アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
秋の荒川岳へ
2019年11月06日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
10月初旬に2泊3日の行程で荒川岳の防鹿柵撤去作業へ行ってきました。今回の作業で撮影した写真をみなさんにご紹介したいと思います。
初日は雨風が強く、荒川小屋までの予定を急遽、千枚小屋停滞に変更。小屋の中にいてもとても風が強く、お手洗いへ行くにもやっとの思い。夜になると風の強さは変わらないものの、雲が取れて満点の星空を見ることができました。ダウンとフリースを着込んで寒さ対策万全で挑みました。
星空の撮影において、標高が高い場所での撮影は大きなポイントになっているそうで、空気の量が多いと天体の光を弱めたり、大気の揺らぎによって細かい部分が見えなくなってしまうことがあるそうです。プロが撮影するような綺麗な星空ではないですが、個人的には頑張って撮影しました!寒い中頑張って撮影して良かったです!
翌日は早朝から晴天。千枚小屋では玄関口から出ると目の前に富士山が見えます。この日はこれまでに見たことがない雰囲気の富士山を見ることができました。これぞまさに、日が昇る瞬間!!
日が昇ってくると山梨県の河口湖や静岡県の沼津の街や港、東京都の伊豆大島まで見渡すことができました。晴天が続くという予報を見て、わくわくした気持ちで千枚小屋を出発。千枚岳、悪沢岳(東岳)、中岳を経由して、防鹿柵が設置されている西カール底と前岳南東斜面を目指します。
悪沢岳を通過し、ガレ場を経てコルまで一気に下ります。この長い道のりを登った先に中岳があります。参加者の中には「ここに釣り橋があれば標高を下げずに中岳まで行けるのに!」とおっしゃっていた方も。悪沢岳から170mほど下り、コルから110mほど登ります。これだけの距離を上り下りすることを考えると、釣り橋が欲しいと思っちゃいますよね...
それにしても迫力があります。南部エリアに登って思うことはひとつひとつの山がとても大きく、毎回圧倒されます。北アルプスや北部エリアに比べて、山小屋が少なかったり間隔が広かったり、登山口に辿り付くまでに一苦労してしまうほどですが、山そのものに南アルプスの魅力がぎっしり詰まっていて個人的には大好きな山域です。
コルから中岳までの登りはただ登っているだけでなく、振り返ると悪沢岳、左手には赤石岳を眺めながら歩くことができます。夏はたくさんの種類の高山植物が咲いています。秋は秋で山の斜面の紅葉がとても綺麗です。
ウラシマツツジが綺麗に紅葉していました。赤く染まったウラシマツツジと空の青さが映えますね。綺麗に色付く紅葉に見とれて何度も足を止めて写真を撮影していたせいか一向に進めませんでした。
11月4日で芦安-広河原のバスの運行が終了し、南アルプスの山々に静けさが戻ってきました。今年度は、悪天候の日が続き、閉山間際には台風19号により登山道や林道に大きな影響を受けました。通常であれば長野県側の戸台-歌宿のバスが11月中旬まで運行していますが、林道の通行止めにより運行をしておりません。登山の計画を立てられている方はご注意ください。来シーズンは天候に恵まれて、多くの方が南アルプスの山々へ来ていただきたいと思います。