アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
仙丈ヶ岳 馬の背へ防鹿柵設置!
2018年07月17日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
6月下旬に仙丈ヶ岳にて、防鹿柵設置作業に参加してきました。仙丈ヶ岳は「南アルプスの女王」とも呼ばれ、高山植物が豊富な山として知られていますが、ここ数年の間に多くの高山植物がニホンジカの食圧によって少なくなってきてしまっています。そのため、仙丈ヶ岳には環境省で5カ所、南アルプス食害対策協議会のいう団体で12カ所に防鹿柵を設置しています。
今回は南アルプス食害対策協議会のみなさんと作業を行いました。南アルプス食害対策協議会とは、林野庁や信州大学、長野県、伊那市等の11機関で構成されている団体です。平成19年に設立され、南アルプスの高山植物や農作物、林産物をニホンジカから守る活動に取り組んでいます。
△木槌を使って杭を埋めているようす
いつもの作業に追加して、ぐらついている支柱を木槌で差し込む作業もありました。秋にネットおよびポールの撤去作業を行うといえども、支柱は冬の間にかなりぐらついてしまうようです。雪圧恐るべし...。
△ポールにネットをかけるようす
ポールにネットをかける作業はなかなか大変で、わたしは手が届かず、ポールにネットをかけることが精一杯です。なので、わたしはポールを支柱に差し込む作業を頑張りました!!
作業を行った日は天候が悪く、辺り一面真っ白。展望は全くない状況でしたが、たくさんのお花が出迎えてくれました♪稜線ではキバナシャクナゲやツガザクラ、ミネズオウなどが咲いていました。防鹿柵付近ではキバナノコマノツメやハクサンチドリ、ヒメイチゲやシナノキンバイが咲いていました。咲き始めのお花もあり、これからの時期も引き続き楽しめそうです。白や黄色、ピンクに紫とカラフルなお花でいっぱいでした。
△ヒメイチゲ
△ハクサンチドリ
仙丈ヶ岳は日本百名山に選ばれるほか、花の百名山にも選出されています。現状を見てわたしは、「多くの花が咲いているな」と感じますが、20年、30年前はニホンジカによる食圧もなく今よりももっと、もっと多くの花でいっぱいだったことでしょう。種類が豊富な高山植物が咲き誇っているお花畑に1日、1年でも早く回復してくれることを願うばかりです。