アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
令和2年度、アクティブ・レンジャー写真展の写真紹介!
2021年01月14日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
1月7日から28日まで、山梨県甲府市にあるアウトドアショップ、OUTING PRODUCTS ELKにて、奥多摩、富士五湖、南アルプスの3事務所合同アクティブ・レンジャー写真展が開催されています。詳しくは富士五湖 小西ARの「アクティブレンジャー写真展、3国立公園合同で開催中です!」をご覧ください。
今回は私が今年度のアクティブ・レンジャー写真展で展示している2枚の写真の紹介をしたいと思います。
◆ ハイ、チーズ!!
撮影場所:北岳 撮影日 :2019/8/4
北岳、間ノ岳、農鳥岳から成る白峰三山は南アルプス山域の中でも特に、ライチョウの個体数の減少が著しいため、個体数回復を目的に、平成27 年(2015 年)から令和元年(2019 年)までの5年間にわたり、孵化したライチョウの家族を高山帯に設置したケージを用いて、悪天候と捕食者から守るケージ保護法を用いた域内保全を実施しました。(令和2年以降は捕食者対策のみ実施)
このライチョウはケージ保護されていた母ライチョウです。海外ではライチョウが狩猟対象のため、人を見ると逃げてしまうようですが、日本では古くから神の鳥として崇められ、捕獲や触れることすら禁止されています。そのため、¨人間から攻撃されることはない¨と分かっているせいか、一定の距離を保てば逃げることはあまりないです。一定の距離を保ちながら、望遠レンズで連写しました。カメラ目線で首を傾けてポーズを取ってくれた(?)姿はまさにモデルのよう。私自身、何度見ても「かわいい~」と思ってしまいます。
◆ 南アルプスの隠れた魅力
撮影場所:荒川岳(前岳・中岳分岐より荒川小屋方面に40分ほど下った場所)
撮影日 :2019/10/5
日本列島ができる遙か昔、南アルプスの山々は海底にありました。約2千万年前に日本列島の原型となる島がユーラシア大陸から分裂。その後、フィリピン海プレートの運動、古伊豆小笠原諸島をはじめとする島々が激突。南アルプスの原型が隆起を始めました。南アルプスの山々に大きな変化を与えたのが、3百万年から10万年前に伊豆ヶ島が衝突したことで、隆起が急速に進み、その速さは1年間に約4mm!現在もそのスピードを維持しています。隆起のほかに氷河が現在のカール(圏谷)やモレーンなどが作られました。世界最速級で隆起し続けている南アルプスですが、山全体の崩壊スピードもかなり速いです。南アルプスは降雨が多く、地形が流水によって削られやすく、その結果出来る特徴的な地形が、この写真のV字谷です。希少な動植物や高山が連なる南アルプスですが、長い歴史があってつくられた山域で、知れば知るほど奥深く、「もっと知りたい!」と興味をそそられます。
参考:山と渓谷 特集「南アルプス」
被写体は小赤石岳と大聖寺平。黄色や白色のお花畑と違って地味な色が多いですが、山そのものが大きく見えます。雑誌などではお花畑と小赤石岳が取り上げられていますが、私は紅葉の時期のこの構図もお気に入りです。
アクティブ・レンジャー写真展では、文字の見やすさなどを考慮して30文字程度の説明文がありますが、写真への想いやエピソードを30文字に集約するのは難しいです。この日記を通して、想いやエピソードを知っていただけると嬉しいです。そして、ぜひ会場へ足を運んでいただけると嬉しいです♪みなさんのお越しをお待ちしています。