アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
紅葉進む仙丈ヶ岳へ行ってきました
2019年10月15日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
10月初旬に仙丈ヶ岳へ巡視に行ってきました。標高3,033mの仙丈ヶ岳はなだらかで優雅な姿から「南アルプスの女王」と呼ばれています。南アルプスの山々の中でも比較的、危険な箇所が少なく、3,000m級の山デビューにおすすめの山です。
今年は紅葉の進みが遅いと言われていますが、高標高域では徐々に進んでいました。今回の巡視で見ることができた景色の一部をみなさんに紹介したいと思います。
■日の出と甲斐駒ヶ岳
今回の巡視は1泊2日。前日の夜に突如大雨が降り、翌日の天気がどうなってしまうのか、不安に思いましたが、起きてみるとこの景色。雲海が広がり、徐々に甲斐駒ヶ岳が赤く染まっていきました。遠くからでも目立つ甲斐駒ヶ岳の白さは、山全体が花崗岩に覆われているからです。仙丈ヶ岳が「南アルプスの女王」と呼ばれていることに対して、荒々しい山容からコアなファンからは「南アルプスの貴公子」と呼ばれているようです。
■日本のTOP3!
「日本で1番高い山はどこ?」と聞かれて、多くの方は「富士山」と答えることができるでしょう。では、「日本で2番目と3番目は?」と聞かれたら...悩んでしまう人が多いと多いと思います。日本で2番目に高い山は北岳、3番目は間ノ岳になります。(同位で北アルプスの奥穂高岳もあります)左にある色が薄い山が富士山、1番高く見えるのが北岳、右が間ノ岳になります。この仙丈ヶ岳からは1番、2番、3番を一緒に見ることができます!このような構図でTOP3を見ることができる場所は仙丈ヶ岳だけです!
■藪沢カールと紅葉のようす
南アルプス山域には2万年前頃に作られた氷河・周氷地形が残っています。カールは別名「圏谷(けんこく)」といい、氷河によって山頂付近が削られてできたもので、スプーンで削ったように丸みを帯びたゆるやかな谷地形が特徴的です。仙丈ヶ岳では小仙丈カール、大仙丈カール、藪沢カールの3つを見ることができます。ところどころ紅葉が進み、とても綺麗でした。カールの下にあるのは仙丈小屋です。今回の巡視では、仙丈小屋付近でライチョウファミリーに出会うことができました。ヒナも大きく育ち、冬支度を始めているようで、お腹の部分が少し白くなっていました。
■馬の背の紅葉と八ヶ岳
馬の背ヒュッテから仙丈小屋までの登山道を登り、ふと後ろを振り返ってみるとこの景色!うっすら見える八ヶ岳連峰と紅葉真っ盛りの馬の背の組み合わせがいいな、と感じました。この日の朝方は予報よりも天気が落ち着き、八ヶ岳を始め、南アルプスの山々はもちろん、北アルプスもよく見えました。
東日本に大規模な爪痕を残していった台風19号。南アルプス山域にもかなりのダメージを受けてしまった模様です。林道や登山道が崩れてしまい、通行のメドが立っていない場所もあります。しばらくは地盤が緩み、落石や崩落の危険性が高くなるかと思いますので、登山の計画を立てている方は本当に気をつけてください。台風の影響により営業期間を短縮し、営業が終了している山小屋もありますので、入山される前に状況を確認するようにしてください。