関東地域のアイコン

関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

7月の仙丈ヶ岳植物等編!!

2023年08月08日
南アルプス 海藤愛結
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の海藤です。
 
 
前回、7月に仙丈ヶ岳で行った防鹿柵業務全般についてお知らせいたしました。
今回は、業務中に見ることができた植物等をご紹介します。
代替テキスト
▲タデ科イブキトラノオ属ムカゴトラノオ
今回、見ることができた植物の中で私が1番興味深かったのはこちらです!
白い花の下に付いている赤い蕾のようなものは、「むかご」と呼ばれる植物の栄養繁殖器官です。ここから芽が出て、ぽろっと本体から独立して成長していきます。有性生殖の種子と異なり、無性生殖なので本体のクローン個体です。
そして、このむかごで増えることができるにもかかわらず、なぜ有性生殖をするための花をつけているのでしょうか?
さらになんと、このムカゴトラノオの花はほとんど結実しないようなのです。
えぇ!?なおさら、花をつける意味がないのでは??と不思議でなりません。
長い年月をかけて生存していく中で、そうなっていったのでしょうね。とても面白いです。

 
代替テキスト
▲ラン科ハクサンチドリ属ハクサンチドリ
花の付き方が千鳥の飛ぶ姿に似ていることから名付けられたそうです。
確かに、独特の形をしていますね!

 
代替テキスト
▲ラン科コイチヨウラン属コイチヨウラン
以前、AR日記の鳳凰三山巡視の回で紹介した【イチヨウラン】は花が1個でしたが、こちらは数個咲くようですね。
写真では葉が見えませんが、イチヨウランと同じくその名の通り1枚だけ付けます。
萼片の黄緑色も部分は透明感があり、とても綺麗です。
ラン科の植物は、多様性が豊かで環境によってその姿形は様々です。
世界のほぼ全域にみられるそうです。ちなみに私の植物の中で1番好きな科です!笑

 
代替テキスト
▲キンポウゲ科オダマキ属ミヤマオダマキ
青紫の花が高山帯の砂礫地で目立ちます。標高が低い場所には、同じオダマキ属のヤマオダマキという形が似たような特徴的な白い花を咲かせるものがあります。


 
 

その他の景色

代替テキスト
▲ハロ現象と飛行機雲
植物だけではなくこんな景色も見ることができました。
ハロ現象を射貫くように飛行機雲ができていました。ハロ現象は割と見ることが多いと思いますが飛行機雲との絶妙な位置でのコラボは初めて見たので感動しました!


 
代替テキスト
▲谷を飛ぶ2羽のチョウゲンボウ
大仙丈ヶ岳から見た谷では、2羽のチョウゲンボウが争っているのか遊んでいるのか。
ホバリングという上空で静止する姿も観察できました。獲物を探しているのでしょうか。
 
 
足下には植物や昆虫が、空には面白い気象やはたまた風に乗る猛禽類が。
南アルプス国立公園内では、360度新しい発見が隠れているかもしれません。
 

8月に入りましたが、まだまだたくさんの高山植物を見ることができます!