アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
この夏、南アルプスで見られたお花
2020年08月25日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
相変わらず気温が高く暑い日々ですが、標高が高い南アルプスの山々では朝晩が冷え込むようになり、秋の訪れを感じます。例年、この時期は多くの登山者で賑わう南アルプスですが、巡視をしていても登山者に会わず、山小屋関係者にも会えず。なんだか物寂しい気持ちもありますが、高山植物は元気に生育していました。今回はこの夏、南アルプスで見つけたお花を紹介したいと思います。
■ ウサギギク
根の近くに生える葉がウサギの耳に似ていることから「ウサギギク」と名づけられました。わたしが見たときは太陽のほうを向いて咲いている個体が多く、ひまわりを見ているかのような気分でした。高山植物には黄色い花が多いですが、ひと際目立ちますね。
■ トウヤクリンドウ
トウヤクリンドウは「当薬」または「唐薬」として、昔から薬に使われていました。緑の斑点が独特な模様ですよね。稜線部に咲き、8月から咲き始めて9月ごろまで花をつけます。奥に見えるのは北岳です。今年の北岳稜線部ではこのトウヤクリンドウがあちこちに咲いていました。
■ タカネビランジ
南アルプスの固有種、タカネビランジ。左は北岳で、右は地蔵ヶ岳で撮影しました。タカネビランジは地域によって色の個体差があるのが特徴です。北岳や荒川岳で見られるタカネビランジは左の写真のような白色または薄いピンクが多いです。対して、鳳凰三山や北岳の一部では右の写真のような淡いピンクが多く咲きます。
■ オヤマリンドウ
まだつぼみのオヤマリンドウ。濃い青紫がとても綺麗ですよね。晴れていても完全に花が開くことはなく、半分開いている状態のことが多いです。オヤマリンドウを見ると、¨夏が終わってしまう!¨と少し焦りを感じます。
他にもイブキジャコウソウやシコタンソウ、ハンゴンソウなどが南アルプスを鮮やかに彩っていました。
今年は7月の遅くまで梅雨が続き、巡視中、晴れの日が少なかったですが、梅雨が明けてからは比較的、晴れの日が続きました。夏の南アルプスは午後になると高確率で雷雨になりますが、今年は夕方まで強く日が差していることが多かったように思います。今年の南アルプスは、山小屋が営業し登山道が閉鎖されていない甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山で登山者がみられますが、天候が変わりやすいので、早出早着を心がけて登山するようにしてください。コロナウイルス対策も忘れずに!
▲仙丈ヶ岳 北岳稜線より
▲小太郎山と甲斐駒ヶ岳 北岳稜線部より