注意しながら下山して下さい。
【イワツメクサ】
高山の砂れき地や岩場の隙間に群生し、葉が細く曲がり尖っていて鳥の爪に似ていることから名前が付けられました。花は1㎝くらいの小さな白い花が咲きます。深く切り込まれた花びらが10枚に見えますが実は5枚です。開花時期は7月~9月上旬頃。
富士宮ルートの五合目から七合目付近でたくさん見ることが出来ます。岩の間から小さな白い花が揺れているので見つけやすいと思います。開花時期が長いので、開山期間中は登山道の至る所で見られると思いますので探してみて下さい。
【オンタデ】
標高1,400m~3,300mと広範囲の砂れき地に生息する高山植物で富士山に最も多く見られます。花は黄白色の小さな花の集まりです。開花時期は6月~9月。富士宮ルート五合目から八合目で見ることが出来きます。
遠くから見ると花に見えませんが、とても可愛らしい小さな花です。オンタデは高所から雪崩などで低標高に運ばれたと言われていて、今では登山道入口より下でも見ることが出来ます。大きく目立つので、登山中に何度も見かけると思いますので覚えて行って下さい。
【コケモモ】
高山の日当たりのいい岩場や砂れき地に生息する樹木で、花は白や薄いピンク色の鐘形で下向きに咲きます。開花時期は6月~8月。花が終わると1㎝程の赤い果実をつけ、食べると酸味がありジャムなどに使われます。富士宮ルートの五合目から六合目の間で見ることが出来ます。夏から秋、花から実へと四季のうつろいを感じて下さい。
【ミヤマオトコヨモギ】
亜高山帯から高山帯の岩場や砂れき地に生息します。茎は斜めに伸びて、花は茎に対して少し大きめで下向きに咲きます。開花時期は7月~9月。
富士宮ルートの五合目から九合目まで見られます。登山道のたくさんの場所で見ることが出来ます。重たそうに花をぶら下げているので、観察してみて下さい。
【ムラサキモメンヅル】
亜高山帯の標高2,000~2,500m付近に地を這うように群生しています。薄紫色の花が咲きます。花が終わると上向きに袋状の実を付けます。開花時期は7月~8月。
富士宮ルート五合目から六合目で見ることが出来ます。春によく見かけるレンゲソウと似ているので、富士山で紫色のお花畑を楽しんで下さい。
【ヤマホタルブクロ】
山地から亜高山帯の砂れき地に群生する多年草です。大きな鐘形の白色やピンク色の花が下向きに咲きます。ガクが反り返っていないのが「ヤマホタルブクロ」で、ガクが反り返っているのが「ホタルブクロ」です。開花時期は7月~9月。
富士宮ルートの五合目から六合目付近で見ることが出来ます。名前の通り、昔この袋のような花の中に蛍を入れて遊んだと言われています。今が見頃でキレイに咲いています。
須走ルート、富士宮ルートと富士山の植物について書いてきましたが、どちらも下向きに咲く花が多いですね。この他にもたくさんの植物が富士山には群生しています。
富士登山は自然を楽しむ事より、御来光や登頂することを目的とされている方が多いと思いますが、足下には高山植物がたくさんあります。ぜひ高山植物を楽しむ余裕を持った行程で安全登山をお願いいたします。
▼富士登山オフィシャルサイト
2019年08月22日下田の海を紹介します! ~若者向き編~
富士箱根伊豆国立公園 下田 齋田滉大
みなさん、こんにちは。
地元に帰るたびに、県民の証明として「なのはな体操」を踊らされる齋田です。
お盆休みから1週間が経過し、8月もいよいよ終盤に差し掛かりました。
地域によっては、夕暮れ時の虫の音や風の匂いに夏の終わりを感じている方も多いのではないでしょうか。
今年の夏は全国的に雨天が多く、あまり夏らしいことができなかったなと感じている方も少なくないかもしれません。
今回の日記はそんな方にピッタリの内容です。伊豆半島下田の夏は、お盆が過ぎても夏休みが終わってもまだまだ続きます!
前回の日記では、静かで落ち着いた雰囲気に包まれたファミリー向きのビーチをご紹介しました。
今回は一変、学生のみなさんお待ちかね、若者たちが集う活気溢れるビーチをご紹介します。
部活動やサークルの行事担当のみなさんは必見です!
■白浜大浜海水浴場
浜の長さ:770m、水質:AA(静岡県が実施した海水浴場水質調査結果による最高評価区分)
アクセス:伊豆急下田駅よりバス15分、レスポ白浜下車すぐ
初めにご紹介するのは、伊豆半島を代表する海水浴場「白浜大浜海水浴場」です。
全国的にも有名で、毎年多くのサーファーや真っ黒に日焼けした若者たちで賑わいます。
白い砂浜と青く輝く海とが織りなすコントラストはSNS映え間違いなしです!
