アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
静かな北沢峠での出会い
2020年06月18日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
6月上旬に長野県伊那市を経由で北沢峠周辺の現地確認に行ってきました。下界は30度前後でとても暑かったようですが、標高2,000mほどある北沢峠はなんと16度!とても快適でした。
林道を車で走っていると、ある動物に出会いました。
立ち止まってこっちを見ている子
こちらに気づいて一生懸命逃げている子
人がいても逃げることなく、毛づくろいをしている子
多くの方がなんの動物なのかお分かりかと思いますが、ニホンジカです。今年は積雪量が少なく、林道バスが運休していて人の出入りがないことから、ニホンジカにとっては楽園のような状態になっています。ニホンジカ対策に取り組んでいる関係機関のデータによると、6月上旬くらいに仙丈ヶ岳の標高2,500m地点のあたりまで登っている個体がいるようです。6月下旬に仙丈ヶ岳の防鹿柵の立上げ作業を行いますが、高山植物が食害に遭っていないことを心から祈ります。
今回はニホンジカとの遭遇が多かったですが、他にもこんなステキな出会いがありました。
【コミヤマカタバミ】
コミヤマカタバミは花びらに脈が帯び、人間の血管のように見えます。小葉は夜になると閉じて、睡眠運動をします。花びらに人間のような血管模様があって睡眠運動する。・・・勝手に親近感を感じています。ちょこんと足元に咲いていることが多いので、踏んでしまわないように気を付けなければなりません。
【ザゼンソウ】
ザゼンソウと聞くと、尾瀬などの湿原で見られるイメージがあり、南アルプスでは見ることができないだろうといつも諦めていたのですが、なんと!見ることができました!生まれて初めて見るザゼンソウ。感動しました。ザゼンソウは座禅を組んだ僧の姿に見えることが由来になっています。そういわれると、そう見えてきますね。
今年度の北沢峠周辺ではバスが運休、山小屋が休業になり、各市町村から入山自粛が求められています。元気に咲いている高山植物をみなさんに現地で見ていただくことができず、とても残念ですが、このアクティブ・レンジャー日記を通して、現地の様子をお伝えしていきたいと思っています。