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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

北岳へ巡視に行ってきました

2020年09月18日
南アルプス

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

先日、北岳を白根御池小屋経由で巡視しました。今年の北岳は登山道が閉鎖されているため、登山者の姿はなく、静かな巡視になりました。今回は巡視中に確認できたニホンジカの被害などについてお伝えしようと思います。

白根御池小屋付近では例年、ニホンジカの足跡がよく見られますが、今回も確認してしまいました。今年は登山者がいないため、人間の足跡はなく、ニホンジカの足跡だけが目立ちました。また、白根御池小屋から草すべりに向かう登山道では、不嗜好植物がたくさん!

マルバタケブキやミヤマバイケイソウの花期が終わっているため、若干枯れているものが多いですが、この時期に咲く秋のお花が全くと言っていいほど咲いていませんでした。マルバタケブキやミヤマバイケイソウがない写真手前は地面が見えてしまっている部分もあります。・・・ニホンジカの踏圧でしょうか。

草すべりを登っていくと、防鹿柵が設置されています。北岳へ登ったことがある方は見たことがあるかと思います。設置されている防鹿柵の中にはウメバチソウやトリカブトなどの高山植物が咲いていました。高山植物が咲く防鹿柵の際にあった植物が・・・

見事に食べられてしまっています!!防鹿柵の中に先端が入り込んでいるものの、しっかり食べられてしまっていますね。このような光景を見ると、悲しくなります。

ニホンジカは標高2,700m付近までで止まることなく、標高3,000mでも足跡が確認できました。

同じ個体が何度も移動している可能性もあり得るので、一概にたくさんのニホンジカが生息しているとは言いがたいですが、足跡は1つや2つ、ではなく、たくさんの足跡ありました。巡視中にニホンジカの姿を見ることはなかったですが、ニホンジカの痕跡は多く見られました。

環境省のほかにも、ニホンジカ対策に取り組んでいる機関があります。ニホンジカによる被害が少なくなって、いつかお花畑が、いつか防鹿柵がなくても高山植物が咲き乱れる南アルプスに戻って欲しいと思います。

見られたのはニホンジカによる食害だけではありません。

強風とガスを抜けた後にこんなステキなご褒美がありました・・・♪全く同じ風景はもう見ることができないと思います。自然とは一期一会の関係ですね。