■吉佐美大浜海水浴場
浜の長さ:770m、水質:AA(静岡県が実施した海水浴場水質調査結果による最高評価区分)
アクセス:伊豆急下田駅よりバス10分、吉佐美下車徒歩8分
続いてご紹介するのは、外国人の多い南国リゾート風の海水浴場「吉佐美大浜海水浴場」です。
近隣にはお洒落なカフェレストランが建ち並び、心地よい潮風に吹かれながら優雅な時間が過ごせます。
この海水浴場では、9月7日(土)と9月8日(日)の2日間、海洋浴の祭典「Big Shower 2019」が開催されます。
当日はビーチアクティビティを満喫できるイベントが盛りだくさん行われる他、海岸の清掃活動「ビーチクリーン」も行われるようです!みんなで楽しくゴミを拾って綺麗な海を守りましょう。
プラスチックゴミ防止のための、マイ箸・マイ皿・マイカップのご準備もお忘れなく!
伊豆半島南部では、海流の影響からクラゲが発生しにくく、海水温が比較的高いため、9月下旬頃まではウェットスーツなしでも海水浴が楽しめます。
部活動の練習やサークルの活動に忙しく、仲間と海に行けていない学生さんも間に合いますよ!
下田の夏はまだまだ終わりません!令和の夏後半戦を下田の海で存分に楽しみましょう!
□お知らせ
当日記にて告知させて頂きました「令和元年度 山の日環境教育プログラム」は、応募が定員に達したため募集を締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。
当日はみなさんに山や自然の素晴らしさをお伝えできることをスタッフ一同楽しみにしております。
2019年08月21日南アルプスで暮らすライチョウたち
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
みなさんはライチョウという鳥を知っていますか?
ライチョウは古来より信仰の対象となってきた高山帯を象徴する鳥です。氷河期に分布が南に拡大したあと、暖かくなるにつれて北に後退する中で、高山帯に取り残された集団が日本のライチョウと考えられています。主な食物は高山植物(ガンコウラン、コケモモなど)の芽や種子などです。メスは6月にハイマツなどの根元など地上に窪みを作って巣にします。卵が孵化するまではオスも見張りをしますが、子育ては基本的にメスのみです。
ライチョウの生息数は1980年代に3,000羽と推定されていましたが、2000年代には約2,000羽弱と減少したと推定され、環境省4次レッドリストにおいて、絶滅の危険性が増大しているとされる絶滅危惧Ⅱ類から近い将来における野生での絶滅の危険性が高いものとされている絶滅危惧IB類にカテゴリーが引き上げられました。現在、日本では頸城(くびき)山塊、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、南アルプス、中央アルプスで生育しています。
近年、南アルプス北部の白峰三山周辺で減少傾向がみられています。
環境省では平成24年から「ライチョウ保護増殖事業」を策定し、平成27年度より北岳周辺で生まれたばかりのヒナと母鳥を一時期間ケージ内で保護し、悪天候や天敵から守り、多くのヒナを育つようにケージ保護事業を実施しています。左の写真の青いシートで覆われているのがライチョウ親子が暮らすケージです。ケージ保護されているライチョウ親子は1日2回、ケージの外に出され自力で餌を食べます。
お散歩をしていると・・・母親ライチョウが砂浴びを始めました。しばらくするとヒナも寄ってきて、母親ライチョウの真似をして砂浴びを始めました。なんとも微笑ましい光景です。
砂浴びは人間の行為で表すとお風呂。6月から7月中旬まで雨が続き、気持ちよくお散歩できない日が続きましたが、7月下旬からは天気が安定しない中でも晴れ間が出てようやく、思う存分にお散歩ができる環境になったかと思います。とても気持ちよさそうでした♪
ライチョウの減少の要因として考えられることは、1.気候変動による環境・植生の変化、
2.登山者の増加、3.山岳環境の汚染に起因する感染症の原因菌などの侵入、4.従来生息していなかったニホンザルやニホンジカなどの進入のより、高山植物が採取されることによる生息環境の劣化、5.捕食者となり得る種(キツネ、カラス等)が生息地へ分布拡大による影響が挙げられています。食べ物を放置したり、ラーメンの汁を捨てたりせずに、ご自身が持ってきたゴミはしっかり持って帰るようにしてください。また、ライチョウは寒いところに生きる鳥です。地球温暖化が進めば生息できなくなってしまいます。マイバッグ持参や徒歩・自転車移動するなど、できることから行動してみませんか??
