アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
防鹿柵設置シーズン突入!!
2018年06月19日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
みなさんは、南アルプスのあちこちに防鹿柵が設置されているのをご存じでしょうか。南アルプスでは2000年頃からニホンジカが稜線付近に現れるようになり、高山帯を綺麗に彩るお花畑での食害が深刻化していました。ニホンジカは群れで行動し、気に入った場所が見つけるとしばらく滞在する習性があり、高山植物が根こそぎ食べられてしまう恐れがあります。
△ニホンジカ(北沢峠にて撮影)
ニホンジカから高山植物を守るために、環境省や県、市町村が防鹿柵を設置しています。
先日、静岡県が主体となり、ボランティアの方々と行っている三伏峠の植生保護活動に参加しました。三伏峠はシカの食圧により、一時草原化したものの、平成19年、20年、24年に設置した防鹿柵の成果もあり、着実に回復しています。
三伏峠には季節型防鹿柵と常設型防鹿柵の2つが設置されています。季節型防鹿柵は雪解け後にネットを立ち上げ、積雪前に撤去するタイプの柵です。常設型防鹿柵は撤去作業等を行わず、1年中設置されているタイプの柵です。
防鹿柵設置作業を行う際は、植生を痛めないために地下足袋などの靴底が柔らかいものを履いて行います。
△季節型防鹿柵のネット立ち上げ作業のようす
△立ち上げられた防鹿柵
経験豊富なボランティアの方々によってあっという間に柵の立ち上げ及び補修が行われました!
登山道や三伏峠小屋周辺にはエンレイソウやシナノコザクラが咲いていました。防鹿柵周辺にはシナノキンバイやハクサンチドリ、キバナノコマノツメが咲いていました。他にもたくさんの植物が開花または開花の準備を始めています。
△ミヤマエンレイソウ
△シナノキンバイ
例年ではこの時期でも小屋周辺や柵周辺には雪が残っているようですが、今年は全くないです!そのため、花の開花時期も2週間ほど早めです。
三伏峠小屋および塩見小屋は7月1日から夏季営業開始予定です。楽しく安全な登山を心がけましょう。
★お知らせ
今週末、6月23日(土)に広河原インフォメーションセンターにて「2018 南アルプス開山祭」が行われます。
日 時:平成30年6月23日(土)午前10時から
場 所:広河原インフォメーションセンター
※雨天決行(南アルプス林道が通行止めの場合は南アルプス芦安山岳館にて行われます。)
地元・芦安中学校生徒による合唱や夜叉神太鼓の演奏や百年前の衣装を身にまとった山案内人による「蔓払い」の儀式が行われます。「蔓払い」の儀式ってなに??と思った方!ぜひ、開山祭でお待ちしています!