アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
南アルプスカントリーコードって?
2018年08月28日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
高山植物もそろそろ終わりを迎え、もうじき南アルプスは紅葉シーズンに入ります。これからもたくさんの方が南アルプスの山々に登られることでしょう。突然ですが、南アルプスに『カントリーコード』というものがあるのをご存知でしょうか。カントリーコードとは1930年頃からイギリスにおいて、トレッカーのルールおよびマナーを定めたのがきっかけです。利用の心構えや注意事項、利用マナーなどで構成され、利用にあたってのマナー向上を目指して策定された地域ルールのようなものです。
常に快適で安全な登山を心がけていただくとともに、我が国屈指の山岳国立公園である南アルプスの大自然を大切に守り、後世に引き継ぐために、『南アルプス・カントリーコード -登山者の皆様へ7つのお願い- 』を利用者の皆様へお願いしています。
△南アルプス・カントリーコード -登山者の皆様へ7つのお願い-
【お願い1】花や植物を採らないでください
この地域の高山植物や動物は、数回の氷河期を経て、今もなお山岳の厳しい環境に耐えています。これらの動植物が、いつまでも見られるよう、一人一人がやさしい気持ちで自然に接し、採ったり、傷つけたりしないようにしましょう。
【お願い2】登山道を外れての歩行や写真撮影は行わないようにしましょう
登山道以外の場所には貴重な高山植物や多くの野生動物たちが生息しています。登山道を外れての歩行や写真撮影は行わないようにしましょう。
△キタダケソウ生育地における踏み跡
お花畑へ踏み込むと、植物が踏みつぶされて失われてしまいます。そして地面がむき出しになると、土壌が流れ出し、その場所や周辺には植物が生えにくくなってしまいます。一度失われた植生は回復までにかなりの時間を要します。
【お願い3】ペットの持ち込みはご遠慮ください
犬などのペットを持ち込むことは、ライチョウやオコジョなどの小動物に脅威を与えたり、野生動物の間に伝染病を持ち込む恐れもあります。ペットは持ち込まないようにしましょう。
【お願い4】ゴミを捨てないでください
自分で持ち込んだゴミはすべて持ち帰りましょう。
△落ちていたガスキャップ
巡視で山を歩いているとガスキャップや空になったペットボトルが落ちていることがあります。故意に落としたわけではない!という方もいらっしゃるかと思いますが、出発前にゴミを落としていないか、落ちないようにザックに入れたかなど確認していただきたいと思います。
【お願い5】先の尖ったストックは危険です。使う場所を考え、ゴムキャップの利用などを心がけましょう
先の尖ったストックは危険であるばかりか、他の利用者に迷惑を及ぼしたり、植物や歩道を痛める場合があります。使う場所を考える、ゴムキャップの利用など、心がけましょう。
△ゴムキャップなしのストックでできた穴
ゴムキャップなしのストックは危険であるとともに植物や歩道に大きなダメージを与えます。ゴムキャップをつけないと、登山道に穴があき、雨で土が流れやすくなるほか、登山道が傷み、植物の育つ環境が損なわれてしまいます。
【お願い6】記念看板の設置や岩などへの落書きはしないようにしましょう
登頂記念は写真におさめ、記念看板の設置や岩などへ落書きはしないようにしましょう。
【お願い7】山小屋、避難小屋などの施設はみんなできれいに大切に使いましょう
山小屋、避難小屋などの施設は遭難救助の基地ともなる大切なところです。みんなできれいに大切に使いましょう。
南アルプス国立公園は歴史・文化・地形などの魅力だけでなく、自然の絶景や野生の動植物なども魅力いっぱいの公園です。ルールやマナーを守って登山者すべての皆さんが気持ちよく利用できる環境を守っていきましょう!