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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

南アルプスとユネスコエコパーク

2019年01月15日
南アルプス

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

みなさんは「ユネスコエコパーク」をご存じでしょうか。「ユネスコ」と言えば、ナマハゲなどの「来訪神」がユネスコ無形文化遺産に登録され話題になりましたね。ユネスコエコパークとは、生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的として、1976年にユネスコが開始したものです。地域の豊かな生態系や生物多様性を保全し、自然に学ぶとともに文化的にも経済、社会的にも持続可能な発展を目指す取り組みです。日本国内には現在、志賀高原や白山など9カ所が登録されています。「南アルプスユネスコエコパーク」は、2014年9月に登録決定されました。

南アルプスユネスコエコパークは山梨県、静岡県、長野県の3県にまたがっており、韮崎市、南アルプス市、北杜市、早川町、飯田市、伊那市、大鹿村、富士見町、静岡市、川根本町の10市町村によって構成されています。

ユネスコエコパークは役割の異なった3つの地域に構成されています。

【移行地域】

棚田(飯田市)

△棚田(飯田市)

 

人が暮らしを営んでいる地域を指し、さまざまな社会活動や持続可能な地域社会の発展を目指す地域です。面積としては最も大きい部分です。写真の他に、大鹿村の大鹿農村歌舞伎や川根本町のカヤックツーリングが挙げられます。

【緩衝地域】

尾白川渓谷(北杜市)  椹池(甘利山・韮崎市)

△尾白川渓谷(北杜市)             △椹池(甘利山・韮崎市)

環境教育、野外活動、調査研究活動や観光、レジャーに利用できる地域です。緩衝地域の中には南アルプス国立公園に指定されているエリアがあります。写真の他に、韮崎市甘利山に咲くレンゲツツジや南アルプス市が行っているユネスコスクールが挙げられます。

【核心地域】

北岳にしか咲かないキタダケソウ  仙丈ヶ岳

△北岳にしか咲かないキタダケソウ        △仙丈ヶ岳

このエリアは主に南アルプス国立公園や大井川源流部原生自然環境保全地域等になります。写真の他に、氷河期の遺存種であるライチョウ、山稜部は氷河地形(カール地形)が多く残されています。

自然環境の他に文化面では、南アルプスの急峻な地形が交流の障壁となり、富士川水系、大井川水系などの流域ごとに伝統的な食文化、民俗芸能など個性的な文化圏が発展し、現在にも受け継がれています。

ユネスコエコパークに登録されてから今年で5周年を迎えます。南アルプスの山岳環境を後世へ残していくためにも、保全していく体制作りや豊かな自然環境を守り伝えていくことが大切ですね。