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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

高山チョウを守るために

2020年07月14日
南アルプス

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

6月下旬に高山チョウ違法捕獲およびミヤマハタザオの違法採取パトロールに行ってきました。このパトロールは、限られた地域の高山帯に生息するクモマツマキチョウの食草で、南アルプス国立公園の指定植物*である「ミヤマハタザオ」の違法採取が平成24年、25年にあったことから、平成24年から継続的に行われている業務です。

*指定植物とは】

国立公園および国定公園の風致景観を構成する重要な要素であり、特別地域(南アルプス国立公園は公園内全域)内では、環境省の許可を得なければ採取できない植物のこと。

高山チョウと街で見かけるチョウの大きな違いは、全ての生活史を高山帯や亜高山帯で過ごすことです。本州では10種類ほど、南アルプス山域では7種が生息しています。

今回のパトロールでは幸いなことに、高山チョウおよびミヤマハタザオの違法採取者はいませんでした。また、ミヤマハタザオの開花も確認できました。

△ミヤマハタザオ

土砂降りから始まった今回のパトロールでしたが、お昼過ぎには青空が広がりました。新緑と野呂川の音を聞くと心が穏やかになります。次第に気温も高くなり、チョウたちも姿を見せてくれました!なかなか静止してくれないので、ピントを合わせるにも一苦労です。

私が図鑑を見ても、どれも似たように見えてしまい、名前が分からないため、チョウに詳しい方に聞いてみたところ、ギンボシヒョウモン(左)とシロチョウ科(右)だそうです。シロチョウ科は見分けることが難しく、いろんな角度から見ないと同定が難しいようです。

長野県では南アルプスに生息するすべての高山チョウの採取が長野県文化財保護条例で禁止されており、ミヤマシロチョウは県特別指定希少野生動植物に指定されています。山梨県でも平成31年に高山チョウ含む6種のチョウが山梨県指定希少野生動植物種の保護に関する条例で指定されました。

長野県HPhttps://www.pref.nagano.lg.jp/shizenhogo/kurashi/shizen/hogo/kisyoyasei/jorei/jorei-kisyosyu.html

山梨県HPhttps://www.pref.yamanashi.jp/midori/58784767238.html

指定植物は自然公園法、高山チョウは自然公園法のほか各県の条例等が適用され、違反した場合は罰則も科されます。なぜその場所に生息しているのか。その動植物に良好な自然環境がそこにあるからです。多種多様な生き物が生息している南アルプス山域の豊かな自然環境を守るためには、みなさんのご理解とご協力が必要です。これらの動植物は採取せず、自然のままにしてください。