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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

真夏の三原山の景色 大島(伊豆諸島地域)

2019年08月26日
富士箱根伊豆国立公園

皆さまこんにちは。伊豆諸島ARの竹下です。

あっという間に8月も終わりに近づいてきましたね。

今回は、真夏の三原山の景色を紹介したいと思います。

真夏の大島は、さぞ天気が良くて暑かろう・・・とお思いかもしれませんが、

海沿いは晴れていても、三原山の山頂付近には雲がかかっていることが多いのです。

海から吹き上げる風が湿気を運び、霧や雲になって溜まるのですね。

海水浴客でにぎわう海沿いは青空でも、三原山は雲の中。

▲海水浴客でにぎわう海沿いは青空でも、三原山は雲の中

※濃霧の中、お鉢巡りや砂漠を歩くことは大変危険ですので天候によってはお止めください。

霧の晴れ間にカルデラ内を歩くと、サクユリの白い花を目にすることが出来ます。

皆さんは、「サクユリ」を知っていますか?

サクユリ(Lilium auratum var. platyphyllum)は、本州に分布するヤマユリ(Lilium auratum)の変種であり、伊豆諸島の固有種です。

ヤマユリと比べて、葉の幅が広く、葉脈の本数が約7本(ヤマユリは約5本)あるのが特徴です。花びらには赤い斑点が少なく、花の中が真っ黄色のものもあります。

三原山では、7月後半から8月にかけて開花します。

サクユリの花。花びらに赤い斑点が多いもの。

▲サクユリの花(赤い斑点が多いもの)

サクユリの花。花びらに赤い斑点の少ないもの。

▲サクユリの花(赤い斑点が少ないもの)

サクユリの花。花びらに赤い斑点が無いもの。

▲サクユリの花(赤い斑点が無いもの)

東京都のレッドリストには、絶滅危惧Ⅱ類(VU)として掲載されています。

絶滅危惧Ⅱ類というのは、

現在の状況に追い込んだ要因がこのまま続くと、近い将来、野生での存続が難しくなることが確実だとされている種、ということです。

大島のサクユリの場合は、園芸や販売目的の盗掘、外来生物キョンによる食害、ウイルスなどが要因になっていると考えられています。

カルデラ内に点々と咲く、サクユリの白い花

▲サクユリが点々と咲く景色

サクユリが点々と咲く景色を今後も楽しむためには、今、何が出来るのでしょうか。

皆さんも、サクユリを見に行くことがあったら、手折ったりせずに見守ってくださいね。

もし盗掘を見かけたら、伊豆諸島管理官事務所に連絡していただけると幸いです。

カルデラ内に咲く、ハマナデシコの花。

▲ハマナデシコ (Dianthus japonicus)

8月の三原山表砂漠には、ハマナデシコも咲いています。

海岸沿いに生育する植物ですが、海から吹き上げる風に乗って、種が飛んできたようです。

三原山山頂付近からカルデラの縁を望む。(カルデラの縁では、海から吹き上げる風によって雲が作られている)

▲三原山山頂付近からカルデラの縁を望む(カルデラの縁では、海から上がってきた風によって雲が作られている。)

真夏は雲や霧の多い三原山ですが、これからの季節は空気が澄んできて、景色も良くなってくるはずです。

皆さんも、景色や地形、植物を楽しみながら、三原山を歩いてみませんか?

○島へのアクセス・島内の観光情報はこちら

伊豆大島ナビ https://oshima-navi.com/