ライチョウを見かけた際は近づかず、刺激せず、そっと遠くから見守るようにしてください。見守る際は登山道から外れないようにしてください。登山道を外れると、高山植物を踏み荒らしてしまう恐れや転倒などの危険もありますのでご注意してください。
2019年08月20日富士山週末パトロール@吉田ルート
富士箱根伊豆国立公園 箱根 池田興平
先週末の3連休の初日(8月10日)に吉田口登山道の週末パトロールを行いました。この三日間は山の日も含まれるため開山期の中で最も混雑が予想される期間になります。混雑状況を把握するため、出発時間を早めに設定をして朝6時には吉田口六合目に到着し、そこで利用状況の確認を行いました。富士山六合目安全指導センターでは富士山保全協力金の呼びかけに応じ多くの登山者が協力していました。
▲富士山六合目安全指導センターの様子
ちなみに当日の天気ですが、登り始めは上空には雲一つ無い快晴に恵まれて六合目付近からは見事な雲海が広がっていました!
▲吉田口六合目からの雲海と朝日
昼頃になると雲が増え太陽が隠れることもあり、夕刻に近づくと霧も出てくるようになりました。このように富士登山をしていると一日を通してコロコロと天候が変わるので、天気予報で晴れ予報であっても充分な準備をして、気温や天候に合わせて服装を変えられるようにしておきましょう。
週末パトロールでは巡視しつつ登山道に落ちているゴミを見つけ次第拾っていきます。
吉田口五合目から吉田口六合目にかけては比較的ゴミは少なく、吉田口七合目より上からゴミが増えてきた印象です。
ゴミを拾っている最中には登山客の方から「ありがとう」と感謝の言葉を頂けることがあります、富士山の清掃をしていてやり甲斐を感じる瞬間でもあります。
▲ゴミ拾いの様子(吉田ルート七合目付近)
山小屋の方に登山者の利用状況についてお話を伺ったところ、「今年は雨が続いていたので例年より登山客が少ない印象」とおっしゃっていました。実際に登山道から周りを見渡したところ朝から昼にかけては混雑というほどではなかったように感じました。しかし山頂には人の数が格段に増え大賑わいでした、晴れている時間帯の山頂に限っては肌寒くなく快適な気温で過ごすことができました。下山時にはまた長時間歩く労力と技術がいるのでしっかりと英気を養って出発してください。
▲富士山頂付近の登山者の様子
そして、今回の週末パトロール中に拾い集めたゴミは、事務所に持ち帰り分別を行いました。
赤い線で囲ってあるゴミが可燃ゴミ、青い枠で囲ってあるゴミが不燃ゴミです。
▲8月10日に拾ったゴミ (計3.8㎏)
可燃ゴミは、カッパや手袋、帽子などがありました。不燃ゴミはトレッキングポールの部品、傘の骨組み、鉄板などがありました。
登山者が富士山を登り終えて楽しい思い出を持って帰ると共に、自ら出したゴミも持ち帰ることが出来れば、多くの方がより快適に富士山を楽しめると感じました。
2019年08月14日 広河原インフォメーションセンターでアクティブ・レンジャー写真展開催中!
南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
7月30日(火)から9月17日(火)まで「環境省 アクティブ・レンジャー写真展」が広河原インフォメーションセンターにて開催されています!
★ 環境省 アクティブ・レンジャー写真展 -国立公園・野生生物の姿-
開催場所 広河原インフォメーションセンター2階奥
開催期間 7月19日(火)から9月17日(火)
関東地方環境事務所管内の自然、風景、国立公園を多くの方々に紹介し、自然の素晴らしさや大切さを伝え、自然保護や国立公園の普及啓発を図ること、写真や展示を通じ、アクティブ・レンジャーの存在や活動を紹介や周知することを目的とし、平成22年度から開催されています。
関東地方環境事務所管内には、6つの国立公園(日光・尾瀬・秩父多摩甲斐・小笠原・富士箱根伊豆・南アルプス)、8つの国指定鳥獣保護区{小佐渡東部(新潟県)・佐潟(新潟県)・福島潟(新潟県)・瓢湖(新潟県)・谷津(千葉県)・鳥島(東京都)・西之島(東京都)・小笠原群島(東京都)}があります。そこで働くアクティブ・レンジャーが、日々の業務の中で撮影した風景や大自然を写真で幅広く紹介しています。
△展示のようす
南アルプス国立公園からは、南アルプス山域で最も大きいと言われている荒川岳のお花畑や鳳凰三山から見た富士山と躍動感ある雲の写真を展示しています。
写真をご覧になって、「行ってみたい!」と思う場所がありましたら、パンフレット等もありますので、お手に取ってみてください。
広河原インフォメーションセンターは1階にトイレやロッカーコーナー、バスチケット売り場があり、2階には登山届けポスト、売店、山や自然についての文庫があります。トイレやバスチケット売り場に寄ってあとにする、という方が多いかと思いますが、ぜひ、2階まで足をのばしてアクティブ・レンジャー写真展をご覧ください♪みなさんのお越しをお待ちしております!!
