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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

南アルプスに咲く花(低山編)

2019年04月02日
南アルプス

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。今年度もよろしくお願いいたします。

連日、サクラの開花が報道されていますね。場所によっては散り始めているという地域もあるかと思います。街では春が訪れていますが、南アルプスの標高の高い山々は依然として白く、冬らしさが抜けていません。

冬らしさが抜けていない南アルプスではありますが、雪の下では新しい命が生まれていることでしょう。南アルプスではどのような花が見られるのでしょうか。低山帯(1,500mから2,400m)、亜高山帯(2,400mから2,700m)、稜線(2,700mから3,100m)の3つに分けて、南アルプスの山々で見られる高山植物を紹介したいと思います。今回は低山帯(1,500mから2,400m)編です。

【イワオトギリ】

黄色い花に赤い斑点がチャームポイントです

オトギリソウの名前の由来は、昔、この植物が薬草であることを秘密にしていた兄が、秘密を漏らした弟を斬り殺したことから「オトギリソウ」という名前が付けられたそうです。花のところどころにある赤い部分は切りつけたときに飛び散った血といわれており、花言葉の 「秘密」や「恨み」もこの話が元となっているようです。エピソードがかなり濃いですが、赤い斑点がアクセントになっていて綺麗な花です。

【ホタルブクロ】

ユニークな形をしています

下向きに大きな釣り鐘状の花を咲かせます。上向きになることはありません。写真のホタルブクロはやや紫色がっていますが、ピンクなどの淡い色もあります。ホタルブクロが咲く時期はホタルの舞う時期と重なり、子どもたちがホタルを捕まえてこの花の中に入れて遊んでいたことからホタルブクロと名付けられたという説があります。名前の由来とリンクさせると覚えやすいですね。北岳では大樺沢沿いで多く見られます。

【レイジンソウ】

トリカブトの仲間と言えど、かなりスリムです

白と薄い紫色をしたスリムな形が特徴的です。花の形が舞楽の「伶人」がかぶる冠に似ていることからこの名が付けられたそうです。レイジンソウはトリカブトの仲間です。花期は7月中旬から9月頃までなので、芦安・奈良田から広河原までのバスが開通してからでも見つけることができます。

【ギンリョウソウ】

昨年の6月にやっと見つけることができました!

右側の白い物体がギンリョウソウです。ギンリョウソウは葉緑素がない腐生植物のため、白色をしています。昆虫や小動物の死骸の上に咲くことが多く、別名「ユウレイソウ」とも呼ばれています。開花後、熟してくると白い花の中が黒っぽくなり、目玉があるように見えます。白い花の部分はとても柔らかく、踏みつけてしまうとつぶれてしまうので、歩行の際は足やストックでつぶさないように気をつけてくださいね。

今回は低山帯(1,500mから2,400m)編をお送りしました。主に、北岳では広河原から二俣・白根御池小屋付近、鳳凰三山では夜叉神峠登山口から夜叉神峠、御座石温泉登山口から燕頭山、塩見岳では鳥倉林道ゲートから三伏峠付近までが今回の低山帯の標高にあたります。南アルプスの山々には至る所に花があるので高標高域に行かずとも、花を楽しむことができます。

南アルプスの開山まで3ヶ月を切りました!今年はどんなお花に出会えるのか、楽しみです。