アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
ニホンジカ対策ワーキンググループ会議が行われました
2019年02月12日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
1月31日(木)に南アルプス市内にて「南アルプス自然環境保全活用連携協議会 ニホンジカ対策ワーキンググループ会議」が開催されました。関係市町村、県、国、研究機関、地権者等を交えて南アルプス国立公園とその周辺のニホンジカ対策に関する意見交換を行いました。
△会議のようす
南アルプスでは、高山の生態系を保全するために高山植物に悪影響を与えるニホンジカへの対策が実施されています。国や県、市町村が役割分担しながら、モニタリング、植生保護、シカ捕獲、普及啓発等に取り組んできました。この会議は、各機関で情報を共有することによって、効率的・効果的な取り組みを実施するために開催されています。
南アルプス周辺におけるニホンジカ対策の流れは以下のようになっています。
△ニホンジカ対策ワーキンググループ設置及び南アルプスニホンジカ対策方針策定の経緯
(クリックしていただくと大きな画像で見ることができます)
現在、南アルプス周辺で実施されているニホンジカ対策は、南アルプスニホンジカ対策方針のもとに位置づけられています。ニホンジカ対策方針は平成29年5月に南アルプス自然環境保全活用連携協議会(南アルプスユネスコエコパークの管理運営組織)において策定され、ニホンジカ対策ワーキンググループにおいて情報共有、方針の更新が行われます。
現在、環境省で行っているニホンジカ対策は、1.防鹿柵の設置、2.土壌流出防止のための伏工、3.南アルプス国立公園内での捕獲です。2.土壌流出防止のための伏工は主に塩見岳で行われており、今年度の作業時には昨年度設置したマットから植物が生育しているのが確認できました!!
△昨年度設置したマットから植物が!(色が濃いマットは今年度設置したもの)
伏工したからといってすぐに成果が出るわけではありません。時間がかかる地道な作業ではありますが、徐々に元の姿へ回復して欲しいと願っています。
高山のニホンジカ問題は遠くの問題としてとらえられがちですが、人の暮らす町が里山、そして高山へつながっているように、ニホンジカも農村から低山、そして高山へと広がっていきます。増えすぎたニホンジカが日本全国で生態系や農林業、わたしたちの生活にまで深刻な影響を及ぼしています。皆さんも、ニホンジカを見かけたとき、山に登ったとき、ふとしたときに南アルプスのお花畑とニホンジカを思い出してみてください。