2019年08月14日現場のアクティブ・レンジャーが教える快適登山の極意④富士山いつ登る?
富士箱根伊豆国立公園 小西 美緒
-
こんにちは。
- 今日は環境省、山梨県、静岡県で運営している「富士登山オフィシャルサイト」内の「富士山日記」に掲載した内容をお届けしようと思います。
梅雨明けからは少し時間が経ってしまいましたが、これから富士登山を計画される方にも役立つ部分もあるかと思います。
今年は例年以上に毎日毎日雨ばかりの梅雨だった気がします。
これから富士登山を計画されている方も多いかと思います。
2016年に掲載していた「極意」シリーズ復活ということで、シーズン中何度も登るアクティブ・レンジャーの私がもしプライベートで登る場合に、どんなところを考慮にいれてプランニングするかご紹介したいと思います。
結論としては!
●日帰りではなく1泊2日
●7月下旬~8月初旬(梅雨明け直後)
●平日
●早めに出発して山小屋でゆっくり
●御来光も山小屋で
ポイントとしては安全でかつ快適な登山のために、好天の確率が高く、混雑を極力避ける、というところです。
時期は??
一般的に梅雨明け直後は「梅雨明け10日」と言われ、太平洋高気圧の勢力が持続しやすく、安定した夏の暑い晴天が十日間程度続くことが多いです。
東海/関東甲信地方の平年の梅雨明け時期は7月21日頃ですので、まずは7月下旬~8月初旬頃を第一候補に計画を立てると思います。
その他の理由としては
●日の入りが遅い
→夜間の歩行は落石・転倒・道迷いなどのリスクが高くなるので、万が一のことがあった時の日中
の行動時間が長くとれることは安全につながるポイントだと思います
●台風が少ない
→標高が高く、独立峰であり風の強い富士山では「気温」「風」「濡れ」による低体温症の危険性がありますので、台風や荒天の時には絶対に登りません
●リスケジュールがしやすい
→まだ登山期間があるため、荒天の際にリスケジュールがしやすく、無理な登山をしないで済むことにつながります
なお、山小屋さんに聞いたところ、
「台風が来なければ8月後半・9月初旬が人も少なくなってきて、空気も澄んでいる日が増えてオススメ」
とのことでした。
曜日は??
実はオススメした海の日~お盆の間は登山者の多い期間です。(以前の日記でこの時期を避けましょう、とお伝えしたこともあります)登山者が多ければ、それだけ落石や転倒に巻き込まれる危険も高くなります。
ですので、この時期に行くのなら・・・・・
断然平日です!
実際に混雑の中を歩くのと、周りに人が少ないのとでは全然違います!周りのペースを気にせず、立ち止まって景色や花の写真を撮ったりと、自然をより満喫できます。
下記グラフを見ると曜日によっては、週末の半分くらいとかなり違います。
水曜日、木曜日あたりの出発がよさそうですね。
私だったら「木曜日出発の1泊2日で登山をして、週末はゆっくり休む!」というプランにします。
何時に出発する??
途中の山小屋で1泊をする場合でも早めに出発をします。
富士山は他の山と少し異なりツアーなどはお昼を過ぎてから出発ということも多いです。そのツアーの混雑に巻き込まれないためにも、午前中のうちには出発したいです。もし吉田ルートだったら9時頃にはスバルライン五合目出発を目指します。
吉田ルート六合目(11:42)まだ人は少ないです 吉田ルート六合目(12:59)混んできました
【吉田ルート6合目の時間帯別通過登山者数】
1位 | 13~14時台 |
2位 | 12~13時台 |
3位 | 14~15時台 |
4位 | 11~12時台 |
5位 | 10~11時台 |
(平成27年度 富士吉田市富士山課調べ)
山小屋に早く到着して、のんびり過ごす時間はすごく贅沢に感じます。
山小屋は夕方からはツアーの方が大勢到着したり、夕食、夜中の御来光のための出発とかなり慌ただしくなります。早めに到着して、山小屋が静かなうちにお昼寝してリチャージしておくことも次の日の成功ポイントです!
