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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

仙丈ヶ岳 馬の背で防鹿柵立ち上げ作業

2020年07月02日
南アルプス

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

6月下旬に仙丈ヶ岳の馬の背周辺にて防鹿柵立ち上げ作業を行いました。南アルプス国立公園の中でも仙丈ヶ岳の馬の背はお花畑が広がる場所でしたが、ニホンジカによる植生の衰退や踏圧による裸地化が進んでしまいました。このことから、南アルプス自然保護官事務所では、平成20年度から防鹿柵を設置しています。

前日は大雨。作業ができるかどうか不安に駆られましたが、当日はどんより曇り空スタート。今回は同じ馬の背に防鹿柵を設置している南アルプス食害対策協議会のみなさんと一緒に登りました。馬の背までのルートは大平山荘より藪沢経由で登ります。どんどん標高をあげていくと、、、

雪!雪渓です。もう7月になるというのに雪に出会えました。下界ではもう夏のような暑さですが、時折風が吹き、雪渓の上は涼しさを感じました。

雪だー!と喜んでいるのもつかの間。雪渓のあちこちにニホンジカの足跡がしっかりありました。

6月上旬にこの藪沢を通過し、馬の背周辺を訪れているニホンジカの足跡でしょうか。今回の行程ではニホンジカの姿を見ることはできませんでしたが、雪が多く残るこの時期でも高標高まで登ってきているということを再認識しました。

防鹿柵の設置現場に到着し、作業開始。


仙丈ヶ岳に設置している防鹿柵は夏季(初夏から晩秋のみ)に設置する季節型の防鹿柵です。お馴染みの杭にポールを差し込み、ネットをくくりかける作業です。前回の三伏峠の作業時はポールの高い部分に手が届かず、作業への貢献ができずじまいだったわたしですが、今回は手が届いたので、一生懸命頑張りました!(おかげで腕が筋肉痛になりました)

△シナノキンバイ

△ヒメイチゲ

防鹿柵の中にはシナノキンバイやヒメイチゲ、キバナノコマノツメが咲いていました。一時は部分的に裸地化し、高山植物があまり咲いていない状態でしたが、防鹿柵設置後は種数が増え、現在は植物の高さが回復してきています。環境省が馬の背に防鹿柵を設置してから12年ほど経ちますが、驚くほどの変化は見られずとも、少しずつ変化を感じられるようになっています。「花の仙丈」の愛称で多くの方に親しまれている仙丈ヶ岳。いつの日かその愛称の通り、高山植物が咲き乱れる仙丈ヶ岳に戻るといいですね。

どんより雲り空で始まった今回の防鹿柵立ち上げ作業ですが、下山時には青空が広がり、栗沢山を見ることができました!

このあと、栗沢山にはガスがかかってしまいましたが、ほんの一瞬、山からご褒美をもらった気持ちになりました♪