アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
現場のアクティブ・レンジャーが教える快適登山の極意④富士山いつ登る?
2019年08月14日-
こんにちは。
- 今日は環境省、山梨県、静岡県で運営している「富士登山オフィシャルサイト」内の「富士山日記」に掲載した内容をお届けしようと思います。
梅雨明けからは少し時間が経ってしまいましたが、これから富士登山を計画される方にも役立つ部分もあるかと思います。
今年は例年以上に毎日毎日雨ばかりの梅雨だった気がします。
これから富士登山を計画されている方も多いかと思います。
2016年に掲載していた「極意」シリーズ復活ということで、シーズン中何度も登るアクティブ・レンジャーの私がもしプライベートで登る場合に、どんなところを考慮にいれてプランニングするかご紹介したいと思います。
結論としては!
●日帰りではなく1泊2日
●7月下旬~8月初旬(梅雨明け直後)
●平日
●早めに出発して山小屋でゆっくり
●御来光も山小屋で
ポイントとしては安全でかつ快適な登山のために、好天の確率が高く、混雑を極力避ける、というところです。
時期は??
一般的に梅雨明け直後は「梅雨明け10日」と言われ、太平洋高気圧の勢力が持続しやすく、安定した夏の暑い晴天が十日間程度続くことが多いです。
東海/関東甲信地方の平年の梅雨明け時期は7月21日頃ですので、まずは7月下旬~8月初旬頃を第一候補に計画を立てると思います。
その他の理由としては
●日の入りが遅い
→夜間の歩行は落石・転倒・道迷いなどのリスクが高くなるので、万が一のことがあった時の日中
の行動時間が長くとれることは安全につながるポイントだと思います
●台風が少ない
→標高が高く、独立峰であり風の強い富士山では「気温」「風」「濡れ」による低体温症の危険性がありますので、台風や荒天の時には絶対に登りません
●リスケジュールがしやすい
→まだ登山期間があるため、荒天の際にリスケジュールがしやすく、無理な登山をしないで済むことにつながります
なお、山小屋さんに聞いたところ、
「台風が来なければ8月後半・9月初旬が人も少なくなってきて、空気も澄んでいる日が増えてオススメ」
とのことでした。
曜日は??
実はオススメした海の日~お盆の間は登山者の多い期間です。(以前の日記でこの時期を避けましょう、とお伝えしたこともあります)登山者が多ければ、それだけ落石や転倒に巻き込まれる危険も高くなります。
ですので、この時期に行くのなら・・・・・
断然平日です!
実際に混雑の中を歩くのと、周りに人が少ないのとでは全然違います!周りのペースを気にせず、立ち止まって景色や花の写真を撮ったりと、自然をより満喫できます。
下記グラフを見ると曜日によっては、週末の半分くらいとかなり違います。
水曜日、木曜日あたりの出発がよさそうですね。
私だったら「木曜日出発の1泊2日で登山をして、週末はゆっくり休む!」というプランにします。
何時に出発する??
途中の山小屋で1泊をする場合でも早めに出発をします。
富士山は他の山と少し異なりツアーなどはお昼を過ぎてから出発ということも多いです。そのツアーの混雑に巻き込まれないためにも、午前中のうちには出発したいです。もし吉田ルートだったら9時頃にはスバルライン五合目出発を目指します。
吉田ルート六合目(11:42)まだ人は少ないです 吉田ルート六合目(12:59)混んできました
【吉田ルート6合目の時間帯別通過登山者数】
1位 | 13~14時台 |
2位 | 12~13時台 |
3位 | 14~15時台 |
4位 | 11~12時台 |
5位 | 10~11時台 |
(平成27年度 富士吉田市富士山課調べ)
山小屋に早く到着して、のんびり過ごす時間はすごく贅沢に感じます。
山小屋は夕方からはツアーの方が大勢到着したり、夕食、夜中の御来光のための出発とかなり慌ただしくなります。早めに到着して、山小屋が静かなうちにお昼寝してリチャージしておくことも次の日の成功ポイントです!
(山小屋によってチェックインできる時間が決まっている場合もありますので、事前にご確認ください)
御来光は山小屋で
刻々と色の変わる空と雲海を見ながら御来光を待つ人たち@吉田ルート七合目山小屋
昨年、初めて山小屋で御来光を見てから出発をしましたが、思っていた以上に快適でした。
●山頂御来光組が深夜に出発したあと、日の出までゆっくり眠れる
●御来光を寒い中待つ必要がない
●明るくなってから登るので安全。景色を楽しみながら登れる
●登山道が混雑していない
いいことずくめだと思いませんか?
山頂での御来光を目指して、真っ暗で混雑する中登山をすることは、落石、転倒などそれなりのリスクがあります。特にお子様連れの方は無理をしないで安全に楽しく登山をして欲しいです。
以上、参考になれば嬉しいです。