アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
#STAYHOME 6月1日は何の日?
2020年06月01日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
みなさんにとって6月1日はなんの日ですか?大切な人の誕生日だったり、何かの記念日だったり。わたしにとっての6月1日は、『南アルプスが国立公園に指定された日』です。今日で指定から56年を迎えました!
南アルプス国立公園は1964(昭和39)年6月1日に北海道の知床国立公園とともに23番目の国立公園として指定されました。
南北に長い形をしており、国内高峰第2位の北岳、3位の間ノ岳をはじめ、3,000m級の山々が10座以上ある日本有数の山岳公園です。また、とても水が豊富なで大井川、天竜川、富士川の源流になっています。中部山岳国立公園は¨北アルプス¨という名称で親しまれていますが、南アルプス国立公園は¨南アルプス¨がそのまま国立公園の名称になっています。
面積は35.752ヘクタールで、日本の国立公園としては広い方ではありません。関東管内の国立公園と比較してみると、わかりやすいですね。
(クリックすると大きな画面で見られます)
南アルプスは他の山域に比べ、アクセスが長く、人の手があまり入らず開発が進まなかったことから、自然林やそれに近い状態の森林が広く残されています。
ここで、南アルプス国立公園に関わる歴史を振り返ってみたいと思います。
●1950年2月 「南アルプス国立公園指定促進協議会」発足
山梨、長野、静岡の3県が主体となり、南アルプス地域を国立公園に指定することを目指して発足。
●1964年6月1日 「南アルプス国立公園」誕生
3県が中心となって行われた度重なる現地調査や地道な関係機関との調整により、南アルプス国立公園誕生!
●1976年3月 「大井川源流部原生自然環境保全地域」指定。
(クリックすると大きな画面で見られます)
大井川源流部の光岳周辺が原生自然環境保全地域に指定され、同時に、南アルプス国立公園の一部が国立公園区域から原生自然環境保全地域に編入される。
詳しくはこちら
●1994年12月 「キタダケソウ生育保護区」指定
北岳の山頂直下のみに生育するキタダケソウの保護を図るため、38.5ヘクタールを生育保護区に指定。
●2004年6月から 広河原までの区間におけるマイカー規制
安全な通行と自然環境の保全を図るため、2004年から芦安-広河原間で、2005年から奈良田-広河原間でマイカー規制を開始。マイカー規制開始はずいぶん前のことに思われがちですが、意外と最近なのです。
●2008年10月 南アルプス自然保護官事務所開設
自然保護官事務所が開設され、専任の自然保護官が着任
●2009年6月 「南アルプス高山植物等保全対策連絡会」発足
荒川岳東カール(標高2,920m付近)のセンサーカメラに写るニホンジカ
1998年頃からニホンジカが稜線でも見られるようになりました。高山帯を彩っていたお花畑がニホンジカによる食害や踏圧等により深刻な影響を受け、関係する15機関による広域でのニホンジカ対策の連携・情報共有の場として発足。
●2010年6月 野呂川広河原インフォメーションセンター開設
山梨県南アルプス市芦安にある環境省直轄施設です。南アルプス北部の玄関口になっており、夏期にはたくさんの人で賑わいます。登山道情報や山好きにはたまらない古い文庫が揃っています。※今年はコロナウイルスの影響により、開館日は未定
●2011年3月 「南アルプス国立公園ニホンジカ対策方針」策定
南アルプス高山植物等保全等対策連絡会において、主に高山植物保護を目的としたニホンジカ対策についての方針を策定。9月には環境省と農林水産省が「南アルプス国立公園生態系維持回復事業計画」というニホンジカ対策についての計画を策定。
●2014年6月1日 南アルプス国立公園が指定50年を迎える
50周年記念事業として、式典や講演会、南アルプス国立公園のシンボルマークの公募などのイベントを実施しました。南アルプス国立公園のシンボルマークは缶バッチにもなっており、現在でも人気があるオリジナルグッズです。
●2014年6月 「南アルプスユネスコエコパーク」登録
生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的として登録されました。原生的な自然環境や貴重な動植物が生育・生息している核心地域、環境教育や野外活動、レジャーに利用できる緩衝地域、人が生活して自然と調和した農業や観光が行われている移行地域の3つのエリアに分かれています。
今年で56年目を迎える南アルプス国立公園。これまで関わってくださった方々のおかげで国内外問わず、その存在と価値を知っていただけていると思います。今回、南アルプス国立公園のこれまでの歴史を振り返ってみて、歴史と共にたくさんの魅力が詰まっているこの南アルプス国立公園をもっと多くの方に知ってもらいたい!と私自身強く思いました。60年、70年とこれから先もずっとこの素晴らしい自然が後世へ受け継がれていくことを切に願います。