(山小屋によってチェックインできる時間が決まっている場合もありますので、事前にご確認ください)
御来光は山小屋で
刻々と色の変わる空と雲海を見ながら御来光を待つ人たち@吉田ルート七合目山小屋
昨年、初めて山小屋で御来光を見てから出発をしましたが、思っていた以上に快適でした。
●山頂御来光組が深夜に出発したあと、日の出までゆっくり眠れる
●御来光を寒い中待つ必要がない
●明るくなってから登るので安全。景色を楽しみながら登れる
●登山道が混雑していない
いいことずくめだと思いませんか?
山頂での御来光を目指して、真っ暗で混雑する中登山をすることは、落石、転倒などそれなりのリスクがあります。特にお子様連れの方は無理をしないで安全に楽しく登山をして欲しいです。
以上、参考になれば嬉しいです。
12日に山の日の記念全国大会の甲府市での開催を記念して、自然観察会を実施しました。
当日は山梨県立富士山科学研究所の中野 隆志先生(植物)、吉本 充弘先生(火山、防災)のお二方をお招きして、吉田ルートの五合目にある御中道を、30人の参加者の皆さんと歩きました。
麓からは富士山が見えていたので、ワクワクしながらバスで上がっていくと、、、、、、雲の中。
本当に富士山の天気は分かりません。
当日のスタート地点であるスバルライン五合目は、観光客や下山客、これから登ろうとしている登山客でまさにごった返していました。
国立公園と聞くと「手つかずの自然」をイメージする方が多いかと思いますが、ここもれっきとした国立公園内です。
(よく見ると、建物や看板、自動販売機は茶色で統一されているのがわかるかと思います。)
まずは、五合目にある小御嶽神社に行き、富士山の誕生について解説してもらいます。
スバルライン五合目が、他の3登山道の五合目と比べ、いくつもの大きな建物、駐車場を作ることができたのは、富士山の成り立ちに関係しているんです。
富士山は1つの山としてできたわけではなく、下にもっと以前の火山活動で誕生した複数の山が隠れています。それらの火山を覆うように「新富士火山」が現在の富士山を形作っているそうです。
スバルライン五合目の広い平らな部分は、小御岳火山という火山が現在の富士山の横腹に頭を出している部分なんだそうです。
【山中湖からみた富士山】
普段あまり火山であることを意識しませんが、何十万年も前からの様々な火山活動により、大きく形を変えて来た中(現在進行中ですね)で、均整の取れた美しい富士山を目にしていると思うと、今この時代に富士山と出会えていることをありがたく感じます。
御中道に入ると五合目の喧騒が嘘のようです。歩き始めて早々に樹の上に気になるものが・・・・
皆さんの視線の先にあるのは、、、、、、、、、、、、、
サルオガセでした。樹にまとわりつく姿は少し不気味にも見えますが、樹の栄養を奪っているわけではなく、光合成をおこないながら、空気中の水蒸気から水分を得ています。富士山ではそれほど多くは見かけませんが、霧がよく発生する五合目付近ということで、納得です。
進んでいくと、通常この時期だともう終わっているハクサンシャクナゲが、今年は開花が遅れていたお陰で、お出迎えしてくれました。
【御中道を華やかに彩るハクサンシャクナゲ】
自分だけで歩いていたら何気なく通り過ぎてしまいそうな場所でも、両先生からどんどんと
「へ~!」
となる説明が飛び出してきます。
皆さん熱心に写真を撮ったり、メモをとったりしながら聴いていました。
【冬の雪の重みで大きく湾曲したダケカンバ】
樹の種類によって成長の仕方も違うそうで、切り株を見るとわかってしまうのです。
落葉広葉樹は、自分の体を山側の葉で支えるために南側(山側)の年輪が太くなっていて、針葉樹は根元で体を支えるため、北側(谷側)の年輪が太くなってるそうです。
実際、すぐ隣にある切り株同士なのに違っていて、驚きました。
【2018年11月3日撮影】
この大きな窪みは火口です。このような火口が列になっている箇所(火口列)が数か所あります。
何気なく見ているだけではまさか火口だとは思わないですよね。先生のお話しを聞きながら、改めて富士山が火山であることを実感しました。
上の写真では西側(写真の右側)だけにしか植物が生えていないですよね。これにも理由があるんです!
知りたい方は、富士山科学研究所でも年に数回五合目観察会を行っていますので(今年度分は終了しています)、ぜひ参加してみてください。
あいにくのお天気で富士山頂も麓も見ることができませんでしたが、富士山が火山であること、独立峰であること、地質、標高など様々な要因が重なってこの美しい景色を一つ一つ形作ってくることを再認識する1日になりました。
来年の山の日イベントもお楽しみに!